【20-11】国際特許出願数で中国初の1位 アジア地域優位も明白に
2020年4月22日 小岩井 忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)
2019年の国際特許出願数で中国が初めて1位になった、と世界知的所有権機関(WIPO)が7日発表した。特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願が始まった1978年以来、1位の座を米国が他国に明け渡すのは初めて。3位に日本、5位に韓国が入り、アジア地域からの出願数は世界全体の半数を超えた。「イノベーションの場がアジア(the East)に向かってシフトしていることを明確に示している」とガリWIPO事務局長は言っている。
2019年の国際特許出願数上位10カ国と出願件数(〇は2018年)
(WIPO Statistics Database, March 2020から)
WIPOによると、2019年の国際特許出願数は前年から5.2%増えて26万5,800件。中国は前年より10.6%増の5万8,990件で、2位に順位を下げた米国は2.8%増の5万7,840件だった。3位以下は日本5万2,660件(前年比5.9%増)、4位ドイツ1万9,353件(同2.0%減)、5位韓国1万9,085件(同12.8%増)となっている。6位以下は、フランス、英国、スイス、スウェーデン、オランダと西欧諸国が並んでいるが、出願件数は6位のフランスが7,934件で上位5カ国との差は大きい。
中国の国際特許出願数は1999年には、わずか276件。20年間で200倍に増えたことになる。
上位5カ国の出願分野をみると、中国と韓国からはデジタル通信、米国からはコンピューター技術、日本からは電気機械、ドイツからは輸送に関連する関連する出願が多いという特徴がみられた。
国際特許出願数の多い企業を見ると1位は中国の華為技術(ファーウェイ)で、4,411件。2位に日本の三菱電機の2,661件、3位に韓国のサムスン電子2,334件、4位に米国のクアルコム2,127件、5位に中国のOPPO(オッポ)1,927件とこちらでもアジア企業の強さが目立つ。このほか10位内に中国の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が6位(1,864件)、中国の平安科技(PING AN TECHNOLOGY (SHENZHEN))が7位(1,691件)、韓国のLGエレクトロニクスが10位(1,646件)が入っており、上位10社のうち、7社をアジア企業が占めた。
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