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北京のIC設計生産高の半分を占めるIC PARK―好調の秘訣は?

2019年10月1日 華凌(科技日報記者)

 第3回「チップ・パワー北京」中関村IC産業フォーラムがこのほど、中関村集積回路設計パーク(IC PARK)で開催。運営開始から1年足らずのこのテクノロジーパークに大きな注目が集まっている。同パークには現在、比特大陸(Bitmain)、兆易創新(GigaDevice)、兆芯、文安智能などの集積回路設計企業約50社が入居しており、生産高は合わせて248億元(約3,800億円)に達している。この数字は、北京の集積回路設計の生産高の50%を占め、土地単位あたりの生産高が中関村ソフトウェアパークを上回っている。

 資金、技術、人材が密集している同産業において、IC PARKはなぜ短期間で産業エコシステムを構築することができたのだろうか?このほど、中関村集積回路設計園公司の苗軍・董事長を取材した。

ハイバリューの産業エコシステムを構築

 その名の通り、IC PARKは集積回路産業、特にその「設計」に的を絞っている。つまり、チップ設計企業の必要に合わせて作られたテクノロジーパークで、市属国有企業である中関村発展集団と首創置業が共同で開発、運営を行っている。

 苗董事長は「優秀な企業にパークに入居してもらい、産業組織、産業サービスと共に産業エコシステムを構築し、産業エコシステムが企業を大きく、強くするようサポートできるようにしたい」と話す。

 2019年に入り、全面的に運営が始まったIC PARKは、産業エコシステムの構築に、最も多くの力を注いでいる。そして、産業プラットフォームを支えに、「インキュベーター+学院+基金」をノードとした産業エコシステムを強化している。

 まず、IC PARKは産業機能サービス11項目を含むプラットフォームを構築し、「中関村IC産業サービスホール」を設立。企業を対象に、電子設計自動化(EDA)、再利用可能モジュール(IP)、マルチプロジェクトウェハ(MPW)、融資サービス、総合サービスなどのワンストップサービスを提供している。

 それらのサービスの多くは、市場化された専門機関やプラットフォームなどを導入することで、提供が可能になっている。例えば、同パークは、電子設計プラットフォーム・中関村チップパークを導入し、チップテープアウト、IPなどのサービスを提供している。また、集微網(集積回路・携帯電話業界のポータルサイト)を取り入れ、チップ業界の交流・情報の発信を行っているほか、米格実験室(migelab.com)を導入して、検査、検証、測定プラットフォームを提供している。その他、中国半導体協会設計分会・秘書処、連絡処などもパーク内に設置されている。

 さらに資金サポートの面で、IC PARKは新しいスタイルを採用している。まず、IC PARKはストックオプションプールを設立し、IC企業が入居し、パーク会と企業がストックオプション契約に調印し、ストックオプション価格は約束せずに、企業が次回増資・株式発行を行う際、パークが優先的にストックオプションできることを約束している。

 苗董事長は、その点について「当パークは入居している企業の発展の傍観者ではなく、株式を通して、『血縁関係』ができるようにしている。そして、国有資産であるパークのお墨付きが企業の融資を促進する」と説明する。

 次に、IC PARKは15億元(約230億円)規模の中関村集積回路産業基金を設立している。そして、第一期で、資金3億元(約46億円)を調達し、十数件のプロジェクトが投資の段階に入っている。

「投資をするうえで、同基金は多くの持ち株を所有して、支配することは望まない。持ち株率は3--10%。この方法を通して、企業に融資サポートを提供し、企業と共に成長したい」と苗董事長。

産業とサービスが融合した包括的スペースを提供

 IC PARKには、北京で唯一の集積回路専門のテクノロジー館(2,000平方メートル)と図書館(4,200平方メートル)、IC国際会議センター(2,400平方メートル)が設けられているほか、パーク内の至る所には、緑地や広場があり、心地の良い交流スペースが広がっている。

「商業スペースは、テクノロジーパークに絶対必要な生活的要素。その成熟度がパークの完成度を反映している。以前は、産業と生活を分けて考え、その間に一定の距離があった。しかし、実際に使用してみると、『人間本位』であるべきことに気づいた」と苗董事長。

 テクノロジーにも「生活」が必要で、「生活」をテクノロジーに溶け込ませなければならない。その点、パークは、最先端の理念と成熟した商業運営方法を採用し、科学研究や事務など秩序立てて配置するほか、飲食ブランド、商業サービス、テクノロジー館、図書館などの包括的な産業関連サービススペースのために2万平方メートルのスペースを当て、IC企業と人材に、良好なインフラを提供して、産業とサービスの融合を際立たせている。

 そして、IC PARKは、3,000平方メートルのインキュベーター「芯創空間」を設置し、主に零細企業・小企業であるIC設計企業を対象に、独立した研究開発やパーク内の大企業との提携をサポートしている。その他、豪華な顔ぶれの指導チームを設置して、起業家をサポートしている。

 2019年に発足した「チップ学院」は、育成を通して、IC人材学校と企業の架け橋となっている。同学院は、在職中のIC人材に、スキルアップの機会を提供し、パーク内の従業員が仕事をしながら、勉強もできるようにサポートしている。その他、同学院は、北京の有名大学6校のマイクロエレクトロニクス学院と連携し、パークが大学の実習拠点となるようにしている。

「世界一流パーク」を目標に邁進

 実際には、中国国内に数多くある集積回路テクノロジーパークの中でも、IC PARKは、「新人」的存在だ。しかし、「先輩」的存在の他のパークと比べると、IC PARKは独自の優位性を誇る。

 苗董事長は、「IC PARKの最大のメリットは、人材、技術、プロジェクト、資本などの資源が豊富である点である。集積回路設計の規模が1億元以上の企業が一番多いのが北京。北京の重点大学である北京大学、清華大学、中国科学院などのマイクロエレクトロニクス学院6校は毎年、大量の成果と人材を輩出している」と指摘する。

 では、IC PARKは、どこのパークを模範としているのだろう?苗董事長は、「中関村ソフトウェアパーク」と答え、その理由として、「リーディング企業がたくさん集まり、環境が美しく、関連施設が整っているからで、当パークが重点的に学ばなければならない点だ。その他、中国国内の南京、合肥などにある新興のテクノロジーパークも急速に発展しており、当パークが学べる点がたくさんある」と説明した。

 IC産業にサービスを提供する同パークについて、苗董事長は、「最近の緊密な連携を通して、集積回路設計の自主イノベーションが発展を続けており、一層活気付いている。今年上半期は、やや不調だったが、下半期は、企業が増えており、たくさんの優良企業、優良プロジェクトが同パークと連絡を取っている。それらの企業は新しく発足したばかりの企業や応用や発展のシナリオを手にしている企業もあり、パークに入居する意向を示している企業もある。また、再編を経て、新しい主体となり、パークに進出して、じっくり研究開発をし、ビジネスを展開している企業もある」と、今後のさらなる発展に自信を見せる。

 そして最後に「IC PARKは今後、パークの発展戦略を推進し、集積回路産業サービス事業者を発展の目標とし、世界で一流の集積回路専門の特色ある設計パークに成長できるよう邁進し、引き続きハードウェア、ソフトウェアの環境を強化し、サービスを向上させ、集積回路設計産業の優良な生態を構築したい」と目標を語った。


※本稿は、科技日報「占北京IC設計産値半壁江山 這个新開張的科技園是如何做到的」(2019年9月18日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。