ジャガイモを主な材料として作られ、乾燥米のような形をした「ジャガイモ米」。その生産ラインが昨年11月、中国雲南省昭通市で稼働した。中央テレビニュースが伝えた。
研究開発チームの責任者で中国科学院院士(アカデミー会員)の呉奇氏は「新鮮なジャガイモを乾燥米に変える生産ラインは中国初であるだけでなく、世界初といえる。この技術はこれまで存在しなかったもので、開発チーム独自技術だ」と述べた。このライン生産されたジャガイモ米が3月に発売された。
高原地帯で栽培されるジャガイモにとって、現在は種まきの季節であり、収穫の季節でもある。数日前に畑から掘り出されたばかりのジャガイモはすでに生産ラインに投入された。ジャガイモ米の生産ラインから出てきたばかりのジャガイモ米は黄褐色で、形や大きさは一般的な米と似ている。
巧家洪邦農業発展有限公司の李昱霖社長は「現在用いているのは皮が赤く実が黄色い『合作88』品種で、収穫後すぐに生産ラインに送られる。換気・恒温・恒湿の保管場所が不要で、倉庫保管のコストを大幅に削減できる。生産ラインは新鮮なジャガイモを1時間当たり20トン処理できる。初期の試算によると、2.5トンのジャガイモに一定割合の昭通高原ダッタンそば粉とトウモロコシ粉を混ぜることで1トンのジャガイモ米を加工でき、年間生産量は約1000トンを見込んでいる」と説明した。
ジャガイモ米の製品成分表によると、新鮮なジャガイモの他にもダッタンそば粉、トウモロコシ粉、ステアリン酸グリセリルを添加する。李氏は、「ジャガイモ米の調理方法は一般的な白米と似ている。蒸す、煮る、電子レンジによる加熱が可能だが、高温・高圧殺菌によって熟しているため、必要な水の量と時間は一般的な白米より少ない」と述べた。
ジャガイモ米の調理は、水で洗った後に水に浸す必要はなく、直接皿に盛り、蒸し器で蒸すだけで良い。25分後に出来上がった黄色いジャガイモ米は、蒸す前と色はそれほど変わらず、カレー粉をまぶしたような見た目だ。蒸すと穀物の清々しい香りが漂う。食べてみると、ジャガイモの味は感じられず、一般的な米と明らかに異なるのはもちもちした弾力で、歯ごたえがある。
李氏は「ジャガイモ米は単なる形状の改良ではなく、もちもちした歯ごたえは生産プロセスに由来するものだ。『高温押出成形+低温乾燥』技術により、ジャガイモデンプンの鎖状構造が再構築され、米粒状になり、添加されたステアリン酸グリセリルが粘性を高め、一般的なご飯のような『弾力』を与えている。さらに、ジャガイモ米はジャガイモの自然栄養成分の90%以上を保持しており、一般的な米と比べると脂肪や炭水化物、糖分が少なく、タンパク質含有量が高く、タンパク質粗繊維が含まれているため満腹感も強く、糖尿病患者やフィットネス愛好者、中高年者に適しており、子供が雑穀を食べる習慣を育むのにも役立つ」と説明した。
昭通産のジャガイモ米は3月上旬に販売開始された。現在はオンライン販売が中心で、一部のECプラットフォームでオフィシャルストアが開設されている。
(画像提供:人民網)
サイエンスポータルチャイナ事務局が、中国の科学技術に関するニュース記事を人民網と共同通信の記事より選んで、日々届くフレッシュなニュースとしてお届けしています。
下記よりご覧ください。
アーカイブ記事は国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)のページに保管されています。
第42回 アジア・太平洋研究会のお知らせ
「「中国製造2025」最終年を迎えた中国~産業高度化政策の現状と今後の展望」
4/25(金)15:00~ 詳細・申込みはこちら