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AI開発、中国に熱視線=上海で大会、米企業も参加

2019年08月30日

 中国政府が主催し、人工知能(AI)関連技術を展示する「世界AI大会」が29日、上海で開幕した。電子商取引大手のアリババグループや通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)といった中国勢に加え、マイクロソフトやIBMなどの米国勢も多数参加した。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 約14億人の人口を抱える中国は個人情報などのデータが収集しやすく、新サービスの需要を探る市場として魅力的とされる。トランプ米大統領は貿易摩擦を背景に中国に代わる事業展開先を探すよう求めているが、米企業側と意識の違いが鮮明になった形だ。

 この日の開幕式では米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)とアリババの馬雲会長が対談した。マスク氏は「世界のEVの半分は中国で製造されている」と指摘し、宇宙開発の進展も称賛した。

 マイクロソフトはAIを使ったマージャンソフトを紹介。囲碁や将棋より開発が難しいとされるが、人間のトッププレーヤーに匹敵する成績を残すまでになったと強調した。

 世界AI大会は今年で2回目で、約300社が出展。31日までで、日本からは工作機械大手ファナックが参加している。

対中関税の発動延期要請=米産業界、トランプ氏に

2019年08月29日

 米産業界でつくる自由貿易推進団体「アメリカンズ・フォー・フリートレード」は28日、年内に予定されている対中制裁関税の発動延期を求める書簡を、トランプ大統領に送ったと発表した。延期が「年末休暇の米国の家庭に大統領が与えられる贈り物だ」と訴えた。チャイナ・ウオッチがワシントン発共同通信電として伝えた。

 書簡では「多くの企業は関税コストを消費者に転嫁せざるを得ない。価格上昇は消費者を直撃するだろう」とした上で「米国の企業や労働者、消費者を守るために行動が求められている」と指摘した。

 米政権は9月1日、中国からの輸入品1120億ドル(約11兆8千億円)分に15%の追加関税を課す制裁措置を発動する。スマートフォンなど一部製品に対する発動は12月に延期したが、10月1日には既存の2500億ドル分に対する追加関税の税率を25%から30%に引き上げる。

 同団体は「一部の関税は延期されたが、残念ながら年末商戦での大部分の販売は9月と10月の税率引き上げで打撃を受ける」と強調した。

 同団体には小売業や製造業など約160の業界団体が加盟している。

一帯一路てこに再興模索=老工業基地、日本に期待

2019年08月28日

 急成長した中国で取り残され気味だった東北部の遼寧省が再興を期して動き始めた。米中摩擦の影響で景気が減速する中、巨大経済圏構想「一帯一路」をてこにハイテク企業や海外勢の投資を呼び込み、日本にも期待を寄せる。「老工業基地」のレッテルを返上して新たな発展にかじを切れるかどうか。現地を訪ねた。チャイナ・ウオッチが瀋陽、大連発共同通信電として伝えた。

一昔前

 省都瀋陽は東北部最大の都市で、観光地としても知られる。海沿いの大連は日系企業が多く進出し、すし店など日本食のレストランも目立つ街だ。にぎやかだが、いずれも雰囲気は南方の大都市と比べると「一昔前」の感は否めない。

「省経済は困難期を脱した」。遼寧省政府の幹部は7月下旬、内外メディアの取材に強調した。建国後、重工業地帯として栄えたが、近年は生産過剰などが響き低迷。一時はマイナス成長に陥り、2017年に財政統計の水増しも発覚した。

 同省は汚職で失脚した薄熙来・元重慶市共産党委員会書記が省長などを務めた地でもあり、海外の中国系メディアはそうした「政治事件」も発展に影を落としたと指摘する。

地の利

 省政府は国有企業改革や投資環境の整備を進め、経済成長率は5~6%台に回復。今年に入り、IT大手の騰訊控股(テンセント)が次世代の都市開発で省政府と提携し、ドイツ自動車大手BMWが生産拡大を決めるなど明るい話題も出る。7月には李克強首相が遼寧省大連市を視察し、対外開放で東北を振興するようシグナルを出した。

 だが米中摩擦が重くのしかかり、省政府や貿易関係者は米国の制裁関税による悪影響を認める。

 大連や同省営口市の貿易港は、日本や韓国、東南アジアと海路で、欧州とは鉄道でも結ばれ、中国は地の利を生かしたい考えだ。国有企業の大連重工・起重集団は、一帯一路にも参加したイタリア向けの巨大な港湾用起重機を披露。日本を一帯一路の「延長市場」と位置付けていることも紹介した。

 大連などで港湾事業を担う遼寧港口集団の担当者は、ロシア方面の貨物鉄道の利便性をアピールし、今後は自動車関連や電子部品の貿易で「日本とつながりを深めたい」と強調した。

 遼寧省は最先端ロボットメーカーの「新松機器人自動化」や、日産自動車が高級車ブランドをつくる工場もあるが、伝統的な重工業の比重は依然として高い。ハイテク製品の貿易拠点を目指すとしても、先行する中国の他の地方との競争は激しく、楽観は許さない。

中国がエジプト新首都ビル=資源確保へアフリカ支援

2019年08月27日

 エジプトの首都カイロの過密ぶりを解消するため首都機能移転が予定される場所で、高さ日本一のビル「あべのハルカス」(300メートル、大阪市)を上回る「アフリカ大陸一の高さ」を目指す超高層ビルの建設計画が進んでいる。巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、中国企業が工事を手掛ける。中国が資源や拠点確保の思惑から、人口と経済が拡大するアフリカの開発を後押しする象徴といえる。チャイナ・ウオッチがカイロ発共同通信電として伝えた。

 アフリカ連合(AU)の輪番議長国を務めるエジプト。8月上旬、カイロの東約50キロ、酷暑の砂漠に「埃及新行政首都」と書いた漢字の看板の向こうで巨大クレーンがそびえていた。2月着工した新首都の中心ビル「アイコニックタワー」(385メートル)の工事現場だ。

 中国国有系大手ゼネコン「中国建設」が工事を進める現場を訪れると、サングラス姿の中国人警備員ら約20人に囲まれ「撮影は許可できない」とカメラを一時取り上げられた。重機が行き交い、労働者が機敏に働く一帯は、のんびりとしたカイロの日常とは別世界だ。

 シシ大統領が注力する新首都の面積は東京23区よりやや広い700平方キロ、事業費は450億ドル(約4兆8千億円)。建設の原動力にはアフリカの巨大人口がある。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2018年に13億人のアフリカ人口は50年に25億人に倍増。エジプトも数年で1億人に達し、都市の近代化・高層化が喫緊の課題だ。

 新首都事業会社の広報ソリマン氏は「中国にはエジプトにない建築ノウハウがある。ピラミッドのような歴史的な建物にしたい」と話した。

 23年完成を目指す現場には中国人技術者ら約千人が働く。在エジプト中国大使館の石岳文参事官によると、カイロでは近年、在留中国人ら向けの中国料理店が増え、旧正月「春節」の祭りも盛んに実施されている。

 アフリカではジブチとエチオピア間の長距離鉄道やケニア国内鉄道など中国支援の開発が進んでいる。日本政府筋は「資金力やスピードで日本は中国にかなわない。アフリカの人々のニーズに届く独自の支援を考えなければ」と語る。

 日本は28日から横浜でアフリカ開発会議(TICAD)を開催する。

調査報告書 『一帯一路の現況分析と戦略展望
調査報告書 『中国「一帯一路」構想および交通インフラ計画について

最高賞は福井の日本酒=中国消費者が試飲し評価

2019年08月26日

 中国の一般消費者が試飲し、好みの日本酒を選ぶ品評会の授賞式が23日、北京で開かれ、最も高い評価を得た「ゴールデンドラゴン賞」に加藤吉平商店(福井県鯖江市)の「梵・ゴールド」が選ばれた。中国での好みを探り、日本酒の輸出増加につなげる狙いがある。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 加藤吉平商店の加藤団秀代表は「中国の方に飲んでいただき、日本と中国の友好をもっと深められたら最高だ。日本にも来てもらいたい」と喜びを語った。北京の日本大使館によると中国では日本料理店が急増しており、日本酒の需要も高まっているという。

 品評会は日中の食品関連団体が主催。昨年に続き2回目で、今年は7月に北京のホテルで実施した。秋田や岐阜など20府県の40蔵が108銘柄の日本酒を出品。約1400人が銘柄を見ずに試飲し、点数をつけた。

 大吟醸、純米大吟醸など五つの部門に分け、各部門で最高賞のプラチナ賞のほか、入賞に当たる金賞計32銘柄も選んだ。

中国から委任、安全委調査=北京行き全日空機事故

2019年08月23日

 運輸安全委員会は22日、羽田発北京行きの全日空963便ボーイング787が15日夜、北京の北東約140キロ上空の中国領空で機体が揺れ、乗客と客室乗務員の計4人が負傷した事故について、中国からの委任を受け調査すると発表した。22日、航空事故調査官2人を担当に指名した。今後、乗員への聞き取りや機体の調査をする方針。機体は既に通常の運航に戻っている。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 国土交通省は、この事故を航空事故に認定していたが、発生場所が中国領空のため、中国の航空当局が原因調査をするかどうかも含め判断することになっていた。21日、中国から国際民間航空条約の規定に基づき、委任された。

 事故では女性乗客2人と客室乗務員2人が負傷。乗客の1人は右足甲の骨折。ほか3人は軽傷だった。

新車販売落ち込みにも影響=米中貿易摩擦

2019年08月22日

 中国の新車販売台数が米国との貿易摩擦のあおりを受け、前年実績割れを続けている。中国自動車工業協会によると、2018年7月から今年7月まで、月別販売台数を前年同月比の増減率でみると、13カ月連続で下回った。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 年間ベースでも、17年は前年比3.0%増の約2,888万台を記録、世界最大の自動車市場としての地位を維持したが、18年は前年比2.8%減の約2,808万台と28年ぶりに前年割れした。米中貿易摩擦に加え、景気減速も新車市場に影を落としたとみられている。

 18年の月別新車販売台数の増減率は、6月までは春節連休の影響を受けマイナスだった2月を除き、前年同月比で4%台後半から12%近くの間で増加傾向を示していた。 しかし、米国との貿易摩擦が本格化した7月以降、増減率はマイナスに転じ、今年5月には16.4%減と大きく落ち込んだ。報復関税の応酬が、消費者心理の冷え込みを加速させたとみられる。

 米中交渉の行方は不透明で、中国の新車市場も低迷から脱却できない状態が続きそうだ。

中国、貸出金利下げ=新指標導入で企業支援

2019年08月21日

 中国人民銀行(中央銀行)は20日、企業が銀行から資金を調達しやすくする新たな取り組みを始めた。貸出金利を実質的に引き下げるための新指標を導入。米中貿易摩擦で冷え込む景気を下支えする。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 人民銀行がこれまで設定してきた、各銀行が企業に貸し出す際の目安となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」に新たな算出方法を導入し、同日発表した。各銀行は新LPRを新規融資の目安とする。

 中国には新LPRを通じて貸出金利をより低利に誘導する狙いがある。新利率は1年物で4・25%と、現行の政策金利である貸出基準金利の4・35%を下回った。

 人民銀行は政策金利の貸出基準金利を2015年以来、変更していない。その上、中国の金融業界には基準金利の0・9倍を貸出金利の下限として設定するといった硬直的な慣行もあったことから、金利が事実上高止まりして企業融資を妨げていたという。

 人民銀行は新たな算出方法によって市場の実態をより反映できるとしており、この数値を今後、毎月20日に更新する。

 人民銀行の責任者は20日の記者会見で「貿易摩擦などの影響を受け、さらなる改革で経済の押し下げ圧力に対応する必要がある」と話した。

貿易収支、2カ月ぶり赤字=中国向け輸出9%減

2019年08月20日

 財務省が19日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は2496億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。米中貿易摩擦に伴う中国経済の減速を受け、中国向け輸出が前年同月比で9・3%減少したことが響いた。特に半導体製造装置のマイナス幅が大きく、設備投資を控える動きが広がっている。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 世界への輸出は1・6%減の6兆6432億円と8カ月連続で前年水準を下回った。半導体製造装置のほか、自動車部品なども振るわなかった。輸入は1・2%減の6兆8928億円だった。アラブ首長国連邦(UAE)からの石油製品の輸入が減った。

 国・地域別では中国に対する貿易収支が3838億円の赤字だった。アジア全体では輸出が8・3%減となり、貿易黒字額も64・6%減の1886億円と大幅に減少した。米中摩擦の影響が中国だけでなく、アジア全体に広がっている。

 欧州連合(EU)は679億円の赤字だった。一方、対米国は5794億円の黒字だった。輸出は半導体製造装置が約2・4倍と大幅に伸びたほか、航空機部品や建設用・鉱山用機械も好調だった。

 財務省は「中国向けの輸出は減少しているが、7月としては依然として高い水準が続いている」と指摘した。

 韓国向けは6・9%の減少で、2018年11月以来、9カ月連続のマイナス。日本政府は先月、フッ化水素など半導体材料3品目の韓国向け輸出に関して規制を強化したが、財務省は「貿易統計上の分類がなく、影響があったかどうかは分からない」とした。

ファーウェイ排除継続示唆=米大統領、猶予報道も

2019年08月19日

 トランプ米大統領は18日、記者団に対し、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と「商売はしたくない」と述べ、 米製品の輸出禁止措置などファーウェイ排除を続ける意向を示唆した。ロイター通信などは米商務省が一部業務について、禁止措置の発動を11月まで90日間猶予する方針だと報道している。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 商務省は5月に、米国の通信ネットワークの保守などに限って今月19日までの猶予を発表していた。トランプ氏はこれについて「私が判断する」と強調した。

 また、米中貿易摩擦に絡み、トランプ氏と会談した米IT大手アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が対中制裁関税に懸念を表明したことを明らかにした。

 トランプ政権は9月1日、中国からの輸入品3千億ドル(約32兆円)の一部製品に追加関税を課す措置を発動する。アップル製品のうちスマートフォンやノートパソコンについては発動が12月に延期されるが、腕時計型端末「アップルウオッチ」は9月の発動対象。米ブルームバーグ通信 によると、クック氏は韓国のサムスン電子との競争で不利になると訴えたという。

 貿易摩擦の長期化を受け米株価が一時急落するなど景気後退の懸念が生じていることに関して、トランプ氏は「景気後退はないと思う」と述べた。

米、中国5社から調達禁止=13日実施、ファーウェイも

2019年08月09日

 トランプ米政権は7日、昨年8月に成立した国防権限法に基づき、連邦政府機関が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など5社から、通信機器や監視カメラを調達するのを13日以降禁止する規則を公表した。米中間の対立が深まる中、予定通り実施に移す。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 国防権限法は、5社の製品やサービスを通じて軍事情報などが盗み取られる恐れがあると懸念し、規制を強めた。さらに来年8月以降は、5社の製品を使う企業は連邦政府機関と取引ができなくなる。 中国外務省の華春瑩報道局長は8日、「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、「必要な措置を取る」と強調した。

 5社は、ファーウェイと同業の中興通訊(ZTE)、海能達通信(ハイテラ)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)。 ファーウェイは今年3月、国防権限法で同社製品の使用を禁止するのは違憲だとして、米テキサス州の連邦地裁に提訴していた。

 これとは別に、米政権は5月、ファーウェイと68の関連会社に対し、企業が政府の許可なく米製品を輸出することを禁じた。

テスラ、中国で値上げか=9月から、ロイター報道

2019年08月08日

 ロイター通信は7日、米電気自動車メーカーのテスラが中国市場で9月から値上げを検討していると報じた。人民元相場が対ドルで記録的な安値となっている影響を考慮している可能性がある。チャイナ・ウオッチがロイター通信の報道を引用した上海発共同通信電として伝えた。

 値上げ幅は不明。テスラは中国で販売する全車両を米国から輸出している。元安ドル高が続く中で車両価格を維持した場合、差損が発生するが、値上げは販売台数の減少にもつながりかねない。

 テスラは現在上海に自社工場を建設中で、年内にも生産を開始させたい考え。

上海の貿易試験区を拡張=中国、外資誘致加速

2019年08月07日

 中国政府は6日、中国・上海の自由貿易試験区を拡張する計画を発表した。「臨港新区」と名付け、主に金融分野での自由化を加速させて外資を呼び込む。米中貿易摩擦の影響で減速する経済のてこ入れ役としたい考えだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国は7月に保険や証券分野などで11項目の新たな規制緩和策を発表しており、臨港新区で優先的に実施されるという。

 また半導体や人工知能(AI)、バイオ医薬、民間航空機といった重点分野の企業には税制面で優遇する。2025年までに基本的な自由化の制度を整えるとしている。

 臨港新区は上海の南東部に設定され、海上の島も含まれる。総面積は約120平方キロ。

 中国が各地に設けている自由貿易試験区は13年9月に初めて上海に開設された。

中国のマイクロ衛星任務終え月に衝突

2019年08月06日

 中国の月軌道超長波天文観測マイクロ衛星「竜江2号」は計画に従い、北京時間7月31日午後10時20分、地上からの制御で月の裏側の予定された区域に衝突した。こうしたプロジェクトの成功は「竜江2号」が世界で初めて、地球・月遷移軌道、月接近制動、月周回軌道入りを単独で行ったマイクロ衛星となった。またより低コストの新しい宇宙探査方式の摸索も行われた。チャイナ・ウオッチが新華社の報道を引用した中国通信=共同通信電として伝えた。

 「竜江2号」は昨年5月21日、月探査機「嫦娥4号」のための通信中継衛星「鵲橋」と一緒に打ち上げられ、5月25日午後10時、順調に月周回軌道に入った。重量47キロ、設計寿命1年で、実際の軌道上での運行日数が437日となり、既定の任務を終えた。

中国、報復措置検討へ=米の制裁第4弾発動方針 景気不安、世界同時株安

2019年08月05日

 中国政府は2日、トランプ米大統領が制裁「第4弾」の対中追加関税を表明したことに反発、対抗措置の本格的な検討に入った。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 景気悪化への警戒感から日米欧中で株が売られ、世界同時株安の様相を呈した。米国が9月から輸入品3千億ドル(約32兆円)分に10%の追加関税を課せば、貿易摩擦が一層激しくなり、中国の景気をさらに下押しする可能性が高い。

 中国商務省は2日、発動されれば「必要な報復措置を取らざるを得ない」と報道官談話で表明した。中国外務省の華春瑩報道局長も記者会見で「大阪での米中首脳会談の合意に背いている。一切の結果は米国が負うことになる」と厳しく非難した。

 中国政府は今後、ハイテク産業に必要なレアアース(希土類)の対米輸出規制などを検討する可能性があり、日本を含めた世界経済の不安要素が増えそうだ。

 1日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は前日比280ドル超下落した。2日の東京株式市場の日経平均株価も急落し、450円超安。中国や東南アジア、欧州の市場も軒並み下げた。

 トランプ氏が6月末の米中首脳会談後わずか1カ月余りで態度を急変させたことに、中国の経済系メディアの財新ネットは「意外」と驚きを隠さない。米国は第4弾を棚上げし、合意を「急いでいない」(トランプ氏)はずだったからだ。

 中国の今年4~6月期の国内総生産(GDP)成長率は1年超に及ぶ貿易摩擦のあおりで前年同期比6.2%増と過去最低となった。金融関係者の間では、摩擦が一段と激化すれば2019年から20年にかけて通年の成長率がさらに低下するとの見方も出ている。

中国自動車部品大手と合弁=日電産、車載モーター強化

2019年08月02日

 日本電産は1日、中国の自動車大手、広州汽車グループの部品メーカーと電気自動車(EV)の駆動用モーターを生産・販売する合弁会社を設立すると発表した。日本電産は車載事業を成長の柱に据えている。拡大する需要の取り込みを狙う。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 EVの駆動用モーターは、ガソリン車のエンジンに当たる重要部品。既に広州汽車グループには供給しているが、合弁会社の設立で関係を深め、将来にわたって安定的な供給先としたい考えだ。

 合弁会社は今年秋に中国で設立予定。資本金は約93億円で、日本電産が51%、広州汽車側が49%を出資する。互いのノウハウを生かして低コストで高効率なモーターを生産し、広州汽車だけでなく他の自動車メーカーへの販路拡大も目指す。

 日本電産は2018年にもフランスの自動車大手グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)と駆動用モーターに関わる合弁会社を設立している。

出前用食器が大幅減=上海ごみ条例1カ月

2019年08月01日

 「上海市生活ごみ管理条例」が施行されて1カ月がたった上海市で、出前用使い捨て食器が大幅に減少している。チャイナ・ウオッチが、中央人民広播電台(CNR)傘下のニュースサイト央広網の記事を引用したNNAの配信として伝えた。

 中国電子商取引(EC)最大手、阿里巴巴集団(浙江省杭州市、アリババグループ)傘下の出前サイト「餓了麼」によると、上海エリアで注文時に使い捨て食器を不要とした利用者は前月から471%と大幅に増加した。新条例は出前サービスのごみ削減にも効果を発揮している。

 条例では飲食店やコンビニに加え、出前サービスに対しても使い捨て食器の提供を消費者から要望があった際のみにするよう呼びかけている。出前の場合、残飯は生ごみ、容器は一般ごみに分別する必要がある。このため、注文時に「タピオカミルクティーのタピオカは食べきれないから10 個でいい」「串焼きの串を取り除いて、食材は全て一つの容器にまとめて」などと注文を加える利用者も多いという。

 餓了麼のデータでは、上海市内で使い捨て食器不要の注文が最も多かったのは浦東新区で、全体の22%を占めた。直近1カ月の伸び幅が最も大きかったのは宝山区で、579%増加した。