第118号
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エネルギーインターネット情勢における電力ビッグデータの発展動向(その3)

2016年 7月29日

李棟華:北京南瑞埃森哲信息技術中心有限公司

主な研究テーマは企業情報システム、モノのインターネット、ビッグデータ、モバイルインターネット等。

耿世奇:北京南瑞埃森哲信息技術中心有限公司

主な研究テーマは電力システムの情報化

鄭建:北京南瑞埃森哲信息技術中心有限公司 エンジニア

長年にわたりビッグデータ技術研究および情報システム設計に従事する。

その2よりつづき)

2 アプリケーションシチュエーション

2.1 エネルギー情報システムのプラグアンドプレイ

 エネルギー公共サービスプラットフォームは、マルチソースデータ分散型統合を実現し、公共サービス技術支援情報システム素子に基づく統合、プラグアンドプレイを実現する。

 前述の技術に基づき、ニーズに基づくダイナミックな組立により、典型的なアプリケーションを形成する。システム組立は、柔軟な配置、インタラクティブな開放、フレキシブルな拡張を行うことができる。アクティブ配電網の動作制御を例にとると、エネルギー公共サービスプラットフォームを統合した電力網の基礎モデルデータ、スケジューリング自動化リアルタイムデータ、電力使用情報収集データ、気象データ、社会経済データ、GISデータ、生産管理データをアクティブ配電網動作制御システム、アクティブ配電網現状認識アプリケーション、アクティブ配電網の送電品質管理機能および可視化ディスプレイ機能を統合し、アクティブ配電網動作制御システムを生み出せる。アクティブ配電網動作制御システムの分析により生じたデータ統合により、エネルギー公共サービスプラットフォームに入り、グリーンスマートコミュニティエネルギーインタラクティブシステムの集約、統合の実現をいっそう可能にする。

2.2 電力使用サービスモデルの革新

 エネルギー公共サービスプラットフォームは、電力使用情報収集データ、気象データ、社会経済データを統合した。前述の統合されたユーザーサイドデータに基づき、ユーザー情報、地理情報、地域属性などのデータを踏まえたうえで、気象、経済、電気料金政策などさまざまな要素を踏まえ、分類、クラスタリング方法を利用し、ユーザーのタイプを細分化し、各地域、各業界、各類別のユーザーの典型的な負荷モデルベースを構築し、各種の影響要素とユーザーの電力使用行為の関連、関係、その影響メカニズムを分析し、電力使用行為の分析、エネルギー効率管理、ニーズ応答戦略の評価、電気料金政策の制定、ユーザーの細分化、カスタマイズサービスなどの革新的な電力使用サービスモデルを実現でき、都市、電力網計画、デマンドサイド管理、電気料金政策、エネルギー効率評価などを支援する。

2.3 次世代エネルギー分析、最適化管理支援システム

 次世代エネルギー分析、最適化管理システムは、エネルギーシステムの既存の管理システムを基礎として構築された。ビジネスデータ分析、モデリング、データマイニング、ビジネスルール整理、コグニティブコンピューティングを通じて複雑なエネルギー分析・最適化アプリケーションの共通ニーズをマイニングし、好ましい拡張性、両立性を備えた分析・最適化支援の技術的枠組を支援し、次世代の複雑なエネルギー分野の分析・最適化ビジネス向けの汎用技術構造プラットフォームを構築し、エネルギーシステム分析・最適化の効率と性能の効能を顕著に高める。

図5

図5 次世代エネルギー分析、最適化管理システム

 次世代エネルギー分析、最適化管理システムの機能は、分析・最適化モデリング、ビジネスルール管理、認知機能モジュールが含まれる。

① 分析・最適化モデリング:多次元分析、データマイニング、クラスタリング分析、多目標最適化モデリング機能を提供する。このモデルは、エネルギー分析・最適化管理、コグニティブコンピューティングの中核数学モデルを実現する。高級アプリケーションシステムはモデリングの分析・最適化モデルを利用し、ビッグデータプラットフォームデータソースからエネルギーシステムの分析・最適化機能を実現することで、高級アプリケーション機能の分析・最適化のモデル開発タスクを簡略化すると同時に、各種高級アプリケーションの共有モデルソースを提供した。

② ビジネスルール管理:ビジネスルール管理は、定義、デプロイメント、監視、維持ビジネスのルールの機能であり、ビジネスルールをアプリケーション機能から分離する。ビジネスルールを外部化し、ツール提供によってビジネスルールを管理する。ビジネスルール管理はスペシャリストの定義、維持ルールを支持することで、生産システム更新に必要な時間を減らし、変更に対するレスポンス能力を高める。ビジネスルールを用いて、ビジネスロジックからビジネスアプリケーションプログラムを抽出する以外に、開発者は、アプリケーションプログラムから独立させることでビジネスロジックの開発、動作を行うことができる。ビジネスロジックはビジネスルール管理において意思決定サービスにアプリケーションプログラムとして実装することができる。一方、このビジネスルール管理は、アプリケーションプログラム、フローにより触発されることができる。

③ コグニティブコンピューティング:エネルギー分析、最適化管理システムにおけるコグニティブコンピューティングは、ビッグデータリソースを活用し、エネルギー管理者の認知プロセスをシミュレーションする。ユーザーは具体的な実行プロセスを提供する必要はなく、コグニティブコンピューティングは、この目標の各実行ステップを実現できる。同時に、コグニティブコンピューティングは、ビッグデータの優位性を存分に発揮し、データの背後にある深層の関係を見つけ出し、より大きなアプリケーションの価値を創出する。

結論

 多様なデータ融合、情報ディスプレイプラットフォームは各方面のデータのプーリングポイントで、大量のデータソース収集により真実性、信頼性のあるデータを取得し、データマイニング、分析、多元化された情報融合を通じて分類・保存を行い、上層ビジネスアプリケーションのための信頼できる情報源を提供すると同時に、各種アプリケーションの開発に合理的、かつ便利で迅速なインターフェース、開発環境を提供する。

(おわり)

主要参考文献:

[1]王 継 業、孟 坤、 曹 軍 威等。 エネルギーインターネット情報技術研究に関する総括 [J]. コンピューターの研究と発展 ,2015,52(3): 1-18.

[2]曹軍威、 楊 明 博、 张 徳 華 等。 エネルギーインターネット ——— 情報とエネルギーのインフラ一体化 [J]. 南 方 電 網 技術, 2014,8(4):1-10.

※本稿は李棟華;耿世奇;鄭建「能源互聯網形勢下的電力大数拠発展趨勢」(『現代電力』第32卷第5期、2016年10月,pp.10-14)を『現代電力』編集部の許可を得て日本語訳・転 載したものである。
記事提供:同方知網(北京)技術有限公司