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【20-018】相互支援で日本に対する好感度が急上昇―中国新型コロナ防疫リポート(8)

2020年07月21日

楊保志

楊保志(風生水起);広東省科技庁科技交流合作処副調研員

河南省潢川県出身。入学試験に合格し軍事学校に入学。26年間、軍務に就き大江南北を転戦し、その足跡は祖国の大好河山に広くおよび、新彊、甘粛、広東、広西、海南などの地域で銃を操作し弾を投擲した。メディア、組織、宣伝、人事などに関する業務に長年従事し、2013年末、広東省の業務に転じた。発表した作品は『人民日報』『光明日報』『中国青年報』『検査日報』『紀検監察報』『法制日報』『解放軍報』『中国民航報』などの中央メディアの文芸・学術欄に、また各地方紙、各軍関連紙軍兵種報紙にも掲載され、『新華文摘』『西部文学』『朔方』などの雑誌や、ラジオ、文学雑誌にも採用され、"中国新聞賞"文芸・学術欄銀賞、銅賞をそれぞれ受賞し、作品数は500篇に迫る。かつては発表を目的に筆を執っていたが、現在は純粋に「自分の楽しみ」のためとしている。

 中国での新型コロナウイルス感染拡大以降、欧米の一部の国は新型コロナウイルスを、「武漢ウイルス」、「中国ウイルス」などと差別的に呼んだが、日本の人々や政府は、中国に対して友好的な立場を保ち、物質面から精神面まで広く支援を行うなど、中国の人々に必要な助けの手を差し伸べてくれた。このため、中国人の日本に対する好感度、イメージは一気に上昇した。

 湖北省武漢市で新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大したことを受けて、日本は即座に反応し、1月23日には、安倍首相が公の場で、「中国の新型コロナとの闘いを全力で支援する」との姿勢を示した。

 そして、感染が中国全土に拡大し、中国国内の医療物資が不足していた1月25日、日本の民間が寄贈したマスク100万枚が中国に到着した。これは、海外から送られてきた初めての支援物資だった。

 さらに、4日後、日本政府が調達したマスク1万5,000枚、手袋5万組、防護ゴーグル8,000個、防護服50セット、医療用サージカルマスク2,000枚が、中国に到着した。

 1月29日、湖北省に在留する日本人が帰国するための、日本政府が手配したチャーター便は、数トン分に及ぶマスクや防護服、消毒液などの救援物資を積んで、武漢に到着した。

 この他にも、日本の各友好都市が、続々と中国に支援の手を差し伸べた。例えば、大分県は、武漢にマスク3万枚を、東京都は湖北省に専用防護服2万着を、広島県は四川省にマスク8万枚を寄贈した。さらに、静岡県浜松市、鳥取県境港市、滋賀県東近江市、北海道苫小牧市、秋田県由利本荘市、鹿児島県薩摩川内市などが、中国の友好都市にそれぞれ医療物資を寄贈した。

 中国が困難に直面した時に、日本が支援の手を差し伸べたのは今回が初めてではない。2008年に四川大地震が起きた際、先頭を切って現地入りした外国の専門救援隊が、日本の救援隊だった。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)感染拡大が深刻化した際にも、日本は中国に医療物資や義援金を寄付し、専門家グループを派遣して、緊急医療支援を行った。

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大阪道頓堀商店街に掲げられた武漢にエールを送る垂れ幕

 大阪の道頓堀商店街など、多くの街中に、「武漢がんばれ!」と中国語でエールを送る垂れ幕が掲げられた。また、東京渋谷の街頭ビジョンでも「中国がんばれ」と応援するメッセージが流された。東京スカイツリーでは、タワーを青色に照らし、「TOGETHER WE CAN ALL WIN!」というメッセージを表示して、中国を応援した。北海道の函館は、元宵節(旧暦1月15日、今年は2月8日)にランタンフェスティバルを開催した。ランタンには「中国がんばれ」、「武漢がんばれ」という応援のメッセージが書かれていた。

 春晩(春節<旧正月、今年は1月25日>を祝う中国の国民的年越し番組)をライブ配信した動画配信サイトでは、新型コロナウイルと闘う医療従事者らの映像が流れると、日本の若いネットユーザーらが「武漢頑張れ」、「中国頑張れ」という弾幕を次々に書き込み、エールを送った。

 さらに、日本の人々は、支援物資に漢詩を書いて、新型コロナウイルと闘う中国人を応援した。その中でも、最も有名になったのが、HSK(中国語検定試験)の日本事務局が送った救援物資の箱に書かれた「山川異域、風月同天(山川、域を異にすれども、風月、天を同じゅうす)」という漢詩だ。富山県が遼寧省に寄贈した物資には、「遼河雪融、富山花開。同気連枝、共盼春来(遼寧で雪が解ければ、富山で花が咲く。同じ木でつながる枝のように、春が来るのをともに望む。)」という詩が書かれていた。富山と遼寧両地の名前が入った、絶妙な詞だ。

 日本の人々の心のこもった励ましとサポートに、中国の人々は心を温かくした。今回、最も好感を持てたのは、日本の政府だけでなく、民間に至るまで、多くの人々が中国を支援し、エールを送ったことだった。

 日本の厚生労働省は記者会見で、中国人への中傷やデマに関して、「人が悪いわけでなく、ウイルスが悪い」と、デマに惑わされず冷静に対応するよう呼び掛けた。日本の専門家はテレビ番組の中で、中国の新型コロナウイルを封じ込めるための対策と成果を高く評価した。日本のある学校の保護者向け通知には、「ニュースやネットでの情報が広がるに従い、中国や武漢市という地域、そこにかかわりのある人々へのいわれなき差別発言等が懸念されます。ご家庭におかれましては、お子さんとの語らいの中で、正しい人権意識が育つようにご配慮願います」というメッセージが書かれていた。

 2月に入って中国人が日本の対応に感動している最中に、日本でも新型コロナウイル感染が少しずつ拡大し始めた。まず、親族訪問や旅行で日本を訪れた中国人が経路となった感染が少しずつ出始め、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」で集団感染が発生し、感染が日本全国に広がっていった。当時、日本でも医療物資や衛生用品の不足が深刻になった。そのため、中国政府や民間がマスクや防護服などの物資を寄贈した。まさに、「どんな些細な恩義でも、受けた恩義には必ずお返しをする」という中国のことわざ通りだ。

 新型コロナウイルスと闘うために、中国と日本が互いに支援し合った感動のエピソードはまだたくさんある。表面的には、共同での新型コロナウイルスとの闘いであるが、本質的には中国と日本の人々の、善を行い、良い方向に向かってほしいという願いの表れであると言えるだろう。中国と日本は引っ越すことのできない隣国で、共に発展し進歩したいと願っている。中国と日本の関係が良ければ、共に繁栄し、強国となり、争えば、第三者に利益を横取りされるだろう。

 今回の新型コロナウイルス流行を通して、中国人は、日本人の民度、教養、ソーシャル・ガバナンスの効力などに対する理解を深め、好感度が大幅にアップした。新型コロナウイルスが収束した後、海外旅行先に、多くの人が日本を第一の選択肢に選ぶに違いない。