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中国各地で豪雨被害多発=コロナ追い打ち損失2兆円

2020年07月31日

 中国南西部や東部で大雨が約2カ月続き、洪水や土砂崩れが多発している。経済損失は既に約1,444億元(約2兆1千億円)に達している。チャイナ・ウオッチが、北京、上海発共同通信電として伝えた。

 習近平指導部は今年の重要目標に「脱貧困」を掲げるが、新型コロナウイルスからの復興を加速させたいこの時期に水害が追い打ちとなった。中国メディアによると、当局の集計で6月以降、7月28日までに湖北、江西、安徽省など27省・自治区・直轄市で延べ約5,481万人が被災し、158人が死亡・行方不明、家屋約4万戸が倒壊した。農作物の生産にも影響が出ている。

 中国では毎年増水期に水害が発生している。1998年の大洪水では約4千人が死亡、江沢民国家主席(当時)の訪日延期の最大の理由となった。インターネットメディアは「98年大洪水の再来か」と不安視している。当時は指導者が現地視察をしたが、今回習国家主席は被災地入りしていない。

 「脱貧困」はコロナで打撃を受け、広範囲の被災も足かせに。中国人記者は「当局は達成目標を動かさないだろうが現実は厳しい」と指摘する。

 当局は26日、長江の上流域で、6月以降で3度目となる大規模洪水が発生したと発表した。中流の湖北省宜昌にある世界最大級の三峡ダムへの流水量は増え続け、28日には同省武漢で長江の水量がダム完成後として最も多くなった。

 安徽省では長江に加え、中国第三の大河、淮河も増水。流域のダムで13年ぶりの緊急放流を行い、幅広い地域で農地が水没したり、村が孤立したりした。別の河川でも堤防を破壊して水を農地へ逃がす手段が取られた。

 ネット上では、三峡ダムの下流で被害が多発していることから「決壊を防ぐため農村が犠牲になっている」などと治水能力を疑問視する声も上が っている。

ティックトックの影響調査=米政権、週内に勧告

2020年07月30日

 ムニューシン米財務長官は29日、中国企業が手掛ける動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の調査を安全保障上の観点から進めており、「週内に大統領に勧告する」と述べた。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 調査は対米外国投資委員会(CFIUS)が手掛けている。トランプ大統領も同日、記者団からティックトックの利用を禁止するのかと問われたのに対し「調査している。決断しようと考えている」と語った。

 ポンペオ米国務長官は6日、安全保障上の懸念を理由にティックトックを含む中国企業が手掛けるソーシャルメディアのアプリを、使用禁止にすることを検討していると明らかにしていた。

 ティックトックを運営するのは中国のIT企業「北京字節跳動科技(バイトダンス)」。米中対立が激化する中で、トランプ政権や議会では、中国当局への情報流出を警戒し、中国企業への規制を強めるべきだとの声が高まっている。

中国「下請けいじめ」禁止=コロナで明確化、中小保護

2020年07月29日

 中国政府は28日までに、中小企業への代金の支払期限を明確に定めた初の法令を発表した。「大企業が立場を利用して中小企業をいじめる行為があった」とし、新型コロナウイルスで未払いや遅延が増加し倒産が相次ぐ事態を防ぐ構えだ。9月1日から施行する。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 これまでも「中小企業促進法」で未払いなどを禁じてきたが、中小企業から製品やサービスを受け取った法人や団体は30日以内に対価を支払う義務があると明文化した。契約で延長した場合も60日を超えてはならない。

 期限を過ぎれば利子を払う必要がある。悪質な行為は「信用を失墜した」として公表され、その後のビジネスに影響することになるという。

 中国メディアによると、1~3月期に倒産した中小企業は46万社を超えた。中国工業情報省は17日の記者会見で「新型コロナにより中小企業は最も困難な時期に置かれている」と危機感を示した。

 5月末時点で中小企業の代金回収にかかる日数は平均62・8日で、前年同時期と比べ13・2日延びた。製造業では未回収の代金の比率が全体の3割近くに達した。

 今年上半期に全国の政府部門と国有企業が完済に至った滞納金は956億元(約1兆4千億円)に上るという。

米中、8月に貿易交渉か=合意検証、協調を模索

2020年07月28日

 米中が8月に貿易協議を行い、2月に発効した「第1段階」合意の進捗状況を検証する。互いに在外公館を閉鎖するなど対決姿勢を強める中、新型コロナウイルスに苦しむ経済面では協調を模索するとみられる。チャイナ・ウオッチが香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 詳しい関係者の話としている。中国は劉鶴副首相、米側はライトハイザー通商代表が出席する。

 サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国が既に合意に基づき大量の米国産大豆などを購入していると指摘。商業面での関係維持が「両国関係の悪化に対する防波堤になる」との米経済界の見解も伝えた。

 一方で、中国による大量購入にも限界はあると分析。香港や南シナ海問題を巡る対立で合意が後回しになるかもしれないとした。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)も27日、貿易協議が近く開かれるとの専門家の見方を伝えた上で、両国の「数少ない対話のチャンネルとなる」と強調した。

 米中の第1段階合意には、順守状況を検証することも盛り込まれている。劉氏とライトハイザー氏は5月の電話協議で、互いに合意を着実に実行する意向を表明したとされている。

ロシアと中国が月開発合意=科学研究基地建設へ協力

2020年07月27日

 ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスのロゴジン社長は23日、中国国家宇宙局と最近、月開発で合意したと動画投稿サイト「ユーチューブ」を通じたインタビュー番組で明らかにした。共同で月面での科学研究基地建設を目指すという。チャイナ・ウオッチがモスクワ発共同通信電として伝えた。

 1969年にアポロ11号で宇宙飛行士を初めて月に送り込んだ米国は、2024年に2度目の宇宙飛行士の月面着陸を目指す「アルテミス計画」を進めており、中ロで米国に対抗する狙いもあるとみられる。

 旧ソ連は66年に無人探査機ルナ9号を世界で初めて月面着陸させた。継承国のロシアは、30年までの有人月面着陸成功を目指している。中国は昨年1月に嫦娥4号を世界で初めて月面の裏側に着陸させている。

 ロゴジン氏は「ロシアと中国は共に月開発を進めることになる。お互いにとって非常に重要な一歩だ」と合意の意義を強調した。

搭乗前5日以内の陰性要求=中国、コロナで入国者に

2020年07月22日

 中国民用航空局は21日、新型コロナウイルスの国内での感染拡大リスクを下げるため、飛行機で訪中する乗客に対し、搭乗前5日以内に受けたPCR検査の陰性証明の提出を求めると発表した。各国にある中国大使館が近く現地のPCR検査能力を評価し、条件が整えば具体的な実施方法を周知する。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 外国籍の乗客に対しては搭乗前5日以内に現地の中国大使館が指定または認可した機関で検査を受けた後、大使館や領事館に陰性証明を提出し、健康状況に関する声明書を申請するよう求めた。

 航空会社には搭乗前に乗客の健康状況を厳格に確認するよう要求。虚偽の証明書や情報を提供した乗客は法に基づく責任を問われると強調した。

英開発のワクチンで抗体=中国も、各国が確保へ

2020年07月21日

 新型コロナウイルスのワクチンを開発する英オックスフォード大のチームと、中国の軍事科学院医療部門のチームがそれぞれ、接種した人に感染を防ぐ抗体ができ、有望だとする臨床試験の中間結果を英医学誌ランセットに20日発表した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 実用化には大規模な最終試験で安全性や有効性を確認する必要がある。英チームは既に英国やブラジルで最終試験に進んだ。共同開発する英製薬大手アストラゼネカは9月の供給開始を表明し、欧米諸国がワクチンの確保で合意している。日本政府も同社と確保を協議している。同社は8月にも日本で臨床試験を始める方向。

 英チームの試験には英国の18~55歳の千人余りが参加した。接種した人は感染した細胞を攻撃する免疫反応が強まって、抗体ができた。28日後に再度接種した人にはさらに強い反応があり、深刻な副作用はなかった。

 中国チームの試験には18~83歳の約500人が参加した。深刻な副作用はなく、接種した人の多くに抗体ができた。

 いずれもウイルスの遺伝子の一部を別の安全なウイルスに入れて体内に運び、抗体を作らせる仕組み。

国産種子、中国市場に展開=三井物産、中小企業と連合

2020年07月20日

 チャイナ・ウオッチが伝えるところによると、三井物産は国内の中小種子企業と連合を組み、キャベツやキュウリの種子を中国市場向けに販売する事業に乗り出す。現地の大手種子企業に出資し、栽培環境などに合った品種に改良した上で売り込む計画だ。中国では日本の野菜や果物が人気で、種苗の不正流出を防ぎながら巨大市場の開拓を目指す。

 三井物産は6月、中国最大の種子会社「袁隆平農業高科技」の子会社に30・4%を出資すると発表した。金額は10億~20億円程度とみられる。

 2018年には国内の種子会社との企業連合「ジャパン・ベジタブルシード」を設立。これまでに東京都と奈良県、福岡県の中小4社が参加している。これらの企業の種子を中国に持ち込み、出資先の現地企業と新たな品種を開発して販売するという。

 中国は世界の野菜生産量の5割強を占める。一方で、消費者の関心が高い日本の種苗が中国に流出する問題も頻発している。このため現地には花粉だけ送り、勝手に種子を増やせないような対策を施し、知的財産権を守る考えだ。

 三井物産の担当者は「日本の優れた野菜の海外展開を支援したい。他の種子会社の参加も歓迎している」と話した。

中国、住宅価格の上昇続く=当局は過熱警戒も

2020年07月17日

 中国国家統計局が16日発表した6月の新築住宅価格指数は、主要70都市のうち61都市で前月と比べ上昇した。上昇の都市は前月から4都市増え、4カ月連続の増加。新型コロナウイルスで落ち込んでいた需要が急回復した。統計局は不動産市場の過熱にも警戒を強めている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 北京市や上海市などの大都市で軒並み上昇。新型コロナの被害が最も深刻だった湖北省武漢市の伸びも目立った。下落や横ばいは地方都市に集中した。

 統計局は「住宅は住むものであり、投機対象ではない」とする中国政府と共産党の方針を改めて強調した。

ファーウェイ排除に反対=中国外務省、英政府を非難

2020年07月16日

 中国外務省の華春瑩報道局長は15日の記者会見で、英政府が第5世代(5G)移動通信システムから中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)製品を排除する方針を発表したことに関し「強く反対する」と表明した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 華氏は同時に、中国として英政府によるファーウェイ製品排除の影響を厳しく評価し「中国企業の正当で合法な権益を守るため必要な措置を取る」と強調、反撃も辞さない構えを見せた。また全ての中国企業に対し、英国での業務展開には政治的なリスクが日増しに高まっていることをしっかり重視するよう注意を呼び掛けた。

 英政府は14日、トランプ米政権の制裁強化も踏まえ、ファーウェイ製品の排除を決定した。

 華氏は、英政府がでっちあげのリスクを口実に米国と協力して中国企業に圧力をかけていると反発している。「間違った決定で中国企業の利益をひどく損ない、中英協力の相互信頼の基礎に衝撃を与えた」と非難した。

探査機、次々火星へ=米、中、UAEの3カ国ヘリ飛行実験の計画も

2020年07月15日

 火星と地球が近づく26カ月に1度のチャンスを生かそうと、この夏3カ国の探査機が次々と火星を目指す。実績のある米国は火星で初めてのヘリコプター飛行など先進的な試みを計画。中国は火星表面軟着陸、アラブ首長国連邦(UAE)は同国として初めて火星周回軌道に挑む。日本は2024年にも、火星の衛星フォボスへの着陸を狙う探査機を送り出す。チャイナ・ウオッチがワシントン発共同通信電として伝えた。

 太陽の周りを回る惑星同士の地球と火星は、26カ月ごとに太陽から見て同じ方角に入り、最接近する。次回は今年の10月。近づく機会を捉えて探査機を飛ばせば少ない燃料で火星に到達でき、各国の打ち上げが集中する。いずれも年明けに到着する。

 米航空宇宙局(NASA)は30日にも火星への着陸機「パーシビアランス」を打ち上げる。小型のヘリコプターを搭載しており、地球よりもはるかに薄い火星の大気中でも、飛行が可能かどうかを検証する。パーシビアランス本体は表面を走り回って土壌を採取、生命の痕跡を探す。

 将来の有人探査に生かすため、大気のほとんどを占める二酸化炭素から人間の生存に必須の酸素を作る実験もする。

 中国が挑戦する、機体の軟着陸と表面の探査はこれまで、米国しか成功していない。大気が薄くて摩擦による減速が難しいためだ。16年には欧州宇宙機関(ESA)の探査機が激突、失敗した。中国は技術力を高めているが、NASA幹部は「火星着陸は信じられないほど難しい。(中国の実力を)注意深く見守る」と話す。

 UAEは21年の建国50周年を記念し、「希望」を意味する探査機「HOPE」を、鹿児島県・種子島からH2Aロケットで打ち上げる。来年2月に火星に到着、数万キロの高度から大気などを観測する。

 日本は1998年に「のぞみ」を打ち上げたが軌道投入に失敗した。次の次となる2025年1月の最接近をにらみ、新たな探査機を計画中だ。衛星フォボスの岩石を採取し、地球に持ち帰る斬新な試みだ。

WHO調査団、中国入り=新型コロナ起源巡り

2020年07月14日

 中国外務省の華春瑩報道局長は13日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源を究明するため世界保健機関(WHO)の調査団の専門家2人が中国入りし、中国側の医療専門家らと交流していると明らかにした。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 華氏は訪問地や具体的な日程は明言しなかった。

 また、新型コロナが中国から流出したとの米国などの主張を念頭に、起源は「科学の問題だ」と強調した。「WHOは必要に応じてほかの国や地域でも同様の視察を実施するだろう」と述べた。

ホンダ、中国電池大手提携=EV向け開発強化

2020年07月13日

 チャイナ・ウオッチによるとホンダは10日、中国の車載用電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)との資本提携を発表した。中国の現地法人を通じて約1%の株式を取得し、電気自動車(EV)向け電池の開発などで連携を強化する。

 CATLは2022年をめどに、ホンダが中国で生産するモデルに電池の供給を始める予定で、ホンダは将来的に中国国外への展開も視野に検討する。このほか両社は電池のリサイクルなどでも協力を進める。

 ホンダは、今回の提携によって「電動化における商品競争力を一層向上できると確信している」としている。

 CATLはトヨタ自動車とも電池の開発や供給で提携しており、19年2月には、ホンダと電池を共同開発すると明らかにしていた。

年内は国際大会開かず=中国、コロナ対策で

2020年07月10日

 中国の国家体育総局は9日までに、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、年内は原則として国際的なスポーツ大会を開かないことを決めた。国内の競技団体などに通知した。2022年の北京冬季五輪の関連大会は例外とする。チャイナ・ウオッチが、中国メディアの報道を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 体育総局は通知で「西側の国家」が感染症の収束を待たずに各種規制を緩和しているため、中国として対策が必要だとの考えを示した。各国の選手が入国することに伴う国外からのウイルス流入を警戒しているとみられる。

 AP通信によると、広東省深圳で11月に開かれるテニスの女子ツアー最終戦など、複数のテニス大会に影響が出る。他に中国ではゴルフの世界選手権シリーズなども予定されていた。

 体育総局は北京冬季五輪の準備は着実に継続すると表明しており、各競技のテスト大会は開催する。

中国、WHO調査「同意」=米脱退を批判

2020年07月09日

 中国外務省の趙立堅副報道局長は8日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源を究明するため世界保健機関(WHO)の調査団が今週末に中国入りするとWHOが表明したことに関し、「中国政府はWHOとの科学的な協力に同意する」と述べた。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 トランプ米政権がWHO脱退を正式通告したことに対しては「国際社会の防疫の努力を台無しにし、支援が必要な発展途上国に悪影響を与える」と批判した。WHOとの共同歩調をアピールし、米国をけん制した。

 趙氏は一方、新型コロナの起源は解明途上で、調査が「今後、他の多くの国に及ぶ可能性がある」と強調した。「中国起源」とみなされることへの警戒感ものぞかせた。

 調査団が湖北省武漢市を訪問するかどうかなど、具体的な日程については「まだ情報はない」とするにとどめた。

中国、6月の外貨準備増加

2020年07月08日

 中国人民銀行(中央銀行)は7日、6月末の外貨準備高が3兆1123億ドル(約335兆円)だったと発表した。前月と比べ107億ドル増えた。増加は3カ月連続。新型コロナウイルスの感染拡大で主要国が取った景気刺激策により、各国の資産価格が上昇したことなどが影響したとしている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 国家外貨管理局は「世界経済の情勢は複雑で、金融市場の変動が激しくなっている」との認識を示した。一方で、中国は新型コロナ対策と経済活動の再開が成果を上げており、外貨準備の規模は安定すると強調した。

13年に類似ウイルス確認か=武漢研究所、死者は未公表

2020年07月07日

 5日付の英紙サンデー・タイムズは、新型コロナウイルスに非常に似たウイルスを、中国湖北省武漢市の中国科学院武漢ウイルス研究所が2013年に確認していたと報じた。この類似ウイルスが原因とみられる症状で死者が出たが、後に公表された論文で言及されなかった。チャイナ・ウオッチが、ロンドン発共同通信電として伝えた。

 サンデー・タイムズ紙によると、中国雲南省の銅山の廃坑で12年、コウモリのふんを片 付ける作業をした6人が重い肺炎になり同省昆明の病院に入院し、うち3人が死亡した。研究所の検査で、このうち死者1人を含む4人から「SARS(重症急性呼吸器症候群)のウイルスのような未知のコロナウイルス」が確認された。

 その後、研究所のウイルス専門家、石正麗氏らのチームが廃坑からコウモリのふんのサンプルを採取した。13年にかけての研究でサンプルの約半分からコロナウイルスが検出された。研究結果は16年に科学論文の形で発表されたが、3人の死者には触れていなかった。

 石氏は今年2月、研究所が雲南省で過去にコウモリから採取したコロナウイルスと新型コロナの遺伝子の配列が96.2%同じだと学術誌に発表している。

 タイムズ紙は取材などから、このコロナウイルスが銅山で確認されたものであることは「ほぼ確実だ」と伝えた。

パナ中国でソフト開発強化=家電や車載、人材確保急ぐ

2020年07月06日

 パナソニックは3日、中国・遼寧省大連にある機器用のソフトウエア開発センターの能力を強化する方針を明らかにした。現地で優秀な人材を確保し、大学やベンチャー企業とも連携。「モノのインターネット(IoT)」に対応した家電や車載製品で競争力を高める。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 大連の新オフィスでこの日、開所式を行った。広さを従来の2・5倍に拡充。現在700人のスタッフを、2024年までに千人規模に増やす。

 社内カンパニー「中国・北東アジア社」の本間哲朗社長によると、足元の中国事業は新型コロナウイルスの打撃から回復し、家電などが前年を上回る勢いで売れているという。

 中国では、車に音楽や地図などを提供するシステムで、スマートフォンのアプリと連動させた独自の商品化が進んでいる。パナソニックは今後、車載事業部門と大連のセンターとの共同開発に力を入れる。

 大連は日系企業が多数進出し、大連理工大などの地元の大学は日中英いずれの言語にも対応できる人材を輩出しているという。本間氏は「スマホが普及した中国で魅力ある商品を開発するにはソフトが重要だ。優秀な人に入ってもらいたい」と話した。

 大連のセンターは04年に設立。当初は16人でスタートした。

中国の主要800大学「大連理工大学

感染集計、情報提供が鍵=米サイト開発の中国人院生

2020年07月03日

 世界の新型コロナウイルス感染状況を示す米ジョンズ・ホプキンズ大の特設サイト開発で、重要な役割を果たしたのが中国人大学院生の董恩盛さん(31)だ。ビデオ通話アプリでインタビューに応じ、国際機関や主要メディアを集計スピードで圧倒している理由の一つに、世界各地からの細かい情報提供と確認作業があると明らかにした。チャイナ・ウオッチがワシントン発共同通信電として伝えた。

 「忙しくて時間を見つけるのが大変だ」。特設サイトに運営責任者の一人として携わりながら、大学院の授業にも追われる日々という。国務省などによると、米国内の大学・大学院への留学者数は中国が長年最多で、董さんもその一人だ。

 山西省太原市で生まれ育った。重慶市の西南大で地理学を学び卒業後、米アイダホ大大学院の修士課程で統計学を修了。昨年からジョンズ・ホプキンズ大大学院博士課程に入り、システム科学工学センターなどで学び始めた。「地理学と感染症の研究は密接に結び付いている」と強調する。

 今年1月「ダッシュボード」と呼ばれる特設サイト作成の必要性で、同センターのローレン・ガードナー准教授と一致。故郷の両親や親戚らを心配し、中国の感染者数を追っていた経験も役立ち、短時間で完成させることができたという。

 最大の課題は、国際機関や政府の発表などを情報源に、自動化した集計システムの維持。各国の言語、異なるデータ形式に対応する必要がある。ガードナー氏からは「情報の正確性を検証する重要性」などについて指導を受けた。

 ダッシュボードには、さまざまな反応があるという。「例えばイタリアのある地域の住民から、自分の所の感染者数が反映されていないという連絡がある。公的機関の資料を送ってもらい、検証して反映させる。これがスピードで圧倒している理由だ」と指摘した。

 特設サイトの地図上で感染者の分布を示す赤い丸は当初、中国など東アジアが中心だったが、徐々に欧州、米国に移ってきた。「今は中国の家族から心配されている」と明かす。

 夢は、感染拡大で延期になった婚約者との結婚と、その婚約者と一緒に行くはずだった東京での五輪観戦だという。

 トランプ政権は最初に感染が広がった中国への批判を強めている。董さんは「ダッシュボードの運営チームにもさまざまな国の人がいる。新型コロナと闘うために国際社会は協力して対応すべきだ」と訴えた。

アジアの新型コロナの状況・対策 SSPメンバーより Index

新しい豚インフル発見?=中国、人にも感染と報告

2020年07月02日

 チャイナ・ウオッチによると、人にも感染する新しい豚インフルエンザウイルスを発見したと、中国農業大などのチームが1日までに米科学誌電子版に発表した。人から人への 感染は判明していない。容易に感染するようになれば世界的流行の恐れもあるとしている。

 ただ、これまでも豚から人への感染例は報告されており、迫田義博北海道大教授(ウイルス学)は「一刻を争う対応が必要になるわけではない。将来への備えとして注意すべきウイルスの一つだ」と話している。

 ウイルスは、北京市を含め中国10地域の食肉処理施設の豚を2011年から18年にかけモニターして発見された。09年に新型インフルエンザとして流行したウイルスの遺伝子の一部が、別のインフルエンザウイルスのものと入れ替わっていた。16年ごろ豚の間で増え始めたとみられる。

 16~18年に河北、山東両省の養豚農場で作業員338人の血液を採取して調べたところ、約10%に感染歴があることも分かった。一般人の約4%と比べて高かった。人の呼吸器の細胞を使った実験でもウイルスが増殖しやすいことも確認した。

中国、輸出品を国内販売=コロナで外需低迷

2020年07月01日

 中国政府は30日までに、輸出向けの中国産品を国内市場で販売するための指針を発表した。新型コロナウイルスの世界的大流行で外需が低迷しており、貿易関連企業を救済する狙い。国内消費は回復傾向にあるが、失業や倒産で生活が厳しくなった人も多く、大量の輸出品まで消化できるかどうかは未知数だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 指針は22日発表。国内転売するための認証や手続きを簡素化し、企業の資金繰り支援も強化するとしている。各都市の主要なショッピングストリートで消費イベントを企画させると同時に、コロナを踏まえてオンラインの販売活動も促す。

 中国商務省は30日の記者会見で、家電や衣服から機械設備まで幅広い分野が対象になるとした。中国の1~5月の輸出は前年同期比7・7%減と苦戦。受注キャンセルが深刻な問題となっている。中国メディアによると、江西省では6月中旬に副省長がネットで輸出用の陶器や家具、茶葉などを国内向けに宣伝、販売した。

 ただ中国紙、上海証券報は「調理器具は海外と国内で基準が異なり、商標登録も大きな問題となる」と指摘する。

 中国では、李克強首相が「月収千元(約1万5千円)の人が6億人いる」と暴露したことに衝撃が広がっている。新型コロナの影響で生活防衛意識も高まりそうだ。