中国科学院「百人計画」
中国科学院の「百人計画」は、中国で最初に開始された「高目標、高基準、高強度」の人材招致・養成策である。「百人計画」は、1997年より「海外傑出人材導入計画」と「国内百人計画」とに分けられ、2 001年には「海外有名学者計画」が追加された。
①海外傑出人材
- 中国国籍ある公民、または外国国籍を自ら放棄し、中国に定住する専門家・学者
- 博士号取得後、海外で2年間以上の研究経験を持ち、助理教授(assistant professor)またはそれに相当するポストに就いた者
- 課題研究(プロジェクト)に単独または主要メンバーとして参加し、著しい成果を上げた者
- 国内外の学界で一定の影響力を持つ者。具体的には、当該分野の動向を把握し、将来の戦略構想を持ち、チームを率いて科学最先端で研究に従事し、国際レベルの成果を挙げた者
- 当該分野に造詣が深い者。具体的には、国際レベルの研究成果を挙げ、重要レフリー論文誌に3本以上インパクトのある論文を載せ、SCIまたはEIに収録された者。あるいは重大発明(特許)を持ち、当 該領域でハイテク技術を産業化できるキーテクノロジーを保有している者
②海外有名学者
- 海外で助教授以上またはそれに相当するポストについた者 ・当該学科分野に造詣が深く、国際的にも高い知名度と重要な影響力を持つ者。分野の進む方向を把握でき、新しい構想を打ち出せる者 ・チ ームを率い、国際的にも先進レベルの成果を挙げられる者 ・国際的にも同分野の学者に認知された重要な研究成果を持ち、当該分野の権威ある論文誌でいくつかの論文を掲載した者。または、重要発明(特許)を持ち、ハ イテク技術の産業化を引き起こすキーテクノロジーを保有する者 ・年間4ヶ月以上中国で就業する者
③国内百人計画(中国科学院外部から)
- 前職で研究員(教授)として勤めた者
- 当該専門分野で影響力のある成果を挙げた者
④国内百人計画(中国科学院内部から)
- 「国家傑出青年科学基金」 ※注 の取得者
- 3年間
海外傑出人材と中国科学院外部からの国内人材には、給与、医療保険、手当てなどが支給されるほか、200万元の研究費が与えられる。海外有名学者と中国科学院内部からの人材には、1 00万元の研究費が与えられる。
中国科学院「百人計画」実施以来、1459名の人材が招致または助成を受けた。そのうち、海外傑出人材は846人、海外有名学者は224人、国内優秀人材は251人である。また、中国科学院院士14人、研 究所所長クラス85人、国家重点実験室主任51人のほか、国家 973計画(基礎研究プロジェクト)首席科学家、国家973計画専門家グループメンバー、973課題の責任者、国家 863計画( ハイテク研究プロジェクト)に係る項目の責任者に選ばれた人が、それぞれ5人、29人、170人と57人である。さらに、「国家傑出青年科学基金」、国 家自然科学賞と国家科学技術進歩賞を受賞した人もそれぞれ222人、3 4人と33人にのぼった。
中国科学院「百人計画」の実施により、学術リーダーチームが形成され、学術リーダーの育成、重要な学術成果の誕生、学科の発展と学科構成の合理化などに寄与した。
※2008年3月調査現在
(出典) 中国科学院、国家自然科学基金委員会(国家傑出青年科学基金実施管理方法)ホームページ等より作成
注
国家傑出青年科学基金について
「国家傑出青年科学基金」は国内における若い科学技術人材の成長と海外学者の帰国促進を目的としたものである。1994年に国務院によって設置され、国家自然科学基金委員会が管理している。
助成分野:自然科学基礎研究と応用基礎研究
助成対象:
- 祖国を愛する者
- 45歳以下の者
- 博士号取得者、あるいは助教授以上のポストを持つ者
- 自然科学基礎研究分野では国内外とも認められた顕著な成果を挙げた、あるいは当該分野または関連分野の発展に大きく寄与している者。応用基礎研究分野では、国内外とも認められた顕著な成果を挙げた、あ るいは国民経済と社会の発展に大きく影響を与えられる者
- 国内での研究に必要な実験条件として人的・物的資源があり、かつ助成研究に打ち込める者
- 中国国籍を持ち、中国国内に固定な受け入れ機関がある者。助成を受ける期間が雇用期間に含まれ、その期間中に年間6ヶ月以上中国国内で研究できる者
(出典) 中国科学院のホームページにより作成
関連リンク:「 中国科学院/百人計画」(中文)
「百人計画」の実施規定や選出プロセスについての紹介サイト。中国科学院ホームページのコンテンツの一部。