複数の企業が最近、北京市の亦荘と海淀区で自動運転タクシーの試乗サービスを提供し、ネットユーザーから注目を集めている。交通運輸部(省)は、これは事実上、実際の道路交通環境における技術性能の実証実験であるとし、順調に行われているとコメントした。新華社が伝えた。
今年に入り、感染症を受けデジタル応用の実施ペースが上がり、各種デジタル化製品、サービス、ソリューションが次々と登場しており、自動運転はその中の一つだ。業界内の専門家は、自動運転技術の実用化を早めるため、各国の自動運転企業は実地での実証実験とシミュレーションに取り組み、大量の実験データにより自動車のスマート化水準を高めようとしていると述べた。
自動運転の「業界を超えた変革」は到来したのだろうか。新華社アプリの調査によると、「自動運転タクシーを選ぶか」という設問に対して「体験を希望する」は44%、「希望しない」は23%、「安全状況を見てから判断」は33%だった。データを見ると、人々は自動運転技術の実用化を期待しているが、安全性が依然として注目の焦点になっていることが分かる。
同済大学自動車学院自動車安全技術研究所の朱西産所長は、「実証実験は、自動運転の安全性保証の実現手段だ。シミュレーションプラットフォームは、大量の実験を実現する中核技術だ」と述べた。
中国電気自動車百人会、騰訊(テンセント)、中汽数据がこのほど発表した「中国自動運転シミュレーション技術青書2020」によると、自動運転シミュレーションはすでに業界で広く受け入れられている。自動運転アルゴリズム実験の約9割がシミュレーションプラットフォームで行われており、9%は実験場、1%は実際の路上実験となる。
専門家によると、自動運転車が真の商用化を果たすまで、シミュレーション、閉鎖実験場での実験、路上実験の3つの段階を踏まえる必要がある。その目的はいずれも、自動運転機能の完全性と安全性の評価で一致している。この3つの段階で先の段階に進むほど正確度が上がるが、実験にかかるコストと安全リスクもますます高くなる。
自動運転技術の発展に伴い、百度、テンセント、華為(ファーウェイ)、阿里巴巴(アリババ)を含む中国のテック企業が次々とシミュレーション分野に進出し、新たな業務の成長源を形成している。他にも中国全土の十数社の国家級インテリジェント・コネクテッド実験モデルエリアも自動運転・ネット通信サプライヤーなどにシステム実験サービスを提供している。自動車、情報通信、道路施設などの総合的な標準体系の構築を促している。
路上実験について、北京インテリジェント・コネクテッド産業革新センターが年初に発表した「北京市自動運転車路上実験報告書(2019年)」によると、北京では2019年末までに計77台の自動車が自動運転車一般的路上実験に参加した。実験の総距離は104万キロメートル。また上海や長沙など全国十数都市も自動運転実証実験に用いる道路を計画している。一部のモデルエリアは路上実験とシミュレーションを結びつけた実験モデルを展開し、自動運転車とデジタルスマート化道路が効果的に融合するシミュレーション技術の模索を奨励している。