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【19-16】中日で人・文化交流政府委員会設置へ 孔鉉佑中国大使が見通し示す

2019年6月26日 小岩井忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 孔鉉佑駐日中国大使が21日、日本記者クラブで記者会見し、日中関係のさらなる改善に取り組む強い意思を明らかにした。アジア地域の団結、繁栄、進歩に中国、日本の両国が大きな責任を負っていることを強調するとともに、中日両国の特に人と文化の交流の重要性を挙げた。すでに日本政府との間で交流を促進するために政府レベルの委員会を設置する話し合いが進んでおり、今年後半には発足するとの見通しも明らかにした。

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写真1 孔鉉佑駐日中国大使(日本記者クラブで)

 孔大使は、外交部副部長兼朝鮮半島問題特別代表から5月30日に駐日中国大使として着任したばかり。これまで1995~1999年に二等書記官、一等書記官、2006~2011年に公使参事官、公使として二度の駐日中国大使館勤務経験を持つ。記者会見では会場からの質問にもひとつひとつ丁寧かつ明確に流ちょうな日本語で答えた。

 今後の新しい日中関係についての質問に対して、孔大使が示したのは四つのポイント。まず、昨年10月北京を訪問した安倍晋三首相が李克強首相に示した「競争から協調へ」という言葉を引き、「ライバル意識を減らし、パートナーシップを育てる」両国関係に転換する必要を強調した。二つ目のポイントとしては、互いに協力のパートナーであるというコンセンサスを最大限政策の中に反映し、実行していくことが問われていることを挙げた。

 続いて指摘したのが、多国間主義と自由貿易主義を堅持して守っていくことの重要性。政治の安定と経済繁栄を支えている現行の国際秩序とルールに基づいた自由貿易体制が、現在、流動的になっているとの現状認識に基づく。それらを堅持し、守っていくことが第二、第三の経済大国として、中国と日本に与えられた大きな責務であることを強調した。

 孔大使が最後に挙げたポイントは、中日関係が既に両国だけの関係という範疇を超えている現実。「中国と日本に問われているのは、アジア地域の団結と進歩に重要な責任を負っていることを意識しているかだ。両国が手を携えて経済発展と平和安定に取り組めば、必ずアジア地域の大きな進歩が成し遂げられる。両国政府だけでなく、両国民の間にもそうした意識を育てていくことがきわめて大事」、と孔大使は力を込めて語った。

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写真2 メディア各社からさまざまな質問が孔大使(左奥)に寄せられる

 こうした積極的な発言は、中日両国の相手国に対する国民感情に関する質問についても変わらなかった。「中国の歴史教育は、事実に基づいて昔起きたことを客観的に教えている。それは、中国国民の日本に対する見方がますます良くなっている現状に反映している」と明確に答えた。国民同士が相手国の真実に近づき、理解する努力をしている姿を見せ合うことが相互理解に役立つとして、人的文化的交流を促進するための委員会を設置する話し合いが両国間で進んでいることを紹介した。

 この政府レベルの委員会の強力な統括の下で、民間交流に大きな資源と力を投入していくという強い意欲を示し、今年後半には委員会が発足するとの見通しも明らかにした。

関連サイト

日本記者クラブ・会見リポート 孔鉉佑・駐日中国大使

You Tube会見動画 孔鉉佑・駐日中国大使会見

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