中国の華大生命科学研究院は山東大学などと共同で、海洋微生物遺伝子バンク「The Global Ocean Microbiome Catalogue(GOMC)」を構築し、その中から応用のポテンシャルを備えた多くの遺伝資源を発見した。中国新聞網が伝えた。
山東省青島市でこのほど開かれた「千種海洋生物ゲノムシーケンシングプロジェクト」兼世界海洋微生物遺伝子バンク構築・応用成果共同発表会で明らかになった。
同研究院の范広益研究員によると、GOMCはすでに公開されている海洋ゲノムデータバンク「Tara Ocean」の3倍、プロテインデータバンク(PDB)の60倍となっている。GOMCは中国の国家遺伝子バンク生命ビッグデータプラットフォームに保存されており、応用のポテンシャルを備えた遺伝資源の研究成果は学術誌「ネイチャー」に掲載されている。
研究者はGOMCの構築において、現在公開済みの約240テラバイト(TB)の海洋微生物メタゲノムデータの再分析を行った。GOMCは4万3100以上の海洋微生物ゲノムと24億5800万の遺伝子配列を有しており、うち2万以上の微生物は新たに発見される可能性がある種で、約1万の微生物は独特な生存環境で初めて発見された。
研究者はGOMCの研究において、潜在的な応用価値を備えた新型Cas9編集システム(Om1Cas9)を見出した。また、顕著な抗菌活性と広範囲抗菌効果を持つ新型抗菌ペプチド10種類を発見した。この成果は抗生物質の薬剤耐性の解決策を提供する可能性がある。さらに深海由来の高活性新型塩好性PET分解酵素3種類も発見しており、PETプラスチックのグリーン・低炭素・持続可能な利用を後押しする可能性がある。
GOMCは中国(山東)自由貿易試験区青島エリアと華大生命科学研究院所属の青島華大基因研究院が共同で実施する「千種海洋生物ゲノムシーケンシングプロジェクト」の重要な構成部分となる。同プロジェクトでは、海洋生物の遺伝子試料採取や高深度ゲノムシーケンシングなどを実施する。