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【22-30】オープンキリンが登場!中国国産OSの発展に期待

金 鳳(科技日報記者) 2022年08月18日

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画像提供:視覚中国

 中国初のデスクトップOS開発者向けプラットフォーム「開放麒麟(オープンキリン、openKylin)」がこのほど、正式に発表された。この情報が伝わると、直ちに微博(ウェイボー)の検索ランキングの上位に入った。「国産ソフトを支持する」「千里の道も一歩から」「国産OSのエコシステム建設を発展させ強化する」といったネットユーザーの熱心なコメントは、人々の国産OSへの期待を反映している。

 コンピュータの魂と呼ばれるOSを木になる果実とすれば、それに養分を提供する木の根は開発者プラットフォームで、オープンソースコミュニティとも呼ばれる。

 この国家工業情報安全発展研究センター、麒麟ソフトウェア有限公司などが共同設立したプラットフォームは、独自のイノベーション技術を持つオープンソースデスクトップOSを構築する計画だ。

 オープンソースとは、ソースコードの一般公開を意味する。現在のインターネットの環境において、オープンソースはすでに世界の技術イノベーションと共同発展の重要モデルとなっている。

 第14次五カ年計画(2021-25年)に、「デジタル技術オープンソースコミュニティなどのイノベーション連合体の発展を支持し、オープンソースの知的財産権及び法体系を整備し、企業によるソフトウェアのソースコード、ハードウェアの設計、応用サービスの公開を奨励する」という内容が初めて明記された。

オープンソースによってOSの技術イノベーションを促進

 OSはコンピュータの最も基本的で最も重要な基礎ソフトウェアだ。オープンキリンエコシステム委員会会長で、麒麟ソフトウェア有限公司副社長の李震寧氏は科技日報の取材に、「中国の国産OSは現在、コア、全体的なエコシステム、先端工業への埋め込みの能力が不足している。オープンキリンはデスクトップOSを独自に開発できるトップレベルのオープンソースコミュニティを目指し、より豊富なLinuxエコシステムを構築する」と述べた。

 オープンキリンの「友達の輪」には、第1陣・13の理事メンバー機関が含まれる。また、中国工程院院士の沈昌祥氏、倪光南氏、桂衛華氏、鄭緯民氏、王耀南氏、廖湘科氏、そして中国科学院院士の王懐民氏ら専門家が諮問委員会の委員となる。

 李氏によると、このオープンソースコミュニティはソースコードを含むデスクトップOS基礎プラットフォームバージョンを提供し、さらにコミュニティ内の開発者に資源と開発ツールを提供する。コミュニティの中心的な目標は、使いやすく開放的なデスクトップOSを完成させることだ。李氏は、「これは中国国内さらには海外のオープンソースコミュニティでも、開発者がデスクトップOSのルートテクノロジーを取得し、各自の研究開発能力を提供できることを意味する。プラットフォームはさらにベースラインを統合することで、基礎的なデスクトップOS発行バージョンを徐々に形成できる」と説明した。

 オープンソースはOSの研究開発にどのような変革をもたらすのだろうか。中国工程院院士の桂衛華氏は、「OSは下層のハードウェアと上層の応用を結ぶ架け橋であり、そのエコシステムの建設は特に重要だ。オープンソースを受け入れ、オープンソースによりOSの技術イノベーションと応用推進を推進する。これは基礎ソフトウェア産業がデジタル化の変革の中で機先を制し、業界標準イノベーションのリーディング的な地位を占める上で有利だ」と述べた。

OSの改善にはエコシステムのサポートが必要

 中国内外の主流OSを整理すると、WindowsとmacOSが絶対的な主導権を握っており、両者の市場シェアは約9割にのぼる。これに続くのはLinuxとUnixだ。

 李氏は、「過去の国産OSは市場規模が小さく、ユーザーが非常に少なかった。しかし人々は近年、国産OSの重要性を意識するようになった。麒麟ソフトウェア有限公司の昨年の売上は10億元以上で、いずれもOSによるものだった。これは国産OSが徐々に市場から認められるようになってきたということだ」と述べた。

 国産OSは10種以上あるが、その大半がLinuxをベースとした二次開発だ。

 李氏は、「1つのOSを開発する作業量は非常に多く、デスクトップOSは往々にして数千万行のコードが必要だ。8000万行のコードを持つデスクトップOSの場合、そのすべてのコードをA4紙で印刷すれば、それに必要な紙を積み重ねると30階建て以上のビルの高さになる。デスクトップOSの研究開発は、持続的な資金の投入と力強いバックの維持能力を必要とすることが多い」と述べた。

「OSの改善も試行錯誤の中で世代交代が必要であり、これにはエコシステムの支援が必要だ」。李氏が話すエコシステムとは、ユーザー及び産業チェーン川上・川下企業の調達のほか、完成機、プリンター、事務用ソフトウェア、作図ソフトウェア、応用ソフトウェアなどの分野における異なる業界のパートナーによる応用を含む。

 人材もまた、国産OSの発展を支えるソフトパワーだ。李氏によると、人工知能(AI)及びクラウドコンピューティング業界がコンピュータ分野の多くの基礎研究開発者をひき付けている。これを背景に、麒麟ソフトウェア有限公司教育発展センターは大学との協力を通じ、OSのプログラマーを育成している。


※本稿は、科技日報「"開放麒麟"来了!更多計算機或将擁有"中国魂"」(2022年7月11日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。