2024年06月03日-06月07日
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ロボットが「メイド・イン・上海」の新たな原動力に

2024年06月03日

 ビッグデータや人工知能(AI)といった新技術の波が押し寄せ、製造業ではスマート製造への再編が進む中、中国上海市ではロボットが「メイド・イン・上海」のトランスフォーメーション・高度化における新たな原動力になりつつある。中国新聞網が伝えた。

 上海汽車集団の臨港拠点デジタル化工場では、複数のロボットが同時に作業しており、製造ラインでは平均約70秒で1台の自動車がラインオフしている。正泰集団の上海松江工業パークにある正泰電気変圧器工場では、ロボットが薄さ0.23ミリのケイ素鋼板を折りたたみ、1日に従業員6人分の作業をこなしている。

 鍋などの調理器具メーカーであった愛仕達は、ロボットによるスマート製造へと転身を遂げ、ロボットを活用した全産業エコシステムを構築し、デジタル化工場に応用している。

 従来の製造業にとって、ロボットの導入はトランスフォーメーション・高度化プロセスの重要なサポートになっている。愛仕達の陳合林董事長は「従来の製造業では企業の発展ニーズに応えられない。ロボットの事業展開を通じて、当社は従来の工場経営モデルを変え、デジタル・スマート化のトランスフォーメーションも成し遂げた」と語った。

 長年にわたる発展を通じ、上海市には非常に強力なロボット製造能力が備わるようになった。企業レベルでは、国際産業用ロボットの「BIG4(ファナック、ABB、安川電機、KUKA)」はすべて上海で事業展開を進めており、中国のロボットメーカーである新時達、節卡、新松なども上海での事業を拡大している。

 産業ロボット密度は、従業員1万人当たりの産業用ロボットの稼働台数を表しており、国や地域の生産自動化レベルを推し量る重要な指標の1つとして、産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要参考データにもなっている。

 上海市は中国国内で初めて産業ロボット密度を統計に組み込んだ。重点産業のロボット密度は383台に達し、一定規模以上(年間売上高2000万元以上)の重点産業企業のロボット密度は426台となっている。

 2023年における上海市の産業用ロボット付加価値額は249億200万元、生産量は約6万6000台で、国内トップクラスだった。現在、上海市は製造業のDXを進めており、スマートファクトリーでの産業用ロボット1万台の導入を推進し、25年までに製造業の重点産業分野におけるロボット密度を500台にすることを打ち出している。

 産業政策の支援を受けて、ロボットの応用シーンもますます広がりを見せている。現在は、国家レベルの人型ロボット製造業イノベーションセンターの建設を進めており、オープンソースの人型ロボットプロトタイプや身体性を持つAI(Embodied AI)などの重要技術の研究開発を加速させている。

 
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