2024年05月27日-05月31日
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製造現場で実用化進む人型ロボット、人々の暮らしに登場する日も近い?

2024年05月28日

 電気自動車(EV)大手テスラがこのほど、人型ロボット「Optimus」が工場で働く動画を公開し、人々の注目を集めた。動画では、Optimusはバッテリーセルを棚から取り出してプラスチックケースの中にきれいに並べる作業を行っている。今年2月には中国の人型ロボット「Walker S」も新エネ車の工場で「仕事」を始めた。同ロボットは流れ作業で人間と協力し、自動車の組み立てや品質検査を行うことができる。また、北京人型ロボットイノベーションセンターが4月末に発表した電気駆動のみで動作できる身長163センチの人型ロボット「天工」は、時速6キロで安定して走ることができる。中央テレビニュースが伝えた。

 業界関係者は「人型ロボットは現在、実験から産業化へ向かうカギとなる段階に差し掛かっている。2024年は人型ロボットの量産元年となるかもしれない」との見方を述べた。

 中国の複数の人型ロボットメーカーでは、人型ロボットを小ロットで生産し、クライアントに引き渡している。クライアントは主に、高等教育機関や科学研究機関、スマート製造企業などで、一部の人型ロボットはすでに工業製造シーンや商用サービスシーンで実用化されている。

 ロボットメーカー、優必選科技(UBテック・ロボティクス)の周剣曽最高経営責任者(CEO)は「工業製造と商用サービス、家庭用サービスが現時点における人型ロボットの3大応用シーンだ」と説明した。

 この中では、家庭用と商用は環境が複雑で、特定パターンがほとんど存在せず、人とコンピューターの間で生まれるインタラクションも変化に富んでいるため、人型ロボットの大規模商業化にはまだ不確実性が存在している。一方、工業製造の分野では、すでに良好な商業化の基盤が構築されており、人型ロボットが初めて大規模に応用される分野になるとみられている。工業用人型ロボットは3年以内に大規模生産されるようになる可能性がある。

 人型ロボット開発企業である宇樹科技の創業者、王興興氏は「人型ロボットの応用シーンは、短期、中期、長期に分けて見ることができる。短期的には、主に工場の生産・組み立てに応用され、中期的には、家庭や農業、建築現場などへと拡大していくだろう。長期的には、全てのことを人型ロボットができるようになると理解していい」と述べた。

 人型ロボットは、各種業界での応用が第一歩で、それは現在進行形で進んでいる。

 中国情報通信院の専門家によると、中国は高齢化問題が少しずつ際立っており、長期的に見ると、労働者が不足し、その不足を人型ロボットが補うようになると見られている。また、過酷な環境下での作業や、単調な作業、ハードな作業、危険な作業なども、人型ロボットの導入が必要とされるシーンとなる。

 中国における人型ロボットの発展は現在どのような段階にあるのだろうか?

 2023年に発表された「人型ロボットの革新的発展における指導意見」は、初めて単独文書の形で、人型ロボットの発展計画を制定したもので、2025年を一つの節目として、具体的な目標を掲げている。

 技術面では、「大脳、小脳、ボディ」などの重要技術の進展を実現し、コアパーツの安全で効果的な供給を確保するとしている。また、応用面では、世界最先端レベルの完成品を量産し、特殊なシーンや製造・民間サービスなどでモデル応用の実現を目指す。

 第1回中国人型ロボット産業カンファレンスで発表された産業報告によると、中国の人型ロボット市場は今年、27億6000万元(1元=約22円)規模になると見られており、2030年には1千億元の大台を超えて、1192億4600万元に達すると予測されている。

 
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