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中国、44年ぶり低成長か=20年世銀予測、コロナ響く

2020年03月31日

 世界銀行は30日、新型コロナウイルスによる景気悪化で、中国の実質国内総生産(GDP)成長率が2020年は2.3%に減速するとの見通しを示した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 現実になればマイナスだった1976年以来44年ぶりの低水準となる。感染が深刻化する前の1月時点の5.9%から大幅に引き下げた。悲観的なシナリオとしては0.1%に急減速する可能性も指摘し、影響の大きさを浮き彫りにした。

 新型コロナの影響で人やモノの移動が制限され、消費や生産など経済指標は軒並み悪化している。世銀は中国が企業活動を「すぐに再開できるかどうかは分からない」と指摘した。中小企業は「今も困難な状況にある」と説明した。19年は6.1%だった。

 中国失速や世界の景気後退に直面するアジア地域の新興国など「過度な債務を抱える国は金融不安に陥るリスクが高い」と警戒感を示した。

中国EV大手が新型電池=日本勢と競争、6百キロ走行

2020年03月30日

 中国の大手電気自動車(EV)メーカー「比亜迪(BYD)」は29日、性能を高めた新型の車載用リチウムイオン電池を発表した。今年中に自社のEV新モデルに搭載する。車の電動化が進む中国で、トヨタ自動車やパナソニックなど日本勢との競争が激しくなりそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 新型電池は容量を大幅に高め、一つ一つの形は刀の刃のように薄くすることで全体の体積を小さくした。安全性も強化した。新EVの1回の充電による航続距離は600キロに上るという。

 BYDは広東省深圳市を拠点とし、電池と車を製造。EVでは米大手テスラと競っている。BYD幹部は記者会見で「この技術をグローバルに展開したい」と述べた。

トヨタは中国市場を含めてEV戦略を加速させており、パナソニックと車載用電池の新会社を4月に設立する。

 一方、トヨタはBYDともEVを共同開発する契約を締結。他の中国電池大手とも提携するなど、合従連衡が複雑さを増している。

中国製検査キットが不良=スペイン、購入先は未認可

2020年03月27日

 スペイン政府が中国企業から新型コロナウイルスの感染を調べる迅速検査キットを購入したところ不良品と判明し、9千個の返品を余儀なくされたことが26日、政府発表や地元メディアの報道で分かった。チャイナ・ウオッチが、パリ発共同通信電として伝えた。

 在スペイン中国大使館は、この企業は製品を販売する公的認可をまだ得ていないとツイッターで指摘した。スペイン保健省は、自国の業者を通じて入手し、製品には欧州連合(EU)の基準への適合を示すマークが付いていたと弁明した。

 パイス紙によると、キットは陽性のケースを十分検出しなかった。保健省は支払った金額について明らかにしていない。

 スペインは感染による死者数が中国を上回り、イタリアに次ぐ4千人超。 さらなる感染拡大を阻止するため検査数の増加が急務となっている。

 政府は25日、不足しているマスクや迅速検査キットなど4億3,200万ユーロ(約518億円)分の医療用品を購入する契約を中国と結んだと発表したが、今回のキットはそれ以前に購入したものだった。

中国からマスク大量購入=スペイン、計520億円

2020年03月26日

 スペイン政府は25日、新型コロナウイルスの大流行により国内で不足しているマスクや人工呼吸器など計4億3200万ユーロ(約520億円)分の医療用具を中国から購入する契約を結んだと発表した。チャイナ・ウオッチがパリ発共同通信電として伝えた。

 感染が急拡大したスペインの死者はイタリアに次ぐ規模で、25日に死者が約3400人となり、中国の公式発表数を超えた。病院などでも必要な物品が不足し、医療従事者の感染も深刻化している。

 購入するのはマスク5億5千万枚、人工呼吸器950台、550万回分の迅速なウイルス検査キット、手袋1100万枚。今月から6月の間に全て納入されるという。

 一方、スペイン下院は26日未明(日本時間同午前)、政府が14日に宣言した15日間の非常事態について、政府の延長要請を賛成多数で可決した。新たな期限は4月12日午前0時まで。

 スペイン通信によると、サンチェス政権のナンバー2、カルボ第1副首相の感染が25日確認された。22日から入院しており、病状は快方に向かっているという。閣僚の感染確認は3人目。

工作機械受注29・6%減少=コロナ拡大で中国向け低迷

2020年03月25日

 日本工作機械工業会が24日発表した国内工作機械メーカーの2月の受注総額(確報値)は、前年同月比29・6%減の772億円だった。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中国向けなどの受注が低迷した。前年同月水準を下回るのは17カ月連続。2013年1月以来、7年1カ月ぶりの低水準だった。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 中国向けは47・6%減少し、74億円にとどまった。中国国内の移動が厳しく制限され、商談が制約されたことが響いたという。欧州向けも39・7%減、北米向けも18・6%減と振るわなかった。

 新型コロナの影響は世界規模で拡大しており、同工業会は「国内外とも設備投資の先送り感が強まっており、受注額は当面低調に推移する可能性が高い」としている。

20年世界1.5%減=日米欧がマイナス転落へ 11年ぶり、金融協会予測

2020年03月24日

 世界の主要金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)は23日、2020年の世界全体の実質経済成長率がマイナス1.5% と、金融危機後の2009年以来、11年ぶりのマイナスになるとの予測を発表した。日米欧が軒並みマイナス成長に転落する。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済活動が停滞しており、原油価格の急落も響く。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事も23日、世界が今年はマイナス成長になるとの見通しを示し「景気後退は少なくとも金融危機と同程度か、さらに悪化する可能性もある」と危機感を表明した。

 IIFは2020年の先進国の成長率をマイナス3.3%と予想した。日本は2019年の0.9%からマイナス2.6%に落ち込むと見込む。感染が急激に広がる米欧も厳しく、米国がマイナス2.8%、ユーロ圏はマイナス4.7%と予測し、IIFは「米欧はともに既に景気後退に入っている」と分析した。

新興国の成長率は1.1%と見込んだ。中国が2.8%、インドも2.9%と大幅に減速、ブラジルやロシアの成長率もマイナスになる見通し。

 IMFは今年の成長率が昨年を下回ると見込んでいたが、さらに下方修正した。ゲオルギエワ氏は「景気への打撃は深刻だ」と訴えた。感染を早く抑え込めれば「景気はより早くて強い回復を見込める」と述べ、拡大防止策の重要性を強調した。

 また、投資家が新興国市場から830億ドル(約9兆2千億円)もの資金を引き揚げたと指摘し「新興国が重大な困難に直面している」と訴えた。

 IMFは危機対応策として1兆ドルの融資能力があることも強調した。

中国、食肉の輸入2倍に=新型コロナ対策、貿易強化

2020年03月23日

 中国税関総署は19日、米国などからの食品の輸入を強化したと発表した。新型コロナウイルスの影響で貿易が低迷し、国内の食肉などが供給不足に陥るのを防ぐためとみられ、豚肉や牛肉などの輸入量は2倍に増えたという。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 通関を24時間体制にし、食品や農産品の検査を優先。2月1日以降、米国やパキスタン産の肉類、水産品を新規承認し、豚肉などの輸入は前年同期と比べ2倍以上の70万トン、乳製品は38%増の36万トンに拡大した。種豚、種牛の輸入も増やしたもようだ。

 税関総署は「サプライチェーン(部品の調達・供給網)をスムーズにし、企業活動の再開を支援する」とも強調。マスクなどの防疫用品や、機械設備、原材料といった必要な物資の規制を緩和したとしている。

 新型コロナで物流が滞り、中国の1~2月の輸入は世界全体で前年同期比4・0%減。日本からは9・3%減だった。一方、対米は2・5%のプラスで、米中貿易協議の「第1段階」合意を踏まえて農産品の輸入を増強したとみられる。

 中国では昨年からアフリカ豚熱(ASF)の感染拡大により豚肉の価格が高騰している。輸入を増やすことで市場を安定させる狙いもあるとみられる。

疑い例の重点的検査を強調=WHO、無制限拡大勧めず

2020年03月19日

 世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏は18日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者を覚知するための検査について「感染が疑われる例について、一つ一つ検査をしていくことが重要だ」と述べ、無制限に対象を拡大することは勧めなかった。チャイナ・ウオッチが、ジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 ライアン氏は「検査の量をこなすというのは、重点的に取り組むべきことではない」と指摘した。症状もなく、感染者に接触した可能性がない人にまで検査範囲を広げるのではなく「感染者と接触した人が(発熱などの)症状を示している場合は、全て検査されなければならない」と述べた。

 テドロスWHO事務局長は16日の記者会見で「検査、検査、検査」と繰り返し、無条件で検査範囲を拡大することを奨励するかのような発言をしていた。専門家からは、医療機関が検査に追われることで本来集中すべき重症者の治療がおろそかになり、救えるはずの患者に手が回らなくなることを危ぶむ声も上がっていた。

 テドロス氏は、アフリカでの感染者数が少ないことについて「覚知できていない、また報告されていない例があると思う」と懸念を示した。アフリカで依然として開催されていると報じられている宗教的行事など「大規模集会は 避けなければならない」と述べ、各国に「最悪の事態に備えなければならない」と呼び掛けた。

対中国、2月の輸入47%減=新型コロナで物流停滞

2020年03月18日

 財務省が18日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、中国からの輸入は前年同月比47・1%減の6734億円と激減した。輸出は0・4%減の1兆1361億円だった。新型コロナウイルス感染症の影響で中国の生産拠点が休業し、日本との間の物流が滞ったため、中国からの輸入が大きく縮小した。財務省によると中国政府による経済の抑制策を背景にした1986年8月以来の下落幅だった。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 3月以降は対中国輸出も大幅に下落する恐れがある。また世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、中国だけでなく世界全体の貿易が大きく落ち込む懸念が高まっている。財務省の担当者は「中国の経済活動の動向を今後も注視する」と説明した。

 中国からの輸入では、衣類などが65・7%減、携帯電話などの通信機が45・3%減と下落幅が大きかった。パソコンなどの電算機類も落ち込んだ。

 輸出は半導体製造装置や有機化合物が振るわなかったが、半導体電子部品など一部のIT関連は比較的好調だった。中国向けの輸出から輸入を差し引いた貿易収支の黒字額は4627億円で、過去最大だった。

 世界全体への貿易収支は1兆1098億円の黒字だった。黒字は4カ月ぶり。輸入が14・0%減の5兆2117億円と大きく減ったことが影響した。輸出は1・0%減の6兆3216億円だった。

 対米国の貿易収支は6268億円の黒字、欧州連合(EU)に対しては183億円の赤字だった。

G7首脳が共同声明 対策に「あらゆる措置」

2020年03月17日

 日米など先進7カ国(G7)首脳は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る緊急テレビ電話会議後、共同声明を発表した。対処に向けて「あらゆる措置を取る」として、各国政府が全力で感染防止や貿易・投資の支援、ワクチンや治療薬の開発研究に取り組むと表明した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 共同声明は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を「地球規模の健康危機で、世界経済に重大なリスクをもたらしている」と指摘している。パンデミックへの対応は科学に基づき、民間企業も活用した上で国際的な協調が求められると表明した。私権を制限する強権的な対応を求める声が一部で上がっているのを念頭に、導入する措置は「民主的価値観に 合致する必要がある」と強調している。協力強化のため、各国の保健担当、財務担当の閣僚らが毎週調整に当たるとした。

 ウイルス対策のため、適切な国境管理を含めた感染の拡大を遅らせる措置で協力すると確認している。世界保健機関(WHO)の取り組みを支持し、各国で疫学データを共有し共同研究などを強化して、ワクチンや治療薬の開発と製造、供給を支援するとした。医療品の確保や正確な情報発信にも力を入れるとした。

 経済対策では、G7の力強い経済成長を達成し失速のリスクを回避するため、全ての政策を活用すると言明した。企業や労働者の支援にあらゆる金融・財政手段を用いるとし、各国の中央銀行に対し経済の安定化や回復促進のため協調するよう求めた。

 世界の経済成長レベルをパンデミック発生前に戻すだけでなく、さらに発展させるとして、G7サミットのほか20カ国・地域(G20)の枠組みでも協力する方針を示した。

北京、祖先供養も予約制=新型コロナ対策で

2020年03月16日

 北京市は、中国で祖先を供養する4月の伝統的な祭日「清明節」に合わせた墓参りについて事前予約制にすることを決めた。人が集まって新型コロナウイルスの感染が広がるのを防ぐための措置。チャイナ・ウオッチが新京報の報道を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 今年の清明節に合わせた連休は4月4~6日。北京市政府は13日、墓地への入場者数は一つの墓につき1日3人までに制限すると発表。連休中に墓地を訪れるのは避け、代理人を通じた墓参りやインターネットで供養できるサービスを利用するよう促した。

 また大人数での慰霊祭や告別式、海への散骨などは感染症が終息するまで行わないよう葬儀業者に求めた。

CESアジアの延期決定=中国上海

2020年03月13日

 全米民生技術協会(CTA)は12日までに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、6月10~12日に中国上海で予定していた家電IT見本市「CESアジア」を延期すると発表した。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 CESアジアは米ラスベガスで毎年開かれる世界最大級の家電IT見本市の中国版で、2015年から上海で開催。華為技術(ファーウェイ)など中国勢に加え、日本など世界各国の企業が参加し、昨年は約550社が出展していた。

ホンダが武漢で生産再開=日産も週内か、復旧兆し 省政府が許可

2020年03月12日

 ホンダは11日、新型コロナウイルスの感染が初めて確認された中国の湖北省武漢市で、休業していた四輪車工場での少量生産を開始したと発表した。日産自動車も同省の工場で週内に生産を再開する予定で、自動車産業の一大拠点で復旧の動きが進んできた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 湖北省政府は同日、企業の再開を一部で認める通知を出した。省都の武漢では「産業の影響が世界的に大きい企業」について再開を認めると表明。ホンダが該当したことになる。春節(旧正月)連休で1月24日に休業入りし、1カ月半にわたって操業停止を強いられた感染の中心地、武漢で再開にこぎ着けた。

 一方で湖北省政府は、省内でも新型コロナの感染の度合いによって地域に差をつけ、防疫やインフラ、生活必需品の企業を優先。人が多く集まる映画館やジム、飲食店などは停止措置を続ける。

 ホンダは中国に持つ全拠点で生産を再開した。2月24日以降に稼働する予定だったが、企業の休業を3月10日まで延長するとの湖北省の方針を受け延期していた。

 日産は同省襄陽市の工場について週内に再開する予定を明らかにした。既に広東省などの工場では生産を再開している。トヨタ自動車の中国工場は全て操業を再開している。

 湖北省は部品も含めて自動車産業が集中。中国メディアによると、他の企業も生産再開に動いているが、サプライチェーン(部品の調達・供給網)が傷つき、全面的な正常化には時間がかかるとの指摘もある。

 新型コロナの影響で、ホンダの2月の中国での新車販売台数は前年同月比85・1%減と過去最大の下落率を記録。日産は80・3%減、トヨタは70・2%減だった。

4.5メートルの距離でも感染か=中国、長距離バスの乗客

2020年03月11日

 中国湖南省の長距離バスでの新型コロナウイルス集団感染を巡る研究結果から、感染者との距離が4.5メートル離れていた乗客も感染したことが分かった。中国の学術専門誌に湖南省の研究者らが発表した。チャイナ・ウオッチが、10日の香港メディア報道を引用した香港発共同通信電として伝えた。

 研究者らは、窓が閉め切られた密閉状態のバス内で、空調の温風によりウイルスが付着したエーロゾルが空気中を漂い遠くまで運ばれた可能性があると指摘した。

 感染者のせきなどで飛び散るしぶき(飛沫)による感染は、飛散する2メートルまでが安全な距離の目安だが、研究者らは、今回の集団感染では飛沫より小さい「エーロゾル」という微粒子による感染の可能性があると判断している。

 報道によると、1月22日に湖南省の長距離バスで起きた13人の集団感染について研究者らが調査した結果、感染者の座席から4.5メートル離れた客が複数感染していることが分かった。さらに感染者の降車から約30分後に乗った客も感染したという。

博鰲フォーラムを延期=新型コロナで

2020年03月10日

 中国海南省で毎年開かれる国際的な討論会「博鰲アジアフォーラム」年次総会の主催者は9日、今月24~27日に開く予定だった今年の総会を延期すると発表した。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた措置。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 年次総会は毎年、各国の政治家や企業家が集まり、経済や国際政治を巡って意見交換する。習近平国家主席が出席する年もあり、中国当局の情報発信の場としても注目されている。

新型肺炎で損失36兆円も=世界全体、アジア開銀予測

2020年03月09日

 アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)は6日、 新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界全体で最大約3,469億ドル(約36兆7千億円)の損失が発生し、実質成長率を0.4%引き下げる可能性があるとの見通しを明らかにした。チャイナ・ウオッチが、ニューデリー発共同通信電として伝えた。

 中国が最大で約2,367億ドルの損失を被り、同国の成長率が 1.7%低下するとした。中国とのサプライチェーン(部品の調達・供給網)が寸断されたことによる生産停滞や、観光産業への影響によって、日本など一部先進国と中国を除いたアジア地域の成長率が最大で0.5%押し下げられると予測した。

 国別の成長率予想は、中国からの投資や観光客の多いインド洋の島しょ国モルディブが最大で4.1%減とマイナス幅が最も大きく、カンボジアが2.9%減、タイは2.2%減となっている。

新型肺炎治療でロボット=中国で投入、日本も期待

2020年03月06日

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中国湖北省武漢市では、治療の最前線に立つ医師や看護師らが肺炎や過労で倒れてきた。そんな医療現場の危機に投入されたのがロボットなどの先端機器。院内の消毒や遠隔診療に威力を発揮しており、感染者が増え続ける日本でも期待が高まっている。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 高さ約1メートルの円筒形の真っ白いロボットが駆け回る武漢市第6医院。テレビニュースの映像によると、人や医療機器を避けて移動し、エレベーターも乗り降りする。頭付近の穴から病室の壁、廊下の手すりに消毒液を噴射。地元紙によれば、手作業で12時間の作業を約2時間で終える。感染者の隔離病棟で医薬品を配達するロボットもある。

 また、武漢市の別の病院では、人工知能(AI)を搭載した中国製ロボット「小白」の活躍を地元紙が報じた。顔認証や言語処理、高速通信システムを活用し、医師と隔離病室内の患者をつなぐ遠隔診療を助けている。

 こうした機械の導入は治療環境の悪化と裏腹に進んできた。2月7日、武漢市でいち早く新型肺炎への警鐘を鳴らした眼科医の李文亮さん(33)が新型肺炎で死亡した。同市内の武昌医院の院長も2月18日に死亡。隣の湖南省では、医療物資の管理などを担当していた男性医師(27)が過労で亡くなった。

 防護服やマスクにも事欠く中、感染症の専門知識が不足する医師らも駆り出されており、院内感染の危険性は高い。世界保健機関(WHO)などは2月24日、中国の医療従事者の感染は約3千人と明らかにした。

「お変わりないですか」。ここは東京の診療所。画面に映し出された相手に医師が尋ねる。全国千以上の医療機関が用いる、医療ベンチャー企業メドレー(東京)のオンライン診療システムだ。

 新型肺炎を受けた同社の利用者アンケートでは、回答の8割が「重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある患者の定期的診療で役立つ」とした。

 日本政府も通院に伴う感染の予防策を強化。重症化の恐れがある高齢者や糖尿病など持病がある人が医療機関に行かなくても、医師が電話で診療して普段使っている薬を処方できるようにした。

 こうした遠隔診療はさらに普及していくのか。厚生労働省の部会委員を務める菅原えりさ東京医療保健大教授(感染制御学)は「インフラ整備や個人情報を含むカルテ管理の問題もあり、実現は厳しい」と指摘する。

 だが、感染者を受け入れている関東地方の病院に勤務する男性医師は「現場では2次、3次感染への不安が高まっている。患者のためにもオンライン診療を進めるべきだ」と訴えている。

新型コロナに二つの型=中国研究者、感染力に差

2020年03月05日

 中国の研究者チームは4日までに、新型コロナウイルスは二つの型に分類でき、感染力に差があることが分かったと中国の英字科学誌「国家科学評論」に発表した。チャイナ・ウオッチが、中国メディアの報道を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 ウイルスのサンプル103例の遺伝子配列を調べ、うち101例を「L亜型」か「S亜型」に分類した。約70%がL型。L型の方が感染力が強いとみられ、湖北省武漢で爆発的流行が起きた時期に多く確認され、1月初旬以降は減少した。

 S型はコウモリから検出されたコロナウイルスに遺伝子的に近く、古い型とみられる。一つの型にだけ感染する症例が大半だったが、武漢への旅行歴のある米国の患者1人は、両方の型に感染した可能性があった。

 一方、北京の病院は4日、新型肺炎と脳炎を併発した患者を1人確認したと明らかにした。脳脊髄液から新型ウイルスを検出した。ウイルスが中枢神経に及ぶ危険性に注意するべきだとしている。

G7声明「協調の用意」=肺炎監視、全政策を活用 経済失速回避へ電話会議

2020年03月04日

 チャイナ・ウオッチによると、先進7カ国(G7)の財務相と中央銀行総裁は3日夜、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大を受け、電話会議を開き対応を協議した。 会議後に「適時かつ効果的な措置について、さらなる協調の用意がある」との共同声明を発表した。新型肺炎が市場や経済に与える影響を監視し、世界経済の下振れを回避するため、財政出動を含めた全ての適切な政策手段を用いると強調している。

 G7財務相・中銀総裁による緊急電話会議は、英国民投票での欧州連合(EU)離脱派が勝利した2016年6月以来、約3年8カ月ぶり。麻生太郎財務相は会議終了後、記者団の取材に応じ「世界経済の成長と金融市場の安定に万全を期すため、G7諸国とも連携しつつ対応したい」と訴えた。

 声明は「各中銀は金融システムの強靱性を維持し、物価安定と経済成長を支える責務を果たす」と明記している。今後、それぞれの中銀が追加の資金供給や金融緩和策の必要性を協議するとみられる。

 米国の中銀に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は3日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を緊急開催し、主要政策金利の引き下げを決めた。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2日「必要かつ適切な政策を実施する用意がある」との声明を出し、状況次第で追加金融緩和に踏み切る考えを示唆した。

 日銀の黒田東彦総裁も2日午前、資金供給と市場安定に努めるとする談話を公表しており、新型肺炎の影響が続けば、日銀も上場投資信託(ETF)の買い入れ増額を含む追加の金融緩和策を検討する可能性がある。

 株式市場では、新型ウイルス感染拡大への懸念で、米株価が先週1週間 で3,600ドル近く下落するなど、世界的に株安が進んだ。今週に入って持ち直しの動きも見られるが、当面は不安定な値動きが続く可能性がある。

既存薬を洗い直せ=スパコン使いデータ解析 新型肺炎で研究加速

2020年03月03日

 特効薬がない新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の治療法を見つけようと、既存の薬に狙いを絞った研究が世界で活発化している。人への投与実績があり、短期間で治療に活用できる可能性が期待されるからだ。日本の研究チームもスーパーコンピューターなどで解析を進めている。チャイナ・ウオッチが伝えた。

「情報さえあれば、実験はその後で進められる。ウイルスのゲノム(全遺伝情報)配列の公開を受け、1月下旬に研究を始めた」。日本医療研究開発機構(AMED)のチームを率いる中村春木・国立遺伝学研究所特任教授は、こう話す。

 新薬の開発には通常10年以上の年月が必要。しかし刻々と患者が増える新型肺炎では、そう時間はかけられない。

 情報公開を巡り批判されることが多い中国だが、ウイルスに関する科学的データの公表は迅速だった。ゲノム配列を公開したのは1月10日ごろ。中村さんは「既存薬なら早く利用できる可能性が高い」として、神戸大や産業技術総合研究所の仲間に解析を呼び掛けた。

 どの薬が効くのか。かつては経験則や理論から導き出して実験で試すしかなかったが、今はウイルスのゲノム配列などの情報を基にコンピューターで薬との反応をシミュレーションすることが可能だ。効く可能性の高いものを早く絞り込むことができる。

 新型コロナウイルスは2002~03年に世界で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のコロナウイルスと遺伝子が8割以上共通だ。「その知見が生かされてスピード感につながっている」とチームメンバーの東京工業大の関嶋政和准教授(情報工学)は指摘する。中国の上海科技大は1月下旬、ウイルスの立体構造を突き止め、治療に使える可能性がある30種類の化合物名を発表した。

 関嶋さんは上海科技大から提供を受けた立体構造情報をスパコンで解析。国内外で患者の治療に試験的に使われている抗エイズウイルス(HIV)薬などが、ウイルスにどう作用するのかを調べている。

 関嶋さんは「今後は人工知能(AI)も使ってなぜ効くのかを明らかにし、効果が高く副作用の少ない治療薬を見つけたい」と話す。AMEDの担当者は「3月中には最初の成果が見えてくるのではないか」としている。

WHO、世界的流行を認定=新型肺炎、危険性最高に 各国に一層の警戒訴え

2020年03月02日

 世界保健機関(WHO)は2月28日、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の地域別の危険性評価で、世界全体と日本を含む中国周辺地域を「高い」から、中国と同じ最高レベルの「非常に高い」に引き上げた。ウイルス感染が世界各地に拡大し、死者・感染者 数の増加に歯止めがかからないことから、世界的に流行していると認定した形だ。チャイナ・ウオッチが、ジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 中国を発端に韓国、イラン、イタリアなどで大規模感染が確認され、日本でも市中感染とみられる例が相次いでおり、終息の見通しが立たない現状に危機感を示し、各国に一層の警戒を呼び掛けた。事態は急速に変化しているが、WHOのテドロス事務局長は記者会見で、多くの国では大規模な市中感染は起きておらず「抑え込みは依然可能だ」と語った。

 WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は「危機が高まっている」と述べ、各国に感染拡大防止態勢の強化を訴えた。

 中国では新規感染者が少なくなる傾向にあるが、感染は世界の五大陸(ユーラシア、アフリカ、北米、南米、オーストラリア)に波及している。テドロス氏によると、イタリアに関連した感染者24人が14カ国で、イランに関連した97人が11カ国で確認された。中国以外の国からも感染者が「輸出」される事例が増え、世界的な危険性が高まったと認めざるを得なくなった。

 WHOはこれまで、世界各地の感染例は中国と比べると格段に数が少なく大半の感染経路も把握できているとしていた。

 WHOは1月30日に国際保健規則に基づき、新型コロナウイルスの感染拡大が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言した。危険性評価は1月23日付のWHOの状況報告から掲載され(1)中国(2)中国周辺地域(3)世界全体―の区域で評価している。これまで中国は「非常に高い」、世界全体と中国周辺地域は「高い」となっていた。