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河北省滄州経済開発区:「航空宇宙技術という成長エンジン」によるハイレベルな発展

2019年11月5日 李禾(科技日報記者)

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自動車製造業では技術革新が続き、航空宇宙技術が大きな役割を果たす。(滄州経済開発区の現代汽車産業基地にある北京現代汽車工場の品質検査ラインにて。滄州経済開発区提供)

 中国科学技術協会のイノベーション駆動援助プロジェクト・モデル事業等の支持の下、滄州経済開発区管理委員会は中国宇航学会等の機関と連携し、航空宇宙技術成果の実用化に関する実践的な方法を模索し、航空宇宙技術成果の実用化に関する産学研協同のイノベーションプラットフォームを共同で設立した。学会は紐帯やかけ橋としての役割を十分に発揮し、航空宇宙技術成果の実用化に対して全面的なサービスを提供しようとしている。

 有人宇宙飛行、月探査、高分解能衛星の発射等、近年さまざまな重大プロジェクトの牽引により、中国の航空宇宙分野では大量の先進技術が生まれている。そして、これら新技術や重大プロジェクトがまさに地方経済のハイレベル成長における「新たなエンジン」となっている。

 京津冀(北京市、天津市、河北省)の3つの省・市が公布した「京津冀産業移転受入重点プラットフォームの建設を強化することに関する意見」によれば、河北滄州経済開発区は「京津冀における近代的製造業受入プラットフォーム」のひとつである。滄州経済開発区の中国共産党工作委員会の副書記を務め、管理委員会の主任も務める郭万義氏は、2018京津冀国際投資貿易商談会において、河北省が単体で投資を行う最大の契約事業として、中国航天科技集団の科学技術成果実用化基地プロジェクト等が誕生した。航空宇宙技術という新たな成長エンジンを育てることで、滄州経済開発区を1千億元級の近代的産業基地とする目標の実現が加速されるであろう、と述べた。

航空宇宙技術とイノベーションリソースの融合的発展

「河北省戦略的新興産業発展三年行動計画」においては、企業による航空宇宙、自動車等の分野のニーズを支持し、材料技術の研究開発と産業化を実施することが指摘される。

 中国航天科技集団有限公司は中国の航空宇宙技術工業における主力企業であり、衛星の実用化や情報技術、新エネルギー・新材料、航空宇宙特殊技術の実用化、宇宙生物科学等の航空宇宙技術の産業化に注力し、衛星および地上における運営や国際航空宇宙事業サービス、ソフトウェア・情報サービス等の航空宇宙サービスを大幅に拡大している。滄州経済開発区管理委員会の副主任である賈恵利氏は、「航天(滄州)科技成果転化センター等の設立により、航空宇宙技術成果の実用化が促進される。航空宇宙技術と滄州経済開発区のイノベーションリソースを融合した発展モデルが形成されることにより、京津冀と滄州周辺地区の科学技術・イノベーション発展能力が向上し、地域経済モデルの転換・レベルアップが加速され、航空宇宙技術成果のショーケース・研究開発・インキュベーションと研究成果の実用化を一体に集約する国際的な航空宇宙技術のイノベーションプラットフォームと産業基地が確立され、良好な社会的・経済的効果が創出されるだろう」と話す。

 一方、今年8月末に開催された中国航空宇宙技術成果実用化プロジェクトのプロモーションイベントでは、2世代に及ぶ北斗衛星測位システムの応用技術と製品やサンプルリターン衛星の搭載サービス、「百星源」衛星画像データサービスシステム等の衛星上の実用化、分散型光ファイバ温度センサ、高塩濃度排水再生処理設備、精密機器・設備等のハイエンド設備・サービスおよび省エネ・環境保護、航空宇宙科学の普及等の分野における65項目の技術およびプロジェクトが相次いで発表され、重点的なプロモーションが行われた。

 中国宇航学会の副理事長と事務局長を兼任する王一然氏は、「中国科学技術協会のイノベーション駆動援助プロジェクト・モデル事業等による支持の下、中国宇航学会等の機関は航空宇宙技術成果の実用化に関する実践的な方法を模索し、滄州経済開発区管理委員会と提携して航空宇宙技術成果の実用化に関する産学研協同のイノベーションプラットフォームを共同で設立した。このプラットフォームは、学会の紐帯やかけ橋としての役割を十分に発揮し、航空宇宙技術成果の実用化に対して全面的なサービスを提供し、航空宇宙技術の総合力を後ろ盾に科学技術成果実用化産業における要所を確立し、地域経済の最先端産業への移転を導き、周辺産業の能力の集約を促そうとしている」と話す。

産業パークではトップレベルの航空宇宙技術専門家がサービスを提供

「滄州経済開発区との実務協力は、滄州のハイテク産業における優れた発展環境と産業の濃厚な融合的発展にとって有益である」と王一然氏は語る。

 航空宇宙技術が単独で秀で続けることは不可能であり、頼りにできる工業的基盤が必ず必要である。滄州は産業基盤に厚みがあり、長年にわたる発展の蓄積があり、年間売上高が50億元を超える33の工業・産業クラスターを擁し、なかでも売上高が百億元を超えるものが11も存在する。郭万義氏は、「ハイレベルな発展の推進を維持し、大規模プロジェクトの立ち上げ、大規模産業パークの確立、大規模発展の追求という理念を打ち立て、産業の集約、産業と都市の融合、環境のレベルアップという3つの任務をめぐり、『2266工作』と称される目標に重点的に照準を合わせ、すなわち、2つのブランドを磨き、2大プラットフォームを構築し、6つのセンターを建設し、6つの産業パークを発展させることで、全市総生産額1兆億元の実現に貢献する」と語る。

「2つのブランド」とは開発区内の現代汽車産業基地と中日韓産業パークを指し、「2大プラットフォーム」とは中南高科・滄州産業新城と航天科創小鎮を指し、「6つのセンター」とは滄州市工業設計センター、航天成果展示センター、智能網聯汽車試験センター、国家級汽車・零部件検測センター、汽車新技術研究センター、司法科技鑑定センターを指し、「6つの産業パーク」とは航天科技産業パーク、管道科技産業パーク、現代商貿物流パーク、汽車配件産業パーク、創業創新産業パーク、新型材料産業パークを指す。

 賈恵利氏によれば、「航天科創小鎮は中国航天科工集団等の機関がプロジェクトの導入と産業集積を担い、航空・宇宙工学の研究開発、ハイエンド設備製造、スマートシティを一体に集めた特色あるスマートシティだ。これに滄州産業新城と産業・都市が融合した2つの良質なプラットフォームを加えれば、5年以内に都市人口は10万人となり、生産高は500--1,000億元増加し、産業のレベルアップをもたらし、新型の都市化建設を加速するだろう」。

 また、航天成果展示センターには航空宇宙技術シンクタンク、院士ワーキングステーションおよびラボラトリーが含まれ、主に航空宇宙技術の成果が展示され、プロジェクトの発表や価値の評価、ビジネスマッチングのサービスが行われる。航天科技産業パークでは主に航空宇宙技術プロジェクト成果の実用化等が主に誘致され、中国航天科技集団有限公司、中国航天科工集団有限公司、中国衛星通信集団有限公司、中国資源衛星センターの専門家たちが他の入居企業に専門家コンサルティングやプロジェクト評価、投資評価等のサービスを提供する。

 開発区内にはさらに総投資額11.8億元(約183億円)の管道科技産業パークがあり、主にパイプライン製品の実用化基地、パイプライン企業のインキュベーター等が建設されている。また、汽車配件産業パークは開発区内の現代汽車産業基地を支える主な産業パークである。創業創新産業パークには国家級の創業センターや小型企業創業パーク等の多くのインキュベーターが含まれ、イノベーション・創業プラットフォームおよび媒体が日増しに整備されている。新型材料産業パークにはアルミニウム基・銅基新型材料等の一連のプロジェクトが含まれる。賈恵利氏は「これらの産業パークとプロジェクトにより、生産高1千億元級の開発区のエネルギー備蓄がスタートするだけでなく、航空宇宙技術と成果の実用化に生産基地と研究開発・付帯設備の基礎を提供し、ともに滄州経済開発区を航空宇宙技術成果の実用化における良好な基地へと押し進めることになる」と語る。

航空宇宙技術プラットフォームは強大なブランドアピール力を示す

 先ごろ、滄州市政府は「イノベーション駆動戦略による特色ある産業クラスターの発展の加速を深く実施することに関する実施意見」および「滄州市政府投資誘致基金管理暫行弁法」を公布し、社会資本による主導産業および戦略的新興産業への投資を誘致することとした。特に、「沿海地区の開放・開発の加速に関する実施プラン」の実施のために、開発区では産業計画と都市建設計画に調整を行い、ハイエンド製造、新エネルギー、航空宇宙技術およびAIを特色とする戦略的新興産業や国電高科の開発によるIoT衛星ネットワーク、百度のコネクテッドカーシステム、高分子マイクロニードル等のプロジェクトの発展を加速させることにより、開発区に産業イノベーションの要素を集積しようとしている。

 統計によれば、2018年、滄州開発区における一定規模以上工業企業の総生産額は279億1,200万元(約4,300億円)に達し、前年同期比25%増であった。また、区全体の一定規模以上工業企業の付加価値額は前年同期比9.9%増で、全財政収入は前年同期比63%増であり、輸出入総額は1億3,850万米ドル(約150億円)に達し、前年同期比42.35%増であった。

 航空宇宙技術プラットフォームのブランドアピール力は強く、関連プロジェクトは多く、産業クラスター効果は顕著である。その例としては、北京国電高科科技有限公司が滄州開発区に設立する予定の天啓IoT衛星ネットワーク運営センターがあり、双方は天啓IoT衛星ネットワークの最終製品の研究開発、生産、製造分野で提携を行い、最終製品、実用化、システムインテグレーション、運営サービスおよび人材育成等のプロセスによる完全な産業チェーンを構築し、衛星IoT産業パークを建設し、かつ、華北地区向けに衛星IoT衛星ネットワークの各業務等を展開する。

 賈恵利氏は「開発区では技術革新を通じ、工場建屋の賃料減免や生産設備投資の補助等を提供する方式により、既存企業における技術改造・レベルアップを支援する」と語る。また、管理の革新や部門・手続の簡素化、商務、発展・改革、工商、計画、環境保護、土地等の職能部門を吸収したワンストップ式窓口における事務取扱を行うことにより、「一表申請、一窓受理、一套材料、核発一照、加載一号」(1枚の書類で申請し、1つの窓口で受理し、一揃いの資料を発行し、証明書1枚を交付し、通し番号1つを公布する)方式による運営モデルを実施し、企業が証書発行手続きの際に役所の各階を徘徊して各科窓口の扉をノックする気まずい現象に終止符を打ち、事務手続の効率を高め、開発区とプロジェクトの間の距離を縮めることに成功した。

 王一然氏も「これからは、航空宇宙技術成果の実用化に関する実践的な方法を積極的に模索し、管理委員会と連携して『ニーズの牽引、リソースの統合、イノベーション駆動、各関係者のウィンウィン』を趣旨として、創業・イノベーションモデルを参考にしてニーズのマッチングとリソースの統合を強化し、政府主導、業界・企業主体、社会資本・民営企業の共同参加によるプラットフォームの建設を推進し、融合的発展を享受できるまたとないチャンスが到来するだろう」と語る。


※本稿は、科技日報「河北滄州開発区:高質量発展有了"航天引擎"」(2019年10月16日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。