【21-006】《十四五》中央経済工作会議で強調された2021年の重要任務
JST北京事務所 2021年02月03日
これまで五中全会の建議とシンクタンクによる分析を紹介してきた(下記関連記事参照)。12月16~18日には、中央経済工作会議が開催されている。この会議には、習近平国家主席、李克強総理ほか中国共産党中央政治局常務委員会の全員が出席した。
会議では、2021年の重要任務を確定した。報じられている8つの任務の最初に掲げられているのが、国家の戦略的な科学技術における力量の強化である。
これに関連して、以下の内容が強調されている。
重要な科学技術イノベーションの組織者としての国家の役割を十分に発揮し、戦略的な必要性に基づき、科学技術イノベーションの方向と重点を確定する。これにより、国家の発展と安全を制約する重大な課題の解決に力を入れていく。新型挙国体制の優位性を発揮するよう、重要な研究所・大学を国家的なチームとして機能させる、このため、研究能力の最適な配置と資源の共有を行う。
基礎研究実施10年行動計画の制定を急ぎ、一連の基礎学科研究センターを重点的に配置し、条件に適合した地方の国際的な科学技術イノベーションセンターと地域のセンターの建設を支援する。科学技術イノベーションにおける企業の主体的な役割を発揮し、リーダー企業がイノベーションのための連合組織を設立することを支援し、中小企業のイノベーション活動を促進する。科学技術の国際的な交流や協力を強化する。国内の人材育成を加速し、より多くの若い世代の優秀な人材を活躍させる。インセンティブと評価のメカニズムをよりよいものとし、重要課題に対応するプロジェクトの自薦を優先する仕組みなどを実施する。研究倫理を規範化し、学問や研究に関する良好な風土を形成する。
このように、概ねこれまで見てきた第14次5カ年計画五カ年計画に関する建議と共通するものである。
なお、他の7つの重要任務は、②産業のサプライチェーンの自主的なコントロール能力の増強、③戦略的な内需の拡大、④改革開放の全面的推進、⑤種子と耕地と代表して表現される農業に関する問題、⑥反独占と資本の無秩序な拡大の防止、⑦大都市の住宅問題、⑧脱炭素社会に向けた取組みである。②,、③、⑤についても技術の重要性、④に関連して知的財産権制度、⑥に関連した健全なデジタル規制、⑧に関連して新エネルギーの重要性等が指摘されている。
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