中国の環境問題とポスト円借款時代の対中環境協力
−中国に公害防止事業団を−
中国の環境問題とポスト円借款時代の対中環境協力
−中国に公害防止事業団を−
【エグゼクティブ・サマリー】
- 中国の環境破壊が非常に憂慮すべき状態にあることは多言不要。近年、中国政府も環境保護を重視し、特に汚染の激甚な地域での対策を強化しているものの、個々の都市の大気質、河川の水質等は依然として高い汚染状況。
- 砂漠化や大気汚染といった中国の環境悪化のために日本が被害を受け、地球規模の気候変動問題に取り組むためにも中国の取り込みが避けられないなか、中国の姿勢を批判するだけでは何ら現実的な解決にはつながらない。長い目で見れば結局日本自身の利益を損ねるだけ。
- 中国の公害対策が進まない最大の問題は、公害規制の不徹底と、公害防止や環境保全のための投資額の圧倒的な不足。したがって、中国自身の公害防止努力を促す観点からは、中国における環境投資の増加を扶助するような資金供給制度の整備が必要。
- こ の点、日本の高度経済成長時代には公害防止規制というムチと「公害防止事業団」等による公害対策融資というアメが存在。「公害防止事業団」は、1965年 に設立された特殊法人であり、ばい煙処理施設、汚水処理施設その他の公害防止施設の設置の支援を目的に、地方公共団体や事業者に対して長期固定低利融資な どを実施。
- もし中国が「公害防止事業団」類似の公害防止資金供給制度の設立を望むのであれば、日本としては人材育成、融資ノウハウ、法制度整備などの分野を中心に官民挙げて協力できる可能性。
第1節 中国の環境の現状
1 国家環境保護「十五」計画の結果
中国政府は、第十次5カ年計画(2001〜2005年)において、2005年の大気汚染及び水質汚染物質の排出量(それぞれSO2及びCOD排出量)を2000年比で10%削減する目標を設定した。しかし実際には、SO2は2000年の1,995万tから2005年には2,549万tへ28%の大幅増、CODは2000年の1,445万tから1,414万tへわずか2%の減という結果に終わった。第十一次5カ年規画(2006〜2010年)においても、2010年のSO2及びCOD排出量を2005年比で10%削減する目標を設定しているが、2007年上半期現在ではSO2が0.88%減、CODが0.24%増と目標を達成するのは非常に厳しい状況となっている。
目標を掲げても排出削減が進まない理由として、環境重視の姿勢を見せる中央政府に対し、未だ地方政府には経済成長優先という考えがあることを指摘できる。 こうした状況に対して中央政府は、各省・自治区・直轄市及び主要業種と協定を結び、目標達成の責任を分担させ、各地方の幹部の業績評価に環境目標の達成を 含めることなどの措置を取るようになった。ただし、その成果はまだ見えていない。
また、中央政府は、環境保護策として火力発電所への脱硫装置や汚水処理場の建設などのインフラ整備も進めている。しかし、たとえ見かけ上インフラが整備 されても、安価な国内産の脱硫装置では性能が低いものがあったり、運転コストがかかるため装備しても稼働させなかったりといった問題も生じていると聞く。
さはさりながら、一部に改善の兆しがないわけではない。例えば汚染物質排出量については、2007年11月14日(3四半期終了時)発表で、SO2が1.81%減、CODが0.28%減となり、大気及び水質の2項目の指標が同時に改善に転じたとされた。さらに2008年3月11日に北京で開催された第十一期全国人民代表大会第一回会議の記者発表会では、昨年比でSO2は4.66%減、CODは3.14%減と順調な削減が進んでいることが発表された。
改善の理由について国家環境保護総局は、火力発電所の脱硫装置装備率が48%、都市の汚水処理率が約60%(都市汚水処理量7,000万t/日)に達し たことや、政府・企業らが率先して環境対策に取り組むようになったことなどを挙げている。
しかし、このようなインフラ整備や取組姿勢の変化だけで、上半期からの半年で急速な改善が見られたとは信じがたい。汚染物質排出量の算定方法の変更が行わ れた影響も考えられるし、中国の公式発表や統計データの信憑性にも疑念がぬぐえない。本当に汚染物質排出量が削減に向かっているのかは、慎重に見極めてい かねばなるまい。
2000 |
2005 |
2007上半期(07.8.21発表) |
---|---|---|
☆汚染物質排出量(依然高い) SO2排出量 1995万t COD排出量 1445万t |
(2005目標1800万t) 2549万t (2005目標1300万t) 1414万t |
(昨年同期比▲0.88%)1263.4万t (昨年同期比+0.24%) 691.3万t |
☆水質(かなり深刻) 7大水系でⅣ級以下 42% |
59% |
【対策】 ☆SO2改善 火力発電所の脱硫装置装備率 36.3%(2006年30%) 小規模火力発電所の淘汰量 551万kw ☆COD改善 新規汚水処理施設建設 700万t/日 製紙、醸造等高汚染産業を調整 |
☆大気(比較的重度) Ⅲ級以下63.5%(338都市) 酸性雨 61.8%(254/411都市) |
2004年:61.8%(342都市) 2005年:39.7%(522都市) 51.3%(357/696都市) |
|
☆廃棄物(ますます顕著) 工業固体廃棄物量 3186万t 生活ごみ発生量 1.18億t |
(2005目標2900万t) 1655万t 1.56億t |
出典:東京財団「北京五輪後の日中関係−8つの提言」
2 水質・大気の状況
中国の7大水系(長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河)の水質について、「中国環境状況公報2006」によれば、飲用水に利用可能なⅠ〜Ⅲ類の水 が46%にとどまる一方、如何なる用途にも利用できない劣Ⅴ類の水が26%も占めている。すなわち、中国の主要河川の水のうち実に4分の1が触れることも できないほどに汚染されているのだ。それにもかかわらず、たとえ劣Ⅴ類の水であれ、地域によっては水資源に困窮しており、農業等に使用せざるを得ない地域 も多い。この結果、土壌や農産物が汚染されたり村民の大半が癌になったりするなどの問題を引き起こしている。また、汚染された水が大量に海洋に流れ込むこ とによって、海洋の水質も悪化させ、結果として水産物の重金属汚染なども生じているといわれる。
大気についても汚染は深刻である。特に北京や広東などの都市部ではモータリゼーションや暖房施設の増加などのために大気汚染が急速に悪化し、毎日のよう に空が白く霞んだ状態が続いている。北京と東京の大気汚染の数値を比較すると10倍近い差があり、現在の北京の大気汚染の状況は1970年頃の東京で汚染 が著しかった地点とほぼ同様である。また、炭坑地域や鉄鋼などの重工業が集中している都市でも深刻な汚染が続いているし、小規模な都市・街などでも地場工 場から局地的な汚染が発生して鉛中毒などの健康影響が出ていることなどが報道されている。
3 環境保全投資の推移
こうした目を覆いたくなるような環境汚染に対し、中国政府も単に手をこまねいているわけではない。成果はともかく、少なくとも中央政府としては環 境保全を重視しており、それは年々の環境保全投資額の増加にも現れている。第7次5カ年計画時(1986〜1990年)にはGDP比で約0.66%であっ た環境保全投資額は、それから20年を経た現在の第11次5カ年規画ではGDP比で約1.5%を目標とするようになった。
しかし、この環境保全投資額の内訳を見ると、ガス・熱供給・公園緑化・公衆トイレの建設などを含むインフラ整備費が中心であり、本当の公害防止に投じられる予算は投資額の2割程度である。
また、環境のために投じられている国費の額という観点で見れば、国家環境保護総局の予算が2005年で約6.2億元(約100億円)であり、政府全体で も年間300億元(約5000億円)に過ぎない。これは、2007年度における日本の環境省予算額が約2,200億円、日本政府全体の環境保全経費が約 2.2兆円であるのと比較すれば、日本の約26倍の広大な国土を持つ中国にとって極めて不十分な額であると言わざるを得ない。
中国政府内でも同様の認識が存在すると窺えるのが、国家環境保護総局と国家統計局が共同で行っている「緑色GDP研究」である。2006年9月に発表され た「中国グリーン国民経済計算研究報告2004」は、環境汚染防止のためには、まず初期投資としてGDPの7%(約16.2兆円)程度が必要であり、さら に運営投資として毎年GDPの2%(約4.3兆円)相当が必要としている。しかも、それだけ巨額な投資を行っても毎年生じるフローの汚染を食い止めるのが 精一杯であり、これまで蓄積されたストックの汚染は改善できないという。同報告書では、中国の環境汚染による経済損失についても記述しており、2004年 推計値で少なく見積もってGDPの3%(約7.7兆円)程度の経済損失が生じていると主張している。
☆七五計画 (86-90) |
476.42億元 (GDP比約0.66%)
|
☆八五計画 (91-95) |
1306.57億元 (GDP比約0.69%)
|
☆九五計画 (96-00) |
3447.52億元 (GDP比約0.88%)
|
☆十五計画 (01-05) |
8399.3億元 (GDP比約1.19%) |
☆十一五計画 (06-10) |
13000〜14000億元 (GDP比約1.4〜1.5%) |
出典:東京財団「北京五輪後の日中関係−8つの提言」
第2節 対中環境協力の経緯と現状
1 日中友好環境保全センター
日中両国が環境分野で本格的な協力を始めたのは、1980年代後半からである。1988年、日本は、日中平和友好条約10周年事業として、当時の竹下総理大臣が李鵬総理に対して「日中友好環境保全センター」の設立を提案した。これが日中環境協力のひとつの起点と言える。
同センターは日本の無償資金協力105億円及び中国側の6,630万元を投入して、1990年より施設建設が始まり、1996年5月に開所した。同セン ターは環境保護部直属の総合研究・管理執行機関として、(1)環境分野の科学技術及び政策戦略の調査研究、(2)計測及びデータ処理の手法開発、(3)人 材の養成、(4)普及啓発事業を実施している。また、環境分野における日中間の交流及び協力の総合的調整機関としての役割も果たしており、施設建設中の 1992年からセンターで働く人材を育成するためのJICA技術協力プロジェクトが開始され、2008年現在はプロジェクト・フェーズⅢフォローアップを 実施している。
2 日中環境保護協力協定
また、1991年の愛知和男・環境庁長官訪中をきっかけに「日中環境保護協力協定」締結の話が持ち上がり、その後、日中両国による検討が重ねられて、 1994年3月に締結に至った。これは、日本にとって、米国(1975年)、旧ソ連(1991年)、韓国(1993年)に続く4番目の環境保護協定であっ た。
同協定に基づく協力分野は大気汚染及び酸性雨防止、水質汚濁防止、有害廃棄物処理、環境悪化による健康影響、都市環境改善、オゾン層保護、地球温暖化防 止、生態系・生物多様性保全など多岐に渡り、その協力形態は環境保護に関連する研究活動や技術等についての情報及び資料の交換、科学者等の交流、セミナー の開催等とされた。また、同協定に基づき局長(司長)級の「日中環境保護合同委員会」が設置され、日本及び中国で1994年から2007年まで7回開催さ れている。
「日中環境保護協力協定」締結後も、日中両国では、首脳外交などの機会を捉えて環境協力に関する共同発表を行われてきた。例えば1998年の江沢民主席訪 日時には、中国側から「日中共同宣言」とは別に独立した日中環境協力に係る文書を作成・署名したいとの提案があり、「日中21世紀に向けた環境協力共同発 表」を両国外相により署名している。この共同声明では、(1)日中環境開発モデル都市構想、(2)環境情報ネットワーク整備、(3)日中環境保護合同委員 会、(4)日中環境協力総合フォーラム、(5)東アジア地域における酸性雨防止、(6)地球温暖化防止の分野で協力を進めていくことがうたわれた。
2007年4月の温家宝総理訪日時にも、中国側より前記の共同発表から10年近く経過したことを踏まえ、日中環境協力に係る新たな文書を作成・署名したい との提案があり、「日中環境保護協力共同声明」を外相間で署名した。その内容は、(1)水質汚濁、(2)循環経済、(3)大気汚染、(4)気候変 動、(5)化学物質・廃棄物、(6)緑化活動、(7)酸性雨防止など東アジア地域における協力、(8)環境教育、(9)日中環境保護合同委・知的財産 権、(10)日中友好環境保全センターといった分野に及ぶものである。
このほか、2008年5月の胡錦濤国家主席訪日時にも「気候変動に関する共同声明」が発出されたのは記憶に新しいだろう。
3 プロジェクト協力
1990年代には日中間で環境に関する個別のプロジェクト協力も活発に行われた。
特に注目されるプロジェクトとしては、1997年9月に橋本龍太郎総理と李鵬総理との間で合意された「日中環境モデル都市構想」がある。1998年4月 には、同構想のもとで重慶、大連、貴陽の三都市をモデル都市と定め、円借款(2000年160億円、2001年147億円)による大気汚染対策等を実施し た。こうした協力の結果、モデル都市の一つである貴陽市では、SO2等の大気汚染物質排出量が大幅に削減されるなどの成果を得た。
また、モデル都市構想プロジェクトと同時に、無償資金協力(2000年9.4億円、2001年10.51億円)によって「環境情報ネットワーク構想」と いうプロジェクトも進められ、中国の主要100都市の環境情報ネットワークを構築した。このプロジェクトで構築されたネットワークは、地方都市では地域の 環境モニタリング体制の整備や環境アセスメントのための情報センターとして活用されている。
プロジェクト名 |
円借款 |
国内調達 |
総投資 |
---|---|---|---|
貴陽ガス輸配送拡張工事 |
9.60 |
64.00 |
128.00 |
貴陽製鋼所大気汚染整備プロジェクト |
6.90 |
48.21 |
94.20 |
貴州セメント工場粉塵総合整備プロジェクト |
4.85 |
32.32 |
64.67 |
貴州水晶有機化学工業集団水銀汚染対策プロジェクト |
41.31 |
275.41 |
550.80 |
貴陽市空気質・汚染源オンラインモニタリングシステム |
1.61 |
10.61 |
22.99 |
林東クリーンコールプロジェクト |
6.60 |
44.15 |
94.92 |
貴陽発電所煙道排ガス処理技術改良プロジェクト |
73.48 |
533.32 |
1118.55 |
計 |
144.35 |
1008.02 |
2074.13 |
出典:JBIC資料
第3節 ポスト円借款時代の対中環境協力
1 今後の対中協力
2007年12月1日、高村正彦外相と中国・楊潔篪外相の間で、最後の対中円借款6件463億円に合意する書簡が交換された。1979年の供与開始以来中国の経済発展や日中関係の発展に貢献してきた対中円借款だが、中国の経済発展や日本国内での厳しい批判などを背景に、今年度で新規供与を原則として終える。
その最後の対中円借款6件すべてが環境関係であったことは、今の日中協力の現状を表している。日本では、これまでのような円借款や無償資金協力による大規 模なインフラ整備には否定的な声がある一方、環境分野については、地球規模の気候変動問題や中国から日本への越境汚染問題の存在から、更なる協力の可能性 を含め日中双方がどのような関係を構築していくべきかの意見・議論が存在している。
筆者が思うに、砂漠化や大気汚染といった中国の環境悪化のために日本が黄砂や酸性雨などの被害を受け、地球規模の気候変動問題に取り組むためにも中国の取 り込みが避けられないなかで、中国の姿勢を批判するだけでは何ら現実的な解決にはつながらない。長い目で見れば結局日本自身の利益を損ねるだけである。
今後の日本に求められるのは、中国が好きか嫌いかという感情論はさて置き、環境問題のように日中双方に利益のある実務分野で一つ一つ協力を重ねて相互依存関係を更に強化していくことではないか。
2 対中環境協力の方向性
日本においては気候変動問題への危機意識が高いためか、中国の現状を棚上げにして、気候変動分野での対策に議論を集約させてしまいがちである。しかし、 中国は急速な発展を遂げたとはいえ今なお発展途上にあることから、まずは国内の環境保全を図りながら均衡のとれた発展を進めていくことが中国にとっては喫 緊の課題となっている。
そこで、まずは日本としても、中国における公害問題にプライオリティを置いて対中環境協力を進めていくべきであろう。中国側にニーズが無いものを実施して も協力の効果は上がらない。また、いまや中国こそ世界最大級の公害排出国となっていることを踏まえれば、中国国内の公害問題に取り組むことが、ひいては気 候変動を含む地球規模の環境対策につながるのだと言えよう。
ただし、中国における環境問題の深刻さを考えれば日本のみの協力で中国全土の環境問題が解決すべくもなく、また、本来は汚染者負担の原則(PPP)として 中国が解決すべき問題であることは多言をまたない。したがって、中国自身が公害防止や環境保全に積極的に取り組むように仕向けつつ、日本は中国の努力を側 面支援するという基本姿勢を忘れてはなるまい。
3 中国に「公害防止事業団」設立を
では、具体的にはどのような形で中国の公害防止努力を日本として支援していったらよいのだろうか。
中国の公害防止努力の現状については、本稿の前段で見たとおりであり、最大の問題は公害防止や環境保全のための投資額が圧倒的に不足している点にある。し たがって、中国自身の公害防止努力を促す観点からは、中国における環境投資の増加を扶助するような資金供給制度の整備が必要である。現在、中国の金融機関 では汚染排出企業への事業資金融資を制限することが議論されているが、金融的な手法としては公害防止を積極的に進めようとする中小企業へそのための資金を 融資するような仕組みも必要である。
この点、日本の高度経済成長時代には公害防止規制というムチと「公害防止事業団」等による公害対策融資というアメが存在した。「公害防止事業団」は、 1965年に設立された特殊法人であり、ばい煙処理施設、汚水処理施設その他の公害防止施設の設置の支援を目的に、地方公共団体や事業者に対して長期固定 低利融資などを行っていた。公害対策の進んだ今の日本では役割を終え特殊法人改革のなかで廃止された機関であるが、1970年代から80年代にかけて日本 が公害対策に取り組む上で「公害防止事業団」の果たした役割は大きく、今の中国にも導入が望まれる仕組みであると筆者は考える。
そこで、筆者が主査を務めて取りまとめた政策提言「北京五輪後の日中関係−8つの提言」(東京財団「ポスト円借款時代の日中関係」研究会)では、中国に「公害防止事業団」設立を提案している。
もし中国が「公害防止事業団」類似の公害防止資金供給制度の設立を望むのであれば、日本としては人材育成、融資ノウハウ、法制度整備などの分野を中心に 官民挙げて協力できるのではないか。特に、かつて「公害防止事業団」で若き日を過ごした方々が現役を引退される年代を迎えているが、そうした方々に中国版 「公害防止事業団」立ち上げのため再活躍していただくことも考えられよう。
おわりに
「日中環境基金」設立というアイデアが浮かんでは消えているが、環境協力という名目であっても、資金だけを中国に提供する時代は既に終わった。
円借款という「外交ツール」を手放した今、日本としては、これまで各省・各自治体がばらばらに行っていた技術協力や交流事業の間で相乗効果を高めるよう工 夫するとともに、民間企業やNGOの取り組みとも連携して、官民あげた「All Japan」の発想で中国との関係をマネージしていくことが必要となろう。