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デジタル経済都市を構築する南京―ソフトウェア産業規模は5,000億元に

2019年8月16日 張曄(科技日報記者)

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 第15回中国(南京)国際ソフトウェア製品・情報サービス交易博覧会にて、企業が最新の成果を展示した。(撮影・泱波)

 このほど閉幕した第15回中国(南京)国際ソフトウェア製品・情報サービス交易博覧会(以下「同博覧会」)にて、世界30数カ国・地域の1,200以上の会社が古都・南京に集まり、「デジタル経済」の「スマートな未来」を共に展望した。プロジェクト契約数は80数件で、投資総額は340億元以上(1元は約15.1円)。

 南京ソフトウェア産業のスタートから飛躍を見守ってきた同博覧会は14年にわたり、小規模から大規模へと移り変わり、出展企業数が増加を続けた。当初はサービスアウトソーシングの発展を重視していたが、現在は新経済の最先端をけん引する博覧会となり、南京の「新経済」発展のバロメータになっている。

 同博覧会は多くの成果を積み重ね、南京市民全体に次の深い思考を促した。間もなく5,000億元という規模を突破する南京のソフトウェア産業は、新たな発展の波の中でいかにチャンスをつかみ、成長率が低い、リーディングカンパニーが少ないという難題を解消すべきだろうか。一方で、いかにソフトウェア産業の力を借りて、さらに「デジタル経済都市」に進むべきだろうか。

ソフトウェア都市、規模が大きいが目立つ存在はない

「なぜ我々のソフトウェア情報産業は規模で全国をリードしているのに、ファーウェイのような現地のリーディングカンパニーが生まれていないのだろうか」

 今年の同博覧会の開幕前日、江蘇省党委員会常務委員、南京市党委員会の張敬華書記は10の疑問を呈したが、うち「ソフトウェア産業のリーディングカンパニー不足」が2番目に多く言及された。

 南京のソフトウェア産業は2000年頃から始まり、数十億元から数千億元の規模に拡大した。規模は江蘇省内で1位、全国4位で、初の「中国ソフトウェア都市」になった。江蘇省のソフトウェア業務収入は昨年8,860億元を超えており、うち南京市だけでも前年比14.6%増の4,500億元以上にのぼった。これは人目を引く成績だ。

 だが、未来を見据え、自分を見つめ直す必要がある。南京のソフトウェア産業に、「規模が大きいが目立つ存在はない」という現象が明らかなのは否定できない。これは主に、産業集積度が低く、リーディングカンパニーが少なく、ブランドの影響力が低い...などという点に現れている。これらは南京が見落とせない短所だ。

 「南京のソフトウェア産業がさらに上の段階にあがるためには、何が不足しているだろうか」。これは同博覧会で専門家と学者に投げかけられた質問で、多くの啓発の意義を持つ回答が得られた。うち比較的一致している意見は、「さらにトップレベルデザインを強化する」ことだ。

 南京市工業・情報化局の陳可科副局長は「南京は今後デジタル経済発展のトップレベルデザインを強化し、当局間の連携を強化し、デジタル経済の理論的研究を展開する。合理的で厳密で、体系的で整った、デジタル経済産業形態に合致する指標体系を制定する。市全体のデジタル経済発展政策の制定に基礎的下支えを提供する」と表明した。

 同博覧会の会期中、張書記も世界のソフトウェア産業の「リーディングカンパニー」に熱意あふれる招待状を出した。張書記によると、南京ソフトウェア産業はネットワーク化、プラットフォーム化、サービス化、スマート化、エコサイクル化に向け進化を加速している。

 情報通信研究院産業・計画研究所デジタル経済研究センターの趙勇センター長は「科学技術資源およびソフトウェア産業の優位性をよりどころに、革新の活力を喚起する。南京現地の技術革新型企業の育成を拡大し、人工知能(AI)、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などをはじめとするデジタル産業を強化し、デジタル経済都市を構築する」と述べた。

デジタルインフラ、南京の短所を補強

 浪潮集団ソリューション部責任者の喬鑫氏は、「計算力は生産力だ」と述べた。

 デジタル経済の時代において、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AIなどの新興産業の発展は、計算が不可欠になる。計算力は情報化社会の中心的なインフラになっている。

 南京は全国の5つの通信ハブ、10の国家級インターネット中堅直接連結ポイント、全国インターネット8大ノードの一つであり、「ブロードバンド中国」の第1陣のモデル都市でもある。しかし南京のデジタルインフラには短所がないわけではない。

 中科曙光の京暘上級副社長は「南京の計算力インフラには明らかな短所がある。南京は先進的なスパコンなどのインフラが欠けており、小型の計算プラットフォームも各大学・研究所に分散しており、自身の科学研究と教育の需要しか満たしていない。産業界、特に中小企業の計算への需要を満たすことができない」と指摘した。

 しかし同博覧会の能力集約により、南京のこの短所は補強されることになりそうだ。今年の博覧会で、中科曙光南京先進計算センターが正式に発足した。その先進的なシリコンキューブ計算システムを浦口科学城に配置している。浪潮集団は南京で先進計算を含む研究開発センターの設立を検討し、南京の科学教育人材のメリットを活用し、量子計算などの先端計算力の研究を展開すると表明した。浩鯨科技も南京郵電大学と戦略的協力協定に調印しており、先進計算分野の研究開発と応用を共同推進するとしている。

 取材に応じた複数の専門家は筆者に対して、比較的整ったインフラを建設することでしか、デジタル経済の良好な発展を支えることができないと回答した。南京市は現在、ソフトウェアの省級以上の重点実験室、工学技術研究センター、企業技術センターを130近く保有している。ソフトウェア類新型研究開発機関は100近くで、市全体の新型研究開発機関の48%を占めている。

 革新はまず、人材育成が必要だ。江蘇省工業・情報化庁の池宇副庁長は「ソフトウェア産業の進展を目指すならば、教育から着手しなければならない。基礎教育に関連ソフトウェアの知識を加え、特に中国が独自開発したソフトウェアを教材にし、子供たちのソフトウェアへの興味を養う。高等教育で産業の需要を見据え、産学研をより良く融合させる」と提案した。

国内企業の発展―国産化と独自化でサポート

「南京のソフトウェア産業の優位性は非常に明らかだ。人材資源が豊富で、政策環境が優れ、企業が急成長している。十分にチャンスをつかみ、画期的な進展を実現し、国産独自化分野でさらに大きな貢献を成し遂げるべきだ」

 中国工程院の倪光南院士は行く先々で独自化の理念を伝えている。倪氏は国産ソフトウェアの研究開発の強化こそが、質の高い発展の基礎と鍵であると考えている。倪氏は「我々は現在、新時代情報技術の急成長の段階にある。ソフトウェア産業は非常に重要な駆動力であるはずだ。南京がチャンスを確実につかみ、ソフトウェア産業の質の高い発展をさらに推進することに期待している」と述べた。

 中国工程院副院長の陳左寧院士も、「中国のソフトウェア産業は海外からの技術導入により即効性の高いソフトウェア製品を発展させるのではなく、革新によりソフトウェア製品及び産業の独自化を強化しなければならない」と指摘した。

「我々は大木の植え替え、苗の育成、古い木の発芽を堅持し、繁茂するデジタルテクノロジー企業の森の育成に力を注ぐ」。張氏は南京ソフトウェア産業の未来について、ソフトウェア・情報サービス業の質の高い発展の推進にさらに力を入れ、「デジタル経済都市を全面的に建設」という目標を達成し、これを南京革新都市建設の新たな中身にすることを提案した。

 同時に南京は有名企業・有名製品の育成に取り組み続けている。市全体の重点ソフトウェア関連企業は現在4,900社で、上場企業は119社。「中国ソフトウェア業務収入トップ100社」は8社。市全体で登録されているソフトウェア著作権は累計2万4,000件で、中国優秀ソフトウェア製品は95件。通信ソフトウェア、スマート交通、スマートグリッドなどのソフトウェア製品は全国トップシェアで、超高圧継電器保護、送電網安全・安定制御、民用航空管制などの製品で大きな優位性を持つ。

 このほど開かれたソフトウェア・情報サービス業産業ランドマーク発展サロンで、南京市はソフトウェア・情報サービス業を「全省1位、全国3位、世界的な影響力」の産業ランドマークにすると明言した。すでに比較優位性を形成した分野の基礎を固めレベルアップさせるほか、南京は産業発展の方向に合致し、高い潜在力を持つ分野の育成に取り組まなければならない。特色を十分にし、優位性を伸ばし、競争力をつける。導入と育成を同時進行させ、ガゼルやユニコーンなどと称される一連の成長性が高い企業を育成し、条件を満たす企業がリーディングカンパニーに発展することを支援する。


※本稿は、科技日報「軟件業規模将達5000億 南京打造数字経済名城」(2019年7月31日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。