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北京近郊で外出制限開始=人口39万人、感染拡大警戒

2020年06月30日

 中国・北京での新型コロナウイルス感染症の再拡大を受け、北京近郊の河北省安新県は29日までに外出制限措置を始めた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 県政府のサイトによると人口は約39万人。同県は習近平指導部が主導して建設を進める新都市「雄安新区」の一角で、地元当局は警戒を強めている。

 6月中旬以降、北京では食品卸売市場の集団感染をきっかけに発症者が増え、累計300人超に。安新県に住む約2千人が市場の関係者だという。中国メディアによると北京の感染拡大以降、雄安新区では計十数人の発症者が確認された。

 県当局は27日夜、各世帯から1人が1日1回だけ日用品の買い物に行くのを除き、外出を禁じると通知した。住民に「互いに監督」し、共産党幹部 や自治組織に従うよう求めた。

 北京でも感染拡大後、多数の居住区を封鎖、小中学校なども休校にした。市外に出る際にはウイルス検査を義務付け、出入りを規制している。

7月から8月に火星探査機打ち上げ=中国中央テレビ

2020年06月29日

 中国中央テレビのサイトはこのほど、中国が初めて行う火星探査についてことし7月から8月にかけて探査機を打ち上げる計画だとして、中国科学院院士(科学アカデミー会員に相当)である包為民・航天科技集団科技委員会主任のインタビューを掲載した。チャイナ・ウオッチが伝えた。主な内容は次の通り。

- 中国は今年初の火星探査ミッションを行う計画だ。火星探査には火星と地球の距離が最も近い時期を選ぶ必要があり、その機会は26か月に1回しかない。「天問1号」と名付けられたミッションについて中国科学院院士である包為民・航天科技集団科技委員会主任に聞いた。

包為民:今年7月から8月にかけて、我々は新世代の運搬ロケットの中で最大の長征5号ロケットを使って打ち上げる。火星探査機は来年2月には火星の引力圏に入り、その後、火星(の引力)に捕捉されて火星に到達することになる。

- 火星と地球は最も接近した時でも約5500万キロ離れており、長距離の飛行を経た後、どのように火星の引力に捕捉されるかはミッションの要の一つだ。もし捕捉に失敗すれば、探査機は火星をかすめて過ぎ去ってしまうことになる。

包為民:捕捉されなければ通り過ぎていってしまう。従って捕捉は極めて重要であり、捕捉された後は火星の周回軌道に乗り、何回もの調整を経て周回探査を行う。

- 中国の火星探査機は周回機と着陸巡回機の2つで構成されており、着陸巡回機は火星の表面に軟着陸した後、火星ローバーを下ろして火星の表面を巡回探査する。火星ローバーは火星時間で90日間とどまり、巡回探査や火星の地勢特性の研究など多くのミッションを行う。

包為民:火星の1日は地球1日より少し長く、1日はおよそ24時間37分となる。火星ローバーの設計寿命は火星の90日間で、地球時間では3か月余りに相当する。

▽安全な着陸が要

- 火星探査機が火星の軌道に到達した後は、火星の表面に到達することが次の仕事だ。降下過程はおよそ7分から8分で短いが、成功するか否かはミッションの成否を決定するため、すべての要だ。

 火星探査機は(火星までの)途上、高速飛行状態にあるため、着陸の前にまずスピードを落とすことが必要だ。現在、国際的には主に2種類の減速方法が行われているが、中国は月探査プロジェクトの技術経験に基づいて、4つのステップで一歩一歩減速させ、最終的に探査機を平穏に火星表面に到達させることになる。

包為民:毎秒4・8キロのスピードから着陸地点での毎秒0メートルまでにかかる時間は7分から8分だ。この間、4つのステップで減速するが、第一のステップは空気抵抗による減速で、スピードを毎秒4・8キロから毎秒460メートルに落とし、それに要する時間は290秒前後だ。

- イメージで言うなら、減速の第一ステップは、急ブレーキをかけるようなものだ。その後、探査機はパラシュートを開き、約90秒でスピードを毎秒460メートルから95メートルに落とし、その後、動力減速ステップに入り、探査機の逆噴射エンジンに点火、スピードは毎秒3・6メートルに落ちる。

包為民:このステップの時間は約80秒だ。残る100メートルは着陸衝撃緩和ステップと呼ばれ、スピードはとても遅くなっており、100メートルで空中浮揚させることができる。

- 中国は既に空中浮揚実験に成功しており、最後の着陸段階では着陸機は空中に浮揚して、火星の表面を観察して着陸地点の選定の最終準備を行うことができる。

包為民:100メートルは既に低い高度であり、地面に穴や大きな石がないかを見ることができ、あった場合はこれを避けることになる。適度な位置に調整することによって、着陸地点の安全性を保証し、ひっくり返らずにすむのだ。

▽今後2~3年に11回のミッション

- 5月5日に中国は長征5号B運搬ロケットの初の打ち上げに成功、宇宙ステーション建造の序幕を上げた。今後2~3年の間に中国は11回の飛行ミッションを実施、宇宙ステーション建造ミッションを完成させる。

 宇宙ステーションは2022年前後に完成。中国は来年、宇宙ステーションの要になる技術検証と建造段階の発射ミッションを開始、続けて11回の飛行ミッションを行う。

包為民:我々は3回にわたり宇宙ステーションのコアモジュールと2つの実験モジュールを打ち上げ、さらに4回の有人宇宙船の打ち上げ、また4回の貨物宇宙船の打ち上げも行うことになる。

 現在、中国の宇宙ステーションのコアモジュールは正式試作品の組み立て作業が完成、「問天」および「夢天」の実験モジュールも初期試作品を開発製造中であり、空間科学ペイロードも続々と正式試作品の開発製造に入っている。中国の宇宙ステーションの完成後の使用寿命は10年から15年とみられている。

ファーウェイが英に拠点 光エレ関連で1300億円

2020年06月26日

 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は25日、英南部ケンブリッジに光エレクトロニクス関連の研究開発や製造を行う拠点を設けると発表した。チャイナ・ウオッチがロンドン発共同通信電として伝えた。

 第1段階として10億ポンド(約1,300億円)を投資し、400人程度を雇うという。

 英政府は第5世代(5G)移動通信システムからのファーウェイ製機器の排除を検討しているもようだ。ファーウェイとしては経済に貢献し、英国を引き続き重要市場と見ているとの姿勢をアピールする思惑があるとみられる。

 ファーウェイは2017年から設置先の検討に入り、25日に地元自治体の承認を得た。ケンブリッジを光エレクトロニクス事業の国際中核拠点に位置付けるとしている。

中国、外資規制を一層緩和=コロナでの撤退防ぐ

2020年06月25日

 中国政府は24日、中国市場に対する外資規制を一層緩和すると発表した。商用車製造への出資規制を撤廃、証券や保険など金融分野の開放も進める。新型コロナウイルスで外資の中国離れが懸念されており、対外開放を強調して引き留める構えだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 ただ目玉に掲げる商用車や金融関連は公表済みの施策を反映させたもので、新味に欠けるとの声も上がりそうだ。

 経済の司令塔である国家発展改革委員会などが、外資の規制分野を定めた「ネガティブリスト」の2020年版を発表。項目数を従来の40から33に減らした。7月23日から適用する。

 同委員会は「外資により開放された投資環境を提供する方針が変わることはない」と強調した。

 商用車は、現地合弁企業に対する50%までの出資規制を撤廃。乗用車は22年になくすという従来の方針は維持した。

 他に、核燃料の生産への投資を外資に開放。インフラ分野で、人口50万人以上の都市での配水管建設について出資制限を取り除いた。

 一方、中国が「戦略資源」と位置づけるレアアース(希土類)採掘や、遺伝子治療などへの投資は引き続き禁じた。新聞やインターネット関連、教育など言論の自由に関連する分野の禁止も続けた。

北京、市場従業員ら検査=感染拡大防止へスーパーも

2020年06月24日

 中国・北京市政府は23日、新型コロナウイルス感染症の発症者が増加している事態を受け、市内の食品市場、食堂、スーパーの従業員や配達員の全員を対象にウイルス検査を実施すると発表した。25日に端午節の連休が始まるのを前に、警戒を強める。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 北京市では22日に新たに13人の発症者を確認した。食品卸売市場で集団感染が発生した今月中旬以降に市内で判明した発症者は計249人となった。新たな発症者の中にはスーパーの店員や、中国で普及している食事の宅配サービスの配達員もいた。

 北京市は、集団感染が発生した市場に行ったことがある人を中心に大規模なウイルス検査を実施している。旅行や出張で北京市を出る人も検査で陰性を証明しなければならない。市は今月中旬以降で300万人近くの検体を取ったという。

国連、誤情報流行に警鐘=コロナ投稿4割信用できず

2020年06月23日

 チャイナ・ウオッチによると、新型コロナウイルス感染拡大で世界の豊かさがしぼむ見通しとなる中、国連開発計画(UNDP)は22日までに、会員制交流サイト(SNS)への新型コロナ関連投稿の4割が信頼できない情報源に基づいたものだったとの分析結果を発表、誤情報の流行に警鐘を鳴らしている。

 感染拡大に伴い欧米ではアジア人、日本国内では中国人、中国ではアフリカ出身者らへの差別発言やデマもインターネット上などで広がっており、国連は正確な情報を人々に届ける必要性を訴えている。

 分析はイタリアの調査機関「ブルーノ・ケスラー財団」が実施した。新型コロナに関連するSNSへの投稿約1億1,200万件のうち、40%は情報源が信頼できないものだった。新型コロナ関連ツイートの約42%は、同じ内容を何度も自動投稿する「ボット」が使われていた。

 UNDPによると、英研究機関が調査したSNS利用者の約3分の1は、新型コロナについて虚報や誤解を与える情報を見たと回答している。米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、SNSを通じてニュースを得る人の方が虚偽の情報に触れる機会が多いとの調査結果をまとめた。

北京市で感染続く=新たな発症者22人

2020年06月22日

 北京市政府は21日、新型コロナウイルス感染症の新たな発症者を20日に22人確認したと発表した。前日と同数で依然、感染を封じ込めていない。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 22人のうち10人が、今月中旬に集団感染が見つかった食品卸売市場のある同市豊台区で確認された。

 中国政府によると、他に河北省で3人、福建省で1人の発症者が見つかった。河北省の3人は北京市の食品卸売市場から戻った人やその濃厚接触者だった。死者は増えず計4,634人。

4割の社が駐在員戻れず=中国・華東地域の日系企業

2020年06月19日

 中国上海市や浙江省、江蘇省、安徽省内の日系商工クラブで組織する「華東地域日商俱楽部懇談会」は18日、地域内に拠点を置く日系企業のうち中国に戻れていない日本人駐在員がいる社が4割に上るとのアンケート結果を発表した。経営幹部の不在で業務に影響が出ているほか、技術指導担当者を日本から派遣できず不良品が多発し、早期の復帰を望む声も上がった。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 中国政府が3月下旬からビザ(査証)と居留許可証を持つ外国人でも入境を原則として停止しており、日系企業の足かせとなっている。

 アンケートは11~15日に行い、1208社が回答。4割に当たる503社は計1320人の駐在員が復帰できておらず、うち339社が駐在員をすぐにでも戻したいと回答した。

地球観測衛星「高分九号03」打ち上げ=中国

2020年06月18日

 中国は17日午後3時19分(日本時間同4時19分)、酒泉衛星発射センターから運搬ロケット長征2号Dで光学リモートセンシング地球観測衛星「高分九号03」を打ち上げ、予定の軌道に投入することに成功した。チャイナ・ウオッチが酒泉発新華社の報道を引用した中国通信=共同通信電として伝えた。

 今回のミッションではさらに「皮星〈ピコ衛星〉3号A」と「和徳5号」という別の二つの衛星も搭載して打ち上げられた。

「高分九号03」は光学リモートセンシング衛星で、その地上画素分解能は最高でサブメートル級に達し、主に国土調査、都市計画、土地の権利確認、道路網設計、農作物の収量見積もりおよび防災・減災などの分野に用いられる。

 「皮星3号A」は浙江大学が開発したもので、主にはマルチモード型観測制御用トランスポンダ、衛星搭載総合電子システムなどのピコ・ナノ衛星技術について軌道上での試験を行うのに用いる。「和徳5号」は北京の和徳宇航技術有限公司が開発したもので、世界の船舶の航行状態、フライトの飛行状態およびモノのインターネット(IoT)に関する情報を軌道上で収集することができる。

5日間で発症者100人超=北京市、防疫対策強化

2020年06月17日

 新型コロナウイルスの集団感染が発生した北京市の当局は16日、市内全域の農産品市場で消毒、殺菌作業を進めるなど防疫措置を強化した。11~15日の5日間に判明した発症者は100人を突破した。一方、新型ウイルスの流行が最初に確認された湖北省武漢市では無症状の人も含めて感染者が初めて0人となった。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国メディアによると、北京市は感染症の警戒レベルを引き上げ、学校への登校も停止すると発表した。

 北京市当局は、集団感染が発生した豊台区の北京新発地卸売市場だけでなく、276カ所の農産品市場でも消毒、殺菌を実施。感染が拡大しやすい地下や半地下の市場11カ所を閉鎖した。11日以降に判明した100人超の発症者の大多数は新発地市場と関連があった。

 当局は飲食店の消毒、殺菌も進めたほか、大人数の宴会を中止するよう通知。一部の居住区では、人の出入りを厳しく制限する封鎖式管理を実施した。市内のスーパーでは食品の買いだめが発生した。市外からの野菜の輸送を増やすなどして供給を安定させる。

 武漢市では既に治療中の発症者がいなくなっていたが、当局は16日、無症状感染者も0人になったと発表した。

北京の集団感染20万人検査=中国首都「戦時状態に」

2020年06月16日

 中国・北京市幹部は15日に記者会見し、同市豊台区の食品卸売市場で新型コロナウイルスの集団感染が起きたと断定し、5月30日以降に市場を訪れた約20万人を対象にウイルス検査を実施すると発表した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 北京市幹部は、首都が「戦時状態に入った」と述べて対策を急ぐ考えを示した。感染者が出た地域を封鎖し、厳戒態勢を敷く。

 市幹部は感染状況について「非常に厳しい」と述べ、長期化も覚悟しなければならないと強調している。中国政府は首都の防衛を重視し、流行阻止へ「果断な措置」を取るよう指示した。

 北京市は6日、目立った再流行が起きていないとして、感染症の警戒レベルを引き下げたばかりだった。孫春蘭副首相は、市場や周辺で感染経路の追跡と住民への検査を徹底するよう命じた。

 集団感染が起きたのは海鮮などを扱う北京新発地卸売市場。北京市当局は14日に市全体で7万6千人余りのPCR検査を実施し、59人に陽性反応が出た。再検査などを進めているといい、感染者数はさらに増えそうだ。

 中国メディアによると、当局は市場周辺の住民約4万6千人のPCR検査を実施する。

 北京市と隣接する河北省でも14日、発症者が3人確認された。いずれも北京市の発症者と接触していた。周辺都市でも交通規制が強化され緊張が高まっている。

中国、工業生産4・4%増 5月、回復基調進む

2020年06月15日

 中国国家統計局が15日発表した5月の工業生産は、前年同月比4・4%増だった。新型コロナウイルス感染症の拡大で停滞した生産活動の回復が進み、2カ月連続で前年実績を上回った。上昇率は前月から0・5ポイント拡大した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 同時に発表した工場やオフィスビルなどへの1~5月の固定資産投資は前年同期比6・3%減だった。消費動向を示す5月単月の小売売上高は前年同月比2・8%減と、前月からマイナス幅が大きく縮小した。

期限超過の廃棄物放置=中国原発、処分体制整わず

2020年06月12日

 中国で低レベル放射性廃棄物の処分場が国の計画通りに建設できず、多くの原発で規定を超える長期間にわたり廃棄物が貯蔵されたままになっていることが11日までに分かった。原発増設を進めているものの、廃棄物処分の体制整備が追い付いていない。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 共産党機関紙、人民日報傘下の週刊紙「国家能源報」が5月に報じた。処分場整備の遅れが「原発の運転と周辺環境にとって巨大なリスクになっている」と警告する専門家のコメントも伝えた。

 中国は1991年に初の原発が浙江省で運転開始し、今年4月末時点では全国で47基が稼働中。政府は放射性廃棄物を発電所で5年を超えて貯蔵してはならないと定め、各地に中・低レベル放射性廃棄物の処分場を建設する計画だった。だが専用の処分場が1カ所も建設されず、多くの原発で5年以上、廃棄物を保管したままになっている。

 処分場の建設地選びと管理は地方政府が担うことになっているが、地元住民の反対感情を背景に実現していない。生態環境省の幹部は「リスクがあるのに金銭的な利益にはならないと考える地方政府が、やりたがっていない」と指摘した。

 中国は原発の増設を進め、今年4月時点で15基の原発が建設中だという。中国では党・政府のトップダウンで各種政策を進めることが多いが、環境汚染や公害を嫌がる国民が増えており、民意を完全に無視することはできなくなっている。

世界成長マイナス7%も=年内コロナ第2波ならOECD経済見通し

2020年06月11日

 経済協力開発機構(OECD)は10日、経済見通しを発表し、年内に新型コロナウイルス感染症流行の第2波に見舞われれば、2020年の世界全体の実質経済成長率がマイナス7.6%になると予測した。チャイナ・ウオッチが、ロンドン発共同通信電として伝えた。

 第2波が回避されてもマイナス6.0%。3月に発表した前回予測は2.4%で、大幅に下方修正した。

 8日に世界経済見通しを発表した世界銀行も、新型コロナ長期化ならマイナス8%とのシナリオを示している。

 OECDは21年には回復に転じると見込んだが、ワクチンの普及時期など先行きの不確実性は大きい。日本を含む先進国は外出制限や自粛を求める政策から経済活動再開を重視する姿勢に転換している。だが、経済活動再開は感染のリスクもはらむ。OECDは「世界経済は現在、1930年代の大恐慌以来の景気後退を経験している」と指摘し、新型コロナの第2波阻止と収束に向け、より強力な国際協調が必要だとしている。

 各国・地域別では、日本がマイナス6.0~マイナス7.3%、米国はマイナス7.3~マイナス8.5%とそれぞれ予測している。スペイン、イタリアで感染者がそれぞれ20万人を超えるなど大打撃を受けたユーロ圏は、第2波襲来ならマイナス11.5%になると見込んだ。中国はマイナス2.6~マイナス3.7%になると予測した。

 各国は巨額の経済対策に乗り出し、財政赤字や公的債務が膨張している。世界経済の立て直しに当たって、大きな足かせとなる恐れもある。

 20年のOECD加盟国の失業率は9.2~10.0%となり、前年から大幅に悪化するとした。

中国、卸売物価の下落続く=5月、コロナや原油で

2020年06月10日

 中国国家統計局は10日、5月の工業品卸売物価指数(PPI)が前年同月比で3・7%下落したと発表した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や国際的な原油価格の下落が続き、4年ぶりの低水準を記録した前月から下落率がさらに拡大した。マイナスは4カ月連続。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 エネルギー関連や化学繊維の落ち込みが目立った。

 同時に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2・4%上昇した。上昇率は前月から縮小したが、食品は値上がりが続いている。特に豚肉価格はアフリカ豚熱(ASF)の影響が重なり、依然として80%以上の高い水準で推移。他の食肉も高くなっている。

中国人の平均寿命77・3歳に=国家衛生健康委発表

2020年06月09日

 チャイナ・ウオッチによると、2019年の中国人の平均寿命は前年より0.3歳延びて77.3歳になった。

 6日北京発の中国新聞社電を引用した中国通信=共同通信電が伝えたもので、中国国家衛生健康委員会が同日「2019年中国衛生健康事業発展統計公報」で明らかにした。

 中国人の平均寿命は2018年の77.0歳から2019年には77.3歳に延びた。妊婦死亡率は10万人当たり18.3人から17.8人に低下し、乳児死亡率も1,000人当たり6.1人から5.6人に低下した。

中国5社と燃料電池で合弁=トヨタ、普及向け連携加速

2020年06月08日

 チャイナ・ウオッチによるとトヨタ自動車は5日、中国の自動車会社など5社と燃料電池システムの開発を手掛ける合弁会社を北京に設立すると発表した。トヨタは二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料電池車(FCV)の技術に強みを持っており、中国での普及を視野に現地企業との連携を加速するのが狙い。

 トヨタや中国第一汽車、東風汽車集団、広州汽車集団、北京汽車集団など6社が、新会社「連合燃料電池システム研究開発」を今年中に設立する。出資比率はトヨタが65%、中国5社が35%。各社は2023年までに合計で約50億円を投資する計画で、今後需要が見込まれる商用車の燃料電池システムを開発する。

 従業員は各企業が派遣。約50人体制で始め、23年までに約100人に増やす。トヨタの寺師茂樹執行役員は「中国におけるFCV普及の足掛かりになる」とのコメントを発表した。

中独首脳が緊密連携確認=9月の欧州での会議念頭

2020年06月05日

 中国外務省は4日、習近平国家主席とドイツのメルケル首相が3日に電話会談したと発表した。中国がドイツや欧州連合(EU)との間で検討している「重大な政治交流日程」の調整を推し進め緊密に連携する方針を確認した。ドイツで9月に予定する中国とEUの首脳会議が念頭にあるとみられる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 習氏は電話会談で新型コロナウイルスの感染防止と経済社会の発展を両立させることが必要だと強調。両国が経済交流の再開に向け始めた企業関係者の入国手続き簡素化の制度について「国際的なサプライチェーン(部品の調達・供給網)の維持に役立つ」と指摘した。

 中国外務省によると、メルケル首相は両国の経済協力を続けたいと述べ、中国と交流を強める考えを示した。

中国、対日ビザ発給を拡大=経済交流の正常化加速

2020年06月04日

 中国政府が新型コロナウイルスの影響で制限してきた日本人へのビザ(査証)発給を拡大させていることが3日分かった。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 上海市や広東省に入る日本人に既にビザを出している。日中外交筋が明らかにした。

 中国では工場や店舗の再開が進んでいるが、一時帰国した日本人駐在員が中国に戻れずビジネスに悪影響が出ている。企業関係者の入国を優先的に認め、経済交流の正常化を加速させる狙い。

 5月には湖北省に進出している日産自動車などの駐在員らにビザを発給し、約140人が入国したことが既に判明している。日系企業が多い他都市でも、6月から本格的に発給を増やす方針。

 日本での新型コロナの緊急事態宣言解除も追い風になったもようだ。日中関係筋は「地方政府が重要と考える企業に(ビザが)出ているようだ」と話した。

 ただ日中間の航空便は大幅に減っており、駐在員の家族や旅行客が入国できるようになるには時間がかかりそうだ。

 中国は発給済みのビザや居留許可証を持っている外国人も3月下旬から原則として入国を停止し、例外的に入国する場合は新たなビザ申請を求めている。防疫での協力が進んだ韓国には、企業関係者の受け入れを開始した。シンガポールともビジネス目的の往来を再開させると発表している。

武漢、989万人検査終了=牡丹江市も全市民で実施へ

2020年06月03日

 中国湖北省武漢市当局は2日の記者会見で、5月14日から6月1日に989万9828人にPCR検査を実施し、無症状感染者300人を確認したと発表した。市は5月上旬に全市民にPCRを行う方針を示しており「順調に任務をやり遂げた」として終了を宣言した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 一方、黒竜江省牡丹江市も1日、全市民にPCRを実施すると発表した。以前に海外からの流入例が急増した時期があり、無症状感染の実態把握を進める意向とみられる。

 武漢市は、今回の集中検査で結果が陽性で無症状感染と判断され、その後に発症した人はいないと説明。「武漢の無症状感染者の割合は非常に低く、無症状からの感染も確認されていない」とした。設備や人員を大幅に増やし、複数の検体を混ぜて分析する方法も「補助的に」採用したという。費用約9億元(約136億円)は地元政府が負担する。

中国人研究者らの入国制限=米長官、知財窃取防ぐ

2020年06月02日

 ポンペオ米国務長官は1日、中国による技術や知的財産の窃取を防ぐため、中国人民解放軍とつながりのある中国人の研究者と大学院生への査証(ビザ)発給を停止し、入国を制限すると発表した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 ポンペオ氏は声明で「米国の学術機関や研究施設から軍事目的のために、われわれの技術と知的財産を不正に取得しようとする中国の試みを容認しない」と強調した。

 対象となるのは、米国に来る研究者や大学院生の「ごく一部」で、米大学の学部への留学生は制限しないとしている。米メディアは数千人に影響を与える可能性があると報道している。米国の教育機関には現在、中国人留学生が約36万人いるという。

 中国人研究者らの入国制限を巡ってはトランプ大統領が5月29日、香港への国家安全法制導入を決めた中国に対する対抗措置の一つとして発表している。米国にとって死活的に重要な大学研究を守るため、安全保障上、潜在的なリスクがあると見なした中国人の入国を停止すると明かしていた。

中国、22年に宇宙基地建設=開発加速、7月火星探査も

2020年06月01日

 中国は宇宙開発で先を行く米国に対抗しようと「宇宙強国」の目標を掲げ、開発を加速させている。2022年ごろの独自の宇宙ステーション完成に向け、5月上旬には建設に用いる主力ロケットの打ち上げに成功したばかり。7月には火星探査機を打ち上げる予定だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 国際宇宙ステーションの参加各国は24年までの運用に同意しているが、その後は不透明。中国が独自に完成させれば、有人宇宙活動の分野での存在感が高まる。

「わが国の宇宙事業の新たなページを開くだろう」。大型運搬ロケット「長征5号B」で打ち上げた次世代有人宇宙船の試験船が大気圏に再突入し、予定通り内モンゴル自治区に着陸した5月8日、有人宇宙プロジェクト弁公室の王忠貴氏は重要な成果だと強調した。

 専門紙、中国航天報によると、長征5号Bは地球に近い低軌道へステーションの設備を運搬する主力ロケットとなる。今回は次世代有人宇宙船のパラシュートの性能、着陸の正確さなどを検証。宇宙船はステーションの運用のほか、将来的には有人月探査での利用を見込む。

 同弁公室はステーション完成までに今後計11回の打ち上げを実施すると表明。構成する居住棟や実験棟を順次軌道上へ運び、飛行士や物資を乗せた有人宇宙船「神舟」と無人貨物宇宙船「天舟」を各4機打ち上げて組み立てを進める。

 7月には中国初の火星探査機「天問1号」を打ち上げ、来年の到達を目指す。年末までに無人月面探査機「嫦娥5号」も打ち上げる予定だ。