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中国、6月1日に対米報復発動=6兆円分、対抗手段拡大も

2019年05月31日

 中国政府は6月1日、米国からの輸入品600億ドル(約6兆6千億円)分に対する追加関税率を従来の最大10%から最大25%に引き上げる。米国が中国からの輸入品2千億ドル分への追加関税率を引き上げたことに対する報復で、米中の「制裁合戦」が深刻化してきた。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 トランプ米政権は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への部品輸出を禁じるなど、関税以外の手段でも締め付けを強化している。これに対し、中国はハイテク製品に使われるレアアース(希土類)の対米輸出規制をちらつかせ始め、互いの対抗措置がエスカレートする恐れもある。

 中国商務省の高峰報道官は30日の記者会見で、6月1日に追加関税率を予定通り引き上げる考えを示した。今回の関税引き上げ対象品目には、液化天然ガス(LNG)や食料品などが含まれる。

 一方、中国共産党系のメディアや中国の経済当局は、28日から一斉にレアアース規制の可能性を示唆し始めた。習近平国家主席がレアアース企業を視察したことが後押ししたとみられ、中国が米国との協議で強硬姿勢を強める可能性がある。

 米中の閣僚級貿易協議は5月9、10日にワシントンで開いた際に進展がなく、停滞状態だ。トランプ大統領は6月に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合で習氏との会談に意欲を示すが、中国側は表立って反応していない。

 米政権は制裁の第4弾として3千億ドル分に最大25%の追加関税を課すことも検討しており、早ければ6月末にも発動可能となる。

中国配車大手へ出資検討=トヨタ、600億円規模

2019年05月30日

 トヨタ自動車が中国の配車大手、滴滴出行への出資を検討していることが29日、分かった。ライドシェア(相乗り)など移動サービスを手掛ける共同出資の新会社の設立も視野に入れており、出資総額は約600億円に上る見通しだ。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 トヨタは世界各地の配車大手に出資し、移動サービス事業の強化に乗り出している。滴滴出行との関係を深めることで世界最大の自動車市場である中国での地盤を固める狙いがある。

 滴滴出行は米国の配車大手、ウーバー・テクノロジーズの中国事業を買収するなどして成長し、中国で圧倒的なシェアを持つ。トヨタとは移動店舗など多目的な用途に使える自動運転式の電気自動車(EV)「イーパレット」を使った事業展開で既に提携している。

 トヨタは近年、ウーバーのほか、シンガポールのグラブといった配車大手に相次いで出資。車をつくる自動車メーカーから、移動サービス全般を手掛ける「モビリティカンパニー」への転換を進めている。

アリババ、香港にも上場か=2兆円調達目指すと報道

2019年05月29日

 中国の電子商取引最大手アリババグループが香港証券取引所へ上場して200億ドル(約2兆1900億円)の資金を調達することを検討しており、今年後半にも申請する可能性があるという。チャイナ・ウオッチがロイター通信などの28日の報道を引用した深圳発共同通信電として伝えた。

 アリババはニューヨーク市場に上場している。香港でも上場することで、資金調達方法を分散し、中国本土の投資家との距離を縮めたい狙いがあるとみられる。

 ロイターなどによると、アリババは過去に香港市場での上場を目指したが、同社の取締役会の任命権を巡る統治構造がネックとなり断念し、ニューヨークで上場した経緯がある。ただ香港当局は既に上場基準を緩和しており、アリババの受け入れに前向きなもようだ。

EV充電器の新規格決定=日中共同、高出力に対応

2019年05月28日

 電気自動車(EV)向けの急速充電器で日本独自の規格を推進する「CHAdeMO(チャデモ)協議会」は27日、次世代急速充電器の規格として日本と中国が共同開発を進めるタイプを正式採用したことを明らかにした。出力は900キロワットで、現在普及しているものに比べて10倍以上の出力があるという。2020年の実用化を目指す。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 共同開発するのは「ChaoJi(チャオジ)」と呼ばれる規格で、日本と中国だけでなく、インドでの展開も目指す。日本の独自規格「チャデモ」などとも互換性を持たせるという。

 協議会によると、EVの電池の大容量化に伴い、急速充電器も高出力化が進む見通し。「チャオジ」は中国で実証実験を始めており、今後日本でも実験を開始する。

中国地銀を公的管理=信用リスク深刻

2019年05月27日

 中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は24日、中国・内モンゴル自治区の地方銀行、包商銀行を公的管理下に置くと発表した。深刻な信用リスクが発生し、預金者らの利益を守るためとしている。期間は1年。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 具体的な内容には触れていないが、米中貿易摩擦の影響で景気が落ち込む中、地方の金融機関が破綻して取り付け騒ぎが起きないよう、中国当局は神経をとがらせているとみられる。

 中国メディアによると、包商銀行では近年、規定違反の貸し付けなどが相次ぎ、不良債権が増加していた。決算報告も遅れているという。

 人民銀行と銀行保険監督管理委が合同で経営を管理する。銀行業務は中国建設銀行に委託して継続させるという

第三国開発協力へ日中協議=北京で局長級

2019年05月24日

 日中両政府は23日、第三国でのインフラ開発協力に関する局長級協議を北京で初めて開き、両国が現在行っている援助の対象国や内容を紹介し合った。日本外務省筋が記者団の取材に述べた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国側には、巨大経済圏構想「一帯一路」を推し進めるため日本の協力を取り付ける狙いがあり、協議では「援助の5割はアフリカで、3割がアジアだ」と明らかにした。日本は相手国の財政健全性や事業の透明性の確保が重要だとの認識を示しており、双方は協議を継続する方針で一致した。

 協議には日本から外務省の梨田和也国際協力局長、中国から国家国際発展協力署の田林国際協力局長が出席した。

習氏、先端技術の獲得指示=革命聖地で米対抗意識

2019年05月23日

 22日の新華社電によると、中国の習近平国家主席は20~22日、江西省のレアアース(希土類)関連企業や共産党革命の聖地を視察、「自前の核心技術を持てば、激しい競争に負けることはない」と強調した。発展の鍵となる次世代技術の獲得を指示し、ハイテク覇権を巡る米国への対抗意識をにじませた。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

  習氏は米政権による中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置を念頭に、対外依存脱却に向けて先端技術の自主開発加速や製造業の発展を呼び掛けた。また、対米報復としてレアアースの禁輸措置が取り沙汰される中、「レアアースは重要な戦略資源だ」と述べた。

 習氏は1930年代に共産党軍が国民党軍の攻撃から逃れ、国内を大移動した「長征」の出発地点も視察した。「国内外の重大なリスクや挑戦に打ち勝たなければならない」と訴えた。視察には米中貿易協議の中国側交渉団を率いる劉鶴副首相も同行した。

 中国外務省によると、王毅国務委員兼外相は22日、訪問先のキルギス首都ビシケクで記者団に対し、米国のファーウェイへの禁輸について「経済的ないじめ行為で、唯我独尊なやり方だ」と強く反発した。米国が圧力を加え続ければ「とことん戦う」と強調した。

貿易黒字9割減少=4月、中国向け輸出不振 原油価格上昇も影響

2019年05月22日

 財務省が22日発表した4月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は604億円の黒字だった。3カ月連続の黒字は維持したが、中国経済減速の影響による中国向け輸出の不振が響き、黒字額は前年同月(6209億円)に比べ90・3%の大幅減となった。原油価格の上昇で輸入額が増加したことも影響した。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 輸出は、半導体製造装置や船舶が振るわず、前年同月比2・4%減の6兆6588億円。輸入は、原油や通信機などが増え、6・4%増の6兆5983億円だった。原油の輸入増加は価格上昇の影響に加え、米国の経済制裁によるイラン産原油の全面禁輸を5月に控え、輸入が増えた可能性があるという。

 国・地域別では、中国向け輸出が6・3%減の1兆2329億円、輸入が5・9%増の1兆5512億円となり、貿易収支は3183億円の赤字だった。米中貿易摩擦で中国の設備投資や生産活動が低迷し、日本からの輸出に影響した可能性がある。半導体等製造装置の輸出は41・0%減、スマートフォンやパソコンの部品の半導体等電子部品も21・5%減だった。

 対欧州連合(EU)の貿易収支は34億円の黒字。2月に発効した日本とEUの経済連携協定(EPA)の影響もあり、自動車の輸出が7・9%増となった一方、肉類の輸入も46・1%増となった。対米は自動車や半導体製造装置の輸出が増えて、7232億円の黒字だった。

中国、構造改革進まず=EU商議所が報告書

2019年05月21日

 在中国の欧州企業でつくる欧州連合(EU)商工会議所は 20日、会員企業への聞き取り調査を基にした中国市場の現状に関する報告書を公表した。欧州企業に対する技術移転の強要や中国国有企業への優遇の解消が進んでいないと指摘し、企業の景況感も米中貿易摩擦によって悪化しているとした。チャイナ・ウオッチが、上海発共同通信電として伝えた。

 同日上海で記者会見したEU商議所のディアンドレア副会頭は「(経済構造の)改革の欠如が米中貿易摩擦の原因だ」と強調した。中国政府は改革を約束するが実行に移されないケースも多いとし、着実な実行を求めた。

 調査は今年1月に実施し、585社が回答した。これまでに技術移転を迫られたとした企業の割合は2017年の2倍の20%に増えた。また国有企業が政府による許認可や金融面などで優遇されていると答えた企業は5割以上あった。

 一方、今後2年間の中国の市場動向について「楽観的」と答えた企業は45%にとどまった。米中貿易摩擦に伴う景気減速懸念が高まり、18年の62%から減少した。

北京市、食品高騰抑制へ=米中摩擦の影響警戒

2019年05月20日

 北京市は17日までに、小麦粉や食用油といった食品の価格高騰を抑制するための緊急対応策を打ち出した。米中貿易摩擦で中国は油の原料となる米国産大豆などに追加関税を課しており、急な値上がりが市民生活を圧迫することを警戒しているとみられる。大消費地の首都が率先し、全国的な価格安定を図る狙いもありそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 食品の卸売市場において正常な状態から危険レベルまで段階を設定。品不足などにより穀物の平均価格の値上がり幅が前年同期比で10%を超え食用油では20%超の状態が4週間続いた場合は、政府備蓄を放出したり企業と協力して緊急調達を実施したりする。買い占めや不当な価格操作は厳正に取り締まる。

 発表した対応策で米中摩擦に直接言及していないが、中国メディアは「国内外の環境がもたらす価格上昇圧力を考慮した。食用油は対外依存度が比較的高い」との市当局見解を紹介した。

 中国国家統計局の報道官は15日の記者会見で「目下の供給は比較的十分で、価格は安定している」と指摘。一方で、消費低迷の背景に「複雑な外部環境の不確定性」があるとの懸念も示した。

 中国の4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2・5%上昇。感染が広がるアフリカ豚コレラの影響を受けた豚肉などの値上がりが原因。北京市は豚肉などに対し、既に価格調整の対応策を定めているという。

愛知県と広東省が友好提携=経済、文化観光で協力推進

2019年05月17日

 愛知県と中国広東省は16日、交流を発展させるための友好提携を締結した。県によると経済貿易、科学技術、環境保護、文化観光などの分野で協力を推進する。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 県と同省は2013年、「友好交流および協力関係を発展させる覚書」を結んだ。職員の交流や高校生の相互派遣を行うほか、トヨタなど県内企業137社が進出し、官民でつながりがある。4月に同省側から友好関係を発展させたいとの申し出があったという。

 広東省は日本の都道府県では兵庫県と友好提携を締結している。中国訪問中の大村秀章愛知県知事と馬興瑞省長が広州市で調印した。

アリババ売上高51%増=19年3月期、6兆円

2019年05月16日

 中国の電子商取引最大手アリババグループが15日発表した2019年3月期決算は、売上高が前期比51%増の3768億元(約6兆円)だった。大手インターネット出前業者を買収したことなどが主因。一方、株式報酬費などがかさみ、本業のもうけを示す営業利益は18%減の570億元だった。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 中国でのネット通販など中核事業の売上高は40%増の2476億元。ただ、伸び率は18年3月期の55%から15ポイント鈍化しており、米中貿易摩擦の激化が影響した可能性がある。

 アリババはカリスマ創業者の馬雲会長が今年9月に退任する予定で、今後も成長速度を維持できるのかが課題。同社は中国政府が輸入拡大を打ち出していることなどから成長を見込めるとし、20年3月期の売上高は5千億元以上になると予想した。

 アリババのネット通販サービスのユーザー数は6億5400万人となった。海外のネット通販事業は38%増の195億元。クラウド事業の売上高は84%増と大きく伸び、247億元だった。

米、華為機器の使用禁止か=安保脅威、週内にもと報道

2019年05月15日

 ロイター通信は14日、トランプ米大統領が、安全保障上の脅威があると認める通信機器を、米企業が使用することを禁じる大統領令に、週内にも署名する見通しだと報じた。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 大統領令は中国大手の華為技術(ファーウェイ)が念頭にある。貿易摩擦が激化する中で、米中間の新たな火種になる可能性がある。

 米政権はファーウェイが中国政府とつながりがあるとみており、米企業の情報が通信機器を通じて中国側に流れることを防ぐ。

 大統領令は特定の国や企業は名指ししないという。1年以上にわたり検討されてきたが、延び延びになっていた。イランなどへの制裁に使ってきた「国際緊急経済権限法」を活用し、商務省に指示を出す。

 米国は昨年成立した国防権限法で、ファーウェイや中興通訊(ZTE)などの製品を今年8月から米政府機関が使うことを禁止、来年8月には米政府がこれらの製品を利用する企業との契約を禁じると定めた。

 米国は安全保障上の機密情報が漏れるとの懸念から、友好国に対し、ファーウェイ製品を高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの通信網から排除するよう要求してきた。

シェア自転車、大整理へ=北京市、放置問題が深刻化

2019年05月14日

 北京市当局は13日、シェア自転車の路上放置が目に余るとして、1カ月間の全面的な整理キャンペーンを始めたと明らかにした。運営企業各社に責任を持って自転車を片付けるよう求める。チャイナ・ウオッチが中国の国営メディアの報道を引用した北京発共同通信電として報じた。

 中国ではシェア自転車が増え過ぎ、放置自転車が問題化している。市当局は商業地区や地下鉄駅の周辺、高架橋の下などに放置され、車や歩行者の邪魔になっている自転車を片付けるよう企業に要求。取り組みが遅い企業は処罰する。

 北京市で登録されているシェア自転車は4月末時点で9社の191万台だが、稼働率は50%を割り込んでいるという。壊れたままの自転車も多いほか、経営が苦しくなって事業から撤退した企業もある。

プラごみ輸出規制案を採択=背景に中国の禁輸措置

2019年05月13日

 スイス・ジュネーブで開かれた有害な廃棄物の国際的な移動を規制するバーゼル条約の締約国会議は10日、汚れたプラスチックごみを輸出入の規制対象に加える条約改正案を採択した。この背景には2018年1月に中国が実施したプラごみなど資源ごみの輸入禁止措置がある、とチャイナ・ウオッチが、ジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 条約改正案は、日本がノルウェーと共同提出した。国連環境計画(UNEP)によると、プラごみに関する初の国際的な法規制。生態系に悪影響を与えるとして、世界各地で問題化しているプラごみによる海洋汚染に歯止めをかける狙いだ。日本は国内で処理し切れないプラごみを「リサイクル資源」として途上国などへ輸出しているが、改正により国内リサイクル体制の強化が不可欠となる。

 プラごみなど資源ごみの最大の輸入国だった中国が輸入禁止措置をとったことで、行き先を失ったプラごみが世界各地であふれ、海に流出する懸念が増大、各国が「国際的な規制に踏み切るきっかけ」(外交筋)となった。

 条約改正の採択後、中国代表は「途上国は大量のプラごみを引き受けているが、対応できる技術力がない」と発言、途上国のリサイクル体制構築への支援を求めた。実際、中国の禁輸措置後、世界のプラごみが向かっているのは東南アジアなどの途上国だ。しかしこれらの国の受け入れも限界に達し、相次いで規制を強化、代わって不法取引が横行しているといわれる。

 廃棄物問題に取り組む非政府組織(NGO)によると、途上国への輸出で目に余るのが米国だ。米は18年だけでプラごみが詰まった15万7千個もの大型コンテナを輸出している。ほかのゴミも混入するなど「汚いプラごみ」のため再利用もできず、多くが不法投棄されたり、焼却されたりして環境に悪影響を与えているという。

 NGO関係者によると、今回の条約改正に最も難色を示したのがブラジル、アルゼンチン、米国だった。米国はバーゼル条約を批准していないが、国連の別の会議で条約改正を遅らせるようロビー活動を展開したという。

 しかし条約締約国は全会一致で改正を採択。改正が発効すれば、米国は締約国への輸出は事実上不可能となり、リサイクル体制強化を余儀なくされることになりそうだ。

アフリカ豚コレラ対策議論=7月東京で国際会議開催

2019年05月10日

 中国などアジア地域で感染が拡大しているアフリカ豚コレラに対応するため中国や韓国やベトナムなどの検疫担当者や専門家が協議する国際会議が7月に東京で開催されることが9日、分かった。すでに発生した国の対応事例や未発生国の検疫体制を共有し、アジア地域内での拡大を防ぐ。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 会議では国境での検疫体制や農場へのウイルス侵入を防ぐための方法などについて議論し、有効な対策をまとめる。アジア地域には豚の検査や検疫の体制の整備が遅れている国もあり、地域で足並みをそろえる。

 アフリカ豚コレラは昨年に中国で発生した後、モンゴルやベトナムに広がるなど警戒感が高まっている。会議は2回目で、4月の第1回会議では、情報共有体制の構築に取り組むことを確認していた。

 アフリカ豚コレラは日本で発生している豚コレラより致死率が高く、有効な治療法やワクチンがない。日本国内での発生事例はなく、人には感染しない。日本では中国などからの旅行客が持ち込んだ肉製品からアフリカ豚コレラのウイルスの遺伝子が複数見つかっており、農林水産省は水際対策を強化している。

日航と宏遠が共同出資会社=越境ECサービスで

2019年05月09日

 日本航空は8日、空港物流や国際物流を手掛ける宏遠控股集団(北京市)と東京都に共同出資会社を設立すると発表した。日本企業と中国の越境電子商取引(EC)サイト運営会社のマッチングや、羽田空港から北京首都空港までの航空輸送サービスなどを手掛ける。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 新会社はJAL宏遠で、7月1日の設立を予定。資本金・資本準備金は2億円で、日航が51%、宏遠が49%を出資する。

 新会社はほか◇羽田空港隣接地に建設中の物流施設における商品の保管、管理◇同施設での発注に応じた商品の仕分けや梱包、ラベリング、発送サービス、輸出通関、国際航空輸送手配◇北京首都空港で宏遠が展開する越境EC通関センターでの貨物扱い、輸入通関、個別発送――といった業務を手掛ける。

米、対中制裁へ一転強硬=知財で対立、関税引き上げ

2019年05月08日

 トランプ米政権は、米中貿易摩擦に関し、中国からの輸入品2千億ドル(約22兆円)分に対する追加関税率を10日に10%から25%に引き上げ、制裁を強化する方針を表明した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン、北京発の共同通信電として伝えた。

 最終合意に向けて準備段階に入っていたとされる米国だったが、知的財産権の保護策を巡る対立が解けず、これまでの方針を一転させた。2020年の大統領選を見据えて成果を急ぐトランプ大統領は、中国の譲歩を引き出すため強硬姿勢を打ち出した。

 中国は7日、9~10日の日程で米政府とワシントンで閣僚級貿易協議を行うと発表した。 貿易協議を前に、両国の隔たりが依然として大きいことが鮮明となった。

 連休明け7日の東京株式市場で株価が大幅に下落するなど、貿易摩擦の長期化懸念が世界経済の重しとなった。ただ、中国外務省の耿爽副報道局長は7日の記者会見で「追加関税は問題を何も解決しない。中国は誠意をもって貿易協議を継続する」としており、歩み寄る可能性もある。

 トランプ氏は5日、中国の輸入品2千億ドル分の関税率を引き上げる方針をツイッターで表明した。さらに全輸入品への追加関税を検討する考えも示した。米メディアによると、これまでに合意していた知的財産権の保護策などに関する事項を、中国側が撤回したことがトランプ氏の怒りを招いたという。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は「中国がこれまで合意した具体的な約束から後退した」と指摘し、「受け入れられない」と非難している。 ムニューシン財務長官も、協議は「大幅に後退した」と認めた。

 中国商務省は7日、劉鶴副首相が貿易協議のために訪米すると発表した。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は7日付の社説で「貿易戦争が エスカレートすることは米政府も決して望んでいないはずだ」と主張している。

ネット取引ルール交渉へ=WTO有志国、米中対立も

2019年05月07日

 インターネットをはじめとしたネットワーク上で売買などを行う電子商取引(EC)のルール策定に向け、日米中などが参加する世界貿易機関(WTO)の有志国が今月中旬に本格交渉入りすることが4日、分かった。チャイナ・ウオッチが、複数の通商筋が明らかにしたとするジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 来年の妥結を目指すが、 準備協議の段階で米中の対立が鮮明になるなど交渉は難航しそうだ。共同議長として"旗振り役"を務める日本は、6月に茨城県つくば市で開く20カ国・地域(G20)の貿易・デジタル経済担当相会合でもECを議題とし、交渉進展を目指す方針だ。

 有志国会合には、ほかにロシア、欧州連合(EU)など70以上の国・ 地域が参加している。各国の提案が出そろい、主な論点の整理も終えたため、今月中旬にジュネーブで開く会合から具体的な文書を基にした協議に入る。「正式に宣言するわけでないが、交渉開始となる」(通商筋)としている。

 これまでの協議では、データ流通の自由化を巡って米とEUの間に意見の相違がみられたほか、例外なくECの円滑化を進めたい米国に中国が反発するなど対立点が多くあったという。

 有志国会合は2017年12月に立ち上げられ、18年3月から協議を開始した。今年1月に中国が正式に参加を表明した。