北京便り
トップ  > コラム&リポート 北京便り >  File No.23-002

【23-002】《注目分野》CAS・クラリベイト、2022年リサーチフロントを発表

JST北京事務所 2023年01月11日

 中国科学院科学技術戦略諮問研究院(CASISD)、中国科学院文献情報センターおよびクラリベイト社の共催により、「2022リサーチフロント」と「2022リサーチフロントホット指数」に関する発表・講演会が12月27日にオンラインにて行われた。同発表では、米国は全体的に最も活発な研究を続け、この度取り上げられたトータル165のリサーチフロントのうち79フロントにおいて1位を守り、次いで中国、英国などがその後に続いたという。同発表・講演会には、中国科学院、中国科技部、国家自然科学基金委員会および大学、研究機関、シンクタンクなどから15万人超が参加した。CASISDサイトが伝えた。以下にその概要をまとめる。

「2022リサーチフロント」はESIデータベースに取り上げられた12,610のリサーチフロントを基に、農業科学・動植物学、生態・環境科学、地球科学、臨床医学、生物化学、化学・材料科学、物理学、天文・天体物理学、数学、情報科学、経済学・心理学及びその他社会科学の11科学分野から、110のホットリサーチフロントと55の新興フロントを選んだ。そして、「2022リサーチフロントホット指数」は「2022リサーチフロント」を踏まえ、中国、米国、英国、ドイツ、フランス、日本等のリサーチフロントにおける動向について分析を行った。その結果、米国が最も活発で1位を占め、中、英、独は2位から5位に次いだが、5位の仏はTop4の国と比べて比較的に大きな差があるという。

 ホットリサーとフロントと新興フロントの合計165フロントにおける中米両国の内訳では、米国は1位になるフロントが79で全体の47.88%占め、中国は1位になるフロンが52で同31.52%を占めるとみられる。また、中国は分野から見れば、農業科学・動植物学、生態・環境科学、化学・材料科学、物理学の4分野で1位に並んでいるが、臨床医学、天文・天体物理学の2分野は優れない分野であると分かる。

 同発表に続いて行われた基調講演において、CASISDの潘教峰院長は、「2022リサーチフロント」で取り上げられた11分野における昨今の進展および重点な研究課題について分析をしたほか、当面の科学研究の動向について以下の8つの特徴があるとまとめた。

1)人工知能が各科学分野に貢献し、科学研究の新しいパラダイムも確立されてきている。

2)新型コロナウイルスにもたらされた大きな課題が多くの科学研究の強力な駆動力にもなる。

3)地球科学における大きなブレークスルーが、今後当面の期間変わらずに「エネルギー安全」を確保する主要な技術的サポートとなる。

4)「食品安全」と「健康課題」の解決に、ゲノム技術の基礎研究に関するオープンなビッグサイエンス計画が不可欠である。

5)マクロ宇宙・住みやすい地球探索が地球システムの統一情景解析に寄与する。

6)深層宇宙探査・ミクロコントロールが物質科学知識体系の境界を不断に広げる。

7)数学研究が世紀的な難題と各科学分野の数学論理のボトルネックを解明する

8)人間の認知限度に関わる複雑な最先端課題へのチャレンジが、自然科学、工学科学と社会科学の境界を取り除きつつある。

関連記事

2022研究前沿发布暨研讨会在线举行】中国科学院科技战略咨询研究院 2022-12-27