北京便り
トップ  > コラム&リポート 北京便り >  File No.20-043

【20-043】《天問一号》打上げ成功

JST北京事務所 2020年8月05日

 2020年7月23日中国海南島東北文昌航空発射場から火星探査機天問一号に長征5号遥4ロケットによる打上げに成功した。

 中国は2011年火星探査機《蛍火1号》をロシアのロケットに搭載させ打ち上げたことがある。でも発射した次の日にロケットが設計した軌道に入らず大気圏で燃え尽きてしまった。その後、2016年1月火星探査機《天問一号》のプロジェクトが許可され、火星への挑戦が始まった。

 なお、天問とは、中国の古典『楚辞』にある天や天体に関するものを含む根源的な問いをつづった詩の編名である。

《天問一号》の目標

 今回発射された天問一号は全部で13種の探査機器を搭載していて、7種は衛星に搭載されたまま、火星を周回して探査を行い、残りの6種は火星探査車(ローバー)に搭載され火星に着陸して、火星の地上で探査業務を行い、衛星と火星ローバーは探査したデータを毎日纏めて報告する形で地球に信号を送る。

 これらの13種の探査機器は、下記の調査を行う。
1)火星全体と着陸機地形、物質成分の探査と研究
2)火星全体と着陸機土壌厚さ、成分及びその分布
3)火星全体と着陸機二重表層地下水の分布
4)火星重点地域(着陸候補区)の詳しい探査
5)火星磁気層、電離層、大気層及び気候特征
6)火星物理場(磁気場、重力場及び内部構造)探査

《天問一号》の今後のプロセス

1)最適な発射タイミングに打上げ
 地球から火星へ衛星を軌道投入する最適なタイミングは26か月ごとに一回であって2020年7月~8月の1か月以内が最近では最適なタイミングである。
2020年7月20日:火星探査機《HOPE》(アラブ首長国連邦(UAE) 日本のH2Aロケットで打上げ)打上げ成功
2020年7月23日:火星探査機《天問一号》打上げ成功
2020年7月30日:火星探査機《Perseverance》(米国NASA)打上げ成功

2)火星軌道で火星を待機
 《天問一号》の場合、6.5~7か月ほどの時間をかけて2021年2月前後に火星に近づき、火星を周回する。この期間《天問一号》は4~5回の軌道調整を通じて火星に近づく。その計画の詳しい調整日程は下記のとおりである。
1回目の調整:2020年8月2日
2回目の調整:打上げから約60日前後
3回目の調整:2回目の調整後約20日後
4回目の調整:2020年10月下旬
5回目の調整:2021年2月初
(参考リンク:zw.china.com.cn/live/2020-08/03/content_907004.html

3)火星に近づく
 火星の質量は地球の10.7%にしかならないため引力も小さい。従って探査機は減速しながら火星に近づかなければならない。探査衛星が火星に近づいて火星を巡って回りながら着陸点を探す期間は2か月ぐらい。

4)計画着陸点を探して火星車を着陸させる
 着陸のための時間は7~8分間で着陸過程は全体の過程で一番難しい段階である。
 《天問一号》研究チームが発表した計画着陸点は2つの候補区域だったうちの一つ、ウドパン平原で米国が打ち上げた《Perseverance》の任務エリアと近いところになる予定。

5)探査衛星と火星ローバーの双方で探査を行う。

課題

①信号問題
 火星から地球まで光速でも片道で22分間かかる。それに信号伝送の過程で信号の損失、延期、信号電波環境複雑、高精度ナビ不可能等の問題が存在しているため地球からリアルタイムで火星ローバーをコントロールすることは現実的ではない。よって自動的に働き自分で問題解決ができるロボット火星ローバーが必要。

②ロケットの動力問題
 《天問一号》探査衛星の重量は5tであり、これだけの重量の負荷を火星の公伝軌道まで打ち上げるためには高効率の動力をもっているロケットが必要。

③着陸問題
 着陸問題は全般探査過程で一番難しい過程である。その難しさは、短い7~8分以内に火星ローバーを載せた部分の速度を4.8km/sから0に下げることだ。特に大気での空気が地球空気の1%しか占めない火星で減速することは非常に難しい。

 《天問一号》は減速過程で着陸機、落下傘、反方向ロケットこの三つを組み合わせて安全を図りつつ、着陸する予定。最初の5分間は着陸機を通じて速度を4.8km/sから数百メートル/秒まで下げる。この時、着陸機が高効率で減速しながら働くと大量のエネルギーが出て温度が2,000度まで上がる。この時、落下傘が開いて働き始める。落下傘が働くと同時に着陸機は自分の使命を果たして探査機から離され全体の負荷を削減する。落下傘は100秒以内に探査機の速度を数百メートル/秒から100m/sに下げる。速度が100m/sまで下がると反方向ロケットが働き始める。反方向ロケットは火星ローバーを火星表面から数十メートルの高さに浮かばせながら平坦な適切な着陸場所を探して着陸させる。

探査機能

<探査衛星部分>
①イオン性中性粒子分析器 → 空間環境探査用
②低ベース周波アンテナ → 空間環境探査用
③エネルギー粒子分析器 → 空間環境探査用
④磁力計アンテナ → 内部構造探査、空間環境探査用
⑤鉱物分光計 → 表面探査用
⑥高・中解像度カメラ → 表面探査用
⑦二重表層レーダー送受信アンテナ → 100~1,000m深さ探査用

image

(画像出典:发射成功!关于天问一号的疑问和误区都在这里了(中国科普博览))

<火星ローバー部分>
①地形カメラ → 表面探査用
②多スペクトルカメラ → 表面探査用
③磁場探知機 → 内部構造探査用
④成分探測器 → 表面探査用
⑤二重表層レーダ → 低周波数が10~100mの深度の探査用、高周波数が3~10mの深度の探査用
⑥気象探知機

image

火星ローバーの高さは1.85m、重さ240kg
(画像出典:同上)

《天問一号》以後の火星に関連する計画

1)火星での生命活動や気象に関する調査(ブレイクスルーを期待)
 現在の生命の状況、過去に生命が存在した可能性、火星で生命の存在が可能な条件と環境、生命の起源と外来生命の探査

2)火星本体に関する科学調査
 火星の磁場、電離層と大気層の探知と環境科学;火星の地形の特長と区分;火星表面の物質の構成と分布、地質特点と構造;火星内部構造、成分、内部磁場の探知。

3)火星と他の惑星の比較、火星の起源と変化、太陽系の起源と変化

4)火星の長期的な改造と将来的に大量の移民をさせて第2の生息地として人類社会に貢献する。

中国科普博览 发射成功!关于天问一号的疑问和误区都在这里了
科学大院 发射成功!探测火星八大关卡,"天问一号"到了哪一关?
掌上科技馆 超好玩体验,跟着天问一号去火星,你能前进到哪?
科学大院 "天问一号"火星车填报了哪些志愿?
宇宙速度科普协会 中国科普博览 天问一号去火星做准备VLOG首次曝光!
中国科普博览 中国科普博览 七月,宜上"火"
科学大院 关于火星探测的问号,这篇文章都给你拉直