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【22-034】《宇宙》中国、民間企業が宇宙関連分野で好調な活躍

JST北京事務所 2022年06月14日

 2014年に発表された「重点分野における投融資制度革新と民間資本の参与促進に関する指導意見」およびその後「国家民用空間インフラストラクチャー中長期発展計画(2015~2025)※」において、民生用宇宙インフラストラクチャー整備および衛星の商業的打ち上げや応用などへの参与奨励が呼びかけられたことを契機に、中国は宇宙事業の商業化発展を進めてきた。これを受けて、同分野に民間スタートアップ企業が数多く誕生し、国有の宇宙関係機関とともに中国の宇宙ビジネスの基本構造を形成している。

 中金[1]レポートによると、中国国内で登録した商業宇宙開発企業は141社に上り、そのうち民間企業は123社、全体の87.2%を占めた。この中で民間宇宙開発企業は、国の宇宙事業システムの有力な補足として、主にミニ衛星の製造およびサブシステムと部品生産などに取り組むと位置づけられている。

 宇宙関連企業は知的財産の創出に力を注いでいる。天眼査研究院の分析よれば、

・ 衛星関連企業による特許の出願は、過去2015~2021年の7年間に、年平均15.2%と高速な成長を成し遂げ、2020年はさらに加速し25.2%の伸びとなった。特許の内訳[2]では、発明特許は6割超、実用新案と意匠はそれぞれ26.7%と12.3%であった。

・ ロケット関連企業の特許出願は、同7年間に年平均30.9%と伸び、特に2018年と2019年は40%以上の成長を達成した。特許の内訳では、発明特許が4割弱、実用新案と意匠はそれぞれ27.6%と23.2%を占めた。

 宇宙関連企業の中国国内での分布は、研究、人材、政策などが総合的に優れた地域とされる北京に最も多く、全体の40.8%を占める。それに江蘇省(11.2%)と広東省(7.9%)が続く。

 中国の商業的宇宙産業は、上流のロケット・衛星製造から中流のロケット部品の生産、衛星の測定・コントロール、更に下流の応用・サービス提供までカバーした産業チェーンを整えており、環境、海洋、気象などから、オンラインタクシー予約や速達、出前など民生市場まで広く展開している。

 中国国内宇宙関連企業は、国内ファンドからの融資のほか、Lightspeed Venture Partners、Sequoia Capitalなど海外でも知られるキャピタルも積極的に参与している。


1.中金公司は中国初の外資との合資投資銀行。

2.注:中国で特許(専利)とは、発明特許(一般に言う特許のこと)のほか、実用新案と意匠も特許として取り扱われる。

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