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【23-05】2022年中央経済工作会議を読み解く(その1)

2023年01月23日

田中修

田中 修(たなか おさむ)氏 :ジェトロ・アジア経済研究所 上席主任調査研究員 拓殖大学大学院経済学研究科客員教授

略歴

 1958年東京に生まれる。1982年東京大学法学部卒業、大蔵省入省。1996年から2000年まで在中国日本国大使館経済部に1等書記官・参事官として勤務。帰国後、財務省主計局主計官、信州大学経済学部教授、内閣府参事官、財務総合政策研究所副所長、税務大学校長を歴任。現在、財務総合政策研究所特別研究官(中国研究交流顧問)。2018年12月~ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員。2019年4月~拓殖大学大学院経済学研究科客員教授。学術博士(東京大学)

主な著書

  • 「日本人と資本主義の精神」(ちくま新書)
  • 「スミス、ケインズからピケティまで 世界を読み解く経済思想の授業」(日本実業出版社)
  • 「2011~2015年の中国経済―第12次5ヵ年計画を読む―」(蒼蒼社)
  • 「検証 現代中国の経済政策決定-近づく改革開放路線の臨界点-」
    (日本経済新聞出版社、2008年アジア・太平洋賞特別賞受賞)
  • 「中国第10次5ヵ年計画-中国経済をどう読むか?-」(蒼蒼社)
  • 『2020年に挑む中国-超大国のゆくえ―』(共著、文眞堂)
  • 「中国経済はどう変わったか」(共著、国際書院)
  • 「中国ビジネスを理解する」(共著、中央経済社)
  • 「中国資本市場の現状と課題」(共著、財経詳報社)
  • 「中国は、いま」(共著、岩波新書)
  • 「国際金融危機後の中国経済」(共著、勁草書房)
  • 「中国経済のマクロ分析」(共著、日本経済新聞出版社)
  • 「中国の経済構造改革」(共著、日本経済新聞出版社)

はじめに

 2022年12月15-16日、党中央・国務院共催により中央経済工作会議が開催された。首脳人事の過渡期として、会議には、李克強・李強・趙楽際・王滬寧・韓正・蔡奇・丁薛祥・李希が出席した。会議では習近平・李克強・李強が重要講話を行い、習近平総書記が2022年の経済政策を総括し、当面の経済情勢を分析し、2023年の経済政策を手配した。李克強総理は23年の経済政策について手配を行い、次期総理と目される李強が総括講話を行った。本稿では、会議の概要を紹介する。なお、重要なフレーズは太字で示している。

1.これまでの経済政策の総括

1.1 2022年及び過去5年・10年の政策回顧

(1)2022年の回顧

 2022年は、党・国家の歴史上極めて重要な一年であった。

 我々は第20回党大会を勝利のうちに開催し、社会主義現代化国家全面建設のマクロの青写真を描いた。激動する国際環境と困難が大きく繁雑で荷が重い国内の改革・発展・安定の任務に対して、習近平同志を核心とする党中央の堅固な指導の下、全党・各民族・人民は困難に立ち向かい、琢磨・前進し、国内・国際2つの大局を統一し、疫病防御と経済社会の発展を統一し、発展と安全(保障)を統一し、マクロ・コントロールを強化し、予想を超えた要因のダメージに対応し、発展の質を着実に高め、科学技術イノベーションの成果は実り多く、改革開放が全面深化され、雇用・物価は基本的に平穏であり、食糧の安全・エネルギーの安全と人民の生活は有効に保障され、経済社会の大局の安定を維持した。

 北京冬季オリンピック・パラリンピックを成功裏に開催した。この成績は殊に容易ではなく、これまでにも増して大切にしなければならない。

(2)経済情勢の現状

 現在、わが国経済の回復の基礎はなお牢固ではなく、需要の収縮・供給へのダメージ・予想の弱気化の三重の圧力は依然としてかなり大きく、外部環境は動揺し不安で、わが国経済にもたらす影響が更に深まっている。

 しかし、わが国経済は強靭性が強く、潜在力が大きく、活力が十分であり、各政策の効果が引き続き顕在化し、2023年の経済運営は総体として反転・上昇が見込まれることを見て取らねばならない。経済政策をしっかり行うことへの自信を確固としなければならない。

(3)過去5年間の回顧

 過去5年は極めて尋常・平凡ならざるものであり、わが国経済は、世界の変局の激化、新型コロナウイルス感染症のダメージ、国内経済の下振れ等の多重の試練を耐え、人民の生命の安全と身体の健康を有効に守護し、わが国経済の大船は波風を乗り越えて前進した。

(4)新時代10年の回顧

 新時代の10年は、わが国経済社会発展が歴史的成果を収め、歴史的変革が発生し、質の高い発展に転換した10年であった。我々は絶対的貧困問題を歴史的に解決し、期限どおり小康社会を全面的に完成させ、わが国の発展は新たな更に高い歴史的起点に立っている。

(留意点)

 新華社北京電2022年12月17日「2022年中央経済工作会議側記」(以下「側記」)によれば、この2022年及び過去5年・10年の政策回顧は、15日午前の第1次全体会議で習近平総書記が語った内容である。

1.2 経済政策における5つの堅持

 経済政策をしっかり実施するには、党の全面指導とりわけ党中央の集中・統一的指導を堅持しなければならない。

発展は党の執政・興国の第一の重要任務であることを堅持し、発展は質の高い発展でなければならず、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹しなければならない。

安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、実事求是(実際に即して正確な方法を見出すこと)、ルールの尊重、システムの概念、(最悪の事態を想定して)最低ラインをしっかり守る考え方を堅持し、実践を各政策・活動の成果を検証する基準としなければならない。

社会主義基本経済制度を堅持・整備し、社会主義市場経済改革の方向を堅持し、「2つのいささかも揺るぐことなく」[1]を堅持しなければならない。

ハイレベルの対外開放の推進を堅持し、ルール・規制・管理・基準等の制度型開放を着実に拡大しなければならない。

経済発展の推進を法治の軌道の上で運営することを堅持し、財産権・知的財産権を法に基づき保護し、契約精神を遵守し、市場化・法治化・国際化した一流のビジネス環境を作り上げなければならない。

(留意点)

 6つの堅持のようにみえるが、「側記」によれば、党の集中・統一的指導は大原則・大道理とされている。また、①の「発展は党の執政・興国の第一の重要任務である」は、第18回党大会直後の2012年12月15―16日の中央経済工作会議で、習近平総書記が強調したものであり、それが10年堅持されている。

 ③の「2つのいささかも揺るぐことなく」を堅持することにより、引き続き民営企業の発展を支援すること、その前提となる⑤財産権・知的財産権の保護を明らかにし、併せて市場経済化改革の方向性の堅持を再確認している。また④で開放政策の堅持も強調している。

2.2023年の経済政策の基本方針

(1)総体的考え方

 2023年の経済政策をしっかり実施するには、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想を導きとして、第20回党大会精神を全面的に貫徹実施し、中国式現代化を着実に推進し、安定の中で前進を求める政策の総基調を堅持し、新発展理念を完全・正確・全面的に貫徹し、新たな発展の枠組の構築を加速し、質の高い発展の推進に力を入れ、疫病防御と経済社会の発展をよりよく統一し、発展と安全(保障)をよりよく統一し、改革開放を全面深化させ、市場の自信を奮い立たせることに力を入れ、内需拡大戦略の実施をサプライサイド構造改革の深化と有機的に結びつけ、成長・雇用・物価を安定させる政策を際立ててしっかり実施し、重大リスクを有効に防止・解消し、経済運営全般の好転を推進し、質の有効な向上と量の合理的な成長を実現し、社会主義現代化国家の全面建設のために好スタートを切らねばならない。

(留意点)

 第20回党大会報告で明らかにされた「中国式の現代化」が再掲された。

 また同報告の経済部分で強調された「内需拡大戦略の実施をサプライサイド構造改革の深化と有機的に結びつける」ことが確認された。単に財政・金融政策で有効需要を生み出すだけでなく、供給サイドの質を高め、潜在成長力の向上と組み合わせることにより、質の高い成長を実現することが重視されている。

 マクロ政策の重点としては、成長・物価・雇用の安定が挙げられている。

(2)各政策のポイント

 2023年は「『穏(安定・穏健)』の字を第一に、安定の中で前進を求める」ことを堅持し、積極的財政政策と穏健な金融政策を引き続き実施し、マクロ・コントロールを強化し、各種政策の協調・連携を強化し、質の高い発展を共に促す合成力を形成しなければならない。

(留意点)

 2022年に引き続き、マクロ政策は安定・穏健が第一とされた。また、マクロ・コントロールを強化するとしている。

①積極的財政政策は力を加え効果を高めなければならない。

 必要な財政支出の強度を維持し、赤字・特別債・利子補給等の手段の組合せを最適化し、質の高い発展を有効に支援する中で財政の持続可能性と地方政府の債務リスクのコントロール可能性を保障しなければならない。

中央の地方に対する移転支出を強化し、財政力の下方移転を推進し、末端の「基本民生・賃金・運営の保障」政策をしっかり実施しなければならない。

(留意点)

 財政部の許宏才副部長は、「力を加え」とは、「1)財政収入・財政赤字・特別債・資金調達等を統一企画し、必要な財政支出の強度を維持する、2)赤字率(財政赤字の対GDP比)と地方政府特別債の規模を合理的に計上し、政府投資の程度を減じないことを確保する、3)中央の地方への移転支出を引き続き増やし、末端の『基本民生・給与・運営保障』の最低ラインをしっかり保障すること」であり、「効果を高める」とは、「1)減税・税還付・費用引下げ政策を整備する、2)財政支出構造を一層最適化し、不足部分の補充・脆弱部分の強化・基盤の強化・優位性の発揚を支援する、3)財政策資金の誘導・呼び水作用をよりよく発揮させる、4)財政資金の直接交付メカニズムを整備し、予算の実績効果管理を深化させる、5)財政マクロ・コントロールを引き続き刷新・整備し、金融・産業・科学技術・社会政策との協調・連携強化を重視する」ことであると説明している(新華社北京電2022年12月19日)。

 財政政策は22年の「効果を高め、精確・持続可能を更に重視」から「力を加え、効果を高める」に変わった。しかし、財政支出の強度を維持するとしながらも、支援するのはあくまで「質の高い発展」であり、同時に財政の持続可能性と地方債務リスクの防止・コントロールが重視されている。

 また、赤字・特別債・利子補給の組合せを最適化するとしているが、22年の投資拡大では、1-9月の中央政府赤字・地方政府特別債によるインフラ投資前倒しから、10-12月は財政利子補給による製造業の設備投資支援に重点が移っている。

 さらに、コロナ対応で末端財政が疲弊していることから、中央からの財政移転では末端政府の基本民生・給与・運営の保障に重点が置かれている。

 なお、22年12月29日に開催された全国財政工作オンライン会議は、23年の財政政策の重点は次の5方面であるとした。

1)税・費用支援政策を整備し、実際の情況に基づき、継続すべきものは継続し、最適化すべきものは最適化して、企業の困難緩和に力を入れる。

2)財政資源の統一を強化し、財政赤字・特別債・利子補給等の手段の組合せを最適化し、財政支出の規模を適度に拡大して、国家重大戦略任務実施のために財政力保障を提供する。

3)支出構造の最適化に力を入れ、維持するものと抑制するものの区別を堅持し、科学技術の難関攻略・農村振興・地域重大戦略・教育・基本民生・グリーン発展等の重点分野を積極支援し、一般的支出を厳格に抑制し、支出効率を不断に高める。

4)地域間の財政力水準をバランスさせ、中央の地方への移転支出を引き続き増やし、県レベルの財政力を長期有効に保障する健全なメカニズムを整備し、基本公共サービスの均等化を促進する。

5)財政経済紀律を厳格にし、財政収支の規範的管理を厳格にし、法規に違反した借入行為を断固制止し、財政リスクを確実に防止する。

②穏健な金融政策は精確・有力にしなければならない。

 流動性の合理的充足を維持し、M2と社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせることを維持し、金融機関が小型・零細企業、科学技術イノベーション、グリーン発展等の分野への支援を強化するよう誘導しなければならない。

 人民元レートの合理的均衡水準での基本的安定を維持し、金融安定保障システムを強化する。

(留意点)

 人民銀行の劉国強副行長は、「簡単に言えば、総量を十分にし、構造を正確にしなければならないということである。『総量を十分にする』とは、「1)金融政策の程度を22年より小さくしてはならず、必要ならば一層力を加えなければならない、2)実体経済の需要をよりよく満足させることを含むだけでなく、金融市場の流動性の合理的維持をも含み、資金金利の合理的弾力性を維持し、乱高下させないことである。『構造を正確にする』とは、『1)小型・零細企業向けインクルーシブファイナンス、科学技術イノベーション、グリーン発展、インフラ等の重点分野・脆弱部分への支援を引き続き強化しなければならない、2)一連の構造的金融政策を引き続きしっかり実施しなければならない』ということである」と説明している(新華社北京電2022年12月19日)。

 金融政策は22年の「柔軟・適度」から「精確・有力」に転換された。しかし目的は、あくまでも流動性を合理的に充足させることで、M2や社会資金調達規模の伸びには名目成長率の制約がかかっており、支援対象も小型・零細企業、科学技術イノベーション、グリーン発展等の分野に絞っている。

 なお、1月4日に開催された人民銀行工作会議は、23年の金融政策を次の7方面としている。

1)穏健な金融政策を精確・有力に実施する。
 多様な金融政策手段を総合運用して、流動性の合理的充足を維持する。M2と社会資金調達規模の伸びを名目成長率と基本的に釣り合わせることを維持する。多くの措置を併せ打ち出して、市場主体の資金調達コストを引き下げる。人民元レートの合理的均衡水準での基本的安定を維持する。

2)内需と供給体系への金融支援を強化する。
 消費の回復・拡大、重点インフラと重大プロジェクトの建設を支援する。各種所有制企業の同一視を堅持し、金融機関が民営、小型・零細企業の資金調達問題一層しっかり解決するよう誘導する。金融16項目措置を実施して、不動産市場の平穏で健全な発展を支援する。

3)金融リスクの防止・解消を引き続き推進する。
 国務院金融安定発展委員会弁公室の牽引・総合把握作用を一層発揮させる。健全な金融安定保障基金管理制度を整備する。

4)マクロプルーデンス管理システムを引き続き整備する。
 マクロプルーデンス・ストレステストのメカニズムを最適化する。システム上重要な銀行の監督管理を強化する。金融持ち株会社の監督管理を強化する。

5)国際金融協力と対外開放を引き続き深化させる。
 G20による持続可能な金融の牽引をしっかり行う。ルール・規制・管理・基準等の制度型開放を着実に拡大する。人民元の国際化を秩序立てて推進する。

6)金融改革を引き続き深化させる。
 金融インフラの統一監督管理の枠組を引き続き整備する。プラットフォーム企業の金融業務への常態化した監督管理を強化する。外為分野の改革開放を引き続き深化させる。

7)金融サービスと管理水準を全面的に高める。
 金融立法を引き続き推進する。金融統計と研究活動を着実にしっかり行う。支払決済監督管理の質・効率を不断に高める。フィンテックの実用化・管理を深化させる。人民元の現金管理を強化する。デジタル人民元テストを秩序立てて推進する。国庫業務の情報化水準を引き続き高める。信用情報収集システムの建設を全面強化する。反マネーロンダリング監督管理を着実に展開する。金融消費の権益保護を強化する。

③産業政策は発展と安全(保障)を両立させなければならない。

 産業政策の実施方式を最適化し、伝統産業の改造・グレードアップと戦略的新興産業の育成・発展にしっかり取り組み、産業チェーンの脆弱部分の補強に力を入れ、炭素排出ピークアウト・カーボンニュートラルの目標・任務を実施するプロセスにおいて、新たな産業競争の優位性を鍛え上げる。「科学技術-産業-金融」の良性循環を推進する。

(留意点)

 22年は「構造政策」という表現を使用していたが、「産業政策」に変わった。経済安全保障の観点から、引き続き産業チェーンの強化に重点が置かれている。また、産業政策と科学技術イノベーション推進・金融支援との良性の循環が重視されている。

④科学技術政策は自立自強に焦点を絞らなければならない。

 教育・科学技術・人材政策を有力に統一しなければならない。

 いくらかの国家重大科学技術プロジェクトを配置・実施し、新しいタイプの挙国体制を整備し、カギ・コアとなる技術の堅塁攻略における政府の組織的役割をしっかり発揮させ、科学技術イノベーション主体としての企業の地位を際立たせる。

 人材の自主育成の質・能力を高め、ハイエンド人材の誘致を加速する。

(留意点)

 第20回党大会で、教育・科学技術・人材育成が一体化され。科学技術の自立自強を推進する新しい挙国体制の整備が強調されたことを受けたものである。ただイノベーション推進については、政府の役割のみならず、企業が主体であることを明らかにしている。

⑤社会政策は民生の最低ラインをしっかり保障しなければならない。

 雇用優先政策をしっかりきめ細かく実施し、若者とりわけ大学卒業生の雇用促進政策を更に際立てて位置づける。構造的物価上昇が一部の困窮大衆にもたらす影響を、適時有効に緩和する。

 新就労形態の労働者の権益保障を強化し、年金保険の全国統一資金管理を着実に推進する。質の優れた医療資源の拡大・下方移転と地域のバランスのとれた配置を推進する。出産支援政策体系を整備し、法定退職年齢の漸進式の延長政策を適時実施し、人口の高齢化少子化に積極的に対応する。

(留意点)

 引き続き雇用政策は若者とくに大学卒業生に重点が置かれ、民生では物価上昇のダメージが大きい困窮大衆に重点が置かれた。これらの人々が党・政府への不満をつのらせると、政治・社会の不安定要因となるからである。また、コロナ流行以降拡大した、フリーランス・ギグワーカー等の新就労形態の労働者への社会保障制度整備が課題となっている。

 少子高齢化対策としては、出産支援と定年延長が掲げられているが、年配者の定年延長については、就職難を恐れる若者や、両親による子育て援助の機会消失を懸念する若年夫婦の反発もあるため、漸進式に行うとしている。

(3)6つの統一

 23年の経済発展が直面する困難・試練は多く、システムの概念・ルールに則ったイノベーションを堅持しなければならない。

疫病防御と経済社会の発展をよりよく統一し、時勢に応じて疫病の防止・コントロールを最適化し、新たな段階の疫病防止・コントロールの各措置を真剣に実施し、大衆の医療・医薬をしっかり保障し、高齢者と基礎疾患を患う人々の感染防止・コントロールに重点的にしっかり取り組み、健康の保障・重症の防止に力を入れなければならない。

経済の質の有効な向上と量の合理的成長をよりよく統一し、質で勝利を得ることを堅持し、量の変化の累積により質の変化を実現しなければならない。

サプライサイド構造改革と内需拡大をよりよく統一し、質の高い供給を通じて有効需要を創造し、多様な方式とルートにより内需拡大を支援しなければならない。

経済政策とその他政策をよりよく統一し、全局観を増強し、マクロ政策の方向性との一致性の評価を強化しなければならない。

国内循環と国際循環をよりよく統一し、新たな発展の枠組の構築を軸に、国内大循環の内生的動力と信頼性を増強し、国際循環の質・水準を高めなければならない。

当面と長期をよりよく統一し、当面の政策をしっかり実施するのみならず、今後の発展のためにしっかりつなげなければならない。

(留意点)

 ①で時勢に応じて疫病の防止・コントロールを「最適化」、「新たな段階」という表現で、ゼロコロナ政策を事実上見直す旨を明らかにしている。コロナ対策の重点対象は、高齢者と基礎疾患をもつ人々に絞られることになった。

 中央財経委員会弁公室の韓文秀副主任は、③につき、「これは内外環境の変化に積極対応し、発展の主動性を高める長期の策である。サプライサイド構造改革の深化で経済政策の全プロセスを貫徹することを堅持し、質の高い供給を通じて有効需要を創造し、多様な方式・ルートで内需拡大を支援しなければならない」と説明している。

 また⑤につき、「貿易・投資・人材・技術・エネルギー・資源の国際循環の規模を一層拡大し、構造を最適化し、国内大循環と有機的に結びつける必要がある」としている(新華社北京電2022年12月17日)。

その2 へつづく)


1. 1)いささかも揺るぐことなく公有制経済を強固にして発展させ、2)いささかも揺るぐことなく非公有制経済の発展を奨励・支援・誘導する。