第96号
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新エネ車の「新政策」、重大な変革をもたらす

2014年10月 2日  柳 珺(中国総合研究交流センター フェロー)

 中国国務院は7月、「新エネ車の普及促進の加速に関する指導意見」を発表し、6分野25件の具体的な措置を示した。中国国務院は新エネ車の普及促進の加速を計画し、エネルギー・環境の負荷を軽減し、自 動車産業のモデルチェンジ・アップグレードを促した。

 新エネ車は中国の第12次五カ年計画(2011-2015年)が定める、国家7大戦略の新興産業の一つであり、世界自動車産業の発展のすう勢でもある。

 中国国務院が2012年7月に発表した関連計画によると、新エネ車は主に電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)に分かれ、ハイブリッド車(HV)が エコカーの範囲に収められた。同計画は、2015年までにEVとPHVを50万台販売するという目標を立てた。中国自動車工業協会が9日に発表したデータによると、新 エネ車の上半期の生産台数は前年同期比2.3倍増の2万692台、販売台数は2.2倍増の2万477台に達した。今年上半期の生産・販売台数は、昨年の通年販売台数をすでに上回っている。

 マクロ経済専門家は、「中国の産業構造の改善を背景とし、新エネ車産業の発展は一部の立ち遅れた、余剰生産能力の存在する製鉄、バッテリー、自動車などの関連産業の再編を促す」と指摘した。

 中国の2013年の自動車生産・販売台数はいずれも2000万台を突破した。新エネ車にとって、巨大な潜在力を秘める市場は魅力的だ。多くの専門家は、「EVの発展は、未 来の技術の発展方向に合致している。充電スタンドは高速道路、水道、ネットワークのように国民生活を支えるプロジェクトになる」と分析している。

 北京市の2013年の調査によると、消費者の4割弱が充電スポットを設置できないことから、EVの購入をあきらめたと回答した。最終的にEVを購入したオーナーのうち、団 地内に充電スポットを設置した人の比率は20%未満だ。北京市はこのほど、2014年内に1000の公共用急速充電スポットを設置すると発表した。

 アナリストは、「中国は将来的に、充電施設の建設に対する補助金の細則、充電インフラ建設の具体的な奨励方法と基準、統一的な充電料金と充電サービス費の指導意見を制定する可能性がある。ま た充電施設の投資・運営の収益のメカニズムを形成し、社会資本の参与を促す」と分析した。

 中国の都市部では、路線バスとタクシーが重要な汚染源になっている。全国の自動車の1.7%を占める路線バスとタクシーのガソリン使用量と汚染物質排出量は、全体の27%に達している。

 推算によると、中国の120万台のタクシー、50万台の路線バスを全てEVに交換した場合、1年間で345億リットルの石油を節約し、8737万トンの二酸化炭素の排出を削減できる。

 国家エネルギー委員会の第1回会議は、エネルギー生産・消費方法の変革の推進を求めた。生態文明と美しい祖国の建設は、中国政府の国民に対する公約だ。クリーンな新エネ車の発展は、指 導部がこの国家方針を実現する重要な手段だ。

 しかし中国の現在の新エネ車技術は、先進国に大きく遅れている。業界関係者は、「バッテリー技術は、EV発展の最も重要な、開発費が最もかかる、最も難しい内容だ」と述べた。中 国自動車工業協会秘書長の董揚氏は、「中国のEV発展は、海外の先進的な技術の導入と、業界と国を跨ぐ協力が必要だ。政府は技術面で中立を維持し、企業の協力・革新を奨励するべきだ」と指摘した。