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【22-033】中国、水素の生産と水素ステーションの整備とも世界一に

JST北京事務所 2022年06月08日

 水素エネルギーは、21世紀にもっとも発展のポテンシャルがあるクリーンエネルギーとされ、水素エネルギーの産業化が全世界的に迅速に進んでいる。中国は中央から地方まで、水素エネルギー開発の取り組みを積極的に進めている。現時点で、中国は水素の生産、水素ステーションの整備等で世界第1位になった。人民網が伝えた。以下にその概要をまとめる。

 中国は最近「水素エネルギー発展中長期計画(2021~2035年)」[1]を発表し、水素エネルギー産業に対して初めて中長期のスパンで計画を立てたほか、地方政府も相次いで水素エネルギー産業振興の政策をつくり、水素ステーションなどインフラストラクチャーの整備にも精力的に取り組み始めている。昨今、中国は中央と地方において、エネルギーモデルチェンジや科学技術イノベーション、カーボンピークアウト・カーボンニュートラルへの対応などにおける水素エネルギーの役割の最大限化を宗旨として200近くの施策を講じており、北京、上海、広東、河南と河北にて5つの燃料電池自動車モデル都市群を設置した。これらは、水素エネルギー産業の振興に大きな刺激を与えている。

 中国は現在、東・西・南・北・中の5つの水素産業発展区域を形成し、一定規模以上の企業300社が、主に揚子江デルタ地域、広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)、北京・天津・河北等に分布している。全国の年間水素生産量は世界最多のおよそ3,300万トンに上り、うち、1,200万トンが産業用水準に達している。

 中国は2021年末までに、全国で水素ステーションを255ヶ所建設し、うち運営に入ったのが183ヶ所。現在、中国の水素ステーションは、建設完成、運営中と新規建設の3ステータスにおいてトリプル世界第1位を占めるという。うち、5割超の水素ステーションは上述した5つの燃料電池自動車モデル都市群に設置されている。今後燃料電池車の成長について、中国は2025年と2030年までに、それぞれ5万台と100万台に増えると見通されている。これに合わせて、水素ステーションの数も増加し、中国水素エネルギー連盟白書[2]によれば、それぞれ300ヶ所と1000ヶ所が整備される見通しである。

 なお、中国の水素産業は、まだ初期の段階にあり、今後水素ステーションなどインフラ整備の発展を確保するために、水素ステーションの建設・運営管理政策の立案、水素ステーション整備に関する国家基準の制定、統一的な計画の作成などを含む法令整備も不可欠であるという。


1.国家发展改革委、国家能源局联合印发《氢能产业发展中长期规划(2021-2035年)》
  氢能产业发展中长期规划(2021-2035年

2.《中国氢能源及燃料电池产业白皮书2020

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