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【21-048】中国の中央財政科学技術計画について(国家重点研究開発計画)

JST北京事務所 2021年08月18日

1. 国家重点研究開発計画概要

 2014年、国家発展改革委員会により「中央財政による科学技術計画(特定プロジェクト・基金等)の管理改革の深化に関する方案」[1]を発出の上、国家戦略の必要性や政府科学管理機能および科学技術革新規則に基づき従来各部(日本の府省に相当)がそれぞれ管理していた公開競争方式を取るすべての科学技術計画(日本の競争的資金に相当)を5種類に統合した。

 5種類の中央財政科学技術計画のうち、国家重点研究開発計画は、予算規模[2]で国家自然科学基金に次ぐウエイトを占めている。今回、国家重点研究開発計画の概要について紹介したい。

【国家重点研究開発計画】

 国の経済と国民の生活に関わる農業、エネルギー資源、生態環境、健康等の分野において長期的な発展が必要な重大社会公益性研究および産業のコアコンピタンス、全体の自主的イノベーション能力と国家安全に係る戦略的、基礎的、展望性で重要な科学的問題、重大な共通性のある基幹技術と製品、重大な国際科学技術協力について、重点特定プロジェクトに基づいて実施を手配し、部門や業界、地域の枠組みを越えたクロスボーダーな研究開発の配置と連携イノベーションを強化し、国民経済と社会発展の主要分野に持続的な支援と牽引力を提供する。

2. 国家重点研究開発計画管理暫定方法について

 資金管理およびプロジェクト管理について、それぞれの規定が以下の通知が発出されており、以下にポイントを説明する。

【資金管理】

「国家重点研究開発計画資金管理弁法(財科教[2016]113号)[3]

「「国家重点研究開発計画資金管理弁法」関連実施細則(国科発資[2017]261号)[4]

【プロジェクト管理】

「国家重点研究開発計画管理暫行方法(国科発資[2017]152号)[5]

(1)「国家重点研究開発計画資金管理弁法(財科教[2016]113号)」

・ 国家重点研究開発計画の階層(第2条)
重点特定事業
  プロジェクト
    課題

・ 研究基金専門管理機関が重点特定事業プロジェクト資金管理を実施(第2条)

・ 国家重点研究開発計画資金のレベル別管理(第7条)

 ① 財政部、科学技術部
国家重点研究開発計画資金の管理制度の制定、重点特定事業の概算編成および評価の計画、重点特定事業資金の監督検査の実施。

 ② 研究基金専門管理機関
重点特定事業の資金管理および監督の主体。プロジェクト予算の申告、評価、下達およびプロジェクトの財務検収・監督検査。

 ③ 財政部門
研究機関における重点特定事業の概算予算の承認および現場からの書面報告への回答

 ④ 担当部門
研究機関におけるプロジェクト資金の管理および使用の責任主体。日常の管理および監督を担当。

・ 研究基金専門管理機関は重点特定事業概算予算(総予算および年度概算予算)を編成し、財政部および科学技術部に報告(第8条、第9条)

・ 重点特定事業の収入概算には、中央財政資金およびその他資金が含まれる。(第10条)

・ 財政部、科学技術部は、関連機構に委託し、重点特定事業概算予算の評価を行い、評価結果に基づき、財政部は中央財政資金総予算の認可および下級機関への意見提出や回答を行う。(第11条)

・ 中央財政資金総予算は、通常調整を許可しないが、重点特定事業の業務目標に重大な変化(総予算)または年度間の重大な業務の調整(年度予算)が生じ、中央財政資金予算の調整が必要となった場合、研究基金専門管理機関から科学技術部に申請し、科学技術部の審査を経て、財政部が認可。(第12条)

・ 研究基金専門管理機関は認可された重点特定事業概算予算に基づき、プロジェクト予算の申請および評価を行い、プロジェクトの手配および重点特定事業中央財政資金予算配分に意見を提出。(第13条、第14条)

 ① プロジェクト手配に関する意見
科学技術部に提出。科学技術部はコンプライアンス審査を実施。

 ② 重点特定事業中央財政資金予算配分に関する意見
財政部に提出。財政部は科学技術部の意見を踏まえ、要求に従い研究基金専門管理機関に重点特定事業中央財政資金予算(具体的なプロジェクト予算は含めず)を通知し、科学技術部へも写しを通知。

・ 研究期間内に、年度業務の調整等により研究基金専門管理機関が当年にプロジェクト代表機関に支給しなかった資金は、次年度に繰越して使用することが可能。
重点特定事業の中止等の理由により、研究基金専門管理機関がプロジェクト代表機関に支給しなかった資金は、規定に従い中央財政に返納する。(第16条)

・ プロジェクト資金は、直接経費と間接経費で構成される。(第17条)

・ 直接経費の主要な区分(第18条)

連番 直接経費の
主要な費目
説明
1 設備費 プロジェクト実施過程で購入または試作した専用器械設備を指し、現有の器械設備のアップデートや改良、外部に器械設備をリースした場合に発生する費用。
設備の購入は厳しく管理し、設備の共有や、独自開発、リースおよび現有設備のアップデートや改良を奨励し、購入の重複を避ける。
2 材料費 プロジェクト実施過程で消耗する各種原材料、補助材料等の安価な消耗品の購入および運搬、積み下ろし、整理等の費用。
3 試験・化学検査・加工費 プロジェクト実施過程で外部部門(担当部門内だが独立して予算を算定する部門も含む)に支払う検査、試験、化学検査および加工等の費用。
4 燃料費 プロジェクト実施過程で直接使用する関連器械設備や科学装置等の稼働のための水、電気、ガス等の燃料費用等。
5 出版/文献/情報伝達/知的財産権の事務費 プロジェクト実施過程で支払いが必要となる出版費、資料費、専用ソフト購入費、文献検索費、専門通信費、特許申請およびその他知的財産権の事務等の費用。
6 会議/出張/国際協力交流費 プロジェクト実施過程で生じた会議費、出張費および国際協力交流費を指す。予算編成時に本科目の支出予算が直接費用予算の10%を超えない場合、見積り作成の根拠は不要。担当部門と科学研究員は事実に即した処理、簡潔で高効率な処理、倹約の原則に沿って、国家と事業部門の関連規定を厳格に執行する。
7 労務費 プロジェクト実施過程においてプロジェクトに参加する大学院生、ポストドクター、客員研究員およびプロジェクト招へい研究員、科学技術補助員等に支払う労務関連費用。
プロジェクト招へい人員の労務費の支出基準は、現地の科学研究および技術サービス業に従事する人員の平均給与水準を参考に、当該プロジェクト研究の担当業務に基づきタスクを確定し、社会保険補助を労務費科目の支出に入れる。労務費予算は実際に即して編成し、比率制限は設けない。
8 専門家のコンサルティング費 プロジェクト実施過程において臨時雇用のコンサルタントに支払う費用を指す。コンサルティング費は本プロジェクトに参加および課題研究と管理に所属する関係者に支払ってはならない。コンサルティング費の管理は国の関連規定に従って実施する。
9 その他の支出 プロジェクト実施において上述の支出範囲外のその他の関連支出。その他の支出は予算申請時に詳細に説明する。

・ 間接経費の使途および金額(第19条、第20条)
担当部門がプロジェクトの事前準備業務で生じた直接費用に入れられない関連費用を指す。主な例示:担当部門がプロジェクト研究のために提供した専用不動産(家屋)、水道光熱費、関連の管理費用の補助支出および科学研究員の成果奨励のための支出等。

 ① 500万元以下の場合は20%

 ② 500万元以上1,000万元までは15%

 ③ 1,000万元以上は13%
(※)「『国家重点研究開発計画資金管理弁法』関連実施細則(国科発資[2017]261号)」」にて、直接経費総額から設備購入費を差し引いた後の金額を間接経費の金額計算の基準とする旨が補足されている。

・ プロジェクト申請を受け、研究基金専門管理機関がプロジェクト予算額を調整の上、関連機関に委託。関連機関はプロジェクト予算の評価を実施。研究基金専門管理機関は評価結果に基づき、重点特定事業プロジェクト予算を公示。
関連機関が予算評価を行うにあたり、国家科学技術計画の予算評価について豊富な経験を有し、国家科学技術計画および資金管理政策に精通し、関連分野の科学技術専門家チームによる支援、専門の予算評価チーム等を有することを条件とする(第25条~第27条)

・ 研究基金専門管理機関はプロジェクト代表機関にプロジェクト予算を通知の上、プロジェクト任務書(予算も含む)を取り交わす。
プロジェクト任務書は、プロジェクトおよび課題の予算執行、財務検収および監督検査の根拠となる。(第28条)

・ 研究基金専門管理機関からプロジェクト代表機関に年度プロジェクト資金を支払い、プロジェクト代表機関は課題研究の進捗および資金使用状況に基づき、速やかに課題担当部門に資金を支給する。
課題担当部門は、研究進捗に従い、速やかに課題参加部門に資金を支給する。課題参加部門は外部への支払いに資金を転用してはならない。(第29条)

・ 担当部門の資金管理責任および内部統制制度、精算規程の確立。区分経理の徹底、情報公開制度の構築(プロジェクト概要、主要研究員、資金使用(重点は間接経費、外部支払費用、余剰資金の使用等)、大型器械設備の購入および研究成果)、内部監査の受け入れ(第30条~第33条)

・ 担当部門は、国の支出管理制度による「公務カード」を使用して、また設備費、大量の材料費および試験・化学検査・加工費、労務費、コンサルティング費等については原則として銀行振込で精算する。フィールドワーク、心理テスト等、科学研究活動において税務領収書または財務伝票がない場合、事実に即するという前提で、実際に発生した金額を精算する。

・ プロジェクト研究期間中の余剰資金は、次年度に繰越して使用を継続する。
予算調整が必要となった場合、以下の手順により進める。(第36条)

 ① プロジェクト予算総額は変わらないが、課題間の予算を調整する場合。
プロジェクト代表機関から研究基金専門管理機関に申請。研究基金専門管理機関により審査の上、承認。

 ② 課題予算総額は変わらないが、費目間の予算額を調整する場合。

ア)材料費、試験・化学検査・加工費、燃料費、出版/文献/情報伝達/知的財産権事務費、その他支出
課題担当者から課題担当部門に申請、課題担当部門が承認し、プロジェクト代表機関に報告。

イ)設備費、出張/会議/国際協力・交流費、専門家コンサルティング費
原則増加調整はしない。その他の直接経費を削減する場合、上記手続きに従い、調整審査を進めることが可能。

ウ)特殊な状況で増加調整が必要となった場合、プロジェクト(課題)担当者が申請し、プロジェクト代表機関の同意を得て研究基金専門管理機関の承認を求める。

 ③ 課題間接経費の増加調整は認められない。また課題担当部門と課題担当者の合意を経て直接費用を削減調整できる。

・ プロジェクト代表機関は、毎年4月20日までに、課題の前年度の収支状況を審査し、プロジェクト年度財務決算報告書を作成の上、研究基金専門管理機関に提出。
プロジェクト資金が通知された日から年度終了日まで3カ月未満のプロジェクトは、次年度の決算報告時にまとめて反映。(第37条)

・ プロジェクト実施過程で中央財政資金を使用して得た固定資産の帰属(第38条)

 ① 行政事業部門:国有財産とする。

 ② 企業:「企業財務通則」等の関連規程や制度が適用される。

 ③ 担当部門が得た知的財産権等の無形資産:国の関連規程が適用される。

 ④ 大型科学器械設備、科学データ、自然科学技術資源等:規程に従い開放、共有される。

・ プロジェクト・課題が取消または中止となった場合、プロジェクト代表機関または課題担当部門の財務部門は、速やかに帳簿と資産を整理し、財務報告および資産目録を作成し、研究基金専門管理機関に提出する。研究基金専門管理機関は徹底調査を行い、余剰金(購入済物品、材料および器械設備の時価換算による収入の処理を含む)を回収し、重点特定事業の後続支出に充当する。(第39条)

・ プロジェクト研究期間が満期を迎えた場合、プロジェクト代表機関は、速やかに課題担当部門の帳簿と資産を整理し、課題資金決算書を作成。プロジェクト代表機関による審査後、研究基金専門管理機関に財務検証をプロジェクト研究期間満了後3カ月以内に申請する。(第40条)

・ 研究基金専門管理機関は関連規程従い、財務検収を行う。検収に先立ち、会計事務所を選定の上、財務審査を行い、財務審査報告を財務検収の重要な根拠とする。
財務検収は、プロジェクト代表機関による財務検収申請から6カ月以内に完了する。
財務検収前に、研究基金専門管理機関はプロジェクト任務書に従い担当部門の科学技術報告の提出状況を確認し、未提出の場合は督促を命じる。(第41条)

・ 財務検収は、課題単位で実施し、検証結果をプロジェクト代表機関に通知。虚偽や不正、法令違反があった場合または資金使用の管理に規定違反があり是正を拒否した場合、財務検収を承認してはならない。(第42条、第43条)

・ 課題担当部門は、財務検収完了から1カ月以内に決算手続きを行う。
課題目標を達成し、財務検収が承認され、かつ担当部門の信用評価がよい場合、剰余資金は財務検収完了から2年以内は担当部門がまとめて科学技術研究活動の直接経費に含める。2年後に当該剰余資金が使い終わっていない場合、研究基金専門管理機関に返納し、重点特定事業の後続支出に用いる。
財務検収(是正後も含む)で承認されなかった課題または担当部門の信用評価が悪かった場合、剰余資金は研究基金専門管理機関が回収し、まとめて重点特定事業の後続支出に用いる。(第44条)

・ 研究基金専門管理機関は財務検収完了後1カ月以内に、関連資料を整理の上、科学技術部に検収結果の登録を求め、一般に公開する。(第45条)

・ 科学技術部による財務審査および財務検収は任意のサンプリング検査とする。
財務検査は、根拠の確実性、結果の信憑性、審査業務の質および重大な規定違反に関する開示状況を重点的に審査する。
財務検収は、検証手続きの規範性、根拠の確実性、結果の信憑性、プロジェクト剰余資金の管理状況を重点的に検収する。(第46条)

・ 財政部、科学技術部、関連主管部門、研究基金専門管理機関の監査および検査の年間計画および実施について規定。
法令、規定の違反があり、かつ深刻な結果を招いた場合、科学技術研究における重大な信用喪失行為として記録され、その他社会信用システムとの関連を強化し、共同懲戒を実施する。(第47条~55条)

(2)「『国家重点研究開発計画資金管理弁法』関連実施細則(国科発資[2017]261号)」

「国家重点研究開発計画資金管理弁法」(以下、「資金管理弁法」)を補足し、資金管理弁法を円滑に実施するための詳細説明である。

例として、間接経費について、資金管理弁法では計算式のみが記載されているのに対して、本実施細則では、さらに一般的には設備購入費を差し引いた後の直接経費の金額を基準とする旨が明記されている。

(3)「国家重点研究開発計画管理暫行方法(国科発資[2017]152号)」

・ 科学技術部は、「ボトムアップ」と「トップダウン」結合の原則に基づき、関連部門と地方と共同で国家重点研究開発計画の全体的な業務割合を検討した上で、合同会議総合審査委員会の評議を経て、合同会議全体会議の審議に付する。(第14条)

・ 重点特定プロジェクトの執行期間は通常5年間であり、必要に応じて最適になるよう調整される。所期の目標を達成した場合、または設定期限に達した場合、自動終了。(第17条)

・ プロジェクトの申請にあたり、プロジェクト(課題)責任者は、科学研究信用記録に問題なく、年齢、就労年数等が指針要求に符号する人材でなければならない。
プロジェクト(課題)責任者および研究開発の基幹人材は、関連規程に沿って、エクストリームプロジェクト管理を実施する。(第24条)

・ 対外開放および提携を実施する。海外の科学研究機関、大学、専門学校、企業等の中国大陸に登録した法人は、指針に基づき、プロジェクト主導または参画の申請が可能。

・ プロジェクトを審査する専門家は、国家科学技術専門家データベースから選ばれ、一般に公開の上、罷免・交代制度を実施。また外国籍の専門家を審査員に加えることを奨励。(第26条)

・ 研究基金専門管理機関は、初回審議で立案数の3~4倍の申請を選定の上、プロジェクト主導部門による情報システムを通じた正式な申請書の記入を通知し、形式審査を経て、テレビ会議等の方法で答弁審議を実施。(第28条)

・ プロジェクト代表機関は、毎年11月末までに、情報システムを通じて研究基金専門管理機関に年度執行状況報告を提出。プロジェクト実行機関が3カ月未満の場合は、次年度分と併せて報告。(第42条)

・ プロジェクト中間検査を実施。研究期間が3年以上のプロジェクトは中間検査を実施し、目標達成可能であるかどうかを判断の上、中間執行状況を報告する。研究基金専門管理機関は関係部門および地方担当部門と共同で、中間検査を実施。(第43条)

・ 以下の事項について調整が必要な場合、情報システムを使用し上級機関の許可を得る。(第44条)

 (1)プロジェクト代表機関や課題研究機関、プロジェクト(課題)責任者、研究期間、研究目標や審査指標等プロジェクトの重大な変更
プロジェクト代表機関が研究基金専門管理機関に書面で申請。研究基金専門管理機関による検討の上、科学技術部の審査を経て研究基金専門管理機関が回答。

 (2)課題実施に係る変更
プロジェクト代表機関が研究基金専門管理機関に書面で申請。研究基金専門管理機関が審査承認し、科学技術部に報告。

 (3)その他一般的な調整事項
研究基金専門管理機関がプロジェクト代表機関に指導と管理を委ねる。

・ 研究基金専門管理機関はプロジェクト全体の実施状況を管理し、定期的にプロジェクト実施状況報告書を作成の上、改善意見や提案を書面または会議で重点特定事業参加部門に報告。
実施期間6カ月以上のプロジェクトについて、研究基金専門管理機関は毎年12月に科学技術部に執行状況を報告。研究期間が5年以上のプロジェクトは、3年目に中間執行状況報告書を提出。(第47条)

・ 重点特定事業参加部門は、年間および中間管理業務を強化し、実施状況の定期的な聞き取りを行う。少なくとも毎年一回は聞き取りを行い、重大な実施問題について速やかに分析・解析を図り、研究基金専門管理機関の具体的なプロジェクト管理業務の改善のために意見やアドバイスを提供する。(第48条)

・ プロジェクト満了後、研究基金専門管理機関は直ちにプロジェクト検証業務を開始し、プロジェクト代表機関に3カ月以内に検収準備を終え、情報システムを通じて検収資料を提出するよう求める。6カ月以内に検収を終え、理由なく期限に遅れてはならない。プロジェクト下位に設定された研究課題について、プロジェクト代表機関が事前に課題の検収を完了しておく必要がある。(第50条)

・ プロジェクトが期限までに完了できない場合、プロジェクト代表機関は、研究終了予定日の6カ月前までに研究期間の延長を申請。研究基金専門管理機関は上級機関に許可を求める。延長申請は原則1回限りであり、延長期間は1年以下。(第51条)

・ 研究基金専門管理機関は、プロジェクトの研究タイプ別に検収専門家チームを組織し、同業者・第三者・ユーザ等による研究目標と評価指標に基づき検収を行う。(第52条)

・ プロジェクト検収専門家チームは、以下3種類の状況に応じて結論を出す。(第54条)

 (1)期日に沿って業務品質を保ち、プロジェクト任務書で確定された主要目標および業務を完遂したものを合格とする。

 (2)不可抗力ではない原因によりプロジェクト任務書で確定された主要目標および業務を完遂できなかった場合、不合格とする。

 (3)不可抗力によりプロジェクト任務書で確定された主要目標および業務を完遂できなかった場合、最終報告手続きを行う。

・ 研究基金専門管理機関は、プロジェクトおよび財務の検収を統括的に実施。検収後3カ月以内にプロジェクト実施部門に通知する。プロジェクト実施部門は、国家科学技術報告システムおよび科学技術成果移転プロジェクトデータベースに登録する。検収結果は秘密保持が必要となる事項を除き、速やかに一般に公開される。(第56条)

・ プロジェクトにより形成された研究成果は「国家重点研究開発計画助成」(英文:National Key R&D Program of China)とプロジェクト番号を表示しなければならず、最初に注記される成果は、検収や評価の確認根拠となる。(第57条)

・ プロジェクトにより形成された知的財産権の帰属、使用、移転について、関連法令に基づき、関係部門は事前に契約を締結しなければならない。安全保障等、国家や社会に重大な利益や必要性がある場合、国家は第三者に有償または無償で当該知的財産権の実施権を附与することができる。(第58条)

・ 知的財産権を取得した研究機関は、研究成果を積極的に活用し、成果移転を促進しなければならない。(第59条)

・ 監督評価業務は、科学技術部、財政部がその他の特定プロジェクトの参加部門と共同で実施。(第63条)

・ 監督業務による結論と意見を形成し、速やかに関連部門または研究基金専門管理機関にフィードバックされなくてはならない。さらに改善が必要な場合は、提案または要求を提出し、改善を命じなければならない。(第67条)

・ 重点特定事業がまもなく終了期限となる、または満期を迎えた場合、研究基金専門管理機関は重点特定事業の実施状況について総括評価を行い、第三者機関に委託して全体の業績について評価を行い、重点特定事業の目標達成レベル、業務手配の合理性、組織の管理レベル、効果および影響等を全面的に評価する。(第69条)

・ 規定違反について、速やかに厳重処分する。審査に関わる専門家に対しては警告の上、期限を設けた上で是正、諮問、審査およびプロジェクト参加申請資格の取消しを行う。
担当部門および研究員に対しては、事情聴取、プロジェクトの資金支給の一時停止、支給済みのプロジェクト資金の回収、プロジェクト中止、段階的または無期限のプロジェクト参加申請資格の取消等の処分を行う。
処分結果は適切な方法で一般に公開し、科学研究信用記録に登録する。違法、規律違反の場合、速やかに司法関連および規律検査部門に移管する。(第70条)

・ 一元化された情報システムを構築。重点特定事業の成果、年間および中間管理、動態調整、監督、査定およびプロジェクトの立案、資金拠出、過程管理、検証およびモニタリング管理等の全過程のトレースが可能なようにする。(第71条)

以上


1. 关于深化中央财政科技计划(专项、基金等)管理改革方案的通知(国发〔2014〕64号)

2. Science Portal China 中国科技統計年鑑2018年版 7-1 国家の主な科学技術計画の基本状況

3. 国家重点研发计划资金管理办(财科教[2016]113号)

4. 国家重点研发计划资金管理办法》配套实施细则的通知(国科发资〔2017〕261号)

5. 国家重点研发计划管理暂行办法的通知(国科发资〔2017〕152号)

関連資料

科学技術振興機構研究開発戦略センター 海外トピック情報「中国の中央政府による競争的ファンディングプログラム

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