中国陝西省西安市でこのほど、中国有人宇宙ステーション2024年宇宙科学・応用学術年次総会が開かれた。中国有人宇宙飛行宇宙応用システムチーフデザイナーで、中国科学院宇宙応用センター副主任の呂従民氏は「中国の有人宇宙ステーションの建設後、宇宙応用システムでは軌道上で100件以上の科学実験・応用試験を実施しており、多くの重要研究で進展を遂げた」と明らかにした。中国新聞網が伝えた。
呂氏は「宇宙応用システムはこれまで、約1.8トンのペイロードと実験サンプルを宇宙ステーションに届けており、有人宇宙船と共に6回にわたり100点近くのサンプルを回収している。重さ約100kgに上るサンプルは、主に金属・合金材料、機能性結晶、非金属複合材料などの材料サンプルと、細胞、タンパク質、植物などの生命実験サンプルに分類される」と説明した。
宇宙ステーションにおける科学実験・応用試験の段階的な研究成果が現在、持続的に生み出されている。宇宙生命分野では、微小重力が造骨細胞形成の変化に影響を及ぼすメカニズムが解明され、骨喪失と関連する10以上の潜在的なターゲットを発見したことで、骨粗鬆症の薬物干渉に応用される見込みだ。また、軌道上でゼブラフィッシュ・金魚藻二元生態系を構築し、40日以上これを維持し、宇宙における脊椎動物育成のブレイクスルーを実現した。この他、宇宙で稲の「種から種」への全ライフサイクル培養と宇宙再生稲の培養を行い、新たな微小重力応答による開花経路の分子調節を発見した。線虫や微生物、稲の種、生物大分子などのサンプル16種の船外曝露実験も実施した。
宇宙材料分野では、金属・合金の凝固メカニズム、機能性結晶、船外材料曝露などの面で一連の進展を遂げ、重要な科学的発見を取得した。潜在的な応用価値を持つ複数種類の機能性結晶材料も開発しており、その性能は一般的に地上のものよりも優れている。
総会で発表する中国科学院宇宙応用センター副主任の呂従民氏。