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【22-05】優れた環境でハイテク力を活性化して経済発展を目指す昆明ハイテクパーク

趙漢斌(科技日報記者) 金 穎(科技日報通信員) 2022年06月13日

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重慶市級農村振興モデル拠点----万州恒合郷に広がる菜の花畑 画像提供:取材先

227社

2021年末の時点で、昆明ハイテクパーク内のハイテク企業は227社となり、各種イノベーションプラットフォーム・キャリヤーの数は177となった。そして、パーク内のバイオ医薬品や新材料、先進的設備製造、IT、現代サービス業といった新興産業は安定した発展を実現している。

「花開けば蝶が自然と飛んでくる」と言われるように、受け入れ環境を整えれば自然と企業やプロジェクトが集まって来る。

 2022年に入り、中機西南実業雲南有限公司本社や雲南省医療投資管理集団のバイオ関連の株式所有権をめぐる増資プロジェクト、中南高科昆明智創産業パークなどが続々と、1年中過ごしやすい気候であることから「春城(春の都市)」と呼ばれる雲南省昆明市に進出している。

 第一四半期(1-3月)、昆明ハイテク産業開発区(以下「昆明ハイテクパーク」)は7つの重点プロジェクトの契約を締結した。契約総額は43億700万元(1元は約18.8円)に達し、市外から実際に投じられた資金は40億元を超えた。

 昆明ハイテクパークは最近、2022年第一四半期の経済運営分析並びに第二四半期(4-6月)の主要経済指標推進会を開催した。会議では「昆明ハイテクパークは、上も下も『旗振り役』を務めるという市の活動テーマをしっかりと胸に刻み、『期間が半分過ぎた時点で、任務も半分完了させる』目標を見定め、できる限りを尽くして、期日通りに計画が進むよう、急ピッチで業務を進め、遅れを取り戻す。第一四半期を振り返り、第二四半期に奮闘し、目標を達成し、確実な業務の成果を通して、昆明のために、雲南省全体の経済社会発展の先頭に立ち、ハイレベルな貢献をしなければならない」と指摘した。

プロセスの簡素化でプロジェクトの速やかな実施を実現

 審査のプロセスを簡素化し、行政審査の全プロセス代理手続き制度を全面的に推進し、不備がある場合、先に手続きを進めて、後に追加することを認め、一括審査する方式を実行し、企業へのサービス提供において「死角ゼロ」を実現し、企業が足を運ぶことなく手続きができるようにし、効率の良いサービスを堅持し、プロジェクトが速やかに実施できるようバックアップするというのが、昆明ハイテクパークが投資誘致にサービスを提供する際の「鉄則」となっている。

 昆明ハイテクパークの行政審査局の畢祖華局長は、「聞泰科技昆明スマート製造産業パークの用地のニーズを満たす面で、当局は、できる限り早いスピードで用地範囲計画を策定し、用地審査の『グリーンチャンネル』を開通させ、用地の事前審査、許可を求める上部への報告、徴収、供給、登録などの部分で、用地調整優先、プロセスの簡素化、同時進行を実行し、特殊なケースには特殊な対応、急ぎのケースには、急いで対応するスタイルを貫いている」と説明する。

 そのようにサービスが提供されているため、今年の第一四半期に7プロジェクトの契約が締結されほか、ターゲットを絞った投資誘致プロジェクト82件が交渉中で、うち、成熟度の高いプロジェクトが25件、投資総額が5億元以上のプロジェクトが9件となっている。2021年末の時点で、昆明ハイテクパーク内のハイテク企業は227社となり、各種イノベーションプラットフォーム・キャリヤーの数は177となった。そして、パーク内のバイオ医薬品や新材料、先進的設備製造、IT、現代サービス業といった新興産業は安定した発展を実現している。

第一線で調査研究を行い実際の問題を解決

 雲南省で唯一「全国質の高い発展を実現するパークトップ100」に名を連ね、中国政府に先進的製造業と現代サービス業の融合発展テスト事業機関に指定され、2021年の中国バイオ医薬品パーク競争力ランキングで38位に入るなど、昆明ハイテクパークは2021年、第13次五カ年計画(2016‐20年)期間の勢いある発展の流れを引き継いで、第14次五カ年計画(2021‐25年)期間も幸先の良いスタートを切り、カギとなる指標は安定、好調をキープしている。

 しかし、昆明ハイテクパークはそれに留まることはない。

 テクノロジー政策の着実な実行を推進し、南アジア、東南アジアをターゲットとした地域的イノベーション型特色パークの建設という目標にしっかりと照準を合わせ、昆明ハイテクパーク管理委員会の職員は、固定の考え方や観念を少しずつ捨てて、幅広い視野を持つようになっている。パーク内の各機関は、実際の必要に立脚し、全市、全省、ひいては全国の主要な指標の中でも先進的な指標を探して、それと比較して、それを目標に活動がさらなる高みへと進めるよう取り組んでいる。

 昆明ハイテクパーク党工作委員会の委員で、管理委員会の副会長を務める張学平氏は、「差をどのように見なし、どのように発展させ、どのように活動するかがカギ。職員らが率先して、考え方、仕事、職責の面で模範を示し、カギとなる一部の職員が、ハイテクパークの幹部陣がさらに、オープンな思想を持ち、仕事のやり方を変え、パークの質の高い発展のためにみなぎる力を結集するようリードしなければならない」との見方を示す。

 昆明ハイテクパーク第一線で活動して本当に必要なサービスを提供している。

 昆明ハイテクパークでは現在、中国医学科学院医学生物学研究所イノベーションワクチン研究開発・産業化クラスター一期プロジェクトの建設が行われている。うち、新型コロナウイルスの不活化ワクチン(Vero細胞)能力拡張プロジェクトの主体プロジェクト1号棟原液作業場が2021年末に完成した。同プロジェクトは立ち上げから、着工、完成までの全てが1年以内に実現した。

 プロジェクトで安全に電気が使用できるようにするために、昆明ハイテクパークは、事務所をプロジェクト建設の第一線に移し、重要な節目の工事に焦点を当て、カギとなる事項を統一して計画し、変電所の立地選定・実施やケーブルの埋設、基礎建設といったカギとなる工事をめぐる問題を相次いで解決した。昆明ハイテクパーク計画建設局は、特別チームを立ち上げ、専門のスタッフが、雲南電網有限責任公司昆明供電局がプロジェクトの計画、建設関連の審査手続きを進めることができるよう、積極的にサポートした。わずか3日間で、110kVの高家荘変電所の配線地中埋設工事のための土地収用、引き渡しが完了した。中国医学科学院医学生物学研究所弁公室の郭映秋室長は取材に対して、「このようなサービスとスピードは、非常に高く評価されるべきで、そのおかげでプロジェクトを効率的に、質が高く、安定して進めることができた」と話した。

 どんなニーズがあるかを企業に聞き、それに合わせて計画を立てている。2022年第一四半期、昆明ハイテクパークの職員は、中国医学科学院医学生物学研究所や竜津薬業、貝泰妮集団、昆薬集団、貴金属集団といったパーク内のリーディングカンパニーに相次いで足を運んで調査・研究を実施して、企業のニーズを理解し、責任者を配置し、実際の問題を解決し、計画、目標、要求などを明確にして、その実行、達成を目指して取り組んできた。

目標を見定めてカギとなる部分の改革を推進

 昆明ハイテクパーク計画建設局の袁建華局長は、「当パークには、『四用四即』というサービスがある。企業や新たに実施されるプロジェクトの水や電気、インターネットといった生産関連の要素を保障するためのサービスだ。当パークは近年、関連のインフラの協同化を重視しており、全体から着目し、小さな部分から着手し、必要な水や電気、ガス、インターネットをすぐに使える状態を確保している。「関連サービスの面で協力できるかどうかに、ハイテクパークのサービスの誠意やサービスの水準が現れる」と述べた。

 業務、企業ごとにケースバイケースで対応するという原則を実行する昆明ハイテクパークは、貝泰妮集団といった重点企業にターゲットを絞ってサポートを実施し、企業が方向性をしっかりと定め、はっきりとした思考を持ち、事前に計画できるようバックアップし、専門化の程度、管理水準の向上、人材陣の育成、イノベーション能力の建設推進を加速させ、優良企業育成バンクのレベル別に分類し、「ポイント・ツー・ポイント」の正確なマッチングを実現している。

 オンラインの活用を見ると、昆明ハイテクパークは、雲南省一体化政務サービスプラットフォームやスマホアプリ「一部手機弁事通」などを駆使し、全ての手続きがオンラインでできる割合を向上させ、サービス・誘導を強化している。また、オフラインを見ると、サービスの効率を向上させ、政府の権利・職責リストの公示やサービス事項、審査のプロセスを簡素化し、受付や証書の交付などは窓口で一括対応し、分類・審査などは裏で振り分けて行うスタイルを導入して、行政審査事項の申請をしてから5営業日以内に全ての手続きが完了する体制を整えている。また、同パークは、手続き代行サービスを最適化し、グリーンチャンネルを開通させ、重点プロジェクトのために専門チームを立ち上げて24時間体制でサービスを提供。全プロセスを追跡し、業務を監督し、プロジェクト推進における各事項の実施をサポートしている。同パークには今、はつらつとした活気あるムードが漂っている。

 昆明ハイテクパークは「経済建設の主戦場や産業成長の中心勢力、テクノロジーイノベーションの旗振り役」という位置付けをしっかりと念頭に置き、南アジア、東南アジアをターゲットとした地域的イノベーション型特色パークを建設するという目標をかかげて、今年2月から、「旗振り役として模範を示す」プログラムをスタートさせた。張氏は、「今年、年間を通してそのプログラムが実施される。例えば、昆明ハイテクパークは、積極的にマッチングし、質の高い発展の指標体制を推進し、深いレベルで、重点分野、カギとなる部分の改革、イノベーションを推し進める。また、2023年からは、そのような活動を常態化させる計画だ」と説明する。

 そして、「昆明ハイテクパークは、『飛躍をバックアップする』原則に基づき、全国から競うことのできる地域や代表的なプロジェクトを選び、その差を分析し、責務、職務履行の目標、『創先争優』(先進的なパークを築き、優秀なパークになるよう奮闘する)のための目標を決めて、措置を制定し、ハイテクパークの総合的な審査順位を押し上げ、一つ一つの業務にベンチマークや特色があるように取り組む。昆明ハイテクパークの25部門は既に、職務、職責履行の目標5つ以上、『創先争優』のための目標を3つ以上定め、実施する措置を講じている」と説明する。

 主な責任、主な事業に焦点を合わせ、昆明ハイテクパークは、バイオ産業や新材料産業を重点的に発展させ、新世代情報技術産業、デジタル経済産業、現代サービス業といった産業の発展をサポートし、先進的で、ハイレベルな産業作りに持続的に取り組んでいる。第14次五カ年計画期間の終盤までに、同パークは、メイン事業の売上高を4000億元以上にまで引き上げることを目標にしているほか、雲南省の1兆元級の5産業、1000億元級の8産業を積極的に引き受け、それを下支えするほか、昆明市の1000億元級の産業クラスターの発展を下支えする計画だ。


※本稿は、科技日報「這个園区瞄准経済発展"排頭兵" 以更優営商環境激活"高新"力量」(2022年5月5日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。