新エネ車の販売台数5ヶ月連続減 専門家「調整期に自信を強めることが必要」
2020年1月21日 劉垠(科技日報記者)
中国電気自動車百人会は2019年12月23日、メディアブリーフィングを開催し、新エネ車をめぐる注目の課題や発展の動向について議論した。同会の陳清泰理事長は、「電気自動車業界は、激しい競争で生き残りをかけている段階にあり、非常に厳しい現状となっている」と率直に語った。
中国自動車工業協会が公表した最新統計も、陳理事長が話すように「非常に厳しい」結果となっており、11月の新エネ車の生産台数が前年同期比36.9%減の11万台、販売台数が同比43.7%減の9万5,000台だった。注目すべきなのは、7月以降、中国の新エネ車の販売台数が5ヶ月連続で減少していることだ。
陳理事長は、「現在、ブランドの影響力の差がさらに拡大しており、一部の企業のブランド影響力は急上昇し、それらの企業にシェアが集中するようになっている。一方、一部の企業は資金繰りの面で瀬戸際に立たされるなど、非常に厳しい状況だ。中国国内の新エネ車市場は調整期に入っており、自信を強め、予想を安定させることが特に必要だ」との見方を示す。
中国電気自動車百人会の副理事長を務める中国科学院の院士欧陽明高氏は、「現時点で、中国国内の新エネ車市場は業界の調整期に入っているが、市場がずっとネガティブであるということはないだろう。今後10年、プラグインハイブリッドカーが上昇期に入り、5年後にピークに達するだろう。2035年には、純電気自動車が自動車市場の主役となるだろう」との見方を示す。
2010年、新エネ車は、中国政府が指定する7つの新興戦略産業の一つとなり、プラグインハイブリッドカー、純電気自動車の推進・応用・産業化の推進が明確化された。陳理事長は、「10年間の開発を経て、蓄電池をテクノロジー・ロードマップにした純電気自動車は、十分に通用することが証明された。かつて、海外ではこのようなテクノロジー・ロードマップは賛同されていなかったが、2016年以降、世界の自動車メーカーが電気自動車の分野にモデル転換するようになった」と説明する。
2019年の新エネ車の発展の特徴について、欧陽氏は、「政府の補助金が縮小しているのが逆風となり、世界ではモデル転換が大きな流れとなる中、新エネ車の動力システムの技術的価値が一層重視されるようになっており、電気自動車のコア技術の経済性によって決まる市場の見通しが非常に明るい」と率直に語る。
純電気自動車をめぐっては、現在、消費者の間に依然として、航続距離やコスト、充電、安全性などをめぐる不安が残っている。それについて、欧陽氏は、「現段階で、純電気自動車は技術の面で大きく進歩している。現在、中国の動力電池のコストは既に1Wh(ワットアワー)当たり0.6~1元(約9.4元~15.7円)まで下がり、大半の自動車メーカーは、30分から45分で80%まで急速充電できる。一部の自動車メーカーが開発したものは15分で80%まで超急速充電できるようになっている」と説明する。
欧陽氏はさらに、「現在、動力電池メーカーの安全性に対する理念も変化しており、単体の安全性よりシステムの安全性を強調し、問題が起きてからではなく起きる前に警告を発することを強調するようになっている。動力電池の安全性も向上し続けている」としている。
このような情勢に直面し、新エネ車メーカーはどのように対応すればいいか、また行政はほかに何をすればいいのだろう?陳理事長は、「新エネ車メーカーは性能を高め、コストを下げるための努力をしなければならない。現在、世界の自動車市場では、自動車メーカーが共同で研究開発を行ってそのコストを削減するなど、協力し合う現象が現れるようになっている。中国の自動車メーカーも協力してコア競争力を強化すると同時に、業界の垣根を超えた協力を推進すべきだ」との見方を示す。
そして、「行政は、予想と人心を安定させる必要がある。重要な競争においては、研究開発を力強くサポートし、新世代蓄電池、レーザーレーダーなどについての研究といった産業チェーン上のウィークポイントの克服やボトルネックを解消する必要がある。一方で、補助金以外のサポート政策をできるだけ早く打ち出す必要がある」と提案している。
※本稿は、科技日報「新能源汽車銷量五連跌 専家称調整期要賢定信心」(2019年12月25日付3面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。