中国湖北省の武漢経済技術開発区に住む呉悠さんは、午後9時に会社を出ると、携帯電話で「専用車」を呼び、帰宅の途についた。新華社が伝えた。
パスワードを入力し、車の後部座席に乗り込み、スクリーンをタップし、移動ルートを確認すると、ハンドルが自動で回転し、車が車道に合流した......。
広く整然とした道路に、運転手のいない「東風悦享」の自動運転マイクロバスや、百度の自動運転タクシー配車サービス「蘿蔔快跑」の車両が一般車両と一緒に走行している。
呉さんは「運転はスムーズで安定しているし、車内も静かで清潔なので、乗っていて快適だ。車線変更や追い越しにも対応でき、まるで冷静な運転手のようだ。初めて自動運転車に乗った時はまだ不思議な感じがして、緊張したが、今は深夜に退勤する時のベストな選択肢になっている」と話した。
武漢市では、呉さんと同じように、最初は自動運転車を怖がり、目新しく思っていたが、今やすっかり慣れたという市民が増えてきている。未来の概念だった自動運転が、人々の日常生活に溶け込み始めている。
国家スマートコネクテッドカー(武漢)テストモデルエリアの責任者である呉海平氏は「武漢はここ数年、電動化、スマート化、ネットワーク化に向けて急速に発展している。インフラ改造の加速、通信、カメラ、レーダー、そして道路環境検査装置などの設置により、都市道路交通の精密な感知が実現し、スマートコネクテッドカーのテスト、応用、運営の基礎を固めた」と説明した。
2019年、同モデルエリアの設置に伴い、武漢市は自動運転商業化模索の「早送り」ボタンを押した。自動運転テスト道路の開放、全自動運転商業化試行政策などの措置の発表により、自動運転商業化運転の車両数と走行距離が持続的に増加している。区を跨いだ移動や空港での高速通行など、複数の自動運転応用シーンでブレイクスルーが相次いでいる。
百度「蘿蔔快跑」の全自動運転車が2月、武漢楊泗港長江大橋と武漢白沙洲大橋を通過した。百度自動運転事業部ゼネラルマネージャーの陳卓氏は、「武漢は河川と湖沼が縦横に交差し、都市交通が多様で複雑だ。ここでの自動運転技術のテストは意義がより大きい。百度『蘿蔔快跑』自動運転モビリティサービスプラットフォームだけでも300台以上の自動運転車が、午前6時から翌日午前2時まで武漢の路上を走っている」と述べた。
データによると、武漢市の現在のスマートコネクテッドカーテスト開放道路の距離は累計3379キロを超え、市内12行政区をカバーしている。自動運転のモビリティサービスのオーダー回数は158万回を上回り、累計198万人以上にサービスを提供した。
自動運転は武漢の新たなシンボルになりつつあるが、その裏側には「従来からの自動車都市」のイノベーションの意気込みが隠れている。現在、武漢経済技術開発区には100社以上のスマートコネクテッドカー産業チェーン中核企業が集積している。院士(アカデミー会員)活動拠点や共同イノベーション実験室、国家レベルスマート交通技術イノベーションセンターが設立され、「スマートカー・スマートシティ協同発展アライアンス」が結成され、「研究開発+テスト+応用」のスマートコネクテッドカー産業エコシステムが徐々に形成されている。
武漢市経済・情報化局の関係者は「今年に入り自動運転技術の商業化と産業化が持続的に加速している。テスト開放道路網の拡大と自動運転車の増加に伴い、5G通信や人工知能、先端半導体、北斗測位などの産業の集積が加速しており、武漢は次世代自動車産業の先進地を構築しようとしている」と語った。
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