海外人材呼び戻し政策
中国では急速な科学技術の発展を遂げ、先進国レベルへとキャッチアップするために、海外からの優秀な研究開発人材を招聘する「海外人材呼び戻し政策」を実施しており次の様な「海外人材呼び戻しプログラム」を通じた様々な優遇制度を設けている。
- 国内外の優秀な学者を中国の高等教育機関に招致することを目的としたプロジェクト。同計画は1998年にスタートし、香港の李嘉誠氏率いる企業グループ「長江基建有限公司」が多く出資したため、この名がある。
- 海外にいる留学経験者の中国国内での共同研究や学術交流等の短期帰国を支援するプロジェクト。教育部の主導で1996年より実施。
- 海外にいる中国人材の帰国と起業を奨励するための優遇政策。1994年から、国家科学技術部、教育部、人事部の呼びかけで多くの地域に「留学人員創業園」が設立された。
下図に示す通り、海外からの留学帰国生数は1990 年代以降、増加傾向にある。第十次五ヵ年計画(2001-2005 年)では「国外の教育資源を合理的に利用し、ハイレベル人材の養成ルートを拡大する」と示されている様に、中国政府は海外留学を通じた人材育成も重視している。
中国からの留学生数及び留学帰国生数の推移
(出典) 中国統計年鑑2005
中国では海外から帰国して研究者や起業家として活躍する人材を俗に「ハイグェイ」(「海亀」と同じハイグェイと発音する「海外帰来」とかけている)と呼ぶ。このため、最近では日本でも中国の海外人材呼び戻し政策が通称「海亀」政策として認知される様になってきた。かつては海外留学帰国生であれば、ほとんどの者が何らかのポストに就けたが、最近ではポストに就けない「海待族」と呼ばれる人々も出てきており、海外から中国への人材招聘が進んでいる様子がうかがえる。
※2006年6月調査現在