【23-08】広東省深圳市、サイエンスシティの特別条例を施行
葉 青(科技日報記者) 2023年08月02日
中国広東省深圳市で6月1日、「深圳経済特区光明科学城発展促進条例」が施行された。中国で初めて科学城(サイエンスシティ)を対象とした特別法規となる。
深圳市にある光明科学城は2019年の着工から、重要な科学イノベーションキャリアの事業展開や建設を推進し、研究経済発展の新たなモデルを積極的に模索しており、現在は全面的な建設段階に入っている。今回の立法は主に、改革発展のボトルネックとなっている難問を解決する上で特区が立法権の役割を果たすこと、科学技術イノベーションの体制・メカニズム改革を深化させること、光明科学城の発展の法則に合致した建設運営・管理モデルを構築・整備すること、各種主体のイノベーション活力を最大限に引き出すことを目指している。
同条例は深圳光明科学城の建設・発展における実際のニーズに基づき、ガバナンス構造と運営メカニズム、国土計画と用地管理、科学技術イノベーションと成果の転化、人材環境と金融面支援などの重要分野において、イノベーションの制度設計を打ち出し、科学城の建設・発展のために法による強固な保障を提供する。
同市人民代表大会常務委員会委員で、深圳社会主義学院副院長の譚剛氏は、「条例は2つの特徴を持つ。1つはこれまで効果のあった改革成果を法律の形で固定化することで各種重要改革の推進・実施に役立たせること、もう1つは4つのチェーン(イノベーションチェーン、産業チェーン、資金チェーン、人材チェーン)を融合させるという特徴がある」と説明した。
条例は光明科学城の重要科学技術インフラや先端的学際研究プラットフォームなどの科学研究キャリアの展開、育成、建設について詳しく規定。市政府に対し、情報や生命、新材料などの先端分野に焦点を当て、光明科学城に汎用型・専用型の重要科学技術インフラを集中的に配置、建設するよう求めている。また、ハイレベル科学研究機器の開発や精密測量などの先端的学際研究プラットフォーム、ビッグデータセンター、国際科学技術情報センターといった科学技術支援サービスプラットフォームを建設するとともに、重要な汎用技術、先駆的技術、現代工学技術、破壊的技術イノベーションを展開し、重要科学技術のインフラクラスターと融合・協力・支援し合うイノベーションチェーンを形成するよう求めている。
条例はまた、光明科学城における科学研究費管理改革の模索や、科学研究プロジェクト経費の管理自主権の拡大、プロジェクトの資金インセンティブ導入メカニズムの整備について明確に支持している。光明科学城で基礎的、先端的、公益的な研究を行う独立法人の科学研究機関に対して、中央の財政による科学研究経費の請負制を導入し、ネガティブリストで管理するよう支持している。これはネガティブリストに含まれない範囲では、ヒト・カネ・モノのより大きな支配権と技術ロードマップの決定権を科学研究者に付与することを意味する。
さらに、光明科学城でより積極的、開放的、有効な人材政策を模索し、需要に基づいて的確な人材誘致計画を実施することを支持している。
条例は、科学研究要素の流通の障壁を取り除き、高効率でスムーズな流動を促進するために、自前の科学研究物資、実験用試薬・機器・設備の出入境における分類別・レベル別監督管理を推進するよう要求。認定された物資・試薬・機器・設備に対しては関連規定に従い、円滑な通関の優遇策を実行し、通関効率を高めるよう求めている。
深圳湾実験室副主任で深圳医学科学院(準備中)副院長の涂歓氏は、「条例が施行されたことにより、光明科学城の発展にとって安定的で予測可能な環境が提供され、発展への信頼度が大いに高まった。条例は科学技術イノベーション、知的財産権、科学技術成果実用化などの面で模索を行い、教育、科学技術、人材の三位一体に重点を置いている。このことは科学研究機関にとって非常にプラスになる」と語った。
※本稿は、科技日報「深圳出台科学城专项法规」(2023年6月1日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。