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北京五輪は国内観客のみ=ワクチン未接種者は21日間隔離

2021年09月30日

 国際オリンピック委員会(IOC)は29日、来年2月の北京冬季五輪で適用する新型コロナウイルス感染予防策の基本方針を発表し、観客は中国本土在住者のみ容認することが決まった。海外からの観客受け入れは断念したが、大半の会場が無観客だった今夏の東京大会からは前進した。チャイナ・ウオッチがジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 ワクチン未接種の大会参加者には北京到着後に21日間の隔離措置を講じる。医学的な接種免除理由がある選手については考慮する。接種済み、または隔離を終えた参加者は宿泊や輸送、競技会場で外部との接触を遮断する環境に置かれ、大会関係のスタッフを含めて毎日検査を受ける。

 この日のIOC理事会には国際パラリンピック委員会(IPC)も同席し、大会組織委員会が示した方針を承認。来年3月の北京パラでも適用する。コロナ対策の規則集「プレーブック」は10月下旬に初版、12月に第2版を公表する。

 一方、加藤勝信官房長官は30日の記者会見で、日本の北京五輪委員会等との連携・協力の可能性について、「今般の東京五輪・パラリンピックの経験を踏まえ、(中国から)そうした要請があれば協力したい」とコメントした。

中国潜在成長率は5~6%との見解=人民銀の易総裁

2021年09月29日

 中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は28日、中国金融学会が刊行する雑誌『金融研究』で発表した文章で「中国経済の潜在成長率は5~6%で維持される望みがある」と指摘した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国は今年の国内総生産(GDP)成長率の目標を「6%以上」に設定している。易氏の発言は、来年以降も大きく落ち込むことはないとの認識を示した形だ。

 「中国の金利体系と金利市場化改革」と題するこの文章で、易氏は金利の誘導を通じたマクロ経済運営が円滑に進んでいると主張。その上で「5~6%」に言及し、中国は通常の金融政策の実施を可能な限り延長すれば、日本や欧米のような資産購入を伴う非伝統的な金融政策は、現時点では必要ないと説明した。

日中の係争でパネル設置=ステンレス製品巡りWTO

2021年09月28日

 世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関(DSB)は27日、ステンレス鋼鋼片(スラブ)、ステンレス鋼熱間圧延鋼板(カットシートおよび厚板)およびステンレス鋼熱間圧延コイルといった日本製のステンレス製品に中国が反ダンピング(不当廉売)関税を課しているのは不当として日本が中国をWTOに提訴した案件で、裁判の「一審」に相当する紛争処理小委員会(パネル)の設置を決定した。チャイナ・ウオッチがジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 6月のWTO提訴後、問題解決に向けた日中の協議が不調に終わったことを受け、日本側が8月のDSB会合でパネル設置を要求したが、中国が拒否。2回目の要求では日本を含む全加盟国が反対しない限り、設置されるとの規定に沿って今回、承認された。

 経済産業省のプレスリリースによると、日本から中国へのステンレス製品の輸出額(2019年)は、年間約700億円、うち対象製品の輸出額は約92億円になるという。

世界インターネット大会、烏鎮で開幕

2021年09月27日

 中国政府が毎年主催する世界インターネット大会が26日、浙江省烏鎮で開幕した。自国のIT技術をアピールするとともに、人工知能(AI)や高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムを生かした新型コロナウイルス対策を国際社会に宣伝したい考えだ。チャイナ・ウオッチが烏鎮発共同通信電として伝えた。

 開幕式では劉鶴副首相がビデオ演説で、習近平国家主席の祝辞を紹介した。習氏は新型コロナが流行する中で「世界各国と共にデジタル変革の歴史的な責任を担いたい」と強調し、IT分野で他国をけん引していく考えを示した。

 中国国内のネット利用者は新型コロナの流行を背景に、今年6月時点で全人口の7割超に当たる10億人を突破した。劉氏は「ネットの発展が深まれば深まるほど疫病が克服でき、世界経済の回復が推進できる」と強調。一方で「ネットとデジタル経済の健全な発展を支持する」とも述べ、中国政府が統制を強める国内IT企業をけん制した。

 本大会のサミットでは、中国ネットワーク空間研究院が編纂した「世界インターネット発展報告2021」および「中国インターネット発展報告2021」がそれぞれ発表された。

「世界インターネット発展報告2021」によると、デジタル経済が世界各国が新型コロナウイルス感染症の打撃に対処し、経済社会のモデル転換をさせる上での重要な選択肢になったとしたうえで、世界各国は新型インフラの展開を加速させ、5G、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などの新型情報インフラがグローバル経済の成長の新たな原動力になりつつあるという点を指摘した。

 一方、「中国インターネット発展報告2021」によると、2020年の中国国内におけるデジタル経済の規模は39兆2000億元(約671兆7000億円)で、国内総生産(GDP)に占める割合は38・6%となり、また9・7%という高い成長率を見せた。

中国、知財保護の新戦略発表

2021年09月24日

 中国政府は22日、知的財産権の保護を強化する知的財産権強国建設綱要(2021―2035年)を発表し、関連法の整備や知財分野の国際協力を進める。チャイナ・ウオッチが北京初共同通信電として伝えた。

 2035年までに知財関連制度を完全に整え、世界的な知財管理の枠組みへの全面的な参画を実現する。特許、商標、著作権を保護する法律を改正して取り締まりを強化する。

地名を冠したブランドを保護する法律も整備し、外国と相互認証の取り組みを進める。日本の地名を勝手に商標登録するケースなどの摘発を徹底するとみられる。

 綱要では、「ビッグデータ、人工知能、遺伝子技術などの新分野・新産業における知的財産権の立法化の加速」、「新技術、新産業、新機種における知的財産権の保護ルールの構築・改善」、「データの知的財産権の保護ルールの構築の検討」など、特に新分野・新産業における知的財産権の保護を重視している。

 中国は16日にTPPへの加入を申請したが、国際社会では知財保護の取り組みを進めなければ参加できないとの見方が出ている。

日本大使、中国吉林省トップと会談

2021年09月22日

 垂秀夫駐中国大使は21日、吉林省長春市を訪れ、省トップの景俊海・同省共産党委員会書記と会談した。新型コロナウイルスの収束を見込める状況になれば「(以前あった)長春と東京、名古屋との間の直行便を最初に回復してほしい」と強く求めた。景氏は省幹部に関係部局や航空会社と検討するよう指示した。チャイナ・ウオッチが長春初共同通信電として伝えた。

 垂氏は会談で来年が日中国交正常化50年の節目であると指摘し、記念行事を吉林省で協力して実施したいと提案。景氏も力を尽くす考えを述べた。

 在中国日本国大使館の発表によると、翌22日、垂氏は四川一汽豊田汽車有限公司長春豊越公司を視察し、さらに23日には第13回中国・北東アジア博覧会の開幕式に出席し、楊潔篪・中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任(中央政治局委員)と短時間ではあったが日中関係に関する議論を行った。

中国、宇宙船ドッキング=独自ステーション建設進む

2021年09月21日

 中国は20日、海南省の発射場から無人宇宙貨物船「天舟3号」を運搬ロケット「長征7号遥4」に搭載して発射し、建設中の独自の宇宙ステーション「天宮」の中核部分にドッキングさせることに成功した。打ち上げは中秋節の連休に合わせたとみられ、宇宙開発の進展をアピールして国威発揚を図った。チャイナ・ウオッチが新華社の報道を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 中国の有人宇宙開発を行う中国載人航天工程弁公室(CMSA)のプレスリリースによると、今回の打ち上げは、20回目の中国の有人宇宙プロジェクトであり、長征シリーズの打ち上げとしては389回目となる。

中国、10億人が新型コロナワクチン接種=大型連休に備える

2021年09月17日

 国務院新型コロナウイルス共同予防・抑制機構は16日記者会見を行い、新型コロナウイルスのワクチン接種を完了した人が15日時点で10億1158万人になったと明らかにした。10月上旬の国慶節(建国記念日)の大型連休を前に、さらなる接種を推進している。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 9月19日から中秋節の3連休、10月1日から国慶節の7連休があり、旅行や帰省で大勢が移動する。同機構はこの記者会見で、この行楽シーズン中、旅行者はウイルス感染に注意しなければならず、全国の観光地は予防・管理措置を徹底しなければならないと訴えた。今回の連休中、中国国内のおよそ8割のA級観光地が通常通り営業するという。

 中国は厳しい対策で感染拡大を抑え込んできたが、最近は福建省で10日以降に計約200人の感染者が見つかり、各地で警戒感が強まっている。

「デジタル人民元」急速拡大 実証実験が進む

2021年09月16日

 中国で中央銀行が発行する電子通貨「デジタル人民元」の実証実験が進んでいる。世界的なアピールの場となる来年の北京冬季五輪を見据え、利用可能な店舗は急速に拡大し、決済を導入した日本企業も。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 中央銀行の中国人民銀行は2014年から研究を始め、昨年10月から市民を対象にした実証実験を開始。今年7月に公表した白書によると、デジタル元の取引総額は6月末時点で345億元に上る。利用範囲は実店舗のほか、水道や電気代の決済にも拡大し、132万カ所を超えた。カシオ計算機やコンビニ大手、ファミリーマートの店舗でも利用可能だ。

 人民銀行のウェブサイトによると、15日から16日にかけて、人民銀行の范一飛副行長らがデジタル元の本格的な利用が見込まれる北京冬季五輪の張家口会場と北京会場を視察した。范副行長は、「冬季五輪の決済サービス環境の構築とデジタル人民元のテスト事業はラストスパートの段階に入っており、着実に順序立ててこれらを推進し、各部門が責任をもって任務に当たり、冬季五輪全体に素晴らしいサービスを提供しなければならない」と強調した。

中国消費2・5%増に減速=8月、コロナ再流行や洪水

2021年09月15日

 中国国家統計局が15日発表した8月の消費動向を示す小売売上高は、前年同月比2・5%増だった。増加率は前月から6・0ポイント縮小し、新型コロナウイルスの再流行や河南省や湖北省をはじめとした中国中部の洪水災害を受けて消費の減速感が鮮明となった。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 通信機器や新車販売の苦戦が目立った。

 一方、同日に発表された一定規模以上の工業生産の主要データによると、新エネルギー車の生産台数は前年同月比162・7%増の28・9万台となった。産業用ロボットの生産も好調を維持し、前年同月比42・3%増の3万1342台となった。

新型コロナ対応を協議=日中韓ASEAN会合

2021年09月14日

 13日、第24回ASEAN+3経済大臣会合がテレビ会議形式で開かれた。新型コロナウイルス流行による経済的な影響と政策対応が議題。日本からは梶山弘志経済産業相が出席し「『より良い回復』の精神で新たな経済社会システムをつくっていくことが重要だ」と発言した。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 この会合では、ポストコロナの復興に向けて世界が歩みを進める中、手頃な価格で、安全で、効果的で、高品質な新型コロナウイルスワクチンおよび関連物品への公平なアクセスと世界的な流通を促進するため、多国間の緊密な協力と連携した対応が重要であることを強調した。

 コロナ禍は東南アジアでも依然深刻な状況だ。その影響でトヨタ自動車が自動車部品の調達難に直面して減産を強いられるなど、日本企業も対応を迫られている。

 日中韓とASEANの経済担当相は昨年の会合で、コロナの経済影響緩和に向けた行動計画を策定。医療品など必要物資の流通促進で協力することなどを確認した。

 また昨年の同会合で承認された、新型コロナウイルス流行の地域への経済的影響の緩和などを目的とし、貿易と投資のための市場開放、経済強靭性の強化を柱とする「新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響の緩和に関するASEAN+3アクションプラン」を引き続き実行すること、またその重要性を確認するとともに、共同メディア声明を発表した。

中国8月の新車販売18%減=半導体不足の苦戦続く

2021年09月13日

 中国自動車工業協会は10日説明会を開催し、8月の新車販売台数が前年同月比17・8%減の179万9千台だったと発表した。半導体不足と新型コロナウイルスの再流行、国際的な原材料価格の高騰が三重苦となった。前年割れは4カ月連続で、減少率が前月から拡大した。新型コロナ流行前の2019年8月の台数にも及ばなかった。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 既に業績を発表したトヨタ自動車など日系大手4社も軒並み前年実績を下回り、世界最大の市場で苦戦が続いている。一方で中国国内ブランドの新車販売台数は70・4万台で前年同月比6・8%増となった。

 協会によると、乗用車が11・7%減の155万2千台だった。排ガス規制が厳しくなった商用車は42・8%減と落ち込みが大きかった。

 政府が普及を後押しする電気自動車(EV)などの新エネルギー車は約2・8倍の32万1千台と大きく伸びた。

 協会は、マレーシアのコロナ流行で半導体供給が滞り、企業の生産計画に影響していると指摘。年末に向けて販売が伸びる10月以降、需給がさらに逼迫する可能性があると懸念した。

 このほか、自動車の輸出は前月比7・5%増の18・7万台で、過去最高を記録した。

 説明会では、10月15日から16日までの日程で「2021年中国自動車サプライチェーン大会」を重慶で開催することもあわせて発表された。

鞍鋼集団と本渓鋼鉄集団が合併、粗鋼生産能力世界3位に

2021年09月10日

 中国の鉄鋼大手、鞍鋼集団(遼寧省)が本渓鋼鉄集団(同)を吸収合併し、粗鋼生産能力で世界3位に浮上した。中国の鉄鋼メーカーは再編により大型化を加速。業界内の競合を減らし、国際競争力を高めている。一方で習近平指導部は脱炭素社会の実現に向け減産を要求。業界は重い課題を突き付けられている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 合併は8月20日発表。世界鉄鋼協会によると、鞍鋼は2020年の粗鋼生産実績が7位で、19位の本渓と合算すると、韓国ポスコ(6位)と日本製鉄(5位)、4位と3位の中国同業も抜き、2位の欧州アルセロール・ミタルに迫る。

 鞍鋼と本渓は共に中国東北部を代表する企業。中国メディアによると合併話は05年からあったが、遅々として連携が進まなかった。最近の東北部経済の不振や過剰生産の削減圧力を受け、ようやく重い腰を上げた。

 中国では16年に宝鋼集団と武漢鋼鉄集団が合併し中国宝武鋼鉄集団(上海市)が誕生。20年の粗鋼生産は1億トンを超え、ミタルを抜き世界トップに躍り出た。今や世界の上位10社のうち7社が中国勢で「世界生産の約6割を担い、中国が市場のドライバーだ」(日本製鉄幹部)。中国は新型コロナウイルス流行を抑え込み、需要も旺盛だ。

 鞍鋼集団のプレスリリースによると、この再編において、遼寧省国有資産監督管理委員会が保有する本渓株51%を鞍鋼に無償で譲渡し、本渓は鞍鋼の子会社となった。同時に鞍鋼は「7531」発展戦略と呼ばれる、2025年までに粗鋼生産量7000万トン、鉄鉱石精鉱生産量5000万トン以上、売上高3000億元、利益100億元を達成するという目標を発表した。

中国、新型原発「華竜1号」の安全性に自信

2021年09月09日

 今年1月に商業運転を始めた中国の新型原発「華竜1号」の技術責任者が8日に北京で記者会見し、東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえて設計したと強調し「安全は保証されている」と自信を示した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国核電工程有限公司の邢継総設計師が会見し、福島第1原発事故を教訓に、電源を喪失しても安全機能を失わないシステムを導入したと説明。運転開始後も「世界で最も厳格なレベル」の安全基準を満たしていると強調した。

 また邢総設計師は、「華竜1号」の商業運転の開始により、二酸化炭素排出量を年間800万トン以上削減することができ、環境への影響も非常に大きいという点にも言及した。

日中韓で反ドーピング覚書=東京五輪の知見など共有

2021年09月08日

 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は7日までに、東京五輪・パラリンピックなどで得た知見や情報を共有して協力態勢を構築するために、中国と韓国の反ドーピング機関と覚書を締結したと発表した。中国では来年に北京冬季五輪、韓国では24年に江原道で冬季ユース五輪がある。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 JADAの発表資料によると、鈴木秀典JADA会長は「3者の連携は他のアジア・オセアニアの国々のロールモデルとなり、各国のアンチ・ドーピング体制強化の基盤になる」と期待した。

 中国の国家体育総局アンチ・ドーピングセンターの陳志宇主任は「3カ国の機関の交流は、お互いのアンチ・ドーピング活動の経験から学び、活動レベルを向上させる上で非常に有益な役割を果たしている」とコメントした。

 また韓国アンチ・ドーピング機構のイ・ヨンヒ会長は、「我々は、3カ国間のアンチ・ドーピング機関におけるこれまでの協力関係が、この覚書を通して正式な形として、より強化されることを期待している」と述べた。

横琴の「特区」化決定=マカオと一体化

2021年09月07日

 中国共産党中央と中国国務院(中央政府)は5日発表した広東省珠海市横琴新区の全体開発プランで、マカオに隣接する同新区を中国本土の他地域から事実上切り離し、「特区」化させる方針を打ち出した。域内にマカオ政府が行政を担当する地域も設置する。横琴にマカオの実質的な「飛び地」が誕生することになり、画期的な試みは注目を浴びそうだ。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 今回発表された「横琴広東マカオ深度合作区建設全体プラン」は、横琴新区を広東省とマカオの合作区(協力エリア)に格上げし、「『一国二制度』の実践に富んだ新モデル」と位置付ける。合作区をマカオとの間の境界線(一線)に加え、本土の他地域との間にも事実上の境界線(二線)を設定して切り離し、他地域では実施が難しい独自の大胆な政策を実施しようという試みだ。

 横琴とマカオを一体化して発展させ、現在はカジノ産業に大きく依存するマカオ経済の多様化を図ることも大きな狙い。マカオの中国返還25周年に当たる2024年までに両地一体化の初歩的な枠組みを確立し、最終的には35年までに一国二制度に基づく完全な一体化を実現する目標を掲げる。

 このプランでは、特に研究開発を重視するという。ビッグサイエンス計画・プログラムを実施し、合作区にマカオ大学、マカオ科技大学の産学官連携モデル拠点を構築し、香港、マカオと広東省からなる「粤港澳大湾区」における科学技術イノベーションの重要な支点のひとつとするとしている。産業面では、集積回路、電子部品、新素材、新エネルギー、ビッグデータ、人工知能、モノのインターネット、バイオメディカルなどを中心とした発展を目指す。

 これらを踏まえ、合作区ではハイレベル人材の招致に力を入れ、このような人材に対する所得税の部分的な免除や、外国籍ハイレベル人材にはビザ発行でも優遇するとしている。

北京パラリンピックへ準備加速=コロナと認知度向上課題

2021年09月06日

 中国は来年3月4日に開幕する北京冬季パラリンピックの準備を加速している。会場はほぼ完成。既存の施設も活用するためバリアフリー化の改修工事を推進している。課題は新型コロナウイルス対策と、冬季パラスポーツに対する国民の認知度向上だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 大会は来年2月の北京冬季五輪と同様、北京市中心部と同市北部の延慶区、河北省張家口市の3エリアで開かれる。既に一部競技のテスト大会も実施しており、新型コロナ対策は東京大会よりも強める構えだ。選手や関係者と外部の接触を絶つ「バブル方式」を徹底させるとみられる。9月3日に張家口市崇礼区の国家スキージャンプセンター「雪如意」を中心に準備状況を視察した韓正副首相は「厳格な閉鎖的管理で感染症対策をやり遂げる」と語った。

 競技会場には2008年の北京夏季五輪で使った施設が含まれ、エレベーター増設やバリアフリーのトイレ、更衣室の設置、通路の整備などを急いでいる。

 新華社が伝えるところによると、北京冬期オリンピック組織委員会パラリンピック部の楊金奎部長は6日、各会場の準備の進捗状況などについて説明し、「各会場のバリアフリー建設のために具体的なイメージの技術ガイダンスを提供するため、『北京2022年冬期オリンピック・パラリンピックバリアフリーガイドライン技術指標マップ』を近日中に発表し、バリアフリー設備の導入を推進し、国際的な先進レベルに合わせたスポーツイベントのバリアフリー環境を実現する」とコメントした。

 一方で大会開催へのムードは盛り上がっていない。中国では冬季スポーツそのものの普及が進んでいない。パラ競技となると「どんなものか全くイメージできない」(北京の会社員)という人が一般的だ。組織委員会は競技を紹介する動画をホームページに掲載。今後、国を挙げた宣伝活動を強めるとみられる。

中国政府、配車11社を指導=データ管理徹底要請

2021年09月03日

 中国政府は2日、滴滴出行(ディディ)をはじめとした配車サービスの事業者を呼び出して指導したと発表した。顧客データの国外流出を警戒しており、管理を徹底するよう求めた。1日からデータ安全法を施行したのに合わせ、締め付けを強めた形だ。チャイナ・ウオッチが北京初共同通信電として伝えた。

 交通運輸省のSNS微信によると、交通運輸省、中国共産党中央ネットワーク安全情報化委員会弁公室、工業情報省、公安省および国家市場監督管理総局が合同で、1日に指導した。データの安全に関わる法律を順守するよう要求。顧客の同意がなければ、第三者に個人情報を提供してはならないとした。運転手の質の向上なども指示したが、呼び出しの重点は情報管理の徹底にありそうだ。

 指導を受けたのは、滴滴出行、T3出行、美団出行、曹操出行、高徳、首汽約車、嘀嗒出行、享道出行、如祺出行、陽光出行、万順叫車の11社。

 データ安全法は、国外へのデータの持ち出しを規制する。違反した場合は営業の取り消しもあり得る。

 中国当局は7月、米国市場に上場したばかりのディディを調査。違法に個人情報を収集していたとして処分を下した。米中対立を背景に米国へのデータ流出を懸念したとみられる。

中国スマホ大手、EV開発=IT企業参入し競争激化

2021年09月02日

 中国スマートフォン大手の小米科技(シャオミ)は1日、次世代の電気自動車(EV)を開発する新会社「小米汽車」を設立したと発表した。中国ではIT大手が相次いでEV事業に参入している。電動化が加速する世界最大の自動車市場で、異業種を巻き込んだ競争が激しさを増しそうだ。チャイナ・ウオッチが北京初共同通信電として伝えた。

 新会社の代表にはシャオミの雷軍・最高経営責任者(CEO)が就く。資本金は100億元(約1700億円)。事業内容は「スマートEV」としており、インターネットと接続して多様なサービスを提供する「コネクテッドカー(つながる車)」を開発するとみられる。

 中国の企業情報オンラインデータベース「天眼査」によると、小米汽車は1日に北京経済技術開発区市場監督管理局で工商登記し登記上の住所は北京経済技術開発区内としている。事業範囲は、新エネルギー自動車の製造、自動車の車両・部品の技術研究開発、自動車部品・付属品の製造、リチウムイオン電池の製造、自動車・自動車部品・付属品の販売、道路運送車両の製造などとして登録している。登記資本金は100億元。

 経済メディア「界面新聞」は複数の業界関係者のコメントとして、「小米汽車が北京に本社を構えた理由が、清華大学、北京航空航天大学、北京工業大学、北京理工大学などの大学がいずれも自動運転産業の主要人材育成拠点で、関連のスタートアップ企業の多くの創業者や経営者がこれらの大学の出身者であり、また小米が最近買収した自動運転技術を開発する深動科技が北京を本拠地としていることも関係している」と伝えている。

 中国は2035年までにガソリン車の新車販売をなくす方針だ。こうした電動化の動きをとらえてネット検索大手の百度(バイドゥ)がEV参入を表明。ネット通販最大手アリババグループもEV事業に出資している。

ユニバーサル・スタジオ・北京、試験営業を開始

2021年09月01日

 中国・北京郊外で1日、米系のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・北京」が試験営業を始めた。20日の正式開業を前に、招待客を入れて新型コロナウイルス対策を最終確認。世界的にコロナ感染が収まらない中、対策成功を誇る中国での大型娯楽施設の開園は注目を集めそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 既に従業員や関係者に限定した感染対策の内部試験を約3カ月実施。中国メディアによると、8月中旬までに延べ約20万人がアトラクションを利用した。出入り口では検温し、スマートフォンを使った健康証明「ヘルスコード」を読み取る設備も各所に設置した。

 新京報の1日の報道によると、入場料は季節などで変動し、オフシーズンは418元(約7100円)、通常は528元(約9000円)、ハイシーズンは748元(約1万2700円)になるという。