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【20-010】日本企業はコロナ後の中国にどう対応すべきか(その1)

2020年10月06日

和中 清

和中 清: ㈱インフォーム代表取締役

昭和21年生まれ、同志社大学経済学部卒業、大手監査法人、経営コンサルティング会社を経て昭和60年、(株)インフォーム設立 代表取締役就任
平成3年より上海に事務所を置き日本企業の中国事業の協力、相談に取り組む

主な著書・監修

  • 『中国市場の読み方』(明日香出版、2001年)
  • 『中国が日本を救う』(長崎出版、2009年)
  • 『中国の成長と衰退の裏側』(総合科学出版、2013年)
  • 『仕組まれた中国との対立 日本人の83%が中国を嫌いになる理由』(クロスメディア・パブリッシング、2015年8月)

何も心配することはない

 コロナ問題、中米問題、香港問題など中国を取り巻く環境が難しい局面になっている。

 中国に関係する企業はこれからどうなるだろうとの心配、不安もある。そのため今回の日中論壇は日本企業がコロナ後の中国とどう向き合い、関わればいいかを考える。

 結論を先に言えば「何も心配の必要はない」と考える。ただしコロナ禍で中国経済も変化している。変化にどう適合するかが問われる。適合は丸い穴に無理に四角い杭をはめ込むことではない。四角い部分を丸く削り、余計な物をそぎ落としての適合である。

 まず中米摩擦で「新冷戦」の言葉が日本では囁かれる。 前回の日中論壇 で述べたように「新冷戦」の言葉はおかしい。事実は「米国が仕掛ける中国との対立」で、冷戦とは全く状況が違う。いかに米国は中国が先に手を出すように仕掛けても中国はその手には乗らない。米国との対話のスタンスも維持している。米国は"のれんに腕押し"に我慢できず、大統領選挙が近づけば、選挙の予測次第では緊張を仕向ける可能性がある。例えば、米国は南沙周辺で軍事演習を行い、偵察機を飛ばしている。偵察機の中国軍事演習海域への侵入が激しくなれば2001年の中国戦闘機との接触事故のようなトラブルが再び起こる可能性もある。

 だが中国の自制は働き、大統領選挙まで中国はとにかく我慢の姿勢を保つ。

 選挙結果にもよるが、米国の政権が継続したとしても、選挙が終われば中米摩擦は双方の妥協点に着地していったん落ちつく。米国は経済を早く回復させねばならず、トランプ大統領お得意の打算が働き経済での中国利用に向かうだろう。

 南沙問題も米国が仕掛けなければ、本来は「南海各国行為宣言」の収まるべきところに収まるのではと思う。しかし、米国のアジア覇権もからみ複雑ではある。台湾問題が懸念されるが、今以上の圧力はさすがに米国も起こしにくい。香港問題も国家安全法で米国の介入に一定の歯止めがかかり、次第に香港の本来の姿に戻る。

 米国政治にとり中国は有難い存在であると思える。対立を仕掛けて脅威を煽り、民意を引き寄せることもできるし、煽った脅威が行き過ぎると、それを和らげ平和を演出すれば、それもまた民意を引き寄せられる。そして中国経済を利用して成果を誇れば再び民意を味方にできる。まるで打ち出の小槌である。

中国の改革開放の姿勢は変わらない

「改革開放」への中国の姿勢は変わらない。日本では中国は「独裁」「強権」で覇権に向かうと報じられるが、それは中国を独裁や覇権国家に仕向けたい国、集団、人がいるからで、中国が開放と世界の国との協調に向かう姿勢は変わらない。

 中国を「独裁と覇権」に仕向けるのはいわゆる「右翼」や「右派」だけではない。日本では中道や左派言論も中国の実情を解せず、「自由と民主」の建前でやみくもに「独裁と覇権」に結び付ける一面もある。一般の国民に近代史があまり理解されていない日本では、各新聞報道調査などによると、中国を良く思わない人が80%を超える。だから大衆へのメッセージは、「独裁」「覇権」を語る方が無難である。ネットでは中国批判は何でも「イイネ!」となり、中国を等身大や好意的に語ると攻撃の的になりかねない。一部のテレビは視聴率を意識して中国を等身大や好意的に伝えることを避けているようにも見える。

 習近平主席のレガシーとなるのは「新時代」である。「新時代」の主な要素は、「中華民族の偉大な復興、中国の夢の実現」である。これも日本では「覇権」に結び付けて語られる。しかしその言論は短絡的であると思える。「中国の復興、夢」は「中国が世界の舞台で中心的役割を果たして人類に大きな貢献をする」ことでもあり、「平和主義」の下での「復興と夢」である。それは日本やイギリスを初め、列強の侵略に苦しんだ悲惨な歴史と長年の闘争と貧困に喘いだ中国が当然の如く抱く夢でもある。

 さらに「新時代」の重要な要素は「先富」から「共同富裕」への転換で、そのために必要なことは「腐敗と貧困の撲滅」である。だからどうしても強い権力が前面に出る。「法治」でない中国を批判する人も多いが、「政治腐敗」は法を無視するからこそ生れる。腐敗を退治して法治社会に戻すためにも「強い権力」で流れを押し戻すことが必要である。貧困撲滅も所得移転が伴う。そこでも強い権力で指示を出さざるを得ない。

 民主主義国でないので政治腐敗が起きると言う人もいるが、腐敗は「官と民の合作」である。民も手を携えて腐敗が進み、民主主義国でも常に腐敗はつきまとう。

 中国内で強い権力に不満を持つ人の多くは、かつての中国で腐敗の甘い蜜を味わった人たちである。臭いが食べると美味しい「臭豆腐」を味わいつくした人である。そんな人も無数にいる。そしてその人たちからの怪しい情報や映像が香港経由で世界に流れる。香港はそんな不満と腐敗資金の受け皿になっている。学生が中国に向け民主化を叫ぶ一方で、香港では自由が行き過ぎ、大きな闇社会が存在することにも目を向けるべきと思う。だから香港問題は複雑である。

 だが、中国の平和主義での改革開放の行方は変わらない。今の厳しい中米対立は選挙が迫るトランプ政権下の特殊な状況ということも理解することが大切と思う。今は打ち出の小槌の一番目の小槌が振るわれている。

コロナ禍が終息し、いよいよ募集が困難になってきた

 次にこれからの中国経済である。新型コロナウィルスも中国はほぼ終息させた。前回の日中論壇で述べたように、これまでのコロナに対する中国の対応では、再び経済が低迷する事態は起きない。中国の新型コロナウィルスへの対応には非常に厳しいものがあるが、人口が多く国土も広い中国で拡大を防ぐにはこのような手段も必要だろう。

 最近も日本のテレビ局は、北京の大学生が寮から外出を許されない厳しい措置について報道していた。だがその報道も一方的である。政府から大学に大学生の行動に関しての要請も出ているが、対応は地域と学校で異なる。筆者の知人のお嬢さんも北京の大学生で、大学の寮で暮らしている。だが彼女は休日には友達と映画を見に外出している。

 日本の一部のテレビ局は厳しい対応をクローズアップして視聴者が気の毒な中国学生のイメージを持つような報道をしているようにも思える。香港デモの報道と同じである。

 新型コロナウィルスは、中途半端な対応を繰り返す国と、メリハリのある対応をする国との違いが現在の状況に現れている。

 筆者は最近の日中論壇で次のように述べてきた。

「中国経済の基調は何ら変わっていないので、これから経済は急速に回復にむかう」( 20-003 )。「沿海から内陸への成長の転換と人材の流動が起きている」( 20-004 )。「今後消費が増えて飲食業、小売業で求人が増加すると人材争奪が始まり採用難になると危惧される」( 20-009 )。

 今、これらの事が顕著に進んでいる。日本では多くの失業者が出て中国の失業率は公表よりはるかに高い、との報道もあったが、いよいよ中国の生産現場では募集が難しくなってきた。生産活動が活発になり、大量の人材が必要な電子産業では募集のために奨励金を支給する企業も数社現れている。

 出生率が下がり、大学進学者が増え、内陸の成長率が高くなり、しかもコロナ禍で農民工の内陸回帰が進むと沿海の人材募集が難しくなるのは当然である。

 さらに内陸への成長の転換も進んでいる。次の表は今年上期、6カ月の東部沿海と中西部主要都市の経済成長率と消費伸び率を比較したものである。コロナの影響があるものの中西部は東部沿海に比べてその影響は少ない。

2020年上期の地区別成長率と社会消費品小売総額前年伸率 (%)
地区 都市 GDP成長率 社会消費品小売総額
前年伸び率
東部沿海 上海 -2.6 -11.2
北京 -3.2 -16.3
広州 -2.7 -10.4
中西部 重慶 0.8 -7.2
成都 0.6 -7.7
長沙 2.2 -6.6
西安 2.8 -13.3
南昌 0.5 -4.4

(統計局発表)

 日本と違い中国は大局を読んで人口問題とリスク回避から経済分散が進んでいるが、コロナでそれがさらに進む。内陸の成長率が高くなれば、リスクを避けるためにも内陸に留まる人が増える。なによりも両親が子供を説得する。筆者の知る職業学校の先生は春節が終わっても学生が学校に戻らないと嘆いていたが、内陸農村も豊かになったので、あわてて就職しなくてもいいと両親が子供に言い聞かせている。

構造改革が進み中国経済の見通しは明るい

 新型コロナウィルスで今年、第一四半期の中国のGDPは前年比6.8%減だったが、第二四半期には3.2%増にまで回復した。既に6月には産業の各分野の回復が顕著になった。

 中国経済は、回復どころか一気に経済構造を転換しつつある。

 一つは産業の高度化である。中国の製造業はコロナ禍でリスクを回避すべく工場自動化に拍車をかけている。だから前回の日中論壇で述べたようにハイテク分野の投資が工業、サービスを問わずに拡大している。そのため情報通信・運輸・ソフト技術サービス業のGDPは上期には14.5%の増加となった。

 もう一つは輸出から内需への転換である。内需振興で第三次産業の拡大が続き、GDPに占める第三次産業の比率は次の表のように変化している。

GDPに占める各産業の比率 (%)
          第1次     第2次     第3次  
2012年 9.1 45.4 45.5
2013年 8.9 44.2 46.9
2014年 8.7 43.3 48.0
2015年 8.4 41.1 50.5
2016年 8.1 40.1 51.8
2017年 7.6 40.5 51.9
2018年 7.2 40.7 52.2
2019年 7.1 39.0 53.9

(統計年鑑)

 2019年のGDP増加に対する最終消費支出貢献率は57.8%となり、貨物とサービスの輸出貢献率、11%を大きく上回る。

 次の表はGDPにおける第三次産業の比率上位の10地区である。北京や上海が高いのは当然だが、工業分野のウエイトが比較的高かった天津、広東、浙江省も第三次産業の上昇が顕著になってきた。

GDPにおける第三次産業の比率(2019年)上位10地区
地区 地区
 1. 北京市 83.5  6. 甘粛省 55.1
 2. 上海市 72.7  7. 西蔵自治区 54.4
 3. 天津市 63.5  8. 浙江省 54.0
 4. 海南省 59.0  9. 吉林省 53.8
 5. 広東省 55.5  10. 湖南省 53.0

(統計局発表)

 コロナ禍で今年の前半は飲食、旅行、小売など消費が落ちた。だが中国人の消費マインドは衰えてはいないので立ち直りのスピードが速い。社会消費品小売総額も今年の上半期は11.4%の前年比での減少だったが、既に6月には前年比1.8%の減少、前月比では1.3%増のプラスに転じ、8月の社会消費品小売総額は前年比0.5%の増加、前月比で1.25%増になり、消費もコロナ禍を抜け出して前年比でもプラスに転じた。殊に通信機器、化粧品、金銀宝石、自動車などが好調である。だから中国経済は強く、見通しは明るい。

日本の総人口と同じ高所得者の家計平均所得は日本をはるかに超える

 日本では中国のマイナス情報ばかりに目が向くので、ほとんど報じられないが、二つのデータに着目すべきである。

 一つは所得増加である。表は都市と農村住民の一人平均可処分所得の金額と伸び率の推移である。

全国住民一人平均可処分所得金額と伸び率
年度 金額(元) 伸び率(%)
2015 21,966 7.4
2016 23,821 6.3
2017 25,974 7.3
2018 28,228 6.5
2019 30,733 8.8

(中国統計年鑑)

 今年、上期の6カ月での都市住民の一人平均可処分所得は21,655元である。単純に2倍して年間所得を計算すると43,310元、都市の平均家族数で計算すると家計可処分所得は116,937元となり日本円に換算すれば180万円ほどになる。

 だが、中国の高所得家庭平均所得と日本の家計平均所得を同じ人口数で比較すれば、もはや日本の平均所得は中国の高所得家庭の平均所得にはるかに及ばない。

 2019年における中国の高所得家庭の一人平均所得は77,000元ほどで、家庭平均所得では日本円で約330万円になる。高所得家庭人口は2.8億人いる。その最上位から日本の総人口に相当する数の家庭平均所得を推計すると、2019年の日本の家計平均所得、約540万円を超えることは間違いない。まして中国は統計外所得が多い。それも含めて考えるとその所得は、日本のそれをはるかに上回る。しかも年々所得の増加が続く中国とそれが止まった日本とでは、その差が拡大を続ける。

 日本では長年、中国は格差社会と批判してきたが、日本とは逆に、中国の格差は縮小を続けて豊かな人が着実に増加していることから目を逸らすべきでない。

所得増加が消費を押し上げ中国のGDPは急速に回復する

 今年の前半は新型コロナウィルスが所得に影響を与えた。都市封鎖の武漢だけでなく各地で工場や飲食業やショッピングセンターが休業した。休業期間の賃金は、雇用が継続されていても地域最低賃金を基準とした。農民工一般社員では通常操業時の30%程度、管理者も基本給のみの支給など、多くの人の所得が減少した。しかしそれでも上期の都市住民名目可処分所得は1.5%の増加、農村住民は3.7%の増加だった。新型コロナウィルスの影響が無くなり経済活動が軌道に乗ればさらに賃金が上がる。

 加えて産業構造の転換でハイテク産業やサービス業の賃金が全体を押し上げ、その所得効果で消費市場は拡大する。さらに今年、下期はコロナ禍で抑圧された消費の反動も起き、GDPは急速に回復する。

 日本では中国人観光客が激減して観光地は国内旅行客へのシフトに方針を変えている。

 だが、コロナが終息すれば中国人観光客の日本旅行がどうなるかは微妙である。それには増加要因と減少要因の相反する要素があると思う。

 増加要因は欧州や米国などの遠方への旅行を避け、安全で衛生的、距離的に近く費用も安い日本に旅行者が集中するかも知れない。

 減少要因の一つは、コロナが人の内面に影響を与え、自己の足元を見つめなおす人が増えること。旅行も足もとの国内の自然のすばらしさに目覚める人が増える。さらにコロナへの不安は長く尾を引き、より安全な国内旅行に人々は向かう。

 もう一つの減少要因は、政府が内需拡大のために国内旅行の振興策を打ち出すこと。例えば、海南省では免税で買い物ができる。以上の増加と減少の要因があり、日本への旅行客がどうなるかは微妙である。

 今年の国慶節の旅行を機に旅行市場はⅤ字回復する。新型コロナウィルスの影響で最近まで省を越えた旅行は規制され、新疆では厳しい入境規制がとられていたが、中国旅游研究院の調査では今年の第三四半期に旅行計画がある人は調査対象の80%になり、旅行市場は前年の90%に回復すると予測されている。またある調査では旅行費用が5,000元~10,000元の人が全体の39%、10,000元以上の人が30%、5万元以上の人が3%と高額の旅行ニーズも旺盛である。

 中国は国慶節期間の高速道路の無料措置や旅行振興策による観光入場料の地域ごとの免除や割引阻止はあるものの、日本のGo Toトラベルのような国の振興策はない。新型コロナウィルスの影響でどちらかと言えばまだ抑制ぎみである。それでも旅行市場はⅤ字回復の様相を呈する。今年の11月11日の独身の日のインターネットの消費も過去最大となることは間違いない。

ガラパゴス化している日本の中国の読み方と市場対応

 もう一つ注目すべきデータは中国への外資投資である。中国商務部の発表では、中国への外資投資(実際使用外資)は新型コロナウィルスの影響で第一四半期には前年比10.8%減少した。しかし既に第二四半期には8.4%の増加に転じた。上期合計では、まだ1.3%の減少であるが、第二四半期以後の増加を見ると今年合計では前年を上回るだろう。

 上期全体ではハイテクサービス分野への外資投資は19.2%の増加、研究・設計サービスへの投資は35.7%の増加である。コロナ禍と米国との対立の渦中でも中国への外資投資が衰えていないことに注目すべきである。

 今年上期での中国の外資投資を国、地域別に見ると、香港からの投資が4.2%増、シンガポールが7.8%増、米国が6%増、アセアン諸国が5.9%増、一帯一路沿線国の投資が2.9%の増加である。日本の投資は5月までで約15.8億US$、昨年全体の約41%である。日本では新型コロナウィルスで中国からの撤退が増すとか、日本に戻るべきとかの意見が目立ったが、世界の動きは逆である。日本の中国経済の読み方や中国への対応は世界の動きに掉さしてガラパゴス化している。

 次の表は2007年から昨年までの日本の中国投資の推移である。2013年からほぼ低下の一方である。2001年には日本は中国の外資投資の9.2%を占めていたが、昨年には2.69%にまで低下している。

日本の中国への実際投資の推移
年度 日本の投資額(万US$) 中国の外資投資全体に占める日本の比率(%) 年度 日本の投資額(万US$) 中国の外資投資全体に占める日本の比率(%)
2007 358,922 4.80 2014 432,530 3.62
2008 365,235 3.95 2015 319,496 2.53
2009 410,497 4.56 2016 309,585 2.46
2010 408,372 3.86 2017 326,100 2.49
2011 632,963 5.46 2018 379,780 2.81
2012 735,156 6.58 2019 372,000 2.69
2013 705,817 6.00      

"いよいよ"の時に日本は中国から遠ざかっている

 中国への外資投資が年々低下している日本。これは何を意味するのだろうか。

 これまで日本は90年代から2000年初頭にかけて、中国が成長途上の時に投資を盛んに進めた。そして中国が成長を果たして市場が拡大し、産業も高度化した"いよいよ"の時に投資を縮小させている。

 筆者は2002年のあるシンポジウムの席で次のように述べたことがある。

「行雲流水のごとくに日本から流れた雲(投資)は、中国が成長すれば恵みの雨となり日本に良い影響をもたらす。だがその時に日本が中国から遠い国ならその恵みは欧米に向かう」。市場も人の欲求も産業も高度化した中国の恵みの雨が、今まさに長い市場経済の歴史とそれを支えた文化や技術がある日本に降り注ごうとしている。

 だが日本の中国投資を見ると、それに背を向けて中国から離れようとしている。世界の国がこれからと考えている時に日本は腰がくだけてしまっている。中国の市場も目に入らないし、そこに活路を見出すという意識も弱い。

その2 へつづく)