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【21-04】「日中ハイレベル研究者交流会―脳研究分野」を開催

2021年02月03日 周少丹(アジア総合研究センター準備・承継事業推進室フェロー)

 1月29日、「日中ハイレベル研究者交流会―脳研究分野」がオンラインで開催された。今回の交流会は日中のみならず英国などの研究者が40名以上参加し、中国国内で3,500名以上、日本などで1,500名以上の脳研究関係者がライブ配信で会議を視聴した。

「日中ハイレベル研究者交流会―脳研究分野」は中国科学技術部(MOST)外国専門家服務司(局)と国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)中国総合研究・さくらサイエンスセンター(CRSC)が‟JST-MOST間の協議"に基づいて共同主催したものであり、中国科学技術部外国人材研究センター、復旦大学が実施した日中間のハイレベル研究者交流のひとつである。今回の会議の狙いは、脳研究領域において脳疾患の治療に資する日中および多国間のハイレベル研究者協力ネットワークの構築にある。

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参加者によるフォトセッション

 科学技術部外国専門家服務司(局)の李昕次長は中国側を代表し、開会式の挨拶を行った。李次長は、「脳科学がホットな先端領域および融合領域であり、研究者間の国際交流や協力が不可欠である。脳科学における日中協力は、両国の福祉の増進のみならず、世界中の人々の健康、生活の水準の向上にも貢献することなる。また、科学技術における日中間の交流を継続するとともに、両国の若手による先端領域へのチャレンジを支援しなければならない」と主張した。

 CRSCの米山春子副センター長は、「JSTは長い間日中間の科学技術交流と協力を推進し、両国の科学技術関連情報発信および研究協力のプラットフォームとなっている。今回の会議には両国の代表的な研究者が参加し、今後の共同研究につながることを確信している」と述べた。

 中国側は復旦大学類脳知能科学技術研究院長の馮建峰教授、中国科学院脳科学と知能技術卓越創新センター学術主任で上海脳科学と類脳研究センター主任でもある蒲慕明院士、北京大学の李毓龍教授、浙江大学の胡海嵐教授ら27名が、一方、日本側は東京大学大学院医学系研究科から岡部繁男教授、尾藤晴彦教授、慶應義塾大学医学部から岡野栄之教授、柚崎通介教授、理化学研究所脳神経科学研究センターから村山正宜氏、合田裕紀子氏、Thomas McHugh氏、ATR脳情報通信総合研究所の川人光男所長、京都大学大学院情報科学研究科の神谷之康教授、早稲田大学先進理工学部の井上貴文教授、沖縄科学技術大学院大学の銅谷賢治教授、情報通信研究機構脳情報通信融合研究センターの西本伸志主任研究員といった12名の基礎神経科学や計算神経学の権威および優れた若手研究者が本会に参加した。

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蒲慕明(Mu-ming Poo)院士は最新のサルを用いた脳研究について説明を行った

 参加者はそれぞれ最新の研究内容を発表し、ディスカッションセッションでは領域融合による脳科学研究の推進や国際共同研究などの課題や可能性などについて意見交換を行った。