科学技術
トップ  > コラム&リポート 科学技術 >  File No.24-12

【24-12】新デバイスによる生命体と機器のシームレスな接続の可能性

陸成寛(科技日報記者) 2024年02月06日

 中国科学院理化技術研究所などの研究者が、カスケードヘテロゲートを持つ二相ゲルイオントロニクスを開発した。同デバイスはさまざまなイオン信号の変換・伝達に用いられ、生命体と機器との接続を実現することが期待される。関連研究論文は学術誌「サイエンス」に掲載された。

 地球上の生物は主にイオンによって電気信号を伝達している。さまざまなイオンは電気信号などの刺激を受けると、一つ一つの小さな球のように秩序正しく目的地に向かって進む。一方、人工的な電子回路は主に電子によって信号の伝達を行う。

 イオンと電子の電荷移動と信号変換を結合できるイオントロニクスがここ数年、広く注目を集めている。これらのデバイスは生物と非生物のシステムを結び付ける役割を果たし、神経電極や神経補綴装置、埋め込み型デバイスなどの分野で幅広い応用の可能性がある。

 同論文の責任著者で、同研究所研究員の聞利平氏は「既存のイオントロニクスには一つの限界が存在している。それは、単一電子または単一イオンの情報ベクターしか持っておらず、より多くの生物適合性情報を収容するのが難しいということだ。さまざまな生物イオン信号の効果的で制御可能な伝達を実現し、複雑な生物システムを関連づけるにはどうすればよいか。このことが長年の難題だった」と語った。

 聞氏と中国科学院大学の趙紫光副教授は、神経界面のゲート構造にヒントを得て、中国科学院理化技術研究所の江雷院士(アカデミー会員)の指導の下、清華大学の徐志平教授および首都医科大学の劉慧栄教授と共同で、イオン富化相と連続的な低導電率相を持つ二相ゲルイオントロニクスを構築した。

 趙氏は「電場の働きにより、イオンの部分的な脱水和と再水和のプロセスが交互に連続して行われる。非対称な化学構造と空間のサイズの影響により、ヘテロゲートが何重もの『門』の役割を果たし、イオンの『小さな球』に対して水分子で構成された『コート』を脱ぐよう強制させる。それぞれが『コート』を脱ぐことの難易度が同じではないため、これにより異なるイオンの信号伝達に数量レベルの違いが生じる。こうして異なる電圧の刺激の下で、このデバイスはイオンの伝達エネルギー障壁を配列・制御して『小さな球が秩序よく駆け回る』ようにし、さまざまなイオンの段階的伝達を実現する」と説明した。

 聞氏は「今回の研究成果は神経模倣の信号伝達で重要な役割を発揮し、生物-非生物システムの多次元で複雑な信号通信を実現するための新たなアプローチと方法を提供することになる」と述べた。


※本稿は、科技日報「新器件有望实现生命体与机器的无缝衔接」(2023年12月1日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

上へ戻る