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ゲノム編集で遺伝子の塩基1個改変

2017年09月29日

 人の受精卵を使い貧血を起こす遺伝性の血液病の遺伝子を改変する実験に成功したと、中国・中山大学などのチームが学術誌に公表した。DNA上にある特定の遺伝子を丸ごと取り換える通常のゲノム編集とは違い、遺伝子を構成する塩基1個だけを換える手法で、チームは世界初の事例だとしている。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 研究チームは受精卵を子宮に戻しておらず、遺伝子改変の子が生まれることはない。

 ゲノム編集は、DNAを狙った箇所で切断し、そこに別の遺伝子を入れる。今回の手法はDNAを切断せずに、酵素を使って塩基1個だけを置き換えるため、編集の間違いが起きる確率を減らせる可能性があるという。

 チームは、遺伝子の配列のうち、1個の塩基が通常の人と異なる「一塩基多型」によって起きる血液病サラセミアを実験の対象とした。正常な受精卵から核を取り除き、患者のリンパ球を移植するクローン技術で、病気の原因を持つ受精卵を作製した。塩基1個を置き換えるための試薬を注入したところ、48個の受精卵のうち11個で改変が起きていた。

 受精卵を細胞分裂させて調べると、多くの細胞で遺伝子が修復されたものや、修復された細胞が少ないものがあったが、置き換えの間違いはなかった。チームは「注入のタイミングを工夫すれば、もっと精度が上がる」としている。

 

開発着々進む中国ジェット旅客機

2017年09月28日

 中国が国産ジェット旅客機の開発を着々と進めている様子をチャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 中国は、小型機を既に国内線で就航させている。座席数約150席を確保した中型機も試験飛行に成功した。海外から受注も舞い込んでおり、国産ジェットの実用化に遅れる日本を尻目に世界市場に先手を打っている。

 9月初旬、上海・浦東国際空港の滑走路脇にある巨大な建屋の中では、ほぼ機体が出来上がったジェット機の周りを作業員が行き交っていた。中国政府と上海市などが共同出資する国有企業「中国商用飛行機」の生産工場で、中型機「C919」の2機目を製造中。年末の完成を目指している。

 1機目は今年5月、空港の離着陸を一時停止して試験飛行を実施した。現場責任者の王海工場長は「大成功だった」と話す。受注する約600機は主に中国の国内航空会社からだが、工場の壁に掲げられた受注先の社名にはドイツやタイなどの航空会社も連ねる。組み立てラインは現在1カ所で、王氏は「増築し3カ所にすれば6機同時に造れる。年間の生産能力は最大150機になる」と胸を張る。

 座席数75~90席程度の小型機「ARJ21」は商用化され、国内線で2機が飛んでおり、年末までに5~6機に増える見通し。安全性を認証する「型式証明」を国外でも取得し、国際線への導入も視野に入れている。

 日本では三菱重工業の子会社、三菱航空機(愛知県豊山町)が座席数70~90席程度の国産初の小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)を開発中だ。2013年としていた納期を5度延期し、現在は20年半ばを目標にしている。安全性の向上で機体の設計変更などを余儀なくされており、水谷久和社長は「民間機事業の知見が不足していた」と反省する。

 三菱航空機は17年3月期決算で負債が資産を上回る債務超過に陥った。機体を納入するまで売り上げが計上できず、開発費が損失として積み上がったためだ。

 MRJはANAホールディングスや日本航空、米国の航空会社などから計447機を受注している。約半数はキャンセルが可能な契約で、「納期がさらに遅れれば中国などの海外メーカーに奪われかねない」(航空関係者)との指摘もある。

 

中国、米に一段の市場開放約束

2017年09月27日

 米商務省は25日、ロス商務長官が中国の李克強首相や汪洋副首相らと北京で会談し、米国の中国に対する貿易赤字削減に向け、中国側が「一段の市場開放を約束した」と発表した。チャイナ・ウオッチがワシントン発共同通信電として伝えた。

 商務省によると、ロス氏は会談で、米国の製品やサービスの輸出を増やし、米国企業が中国市場に参入しやすくすることで、貿易赤字を減らしたいと強調した。11月に高官レベルの通商使節団を率いて、改めて中国を訪問する意向も伝えた。

 中国側は、米通商代表部(USTR)が通商法301条に基づき、中国の知的財産権侵害の実態調査を始めたことに懸念を表明した。ロス氏は中国に進出した米国企業が最先端技術の中国側への移転を強要されるなどの事例が後を絶たないと伝え、調査に理解を求めた。

 2国間の貿易摩擦は話し合いで解決すべきだとの認識では一致した。

 トランプ米大統領は11月に日本と中国、韓国を訪問する予定。ロス商務長官はトランプ氏の訪中の地ならしのために北京を訪れた。トランプ氏の訪中にロス氏が同行する可能性がある。

 

顔認証やスマホ決済活用の無人コンビニ登場

2017年09月26日

 中国で店員のいない「無人コンビニ」が登場した。盗難を防ぐ顔認証システムやスマートフォン決済などの最新技術を活用して、人件費などの運営コストを抑えるのが特徴。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 家具販売大手の「北京居然之家」は7月下旬、北京で無人コンビニを設置した。入り口のカメラで、来店客が事前登録した顔写真と一致しているかを確認する。商品にはICタグがはられ、レジ台に置くと自動で計算する。支払いはスマホの決済サービスを使う。未払い商品を持ち出そうとすると、出口は開かない。

 新しい取り組みだけにトラブルもある。取材に訪れた際は無人レジが不具合で一時停止し、何も買えずに店を出る客もいた。視察した日本の小売り大手幹部は「日本はアルバイト不足が深刻なので、非常に興味深い。失敗を恐れずに始めてしまうのが中国企業の強みだ」と語った。

中国のベンチャー企業が運営する「BingoBox(ビンゴボックス)」は昨年8月に1号店を開き、現在は上海などで約80店舗を展開する。工場で量産した部材を現地で組み立てるコンテナ型の店舗で、場所を移すことも可能だ。自動販売機の中に人が入り、商品を手に取って買い物する感覚に近い。

 運営会社の陳子林最高経営責任者(CEO)は「空いたスペースであればどこにでも設置でき、人件費だけでなく店舗の賃料も抑えられる。運営コストは従来のコンビニの15%以下だ」と強調している。予想以上に引き合いが多く、今後1年で一気に5千店に拡大させる計画という。

 

貴州省脱貧困でビッグデータ産業に活路

2017年09月25日

 中国で最も経済発展が遅れた地域の一つ貴州省が、「ビッグデータ」産業の育成に発展の活路を見いだし、IT産業の誘致と育成にまい進している。上場時の評価額が10 億ドル(1,120億円)を超すと予測される有望なベンチャー企業も現れた。チャイナ・ウオッチが貴陽発共同通信電として伝えた。

 貴州省は1人当たりの域内総生産が省別で下から3番目。内陸部で海や大河に接しておらず、交通が不便なため製造業の進出は少ない。現状を打破しようと中国当局が2014年ごろから支援の動きを本格化させたのが、ビッグデータ関連産業。優秀な人材や企業を集めれば、発展が期待できると踏んだ。

 「3年前に四川省から本社を貴州省に移してから従業員は15倍の3千人に増えた。支援が充実しており、移ってきたのは大正解」。トラック運転手と荷主をネット上でつなぐサービスで会員を急増させた「貨車幇」の趙強副総裁は、自信に満ちた顔で語った。

 同社は貴州で最も成功しているベンチャー企業の一つ。趙氏によると、中国西部で唯一の評価額が10億ドルを超える未上場企業だ。利用料は無料で、中国全土で約700万台ある長距離トラックのうち約370万台が同社の会員。自動車保険や中古トラック、部品などの会員への販売が収入源だが、もう一つの収入の柱が、トラックの運行状況などのビッグデータ の販売だ。

例えば、航空会社の新路線の開設を検討する際、二つの都市間の物流に関するビッグデータを分析して、新路線で採算が取れるかを予測できるようになる。販売先には地方政府も多く、インフラ整備の判断などにも利用される。

 ビッグデータ産業を育てるため貴州省はデータセンターで使用する電気料の割引や、事務所家賃の免除など各種支援策を打ち出した。15年にはビッグデータ交易所が開設され、企業などが集めたビッグデータの売買が始まった。貴州省は20年に同省の域内総生産の成長分のうち30%以上をIT関連の経済成長が占めるようにする計画だ。

 地元の最大の関心事は、「若者の雇用先の確保」(省都貴陽市の幹部)。電子商取引最大手アリババグループなど大手企業が続々と貴州に進出しており、地元に残る若者も増えつつある。

一方で、「資金面などの中央政府の支援が途切れた後でもビッグデータ産業を発展させられるのか」(貴州省経済に詳しい日本人)といった持続的な成長に懐疑的な見方も。大都市に集中しがちな優秀な人材をいかに安定的に囲い込むかなど課題は少なくない。

 

中国高速鉄道が世界最速を奪還

2017年09月22日

 チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えるところによると、中国の高速鉄道は21日、最高時速350キロでの営業運転を再開し、世界最速の称号を奪還した。「知的財産権を完全に有する」(車両開発会社)最新車両などを投入し、安全性の向上を強調している。中国政府は国内で新路線の建設を猛烈なスピードで進める一方、海外への売り込みも強化し、鉄道分野でも国際的にリードする構えだ。

 北京を出発した第1便は、ダイヤ通りに上海に到着した。乗客の50代男性は「1990年代に日本で新幹線に乗ったときは驚いたが、今は高速鉄道だけでなく各分野で中国の方が先を行っている」と語った。

 中国の高速鉄道は、導入当初は日本やドイツなどの技術をベースに開発された。最新車両の「復興号」は数多くの自主開発技術を搭載している。運行システムの改良などと一体で安全性を高めたという。

 中国メディアは最近、高速鉄道を「中国の新四大発明の一つ」「中国の新たな名刺」などと繰り返しアピール。5年に1度の共産党大会が10月に開かれるのを前に、習近平指導部の過去5年間の実績とからめて高速鉄道の発展ぶりを強調する報道も増えている。

 中国の高速鉄道の路線総延長は2016年末時点で約2万2千キロに達した。全世界の高速鉄道を合計した長さの60%以上に相当するという。現在も各地で新路線を建設中で、25には3万8千キロに達する計画だ。

 中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の推進にも積極的に活用する。速度だけでなく、高地や寒冷地などあらゆる立地条件に対応できる技術力をアピールし、日本の新幹線などとの受注競争に打ち勝つ方針だ。

 

ボーイング来年末稼働の中国拠点公開

2017年09月21日

 中国浙江省舟山市当局は20日、米航空機大手ボーイングの中国工場の建設現場を共同通信などに公開した。チャイナ・ウオッチが、舟山発共同通信電として伝えた。

 工場は現在基礎工事の段階で、来年末までに稼働する予定。機体の塗装など最終工程を担い、年間100機を出荷できるという。市当局は、ボーイングにとって海外初の生産拠点と説明している。ボーイングは拠点新設により、拡大する中国の航空機需要を取り込みたい考えだ。

 工場は、米国内で組み立てた小型旅客機「737MAX」を取り扱う。機体の塗装などを行った上で、最終点検をして顧客に引き渡す。塗装などは中国国有企業、中国商用飛行機とボーイングの合弁会社が行い、出荷はボーイングが行う。工場は今年5月に着工し、敷地面積は約40万平方メートル。投資額は明らかになっていない。

 舟山市幹部によると、中国政府は同市を航空機産業の集積地にしたい考え。工場に隣接する地元空港を拡張しているほか、ボーイングの機体組立工場の誘致を狙い、土地も確保している。

 中国の航空機需要は伸び続けており、ボーイングは、2036年までに737MAXのような通路が1本の小・中型旅客機が中国だけで5,420機必要になると予測している。

 

年間訪日客、9月中に最速2千万人突破へ

2017年09月20日

 チャイナ・ウオッチによると、2017年の訪日外国人旅行者数が9月中に2千万人を突破する見込みになったことが19日、関係者への取材で分かった。

 2千万人台は16年に続き2年連続で、9月中の突破はこれまでで最速。日本を発着する格安航空会社(LCC)が増便となった韓国などが押し上げており、このまま増え続ければ、年間では2千万人台後半に到達し、最多を更新する勢いだ。政府は、訪日客を20年に年間4千万人に増やす目標達成に向け、取り組みを強化する。

 今年の訪日客は、7月に月間で過去最多の268万人を記録するなど、10月下旬に2千万人を達成した昨年を上回るペースを維持している。7月の韓国からの訪日客数は前年同月比44.1%増の64万4千人だった。韓国以外では、クルーズ船の寄港が増えた中国や、インドネシア、ベトナム、フィリピンといった東南アジアからの訪日客が好調。今年から入国査証(ビザ)の発給要件を緩和したロシアからの訪日客も増えている。

 順調にいけば、年間2,403万9千人だった昨年を大幅に上回る2,800万人に達するとの見方もある一方、北朝鮮のミサイル発射などの影響でペースが落ちるとの懸念もある。

 政府は、訪日客の開拓の余地がある欧州や米国、オーストラリアなどからの誘致を強化するとともに、訪問先として地方の観光資源の充実を図りたい考えだ。

 

中国、欧州チーズ輸入禁止=理由不明、困惑広がる

2017年09月19日

 チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えるところによると、中国当局がカマンベールなど欧州産の一部チーズの輸入を突然禁止し、販売業者らの間で困惑が広がっている。中国側は明確な理由を明らかにしておらず、欧州企業は反発、輸入再開を求めている。

 北京の欧州連合(EU)商工会議所によると、禁止されたのはフランス産のカマンベールやロックフォールなどのチーズ。米CNNテレビ(電子版)は中国の食品輸入業者の話として、6月に当局から禁止措置の通知があったと伝えた。

 EU商工会議所によると、中国当局は2010年、食品に使用可能な菌のリストを公表したものの、リスト外の菌でも伝統的に食品の生産加工に使われてきたものは許可し、チーズを輸入してきた。ところが突然、リスト外の菌は許可できないとして一部チーズの輸入を禁止し始めたという。

 EU商工会議所は「これまで中国へ輸出したチーズに安全性の問題が生じたことはない」と反発。中国側に輸入再開とともに、基準の明確化も求めている。EUと中国の当局同士で交渉もしているもようだ。

 一方、販売業者や消費者の一部では、在庫の買い占めなどの混乱も起きている。上海の輸入食品販売店でも新たに仕入れることができなくなったといい、女性店員は「人気の商品なので早く輸入を再開してもらいたい」と話した。

 

中国、固定資産投資が減速=1~8月、18年ぶり低水準

2017年09月15日

 中国国家統計局が14日発表した主要統計によると、1~8月の固定資産投資は前年同期比7・8%増となり、1~7月と比べて0・5ポイント低下した。伸び率が1999年1~12月の6・3%以来、約18年ぶりの低水準となった。工業生産や消費の指標も低下し、中国経済は減速傾向が鮮明になってきた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国の2017年上半期の国内総生産(GDP)実質成長率は6・9%と、通年の政府目標である「6・5%前後」を大きく上回ったため、下半期に入って政府が景気対策をやや弱めた可能性がある。

 国家統計局の報道官は14日の記者会見で各指標の低下について「高温や大雨など天候の影響も受けた。経済が安定している状況に変化はない」との見方を示した。1~8月の固定資産投資のうち、公共事業の主な受け皿となる国有企業による投資は11・2%増と、伸び率が0・5ポイント低下した。民間投資の伸び率も0・5ポイント減速し、6・4%となった。

 不動産開発投資の伸び率は7・9%と、1~7月から横ばいだった。政府は不動産市況の過熱を抑えるため購入規制を強化しており、住宅販売面積の伸び率は低下傾向が続いている。

 8月の工業生産は前年同月比6・0%増で、伸び率が7月から0・4ポイント低下した。消費動向を示す小売売上高も0・3ポイント減速し、10・1%増だった。

 

中朝協力、制裁で棚上げも

2017年09月14日

 北朝鮮の国外での経済活動に対する国際社会の目が厳しくなる中、中国と北朝鮮が国境で推進する協力事業が事実上の棚上げになっている。両国が共同開発し「友好の象徴」とされた北朝鮮の経済特区はほぼ放置状態となり、貿易活性化を見越して開発された中国側の新都市もゴーストタウン化している。チャイナ・ウオッチが丹東発共同通信電として伝えた。

 中朝は、南北協力事業の開城工業団地をモデルに2011年から北朝鮮側の黄金坪島で経済特区の開発に着手している。しかし、北朝鮮が13年に開城工業団地の操業を一方的に止めたことなどから、中国側に北朝鮮への不信感が拡大した。中国企業の投資は集まらず、最近では中国遼寧省丹東市にある特区の出入り口の門は閉じられたままになっている。

 中朝国境を流れる鴨緑江に架かる「中朝友誼橋」の老朽化を受け、両国が14年に完成させた新たな橋は、北朝鮮が橋と接続する道路や税関の設置を進めず、開通のめども立っていない。隣国との関係修復よりも核開発を優先させる北朝鮮に、中国内では無力感も漂う。

 「核強国、ミサイル盟主国を打ち立てた敬愛する金正恩同志の業績を末永く輝かせよう」。6回目の核実験から2日後の5日、丹東市からは鴨緑江を挟んだ対岸の北朝鮮側で核・ミサイル開発の成功を誇示するスローガンが確認された。バレーボールに興じる北朝鮮住民の姿も見られた。

 長年、北朝鮮との貿易に携わってきた中国人男性(51)は「北朝鮮は約束事を守らなない」と話し、経済特区絡みの事業に関わりたくないとした。

 

李首相自由貿易擁護を呼びかけ

2017年09月13日

 中国の李克強首相は12日、北京で記者会見し「各国は自由貿易を擁護し、それぞれの強みを発揮すべきだ」との見解を示した。保護主義的な政策を進めるトランプ米政権を念頭に置いた発言とみられる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 李氏は、自由貿易を通じて企業の競争を促し、消費者に多くの選択を与えることで成長の阻害要因を克服すべきだと指摘した。さらに「グローバル化の歩みを遮ることはできない。各国が一致協力してマクロ経済政策の協調を続ける必要がある」と述べた。

 李氏は同日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事や世界銀行のキム総裁ら国際機関のトップと会談し、世界経済や中国経済について意見交換した後、共同で記者会見した。

 ラガルド氏は「世界経済は回復の兆しが見えている」としつつも「政策の不確実性や保護主義の脅威によって成長路線を外れる恐れもある」と話した。

 

ホンダがEV技術共同開発=中国企業と

2017年09月12日

 チャイナ・ウオッチが伝えるところによると、ホンダは11日、中国のIT企業ニューソフトと、電気自動車(EV)に搭載する電池の制御システムを共同開発すると発表した。中国で来年発売するEVに活用する。カーシェアなどのサービスで協力することも視野に入れる。

 両社は、EVが走行する際に電池から電気を取り出したり、ためたりする動作を制御するシステムを共同で開発する。車両の走行データの管理や、通信技術の開発でも協力し、カーシェアなどのサービスに生かすことを検討している。

 ホンダは中国向けのEVを、現地企業との合弁会社である広汽本田汽車、東風本田汽車、現地の研究開発拠点である本田技研科技の3社で共同開発することも発表した。これまでエンジン車では、車体の走行性能に関わる基本的な部分は日本のホンダが手掛けていた。中国向けEVの開発では現地企業の知見を生かし、顧客の好みに合った車を製造する。

 

仮想通貨の取引所閉鎖か

2017年09月11日

 中国のニュースサイト「財新ネット」は8日、中国当局が「ビットコイン」など仮想通貨を扱う同国内の取引所の閉鎖を命じることを決めたと報じた。マネーロンダリング(資金洗浄)など違法な金融活動の温床になっているためだという。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨と、人民元との交換業務を行うすべての取引所が閉鎖の対象になるという。報道を受け、ビットコイン価格は8日夜に急落した。

 中国当局は今年1月、仮想通貨を扱う大手取引所への立ち入り調査を実施した。取引所はビットコインなどの引き出しを一時停止した。当局は4日にも「新規仮想通貨公開(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)」と呼ばれる、企業などが独自の仮想通貨を発行して資金を調達する行為を禁止すると発表し、仮想通貨に対する取り締まりを強化していた。

 

今年末に月面サンプル持ち帰り

2017年09月08日

 中国は今年末に月面からサンプルを地球に持ち帰るほか、来年には月の裏側を探査する計画で、さらに月面から核融合発電に用いられるヘリウム3を採取することも研究している。チャイナ・ウオッチが、中国紙「蘭州晨報」の記事を引用して伝えた。

 「蘭州晨報」は、8月23日、蘭州で行われたシンポジウムに参加した中国の月面探査「嫦娥プロジェクト」の首席科学者である欧陽自遠・ 中国科学院院士のインタビューを掲載した。主な内容は次の通り。

2017年末に月面サンプルを持ち帰り

 2017年末に、「嫦娥5号」が海南文昌宇宙発射場から打ち上げられる。「嫦娥5号」は電動のシャベルやドリルを備え、採取した月面の土壌と岩石のサンプルは「嫦娥5号」の帰還モジュールに積載、帰還モジュールを月面から上昇させて月の軌道で待ち受ける軌道モジュールとドッキングさせる。その後、軌道モジュールは帰還モジュールと共に地球空間に進入、帰還モジュールを切り離して地球の大気圏に入る。適度な落下速度に下げた後、自動的に落下傘を開き、最終的には内モンゴル四王子旗の着陸予定地点に軟着陸させる。中国の研究機構10数カ所、大学10数カ所が、持ち帰ったサンプルの処理、仕分け、保存などを行う。

2018年には月の裏側に着陸

 2018年に打ち上げられる「嫦娥4号」は着陸モジュールと月探査車を有し、人類がまだ到達していない月の裏側で初めての着陸機による現場探査と探査車の巡回探査を展開する。地球と月の引力が平衡する地点、すなわち月の裏側から6万8,000キロメートルにある「L2」と呼ばれるラグランジュポイントに中継衛星を打ち上げ、地球からの指令を月面の着陸モジュールと探査車に伝達、同様に月面からのデータや画像も中継して地球に送る。

2020年に火星を探査

 2020年に火星探査船を打ち上げ、衛星1基が火星を周回探査すると同時にもう1基の探査車を火星に着陸させて、共同探査を実現させる。さらに火星上のサンプルも地球に持ち 帰る。火星探査衛星と探査車を利用して火星の地下水の分布および地下水の資源量などを 探る。

さらに遠くへの飛行を目指す

 2020年の後に、メインベルト小惑星および地球近傍小惑星の探査、木星とその衛星の探査、太陽系の惑星空間の探査と火星からのサンプル持ち帰りを展開する。2021年には2回目の火星探査およびサンプルの地球持ち帰りと、小惑星の探査、木星の探査を行う。

月の「ヘリウム3」は人類のエネルギー問題を解決

 「嫦娥1号」による(月面の)研究で、月表面の土壌には大量のヘリウム3が含まれており、初歩的な推算で100 万トンに上ることが分かった。現在、科学者は重水素とヘリウム3を使った核融合発電によるエネルギー供給を研究中。ヘリウム3は核融合に必要不可欠で、地球上には極めて少ない。核融合発電の商業化という前提の下で、もしヘリウム3を地球に持ち帰るという問題が解決できれば、8トンのヘリウム3で全中国の1年間のエネルギー需要を満足できることになる。

 

5空港周辺で訪日客の交通事故防止実証実験

2017年09月07日

 国土交通省は7日、外国人旅行者が運転するレンタカーの交通事故を防ぐための実証実験を、新千歳、中部、関西、福岡、那覇の5空港周辺で今秋以降に実施することを決めた。人工知能(AI)を活用した観光地の渋滞緩和策の実験も、神奈川県鎌倉市と京都市で今秋以降に実施する。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 事故防止の実験地は、首都圏以外で訪日客のレンタカー利用が多い空港がある地域を選定した。事前の同意を得た上で、訪日客が運転する車に搭載された自動料金収受システム「ETC2・0」を使い、急ブレーキを踏んだ場所や走行経路などのデータを集め、事故の危険性が高い場所を割り出す。

 観光地の渋滞緩和策は、ETCや街頭カメラで収集した交通量などのデータを基にAIが混雑する時間帯や場所を予測する。警察が交通規制や信号の点灯時間を変更するなどして渋滞解消につなげる。

 鎌倉市と京都市では、観光地を走行する車に課金する「エリアプライシング」の構想が浮上しており、国交省は今回の実験で制度の参考となるデータを取る。来年度以降、長野県軽井沢町と神戸市でも実験を実施することを検討する。

 

ビットコインの価格急落=価総額1.7兆円減少

2017年09月06日

 インターネット上で取引される仮想通貨「ビットコイン」の価格が急落し、5日の時価総額は過去最高値を付けた2日と比べて、約1兆7,500億円減少した。中国政府が4日に仮想通貨を使った資金調達を禁止する規制強化を発表し、コインの需要が減るとの思惑から売り注文が優勢となったのが原因。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 米情報サイト運営会社「コインデスク」などによると、9月2日に初めて1ビットコイン=5千ドル台を付けたが、その後は値下がりが続き、中国政府の発表で一段と下落した。日本時間の5日午前に一時4037.50ドルまで下がり、時価総額は2日の約8兆9,900億円から約7兆2,400億円に約19.4%減った。

 中国が規制したのは、企業や個人が独自の仮想通貨を発行して資金を調達する行為。新規仮想通貨公開(ICO)と呼ばれる。ビットコインや「イーサリアム」といった既存の仮想通貨で資金を払い込んでもらうケースが多い。詐欺行為が疑われるICOの存在が指摘されていた。

 今年に入りICOが急増し、市場関係者の中には「ビットコインの価格が上昇を続ける要因の一つだ」と分析する声もあった。ビットコインは、注目を集めた分裂騒動で大きな混乱が起きなかったことから8月上旬から価格が上昇、最高値の更新が続いていた。

 

独自仮想通貨の発行禁止=中国「金融秩序乱す」

2017年09月05日

 中国政府は4日、企業や個人が独自の仮想通貨を発行して資金を調達する行為を同日付で禁止すると発表した。「違法な金融活動」に当たり、経済・金融秩序を乱すためだと説明している。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国人民銀行(中央銀行)や工業情報省、銀行業監督管理委員会などが連名で発表した。

 独自通貨による資金調達は、株式発行によって資金調達する新規株式公開(IPO)をもじって「新規仮想通貨公開(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)」と呼ばれる。株式や債券に代わる新たな資金調達の手段として、活用する中国企業が増えていた。

 一方、中国では金融分野でさまざまな詐欺行為が頻発しており、当局が取り締まりを強化している。8月30日には中国インターネット金融協会が「ICOと称して詐欺を働いたり、違法に資金を集めたりしている疑いのある組織がある」との声明を発表し、投資家に注意を呼び掛けていた。

 

中国投資会社が欧銀買収へ=1940億円で

2017年09月04日

 パソコンメーカーの聯想(レノボ)グループを傘下に持つ中国の投資会社が2日までに、欧州のルクセンブルク国際銀行を買収すると発表した。買収額は約14億8395万ユーロ(約1940億円)。カ タール系の投資会社から発行済み株式の89・9%を譲り受ける。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として報じた。

 発表したのは聯想控股(レジェンド・ホールディングス)。中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に沿って、海 外に進出する中国企業に金融サービスを提供することなどを買収の目的として挙げている。

 中国政府は、海外への資本流出を防ぐため、中国企業による海外企業の買収に対する規制監督を強めているが、一帯一路に関連する買収は奨励する方針を示している。

 ダウ・ジョーンズ通信によると、ルクセンブルク国際銀行は、1856年設立で、ルクセンブルクの非上場銀行としては最も古いという。

 

体験型展覧会、北京で人気=日本のアート集団主催

2017年09月01日

 中国・北京市のギャラリーで、日本のデジタルアート集団「チームラボ」が手掛ける展覧会が人気を集めている。自分で描いた絵がスクリーンに映し出されて動きだすなど、最 先端のデジタル技術を体験できる企画が子連れの入場者らに好評で、多くの人でにぎわっている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 「ほら出てきた。すごーい!」。8月上旬、さまざまな現代アートが展示される北京市の「798芸術区」にあるギャラリー。自身でカラフルに塗った魚やクラゲの絵がスクリーン上の「水族館」で泳ぎだすと、子 どもの歓声が上がった。

 チームラボの展覧会のうち「未来の遊園地」と題した区画はデジタル技術を遊びながら体験できるのが特徴。絵のほか、床に投影された三角や四角の図形を踏むと音が鳴ったり、水紋が広がったりする展示もある。 

 6歳の長男と来場した北京市の30代男性は「中国には体験型のアート展は少ない。先端技術に触れることは子どもにも刺激になるし、自分も一緒になって楽しめた」と満足げな様子だった。

 北京市の展覧会は5月20日に始まり、10月10日まで。チームラボによると、これまでに16万人以上が来場。1日当たりの来場者数が3千人を超える日もあり、入場を制限するほど盛況という。

 チームラボは同様の展覧会を日本各地でも催し、人気が高い。