第171号
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深圳:知的財産権保護モデル都市の構築

2020年12月03日 劉伝書(科技日報記者)

 第22回中国国際ハイテク成果交易会が11月11日から15日まで、深圳で開催された。中国(深圳)知的財産権保護センターの専門家チームは同イベントに参加し、政策のPRや権利の保護を受けるためのガイダンスなど、知的財産権をめぐる総合的なサービスを展開し、法令違反の取り締まりを行う関係者と共に知的財産権の保護のPRを行った。

 知的財産権保護のモデル都市を構築し、知的財産権の保護を全域に行きわたらせることで、深圳を科学技術イノベーションの中心地となることを目指すという。

堀をめぐらす―在宅で権利保護が可能に

 統計によると、2019年、深圳市のPCT(特許協力条約)国際出願件数は16年連続で全国最多だった。2020年の1‐9月期、深圳の企業2万8,000社の特許出願数は21万9,000件、取得件数は16万4,000件に達した。PCT国際出願件数は1万4,000件で全国最多、商標登録の申請件数は43万6,000件だった。

 先日発表された「深圳が建設する中国の特色ある社会主義先行モデルエリア総合改革試験拠点の実施ガイドライン(2020--25年)」において、深圳は知的財産権保護のモデル都市を構築するという目標を掲げている。

「深圳経済特区科学技術イノベーション条例」が11月1日から施行された。その中で、知的財産権を重要な内容として単独の章を設け、知的財産権価値評価体系の構築、知的財産権資本化、知的財産権公共サービスなど10項目の内容を打ち出し、知的財産権価値評価体系構築、資産化・証券化などの業務推進の重要性を特に強調している。知的財産権の価値が十分に発掘されることで、企業のイノベーション資源活用やイノベーション効果を向上させ、競争力アップにつながると期待されている。

 中国科学院深圳先進技術研究院の樊建平院長は、取材に対して「深圳が科学技術イノベーションに関する法制備において先陣を切り、モデル的役割を果たすというのは、日に日に熾烈になる都市間の総合的競争において、引き続き優位性を保つために必要なことだ。知的財産権保護制度構築において、深圳は中国全土でトップである」と語った。

 深圳は、中国初となる知的財産権保護に関する「深圳経済特区知的財産権保護条例」を打ち出し、最も厳しい知的財産権保護を実施している。2016‐19年、深圳市市場監督管理局は、「有為(有為な行動)」、「護航(権利保護のサポート)」、「雷霆(eコマースにおける知財保護)」、「剣網(インターネット上の海賊版対策)」、「鉄拳(厳格な処分)」などの一連の取り組みを実施し、取り締まりを受けた知的財産権関連の案件は711件から1,834件と、158%増となった。知的財産権侵害行為に対する取り締まりを強化することで、知的財産権の権利者に強い安心感を与えている。

 深圳市市場監督管理局促進処の曾文斌副処長によると「深圳商標受理窓口は、IT技術を駆使して商標受理業務の遠隔処理を実現し、手続きに必要な時間や経済的コストが大幅に削減された。業務改善を継続的に行い、業務ごとに電子化された資料ファイルパックを作成することで、業務処理効率が向上した。また、オンライン事前審査業務を開設し、事前審査をクリアすれば申請書類の郵送が可能となった。証明書や領収書などの郵送サービスにより手続きの時間が短縮され、家にいながらにして権利保護を受けることができるようになった」と説明する。

知的財産権保護―科学技術イノベーションの活性化のために

 深圳は、知的財産権のワンストップ型協同保護プラットフォームを構築し、法的保護を通じて知的財産権の発展を支援し、より安定的で透明性の高い環境と将来への展望が科学技術イノベーションにエネルギーを注いている。

 中興通訊(ZTE)股份有限公司の副総裁を務める、知的財産権部の胡毅部長は「当社は、技術のイノベーションから特許の展開、さらに特許の取得、バックエンド管理に至るまでフルライフサイクル、オールプロセスの管理体系を構築している。良好な知的財産権保護環境があれば、企業のイノベーション技術はより発展し、強く大きくなることができる」と語る。

 中興通訊では、1996年から今に至るまでの知的財産権の成果が展示されており、来訪者が見ることができる。現在、中興通訊のPCT国際出願件数は約7万6,000件、保有する特許は3万6,000件以上に達し、PCT国際出願件数は9年連続で世界トップ5に入っている。うち、チップの特許申請が4,100件以上に達している。

 深圳奥比中光(Orbbec)は、世界で唯一3Dセンシング、ステレオカメラ、iTOF、dTOF、レーザー・レーダーの5種類の主流3Dセンシング技術の研究開発を全面的に展開している企業で、常に独自の知的財産権を持つ技術の研究開発を行っている。中国国際高新技術成果交易会の中国国家知的財産権局の展示館で、同社の技術者は「当社の3Dセンシングの特許出願件数は900件近くで、アップルやマイクロソフトと共に世界のトップ3に入っている。うち、3Dセンシングの特許出願件数は世界最多だ。当社の特許出願件数は平均1日1件のペースで増えている」と胸を張った。


※本稿は、科技日報「深圳如何打造知識産権保護標杆城市」(2020年11月16日付4面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。