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【22-20】産業動向を焦点にサービスの向上を目指すライフサイエンスパーク

華 凌(科技日報記者) 2022年08月25日

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画像提供:人民視覚

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 20年以上の運営を経て、中関村ライフサイエンスパークには現在、ハイレベル人材200人以上、イノベーション型医薬・ヘルス企業500社以上が集まっている。また、北京大学国際病院といった複数の医療機関も建設され、基礎研究やパイロット生産・研究開発、生産・流通から、端末医療までをカバーするオール産業チェーンクラスターが形成されつつある。
楊薇薇 北京未来科学城管理委員会ライフパーク協調処処長

 近代的なバイオテクノロジーや新医薬産業は、新世紀の「ダイヤモンド産業」と称されている。「モデルエリア・試験エリア」建設を進める北京市昌平区の重要モデルプロジェクトである「北京諾誠健華医薬科技有限公司(「諾誠健華」)抗がんイノベーション薬拠点の建設がこのほど始まった。同社はイノベーション薬研究開発センターや高分子新薬パイロット生産・生産拠点などを建設し、オリジナル成果を有する研究開発、パイロット生産、生産が一体となったイノベーション薬モデルプロジェクトを構築する計画だ。

「諾誠健華」は2015年、バイオ医薬品に特化したテクノロジーパークとなる北京昌平区中関村ライフサイエンスパークに研究開発センターを建設した。そして、2020年に、同社初の新薬であるorelabrutinibの発売が承認されたほか、香港証券取引所にも上場。わずか5年で、新薬の発売と上場というすばらしい成果を挙げた。それは、ビジネス環境を継続的に最適化した昌平区と「バトラーサービス」を提供してきた中関村ライフサイエンスパーク管理委員会の努力のおかげにほかならない。医薬・ヘルス分野のハイテク企業が一つまた一つ同パークに入居し、成長している。同パークは近年、バイオ医薬品産業クラスター建設に力を入れ、世界先端レベルの「ライフバレー」構築を目指している。

夢を追う科学研究成果の実用化が加速

 2000年、中国国務院の承認を経て、中国のライフサイエンス分野のオリジナルイノベーションの夢、新世紀の世界の競争に対処するという使命を背負った中関村ライフサイエンスパークの建設が始まった。

 実験をして、模索して、また実験をして、模索する......。中関村ライフサイエンスパークは誕生以来、中国のライフサイエンス分野の実験場となっている。そして、今、北京ライフサイエンス研究所といった研究機関が続々と設置され、パーソナライズ化脳機能分割技術といった一連の重要なオリジナル成果が誕生している。博雅輯因(北京)生物科技有限公司のサラセミアを治療するゲノム編集技術を駆使した医薬品や数坤(北京)網絡科技股份有限公司の心血管AI診断ソフトウェアといったイノベーション製品が続々と登場している。特に、2021年3月1日、マントル細胞リンパ腫の治療に使われる中国国産の新薬「ザヌブルチニブ」(中国語:泽布替尼)は、国家医療保険目録に組み込まれ、患者の負担が45%軽減された。また、45の国と地域では発売もされている。同新薬はリーディングカンパニー・百済神州(北京)生物科技有限公司(「百済神州」)が実験室で研究開発され、より多くの患者が利用でき、経済的も利用しやすくなるようになるまでにわずか8年しかかからなかった。

 北京未来科学城管理委員会ライフパーク協調処の楊薇薇処長は、「20年以上の運営を経て、中関村ライフサイエンスパークには現在、ハイレベル人材200人以上、イノベーション型医薬・ヘルス企業500社以上が集まっている。また、北京大学国際病院といった多くの医療機関も建設され、基礎研究やパイロット生産・研究開発、生産・流通から、端末医療までをカバーするオール産業チェーンクラスターが形成されつつある」と語る。

 そして、「世界に向けて、方向性を定めた投資誘致を行い、多くの医薬・ヘルス産業プロジェクトが、市・区の重点プロジェクトバンクに組み込まれている。うち、華輝安健(北京)生物科技有限公司(「華輝安健」)の高分子抗体医薬品生産拠点といった重要プロジェクトの建設が加速している。北京万泰生物薬業股份有限公司(「万泰生物」)や北京卓誠惠生生物科技股份有限公司(「卓誠惠生」)、卡尤迪医学検験実験室(北京)有限公司といったリーディングカンパニーもここで生産能力を拡充している。また、当パークには北京賽諾根制薬有限公司制薬研究開発センター、医薬 品情報協会(DIA)といった外資系企業やサービス機関も集まっている」と説明する。

産業を下支えし世界最先端の「ライフバレー」を構築

 新型コロナウイルスの突如の襲来を受け、時間をかけて地道に努力を重ね、確実に蓄積した力を少しずつ発揮してきた中関村ライフサイエンスパークの企業はイノベーションの実力を発揮し、テクノロジーを駆使して新型コロナウイルスと戦っている。例えば、北京丹序生物制薬有限公司の新型コロナウイルス中和抗体薬は、北京地壇病院の臨床で「コンパッショネート使用」されている。また、万泰生物の鼻の粘膜に噴霧して接種するワクチンは、国際共同治験の第3相臨床試験が行われている。華輝安健の新型コロナウイルス感染症に対する医薬品・レムデシビルの第1相臨床試験も順調に実施されている。万泰生物や卓誠惠生などの新型コロナウイルス抗原検査キットは、中国国家薬品監督管理局の承認を受け、販売されている。

 イノベーション企業が急速に発展しているのは、北京市が医薬・ヘルス産業を非常に重視しているほか、中関村ライフサイエンスパークに良好な産業環境が築かれているおかげだ。中関村ライフサイエンスパークの牽引的役割をさらに発揮させるために、昌平区が最近発表した「昌平区医薬・ヘルス産業倍増行動計画(2022--25年)」は、先端技術、医療機器、ビューティフルヘルスの3大分野をめぐって、政策、空間、人材、資本、関連サービスからなる「五位一体」の要素が下支えする体制を構築し、区全体の資源、力を統合し、1千億元(1元は約19.8円)級の医薬・ヘルス産業クラスターを構築する。

 楊処長は、「当パークは近年、産業の普遍的ニーズにスポットを当て、医薬・ヘルス産業の発展の動向に焦点を合わせ、産業サービス体制を継続的に整備し、世界最先端の『ライフバレー』を構築しようとしている」と説明する。

 楊処長によると、中関村ライフサイエンスパークは北京新生巣生物医薬品科技産業運営有限公司や北京清華工業開発研究院(「清華工研院」)といったグローバル化、マーケタイゼーション、専門化された運営チームを誘致し、専門サービスを通して、イノベーション資源要素を集約し、研究開発、イノベーションから、産業での応用までのルートを切り開き、有名な科学者60人以上の企業立ち上げをサポートしてきた。専門技術サービスプラットフォームの面を見ると、中関村ライフサイエンスパークは、商業化低温電子顕微鏡・医薬品発見イノベーションセンター、北京重大疾病臨床サンプル資源公共サービスプラットフォーム、「ワンストップ型」のバイオ材料特殊物品輸出入公共サービス「緑通北」プラットフォーム、医療機器CMOサービスプラットフォームなどを構築している。

 また、中関村ライフサイエンスパークは北京高博医療科技集団有限公司と共同で、中国初の臨床研究用に転化された国際研究型病院を建設中だ。同プロジェクトは北京市「3つの100」重点プロジェクトバンクと「モデルエリア・試験エリア」の重点産業建設プロジェクトバンクに組み込まれ、2023年に完成すれば、年間400--600件の臨床試験や臨床研究が行われる計画で、北京で研究開発される新薬の承認・発売を促進するようになると期待されている。清華工研院細胞・遺伝子治療イノベーションセンターといった産業の基盤となるプラットフォームが建設され、運営が始まり、企業にインキュベーション、イノベーション開発、パイロット生産・開発、医薬品生産からなるオールチェーンサービスを提供し、産業の発展をエンパワーメントする。

開放とイノベーションによりグローバル化した高度人材エコシステムを構築

 2020年9月、中関村ライフサイエンスパーク及び周辺の10.26平方キロが中国(北京)自由貿易試験区テクノロジーイノベーションエリアに組み込まれ、中関村国家自主イノベーションモデルエリア、国家サービス業開放拡大総合モデルエリア、中国(北京)自由貿易試験区の3大国家級機能エリアが重なり合う北京対外開放の主要な場となった。

 楊処長は、「『モデルエリア・試験エリア』制度のイノベーションの優位性を活かし、当パークはディセントラリゼーション臨床試験(DCT)、研究型病院建設、国家ハイテク企業届出即承認といった一連の革新的な政策テスト事業を率先して展開し、北京市初の自由貿易グループ医薬・ヘルス産業促進政策を打ち出し、研究開発や臨床、発売といった各部分をめぐって、企業に『一里塚』式の政策サポートを提供している」と説明する。

 企業にさらに良い発展環境を提供するべく、中関村ライフサイエンスパークは、サービス関連施設を持続的に整備している。そして、「昌生宿場」、人材活動室、外国人サービスホール、自由貿易クラスター登録プラットフォームといった、「1宿場1室1ホール1プラットフォーム」の自由貿易サービス体制構築を推進し、企業と人材にさらにターゲットを絞った効率的なサービスを提供している。また、同パークは、各種交流活動を定期的に開催してきた。全国医療機器安全PRウィークや新薬創始者クラブ年次総会といった一連のイベントを成コンパッショネート使用した。そして第1回北京·昌平ライフサイエンス国際サミットフォーラムも開催し、産業ブランドIPを構築し、顧客ロイヤリティが高く魅力あるエコシステムを構築する計画だ。

 同パークは今後、発展空間と戦略的奥行きを開拓する計画だ。同パークの三期開発建設が現在、急ピッチで進められており、その計画総面積は300万平方メートルを超えている。そして、質の高い生活、ビジネスサービス施設、動物実験、危険物・有害廃棄物処理といった専門施設が設置され、環境が美しく、開放的で共有でき、活力に満ちたテクノロジーイノベーションパークが構築される計画だ。

 北京市昌平区党委員会常務委員を務める楊仁全・常務副区長は、「中関村国家自主イノベーションモデルエリア、国家サービス業開放拡大総合モデルエリア、中国(北京)自由貿易試験区建設という重要な実行主体としての当区は、中関村ライフサイエンスパークを主要な場に、ライフサイエンス分野のオリジナルイノベーションの発展の地構築を加速させている。当区は今後、国家戦略のテクノロジーの力を活用して、ライフサイエンス技術キャッチアッププロジェクトを一歩踏み込んで実施し、さらに多くのブレイクスルーを実現し、世界的な競争力を有する産業クラスターを育成し、世界最先端のテクノロジーパーク建設を加速させる計画だ」と説明する。


※本稿は、科技日報「瞄准産業趨勢完善服務這片生命科学試験田成果豊碩」(2022年7月19日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。