Ⅲ. 環境汚染・破壊
この分野は、欧州が産業技術力で一歩リードしている他は、日米欧でほとんど差がない。韓国と中国はこれらの三極と差がある。
自動車等の大気汚染物質対策技術について、自動車生産台数では海外の合弁企業を凌ぐ中国企業も出てきたが、この面での技術水準は低い。
発電所等の大気汚染物質対策技術について、中国は相当に遅れており集塵性能の低い方式が利用されている場合もあり、まず集塵装置の改善が急激に進められている。NOx対策としては、低 NOx燃焼は利用されているが、脱硝装置はまだほとんど検討されていない。
フロン回収は、ごく一部が日本や欧米製の機器で、再利用のために回収されているのみで、分解・無害化はほとんど行われていない。先進国からの売り込みが始まっている。
産業排水対策の研究は全般的に遅れている。一方、生活排水対策については、下水道整備が遅れているが、北京など一部の大都市では急速に下水道整備が進められ、水資源の不足している地域では、雑 排水利用に加えて、景観・環境維持用水としての利用も急速に広がり始めた。この場合、有機物はもちろん、栄養塩、病原性微生物を除去する技術開発が急速に進められている。
北京や天津など北部で深刻な水資源問題を抱えており、南部から導水が計画されていたり、下水の再生水利用が進められたりしている。水道技術分野については、水源水質が悪いケースも多くあり、技 術力や水道事業経営能力は高いとはいえない。
海洋汚染に対する技術開発には遅れがみられるが、技術の導入には熱心であり、急速な進展がみられる。
経済発展の著しい中国では、市街地の再開発が極めて活発に行われており、大気や表流水対策に追われているのが現状であるが、将来的には土壌・地下水汚染に直面することは必定と考えられる。現 在EUとの間で情報交換が行われている。
都市・生活環境対策技術はいまだ相対的に贅沢な技術に類する。欧米同様音源対策重視であるが、同一の交通サービス(速度)に対する低騒音化が遅れている。照明が必要以上に使われるところと、極 端に暗いところが混在している。