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日中のネット普及はどれくらい差があるのか―第13次五か年計画で見える将来の目標数値

2017年 5月30日

山谷剛史

山谷 剛史(やまや たけし):ライター

略歴

1976年生まれ。東京都出身、41歳。東京電機大学卒業後、SEとなるも、2002年より、中国では雲南省昆明市を拠点とし、中国のIT事情(製品・WEBサービス・海賊版問題・独自技術・ネット検閲・コ ンテンツなど)をテーマに執筆する。日本のIT系メディア、経済系メディア、トレンド系メディアなどで連載記事や単発記事を執筆。著書に「中国のインターネット史: ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち(ソフトバンク新書)」など。

 発展著しい中国のインターネット。今日様々なインターネット関連のニュースを見るようになった。現状、日本と中国ではどれほどの差があるのか、まずは紹介しよう。

 中国における2016年末時点のインターネット利用者は7億3125万人(CNNIC:China Internet Network Information Center)。一方日本のインターネット利用者は1億46万人(総務省)となっている。つまり7倍強の利用者がいる。これを普及率、つまり国民が利用している割合で見ると、中国では人口の半数超となる53.2%が利用する一方、日本では83.0%となっている。

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中国でのネット人口の増加

 中国事情を論ずるときに考える必要がある都市部と農村部の差であるが、都市部での普及率は69.1%、つまり10人に7人はインターネットを利用しているのに対し、農村部では33.1%、つまり3人に1人が利用している状況と大きく異なる。

 省別で普及率を見ると、ハイテク企業や国家研究機関が集中する中関村のある北京市が76.5%と最も高く、続いて上海市が74.1%、広東省が74.0%、福建省が69.7%、浙江省が65.6%、天津市が64.6%と続く。一方利用率が低い省では、雲南省の39.9%を筆頭に、甘粛省が42.4%、貴州省が43.4%、河南省が43.4%、四川省が43.6%と続く。沿岸部と内陸部(特に西南部)で大きな差があり、内陸部の中心都市である成都のある四川省でも例外ではない。ちなみに日本の都道府県別では、普及率が最も高い東京都で89.7%、最も低い県で70%台前半といった程度の差となっている。

ネット普及率上位の省市(2016年)

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(出典:CNNIC)

ネット普及率下位の省市(2016年)

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(出典:CNNIC)

 インターネットの利用はパソコンか、スマートフォンかという点については日本と中国で状況は異なる。日本ではパソコンについては人口の56.8%が利用し、スマートフォンの同54.3%よりも高い結果となる一方、中国ではスマートフォンがインターネット利用者の95.1%が利用し、デスクトップパソコンが同60.1%、ノートパソコンが同36.8%となり、スマートフォンの利用がパソコンよりも高いという結果となった。中国の都市部では、地下鉄車内や駅やバスなどで多くの人がスマートフォンを見つめる光景を見るだろう。スマートフォンばかりを見つめている「低頭族」という新語も登場するくらい、スマートフォンへの人々の依存が進んでいる。

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通信機器の保有状況(中国)

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地下鉄内はスマートフォンユーザーばかり

 中国のインターネット普及は日本や韓国よりは遅いが、東南アジア諸国やインドなどのアジアの国々と比べると早い。東南アジア諸国やインドではパソコンがあまり普及しない段階でスマートフォンが普及したが、中国ではパソコンが一定の普及の後にスマートフォンが普及した。日本同様にパソコンが先に普及したが、中国は一気にスマートフォンがインターネット機器の主役となったのである。しばしば「中国は変化が早い」と言われるが、人々のネットの利用も日本よりも急激に変化したといえる。その背景にはスマートフォンがパソコンより便利になった、もっといえば生活が便利になるスマートフォンアプリが多く登場したといえる。

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インターネットを利用したサービスも身の回りで急増している。写真は駅構内の鉄道切符受取・発行を行う端末

 日本と中国とのインターネット利用実態でもうひとつの大きな違いが年齢別利用者の構成だ。中国ではインターネット利用世代は、70后(1970年代生まれ)より後であり、中高年世代の利用率は低く、10代、20代、30代のインターネット利用者はそれぞれインターネット利用者全体の2割以上いるのに対し、50歳以上のインターネット利用者は全体の1割にも満たない。対して日本では高齢になるほど利用率は減少するものの、それでも13~59歳までは各階層で9割以上、60~65歳で8割以上と非常に高い利用率となっている。もっとも中国でも老人のスマートフォン利用は確実に増えているという実感がある。

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年齢別ネット人口(中国)

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年齢別インターネット利用傾向(日本。総務省)

 パソコンと比べてスマートフォンは安く、もはや200~300元も出せば本体と通話代がついてくるほど手軽に買えるようになった。それでも中国でのインターネット利用していない人の理由だが、これはインフラの問題というよりも気持ちの問題が大きい。CNNICによる複数回答可能のインターネットを利用しない原因は多い順に、「パソコンやインターネットがわからない(54.5%)」「ピンインがわからないなど知識不足(24.2%)」「ネットをする時間がない(17.8%)」「年齢が高すぎる(13.8%)」「必要がない、興味がない(13.5%)」「パソコンやスマートフォンなどのネット設備がない(8.0%)」「インターネットに接続するインフラがない(4.8%)」という理由となっている。後述するが、中国はすべての地域にインターネットを普及させようとしている。様々な理由から「やりたくない」という気持ちを持つ人が多い以上、ある程度普及が進んだあとは日本ほどは普及することなく、頭打ちになる可能性がある。

 インターネット速度については、日本は19.6Mbps(1秒間に19.6Mbit(メガビット)の通信ができる)に対し、中国は6.3Mbps(両国ともAkamai調べ、2016年末)とおよそ4分の1の速度となっている。ただし固定ブロードバンドはADSLから光回線のFTTHへの移行が大都市の住宅地を中心に進み、近年中国では「インターネット2Mbpsプラン」から「同8Mbpsプラン」への無料乗換キャンペーンがあり、さらに「同20Mbpsプラン」「同50Mbpsプラン」「同100Mbpsプラン」など高速化が進んでいる。今後もプラン無料移行による平均回線速度の向上が見込める。

 スマートフォンや携帯電話については、4G(第4世代移動通信システム)が普及していて、より大画面でなめらかな動画が見られるなどの、高速通信による恩恵を各インターネット利用者が受けることができる。スマートフォンでの3G(第3世代移動通信システム)や4Gの利用については、工業和信息化部によると、合計約10億回線が使われている。母数が大きいだけあり日本よりも圧倒的だ。

 携帯電話契約数は13億4550万で、人口に対する携帯電話普及率は97.9%と人口とほぼ一致するのだが、2回線以上保有している人も少なくなく、数字通りの普及状況とはとらえられない。市・省・自治区別では、北京で176.7%、浙江省で131.9%、上海で131.3%、広東省で131.0%などが高く、インターネット普及率同様に携帯電話回線所有率でも北京>上海となった。一方、保有率が少ない地域は、江西省で70.4%、安徽省で72.6%、湖南省で77.6%など。

 こうした状況の中で国務院は2016年12月に、2020年までの中国の情報化について目標を書いた、「第13次五か年計画に関する通知」を発表している。ここで中国の2020年までの情報化目標について発表している。

 同通知においては、第13次五か年計画スタート年の2015年の状況と、2020年での目標値を定めている。「インターネット利用者数を(2015年時点の)6億8800万人から(2020年時点には)10億人以上」「家庭でのブロードバンド普及率を40%から70%」、「モバイルインターネット普及率を57%から85%」、「貧困村地域でのブロードバンドカバー率を78%から90%」、「FTTH(光ケーブルによるインターネット)接続がブロードバンド接続全体に占める割合の56%から80%」、「(海外とのインターネットを高速化する)インターネット海外接続回線速度を3.8Tbpsから20Tbps」などと定めた。

 同通知では、第12次五か年計画における、2010年から2015年までの目標とその達成状況についても書いている。これによると2015年の目標値としてインターネット利用者数は8億5000万人としたが、実際は6億8800万人と下回っている。また利用者に左右されないインフラ系のインターネット海外接続回線速度は6.5Tbpsを目標値としていたが実際は3.8Tbpsにとどまった。一方でFTTH利用回線数は7700万回線を目標値とした中で、1億2000万回線となった。このあたり、必ずしも目標設定値が高すぎるというわけではないことがわかる。

 同通知では、中国の情報産業の経済規模について、2015年の17兆1000億元から26兆2000億元規模に拡大することを目標として挙げている。これを実現させるために、同通知などで具体的にどのテクノロジーの強化をし普及をさせるのかを挙げている。それは次の機会に書いていきたい。


※参考)国務院関于印発“十三五”国家信息化規劃的通知 http://www.gov.cn/zhengce/content/2016-12/27/content_5153411.htm

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