東京都日中友好協会 東京都・北京市友好都市提携35周年記念「だから、今、中国」/講師:加藤 嘉一(2014年07月03日開催)

中国研究サロン特別企画

東京都日中友好協会 東京都・北京市友好都市提携35周年記念「だから、今、中国」

開催日時・場所

2014年07月03日(木)16:30-20:00

独立行政法人科学技術振興機構(JST)
東京本部別館1Fホール

プログラム

第1部 16:30 - 18:00 加藤氏講演「日中和解は可能か?」

第2部 18:20 - 20:00 加藤氏講演「日中友好のためにできること」

  1. 中国語を伸ばすには
  2. 外から見た日本人コミュニティ、日本人との付き合い方
  3. 日中友好のために必要なこと
加藤嘉一

加藤 嘉一氏

1984年静岡県生まれ。 2003年高校卒業後、単身で 北京大学留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。
現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー、ニューヨーク・タイムズ中国語版コラムニスト。 
著書に『われ日本海の橋とならん』(ダイヤモンド社)など。

中間層重視の支援・ビジネス活動を 加藤嘉一氏提言

小岩井忠道(中国総合研究交流センター)

 日中関係などについて活発な言論活動を続けている加藤嘉一氏が7月3日、科学技術振興機構中国総合研究交流センターと東京都日中友好協会共催の講演会で、中国の中間層を重視した支援活動、ビ ジネス展開の重要性を強調した。

 加藤氏は、中華民国成立につながった辛亥革命と、1978年に始まった改革開放という2つの大きな出来事に日本人が大きな貢献をしたとの見方を示した上で、中 国の中間層を重視する活動を次に日本がやるべきこととして挙げた。

 氏によると都市戸籍を持つ国民に比べ劣悪な状況に置かれているようにみられている農民工も農民も、中国共産党からは相応の支援を受けている。無産階級は、共産党のよって立つ基盤だからだ。一方、既 得権に守られた富裕層には、いつでも国外に移民できるという選択肢がある。大学進学率が35%まで上がっている中で、月収3,000元(約5万円)でしかない大卒経済誌社員を例に挙げ、結局、今 の中国で一番困っているのは、こうした中間層に他ならない、との見方を氏は示した。

 これら中間層は、納税意識や社会に対する関心も高く、中国社会の長期的な安定、繁栄を望む気持ちも強い。一方、中間層に対する社会保障や税制、あ るいは教育における機会均等といった面での政府の対応はおろそかになっている。所得増、環境汚染、日米通商摩擦、バブル崩壊、少子高齢化、原発など諸々の問題に日本が戦後70年かけて向き合ってきたのに対し、中 国は一挙にこれらの問題に直面している。一番困っている中国の中間層を支援するとともに、日本が70年かけて蓄積してきた経験、教訓を企業はビジネスに落とし込み、政府はそれを後押しすることが求められている、と 氏は提言した。

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 加藤氏は、10年に及ぶ中国での研究生活にひとまず区切りをつけ、現在米国で研究生活を続けている。中国と米国での経験を基に、米国と中国との関係が日中関係とだいぶ異なることにも触れた。対 日観をめぐって米中の共通項が増えていることに注意を喚起し、米中の狭間で日本が今後、どう生きていくかが問われている、とも指摘している。特に聴衆の関心を引いたのが、中国との関係で、日 本が注意しなければならないこととして「期待値を下げる」意識転換の勧め。中国に対する期待が大きいほど、期待はずれになったときのショックが大きく、中国に好意的だった人も中国嫌いになる可能性が高い。相 手に大きな期待をもたず、違いを割り切っている米国と中国の関係に学ぶことを勧めた。

 これからの協力のあり方として、例えばミャンマーなど新興国の鉄道建設などインフラ整備に、日中両国がそれぞれ強みを出し合って協力すれば夢のある将来を描けるのではないかとの展望を示した。

 若い人たちによく知られる加藤氏とあって、会場には日本の大学生だけでなく日本に留学中の中国人大学生の姿も多く見られた。「日本の書店には中国や韓国に対するネガティブな本が数多く並んでいる。根 底に中国、韓国を下に見たいという日本人の意識があるのではないか」。中国人学生の質問に対し、「『中国はもう終わり』『対中関係など重視しなくても』といったことを日本人が言うのを、海 外諸国はどう見ているか考える必要がある。本当に自信があるなら、中国の台頭を受け止め、むしろ逆に利用するような世論をつくっていくこと大事。それが誇り高く、国 際社会で伸び伸びと生きていける国家になることではないか」と加藤氏は答えていた。

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