【24-85】「エアコンを26度に設定すると異臭が発生する」は本当か?
何沛蓯(科技日報記者) 2024年09月06日
浙江省紹興市の店舗内に設置されたエアコン。(画像提供:視覚中国)
立秋を迎えたものの、中国の多くの地域では依然として高温の日が続いており、人々にとってエアコンが「命をつなぐ神器」となっている。最近、中国のネット上では「会社や自宅のエアコンを26度に設定すると『靴下の臭い』がするが、26度以下にするとその臭いがなくなる」という投稿が話題になった。
この投稿はネットユーザーの議論を巻き起こし「エアコンを26度に設定すると異臭がする」という言葉が人気検索ワードになった。
果たしてこれは本当なのだろうか。記者が専門家に取材した。
異臭の原因は浄化システムか
河北工業大学建築低炭素エネルギー技術研究所の所長である楊賓教授は取材に対し「ホルムアルデヒド除去やPM2.5除去機能が付いたエアコンは、異臭が発生しやすい。最近、中国の多くの地域で蒸し暑い天気が続いており、エアコンを冷房や除湿モードで作動させると、周囲の空気中の水蒸気が小さな水滴となって凝結しやすくなる。細菌や埃を含む小さな水滴がエアコンのフィルターに長期間付着すると異臭が発生する。これに似た例として、ホルムアルデヒド除去機能を持つ車も、長期間使用しないと異臭が生じることがある」と答えた。
さらに「エアコンはコンプレッサー、蒸発器(エバポレーター)、コンデンサー、膨張弁の四つの主要部品で構成されるが、エアコンから発生する異臭はこれらの部品からではなく、フィルターや防塵フィルターなどの浄化システムから発生している可能性がある」と紹介。「防塵フィルターを長期間清掃しないと、黒ずんだ部分がまるで細菌の培養皿のようになり、この状態でエアコンをつけると確実に異臭がする」と述べた。
海爾(ハイアール)の空気産業研究開発エンジニアである王飛氏は「以前の業界研究によると、熱交換器のフィンのコーティング技術が基準を満たさず、コーティング膜が完全に硬化していない場合、フィンのアルミ箔コーティングが空気中の水分を吸収し、長期間掃除しないと酸臭がすることがある」と説明した。
では、なぜ26度に設定すると異臭がするのだろうか。
楊氏は「エアコンは冷房モードで異臭が発生する可能性があり、これはどの温度でも起こり得る。おそらく26度に設定する人が多いため、皆が26度に設定すると異臭がすると誤解しているのではないだろうか」と見解を述べた。
定期的な清掃が大事
では、エアコンの異臭を防ぐにはどうすれば良いのか。
楊氏は「メーカーとしては、機器の防腐・防カビ処理を行い、家庭用エアコンの材料のレベルを高めることが重要だ。消費者としては、正規のルートでエアコンを購入し、使用して一定期間が経過したらしっかり掃除する必要がある」と対策を示した。
エアコンを長期間掃除しないと、異臭がするだけでなく、気管支炎やぜんそくなどの呼吸器系疾患を引き起こすことがある。楊氏は「家で長期間使用していないエアコンは、使用前に掃除すべきだ。また、商業施設や病院、ホテル、オフィスビル、老人ホームなどでは、定期的にセントラル空調や冷却塔などの設備を掃除し、消毒する必要がある」と訴えた。
王氏も「エアコンは毎年夏と冬の使用前に一度掃除するのが望ましいが、少なくとも夏の使用前には一度しっかりと掃除を行い、エアコンの防塵フィルターや熱交換器に付着した汚れを取り除くべきだ。自動掃除機能を備えたエアコンを使用している場合、15日に一度は自動掃除機能を起動したほうがいい」と述べた。
専門家はさらに、エアコン掃除の際に安全に注意するよう警告した。操作が不適切だと、機械の故障や事故を引き起こす可能性があるからだ。
王氏は「室内エアコンの防塵フィルターなどの部品は家庭でも簡単に掃除できるが、エアコンの中心部分を掃除したい場合は、専門業者に依頼したほうが良い」と指摘。「エアコンの使用年数が短い場合は、エアコンクリーナーで掃除してもいいが、使用年数が長く、汚れがひどい場合は、専門サービスを利用することを推奨する」と強調した。
専門家は最後に、エアコンを自分で掃除する場合のアドバイスとして、
①掃除の際に専用のエアコンクリーナー以外の洗剤を使用しないこと
②エアコンクリーナーを使用する際は、ショートする可能性があるため、エアコンの基板や電源スイッチの部分にスプレーしないようにする
③エアコンを掃除する際は、家具を新聞紙で覆ったり、エアコンに水受け袋を被せたりして、壁や床を汚さないように注意し、排水の際には風量と冷房量を最大にする
の3点を紹介した。
※本稿は、科技日報「为什么空调开到一定温度有臭味」(2024年8月22日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。