第2節 基本方針や主要関連政策の制定、変遷
本節では、まず、各サイエンスパーク・ハイテクパークの誕生に関する法的環境について述べ、次に本報告書の調査対象である多くのパークの政策的根拠となる、タイマツ計画をはじめとする、主な関連政策を説明する。最後に、各サイエンスパーク・ハイテクパークに広くかかわると見られる、その他の関連政策についても述べることにする。
第1項 サイエンスパーク・ハイテクパークの誕生に関する法的環境
本報告書の調査対象であるサイエンスパーク・ハイテクパークの誕生の背景の一つとして、関連する法的環境が整備され、維持されてきたことが挙げられる。しばしば「政策優先」や「人治国家」と言われる中国では、前節で述べたように、「科技重視」(科学技術を重視する)の一環として、1980年代後半以降「科技立法」(科学技術関連の立法)が活発に行われ、また、イノベーションシステムの改革も始まった。このような科学技術関連の立法、及びイノベーションシステムの改革に関連した政策が、各サイエンスパーク・ハイテクパークの誕生及び発展におけるマクロ的な法的環境となった。
中国では1980年代半ばまで、企業、大学、公的研究所においてそれぞれ独立した形態でのイノベーションシステムが採られていた。しかし、1985年に「科学技術体制の改革に関する決定」(中国国務院)が発表され、従来のイノベーションシステムの改革が始動した。この改革は、①政策イノベーションとキャッチアップ・ステージ(1985~1992年)、②技術イノベーション・ステージ(1992~1998年)、及び③知的財産を重視する国家イノベーション・ステージ(1998年以降)の3つの段階を経て進められた[1]。
第1段階の「政策イノベーションとキャッチアップ・ステージ」では、従来の計画経済体制下の制度改革が行われた。1985年に「科学技術体制の改革に関する決定」が発表され、科学技術体制、とりわけイノベーションシステムにおけるさまざまな問題を解消するための制度改革[2]や、国家重点計画が打ち出された。また、科学技術と産業の連携について、技術市場を形成する上で不可欠な基盤となる「特許法」や「技術契約法」が制定され、市場のイノベーション促進策として、国家ハイテク産業開発区の建設や、技術交流及び技術コンサルティングを業務とする民間技術型ベンチャーの設立が奨励されるようになった。
第2段階の「技術イノベーション・ステージ」は、鄧小平による「南巡講話」によって市場経済改革路線がより明確に示された1992年に始まり、1998年まで実施された改革である。ここでの重要施策の一つに、産業技術にかかわる分野の開放と市場経済下での「ハイテク産業の育成の本格化」が挙げられる。これは、本報告書でも指摘しているように、市場経済への移行を目指した経済改革の動きとも相まって大きな成果をあげた。また、この段階で、公的研究機関や大学における技術をベースとした企業のスピンアウトなど、前述した大学発技術型ベンチャーの設立が促進された。
市場経済化におけるこれらのイノベーション改革の動きを受けた1998年以降の第3段階「国家イノベーション・ステージ」は、前述した「科教興国」を前面に打ち出し、国全体としてのイノベーションシステムの構築が図られた時期である。「科学技術進歩法」や「科学技術成果転化促進法」などによって、産学官連携に関する制度整備が幅広く行われた。この段階において、中国におけるイノベーションを担う主体が公的研究機関から企業へと大きくシフトすると同時に、サイエンスパーク・ハイテクパークの建設に必要な法的環境が整備されることとなった。
No | 制定時期 | 名称 | 性格 | 発効機関 |
1 | 1984年 | 特許法 | 法律 | 全人代 |
2 | 1985年 | 技術移転に関する暫定的規定 | 法規 | 国務院 |
3 | 1985年 | 科学技術体制の改革に関する決定 | 政策 | 国務院 |
4 | 1987年 | 技術契約法 | 法律 | 全人代 |
5 | 1988年 | 科学技術者の兼業に関する意見 | 政策 | 科学技術委員会 |
6 | 1988年 | 科学技術体制改革の深化に関する決定 | 政策 | 国務院 |
7 | 1988年 | タイマツ計画 | 政策 | 国務院 |
8 | 1993年 | 科学技術進歩法 | 法律 | 全人代 |
9 | 1996年 | 科学技術成果転化促進法 | 法律 | 全人代 |
10 | 1999年 | 科学技術型中小企業技術創新基金 | 政策 | 国務院 |
[1] 本項の作成に当たって、以下の文献を参考にした。董潔・朱茜「論高校在国家創新体系中的地位和作用」中国科技論文在線(2005年)、元橋一之「中国のイノベーションシステム改革と産業競争力の展望」海外投融資(2004年、 No.11)、張輝「中国・日本・美国三国科学技術政策及法制動態的比較研究」科学学与科学技術管理(1993年、No.1)。中国の計画経済の体制下におけるイノベーションシステムは、企業、大学、中国科学院を中心とする公的研究所が独立した形態をとっていた。国有企業は計画経済に基づく生産に従事し、大学は教育機関であり、また、公的研究所は科学技術研究を行うための機関と言うように、そのミッションは明確に定義され、それぞれが分断された構造となっていた。
[2] 例えば、公的研究機関は、基礎研究、応用技術開発、社会公益的研究や農業研究を行う3つの機関に分類され、基金制による一定額の補助や事業費の縮小、一定期間後の活動停止等厳しい方針が打ち出された。
第2項 主要関連政策
(1)中国「タイマツ計画」関連
本報告書の調査対象である10種のサイエンスパーク・ハイテクパークの中で、国家バイオ産業基地、国家帰国留学人員創業パーク、知的財産実証パーク以外のすべてが、中国「タイマツ計画」にかかわり設立されたものである。中国「タイマツ計画」が策定された背景については既に前節で述べたが、ここではその目的、位置づけ、内容、実施機関を中心に説明する。
中国「タイマツ計画」は、下表に示すように、中国における主なハイテク研究開発及び商品化・産業化の促進に関する一連の計画の中で誕生した経緯を持つ。
名称 | 国家科技 攻関計画 |
星火計画 | 国家高科技 研究発展計画 |
火炬(タイマツ)計画 | 国家重点基礎研究発展計画 |
開始 | 1982年 | 1985年 | 1986年 (別称863計画) |
1988年 | 1997年 (別称973計画) |
趣旨 | 国民経済や社会の発展を方向付けるキーテクノロジーについて、産業技術のレベルアップを図る | 科学技術を通じた農村経済の工業化・現代化、郷鎮企業の発展、及び農民生活水準の向上を目指す | 中国の現状に照らし、主として経済社会に影響が大きいと設定される技術分野に重点を置き、経済・社会の発展に資する | 改革開放の全体方針を貫徹し、市場のニーズに基づいてハイテク成果の商品化、ハイテク商品の産業化、ハイテク産業の国際化を進める | 国家戦略に関係し、経済社会の発展に重大な影響を及ぼすような重要課題で、世界レベルで基礎研究を行う |
主要分野 | 農業、情報技術、資源・環境、材料 | 農産物の生産力強化、建材、食品の付加価値加工等 | 生物、航空宇宙、情報技術、材料、自動化 | 電子、IT、バイオ、医薬、素材、製造、航空宇宙、海洋、核応用、省エネ、環境保護、農業等 | 農業、情報技術、環境資源、人口と健康、材料 |
中国「タイマツ計画」は、中国のハイテク産業を発展させるための指導的計画である。1988 年8月、国務院に認可され、科学技術部により実施された。同計画の目的は「科教興国」(科学と教育による国家の振興)の発展戦略の遂行、改革開放の方針の徹底の他、中国の科学技術の優位性と潜在力を十分に発揮し、市場ニーズに応じて、ハイテク成果の商品化、ハイテク商品の産業化、及びハイテク産業の国際化を促進することである。
タイマツ計画の内容としては、①ハイテク産業の発展に必要な環境作り、②国家ハイテク産業開発区及びハイテク創業サービスセンターの設立、③タイマツ計画プロジェクトの企画や推進、④国際協力の強化とハイテク産業の国際化の推進、⑤ハイテク産業の振興に必要な人材の育成や誘致、などが挙げられる。
①に関する具体的な施策として、(イ) 広範囲にタイマツ計画の宣伝キャンペーンを行うこと、(ロ) ハイテク産業の発展に対応し関連政策、法律、規制を立案すること、(ハ) 良好な支援環境を整備しハイテク産業発展に適応する管理システムと運営メカニズムを確立すること、(ニ) 融資ルートを拡大させ投資リスクのメカニズムを確立すること、(ホ) 国内外の情報ルートを拡大し情報ネットワークを設立すること、(ヘ) 現実に基づいた中長期の発展計画と実施計画を作成すること、などが含まれる。
②で言う「ハイテク産業開発区」はタイマツ計画の重要な構成要素であり、改革開放と社会主義市場経済の発展の必然的な結果でもある。同開発区は、知識の集積と開放的な環境条件の下で、主に中国の科学技術と経済力に基づき、環境の部分的な改良を通じ、科学技術の研究成果を最大限に生産力に転換することを目的とし、国内と海外市場に向けて中国のハイテク産業を集中的に発展させる地域である。
一方、「ハイテク創業サービスセンター」は、外国のインキュベータ開発の経験を参考にし、中国の実情を考慮して設立された、新しい社会公益型の科学技術サービス機関である。ハイテク企業の育成及びハイテク企業の設立に総合的なサービスを提供することを目的とする。
③もタイマツ計画の重要な構成部分であり、計画のスタートポイントでもある。タイマツ計画プロジェクトは、国内外の市場ニーズに応じ、国、地方、各業界の「科学技術攻関計画」、ハイテク研究開発計画、及びその他の研究成果に基づいて、ハイテク製品が発展し産業化されることを目標にしている。先端的なレベルや国内外の市場の大きさ、経済効果が期待されるハイテクプロジェクトを選び、タイマツ計画プロジェクトとして実行することにより、ハイテク企業または企業グループを形成することを目指している。
④で言う国際協力の強化とハイテク産業の国際化の促進とは、タイマツ計画の主要な内容であり、ハイテク製品の国際市場への進出とハイテク産業の国際化の推進を助成するために、平等と相互受益の上に政府と民間のルートを通して、各国・地域との広範囲の協力を確立し、技術、金融、企業、商業などの各業界との交流を積極的に行うことである。
⑤の「人材の育成や誘致」はハイテク産業の発展の鍵であり、ハイテク成果の商品化、ハイテク商品の産業化、ハイテク産業の国際化を保障するものである。多数の有能な管理経営人材の育成は、タイマツ計画の成否にかかわる重要なものである。これらの人材は技術者であり、常に競争心を持ち、創造性に優れた開拓型であるとされている。
中国「タイマツ計画」の実施機関は、中国科学技術部に直轄される事業法人「中国科学技術部タイマツハイテク産業開発センター」(以下、「中国タイマツセンター」と呼ぶ)である。その組織図は下図の通りである。
中国タイマツセンターは、中国「タイマツ計画」の具現化に必要な環境整備、組織化、実施推進、政策立案、指導などを任務とする機関で、国家ハイテク産業開発区にとどまらず、国家特色産業基地や国家技術型ベンチャーインキュベータなどの認定や、ハイテク製品目録の原案策定なども行っており、中国におけるハイテク産業の主要推進機関に位置づけられている。
「タイマツ計画」が策定・公表されてから、本報告書で説明する国家ハイテク産業開発区、国家大学サイエンスパーク、国家インキュベータ、国家ソフトウェアパークなどに関する個別の政策も策定されてきたが、これらについては後掲の関連章節で述べる。
中国タイマツセンターの近年の活動としては、2008年8月に中国国家中長期科学技術発展規画綱要の方針に沿って、「国家ハイテク産業化及び環境整備(タイマツ)に関する第11次5カ年発展綱要」及び「国家ハイテク産業開発区に関する第11次5カ年発展規画綱要」を策定した。
(2)中国「タイマツ計画」以外の関連政策
タイマツ計画以外の関連政策としては、①国家バイオ産業基地に関連する中国バイオ産業政策として、中国初の「国家バイオ産業発展5カ年計画」、②国家帰国留学人員創業パークに関連する中国留学生政策として、「中国帰国留学生による技術型ベンチャーの創業支援策」、③国家知的財産実証パークに関連する中国知的財産政策として、中国初の「国家知的財産戦略綱要」、などが挙げられる。これらの政策については、後掲の関連章節に記述する。
[3] 中国における官庁及びその関連組織は、基本的に、部、司、処、科、組と言う順序で設けられている。中国語の「科」は日本語で「課」に訳されることが多い。
第3項 その他の関連政策
本項では、多様なサイエンスパーク・ハイテクパークの中でも、特に国家ハイテク産業開発区やソフトウェアパークにおける外資優遇政策や、国家大学サイエンスパーク、国家インキュベータ、国家帰国留学人員創業パークで起業する技術型ベンチャーに深く関係する支援策について述べることにする。
まず、国家ハイテク産業開発区やソフトウェアパークの発展に貢献する外資系企業に対する優遇税制についてであるが、国の関係法規によって定められる部分(次頁の表参照)と地方条例もしくは事業によって与えられる特恵の部分で構成されている。
2007年3月に開かれた全国人民代表大会(日本の国会に相当)において、外資優遇税制を撤廃する「企業所得税(法人税)法案」が採択された。これは、2008年1月に国内企業と外資系企業の税率を25%に一本化した上で、内外資を問わずハイテク化や環境保護に貢献する企業を優遇しようとする内容である。いわゆる2免3減(利益が出た年から2年は免税、その後3年は5割の減税)優遇策も、段階的に廃止される。
しかし、ハイテク企業に対しては、5年間の経過措置が設けられるなど、税制優遇策が引き続き与えられる。このことは、中国政府が、産業政策、財政・税制面での政策実施を通し、外資系企業に技術研究開発を促し、知的財産権の現地化を推進させると言う狙いがあるものと考えられる[4]。
優遇措置 | 対象条件 | 内 容 |
企業所得税 | ハイテク企業 | 15%で2年免税3年半減 |
先進技術企業 | 15%または24%で2年免税3年半減後、更に、3年間半免の延長あり | |
地方所得税 | - | 免税 |
ハイテク企業 | 総投資額にかかわらず免税(「国家高新技術産品目録」にある品目を生産する場合)
|
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関税 | 先進技術企業 | 更新用の設備・部品・備品を自己資金で輸入する場合に免税 |
付加価値税 (増値税[5]) |
ハイテク企業 | 付加価値税の輸出還付率が税率以下の場合、全額(17%)還付(「国家高新技術輸出産品目録」にある品目を生産、輸出する場合) |
次に、中国における創業支援の関連政策は、国家インキュベータや国家帰国留学人員創業パークに入居する技術型ベンチャーに深く関わるが、整備が比較的遅れていると指摘されていた。しかしながら、2005年11月14日、中国「創業投資企業管理暫定弁法」(ベンチャーキャピタルに関する暫定的規定)が中国国務院の承認を経て公布され、以後、着実に整備が進んでいる。この規定は国家発展改革委員会など10の国家機関が合同で制定したものであり、これによりベンチャーキャピタルは法的な保護を受けることになった。
発展改革委員会の責任者によると、「弁法」は、ベンチャーキャピタルの設立について、次の点を規定している。
第1に、投資家の数や投資家1人当たりの投資額を規定し、ベンチャーキャピタルの私募による資金調達活動に対して法的根拠を与えている。第2に、ベンチャーキャピタル会社が投資管理顧問をマネジャーに任命し、投資管理顧問に投資管理業務を委託することを認め、委託管理に必要な法的保護を提供している。第3に、ベンチャーキャピタルの資本金調達を一部猶予している。例えば、資本金3000万元以上の会社を設立する場合、設立当初の調達額は1000万元とし、残りは設立後の5年以内に用意すればよい。
また、同弁法はベンチャーキャピタルの運営についても具体的に規定している。
これについて、2007年12月26日、中国科学技術部副部長(副大臣)の呉忠沢は「中国の資本市場におけるハイテク産業並びに中小企業の刷新などは夢のまた夢だ。これはベンチャー投資についても同じことが言える」と指摘し、「この5年、中国のハイテク産業は年平均27%の急成長を続け、総生産額は製造業の16%を占めている。しかし、中国の資本市場はまだ規模が小さく、多層的な資本市場もいまだ形成されていない」と問題提起した。
更に、同氏は「ハイテク産業の発展を妨げている中国における資本市場の不完全性は、次の5点に集約される」との見解を示した[6]。
これらは、①上場の条件が過度に厳しく、中小企業にとって資金調達に際してのプレッシャーが大きすぎること、②株式譲渡のシステムが整っていないため、市場ニーズが市場に正しく反映されないこと、③財産権取引市場におけるリソースの統合が健全化されていないため、市場の発達がアンバランスになっていること、④債券市場の発展が株式市場よりも立ち遅れており、企業の債券発行規模が小さいこと、⑤新興市場が形成されておらず、ベンチャー投資の発展が資本市場の制約を受けていることである。
このような問題の解決に資する対策の一つとして、前述したように、中国国務院の承認によって、1999年に設立された「科学技術型中小企業技術創新基金」(科学技術型中小企業イノベーション基金)が、資金の無償提供や融資利息への補助などの支援を行っている。
例えば、重要プロジェクトの場合、200万元を越えない範囲での資金の無償提供や、融資の利息に対する支払い補助、また、登記資本の20%を超えない範囲での資本金の出資などを通じて、技術開発型中小企業のイノベーション活動を支援している。これは技術成果の商品化、ハイテク商品の産業化、特色のある中小企業の育成を加速化するとともに、中国における産業構造の調整、内需の拡大、新たな雇用機会の創出などに資するものである。同基金の2003年の実施状況は合計1197 件、6億6382万元で、支援した技術分野は下表に示す通りである。
支援した技術分野 | |||
電子・情報 | 456件 | 2億3,960万元 | 36.1% |
バイオ・医薬 | 208件 | 1億2,580万元 | 19.0% |
新材料 | 172件 | 9,915万元 | 14.9% |
光機電の一体化 | 199件 | 1億772万元 | 16.2% |
資源・環境 | 98件 | 5,710万元 | 8.6% |
新エネ・省エネ | 63件 | 3,395万元 | 5.1% |
その他 | 1件 | 50万元 | 0.1% |
合 計 | 1,197件 | 6億6,382万元 |
2007年7月5日、北京にて、中国国家発展改革委員会の高官である王黎明は、「中小企業は既に中国の技術革新の主体となった」と明言した。中国の中小企業は4200万社に上り、企業総数の99%以上を占め、宇宙航空、新型バイオ製薬、遺伝子プロジェクト、電子通信などの分野で自主開発による多くの技術・ノウハウを持ち、太陽エネルギー、節水型の灌漑、海水淡水化などの環境保護分野でも技術革新の成果を挙げていると述べた。また、今後、中国は、「中小企業促進法」などの法律を一層整備し、中小企業の発展に有利な財政、税収、金融政策を検討し、中小企業の資金問題を解決することにより、それらの企業の健全な発展を促進することに力を入れていきたいと述べた。このことは、本報告書の調査対象である多様なパークに立地する中小企業にとって、重要な考えである[7]。
[4] 例えば、2008年4月22日、中国商務部が発表した「2008年全国外商招致業務指導意見」はまさにこの姿勢を示す一例である。尚、中国の税制一般についての参考文献として、近藤義雄「中国の税制改革について」第2回中国研究会資料 http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kouryu/h16/chu16_02b.pdf (財務省、平成17年2月18日)。
新華網「中国資本市場、ハイテク産業の発展を阻害 」2007年12月26日。
[5] 増値税は、一般的に付加価値税/VAT(Value Added Tax)と言われ、中国で商品を購入した際に支払う税金である。増値税は、最終製品が中国から輸出される際に還付の対象になる場合がある。参考文献の一例として、近藤敏「外資系企業と中国の税制(中国の増値税についての一考察)」金属資源レポート(2006年3月)p127~131。
[6] 新華網「中国資本市場、ハイテク産業の発展を阻害 」2007年12月26日。
[7] 中国国際放送局日本語部「中小企業、中国の技術革新の主体に」(2007年7月5日)。