中国、感染じわり再拡大=「デルタ株」が空港から全国に
2021年07月30日
新型コロナウイルスの感染をほぼ抑え込んできた中国で、再び感染が拡大し始めた。多くはインド由来の変異株「デルタ株」とみられ、人の往来が多い江蘇省南京市の空港を中心に全国各地に波及しており、警戒が高まっている。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。
中国メディアなどによると、20日に江蘇省最大の南京禄口国際空港で機内清掃に当たる作業員らの感染が確認された。市は27日、これらの症例がデルタ株だと発表。市内の新型コロナの感染者は20~28日で計170人を超えた。
感染は空港を利用した乗客らから広がり、中国メディアの第一財経(電子版)によると、感染者は29日までに遼寧、広東、四川各省などの計200人超に拡大した。
湖南省張家界市では10人以上の感染を確認。22日夜に約2千人が鑑賞した劇が感染源になっているとみられる。会場に南京市の空港関連の無症状感染者がいたという。
北京市は湖南旅行から帰った2人の感染を発表。同市での市中感染は約半年ぶりとなった。
また、四川省衛生健康委員会が明らかにしたところによると、31日に省内で10人の感染が確認され、そのうちの9人が解析の結果、南京市で発見されたものと同じ株に由来するウイルスに感染したことがわかった。
一方、福建省の廈門市新型コロナウイルス対策工作指揮部は、31日までに市内で4人の感染者が確認され、そのうちの3人のサンプルが「デルタ株」とほぼ一致したと発表した。
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新型コロナ変異株の猛威、中国製に不安=欧米ワクチン推奨に転換
2021年07月29日
感染力の強い新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」が猛威を振るう中、中国製ワクチンの接種が進んできた東南アジアのタイとインドネシアが欧米製を推奨し始めた。中国製接種後の死亡例が報告され、有効性に事実上疑問を示した形。急な転換で、市民に不安と不信が広がっている。チャイナ・ウオッチがバンコク、ジャカルタ、シンガポール発共同通信電として伝えた。
タイ政府は12日、1回目に科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製を接種した人に対し、2回目は英アストラゼネカ製に変更する方針を表明。シノバック製で2回の接種を終えた人にもアストラゼネカや米ファイザー製を追加投与する計画を明らかにした。
政府は変更や追加投与の理由について、デルタ株への免疫を高めるためと説明、有効性には触れていない。首都バンコクの病院のジャカポン医師は「現状ではワクチン接種が急がれる」としてシノバック製でも投与すべきだとの考えを示す。
感染拡大が一時、世界最悪水準となったインドネシアでは、22日時点で政府が調達したワクチン約1億5200万回分の8割以上がシノバック製だ。政府は16日、2回接種済みの医療従事者に3回目としてモデルナ製の追加投与を始めた。ブディ保健相は「変異株に対する最大限の免疫」を医療従事者に与えるためだと説明、タイ同様、有効性には言及しなかった。
シンガポールではシノバック製を未承認ながら、民間診療所での希望者への接種は認めている。オン・イエクン保健相は7日「データが十分にない上、デルタ株に効果があるのか確認できない」と表明、接種回数の公式統計に加算しない方針を示していた。
▽中国のワクチン開発追加投与
一方、中国では今年5月、製薬大手の上海復星医薬(集団)(上海市)がドイツのバイオ医薬ベンチャーのビオンテックが新型コロナウイルスワクチン「メッセンジャー(m)RNAワクチン」を中国国内で生産すると発表している。
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テスラの上海ギガファクトリーが輸出ハブに
2021年07月28日
米電気自動車(EV)メーカーのテスラは26日発表した2021年第2四半期(4~6月)決算報告で、上海工場を同社製品の輸出ハブとして位置付け、中国からの出荷を拡大させる方針を示した。米国で需要が伸びていることに加え、世界全体の平均コストを最適化させるのが狙い。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。
同社の上海ギガファクトリーはテスラ初の海外工場で、現在セダン「モデル3」とスポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルY」を生産している。年産能力は最大で45万台に達する。
乗用車市場情報合同会(CPCA)の発表によると、4月から5月にかけて上海ギガファクトリーから26,000台超の乗用車が輸出されたという。
また、この決算報告の席上で、EVピックアップトラック「サイバートラック」の生産を年末から開始することも発表された。
同社の第2四半期決算は、純利益が前年同期比11倍の11億4,200万米ドル(約1,260億円)、売上高は98%増の119億5,800万米ドル。世界販売台数は20万1,304台となり、前年同期から2.2倍となった。
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ネット企業集中取り締まり=中国、半年で「秩序整備」
2021年07月27日
中国政府は26日、インターネット企業を集中的に取り締まると発表した。半年間かけてデータ収集などに問題がある行為を調べ「秩序ある市場環境を整備する」としている。電子商取引(EC)最大手アリババグループをはじめとしたIT大手への統制をさらに強める姿勢だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
工業情報省は7月23日に劉烈宏工業情報省副大臣らが参加するテレビ会議を開催し、活動を開始したと発表し、「今年前半に行われたスマートフォンアプリの取り締まりを踏まえ、さらにネット業界の問題を整理する」と説明した。
工業情報省HPによると、市場秩序の混乱、ユーザーの権利・利益の侵害、データの安全性への脅威、資源・資格管理規定の違反を4つ問題の柱としてとらえ対処していくという。
中国当局はネット業界に対する規制を強化。今年4月にはアリババに巨額の罰金を科し、IT大手の騰訊控股(テンセント)など他社にも相次いで指導や罰金処分などを行っている。
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中国、宿題や塾を規制=詰め込み是正、負担軽減
2021年07月26日
中国政府は24日、「義務教育段階の学生の宿題・校外学習のさらなる負担軽減に関する意見」を発表した。小中学生の宿題の量を制限し、学習塾の設立を規制し、行き過ぎた詰め込み教育を是正し、児童・生徒の負担を減らす狙い。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
小学1、2年生では筆記式の宿題を出さないようにする。宿題の量の目安として、3~6年生は時間が1時間、中学生は1時間半を超えないようにする。代わりに家事やスポーツ、読書などを奨励する。
同意見では、管理活動を全面的に行い、北京を含む9つの地域を全国モデル地域に指定し、教科別の学校外教育の負担軽減、学校内外の資源利用の合理化、学校外教育活動の費用徴収の監督強化などの分野での試行・模索を行うことを強調している。
「時速600キロ」のリニア発表 試験走行時期は不明
2021年07月21日
中国国有の鉄道車両大手、中国中車集団は20日、設計速度が時速600キロに達するリニアモーターカーを発表した。中国の独自技術で開発したとしている。実際に600キロで試験走行する時期は不明だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
5両編成で1両につき100人超が乗れる。最長で10両編成を想定している。これまでも車両を公開したことがあるが、今回は制御関連システムを含めて完成したと強調している。
新華網などの報道によると、高速リニアプロジェクト責任者で中国中車傘下の中車四方股份公司の丁叁叁サブチーフエンジニアは「2016年6月から中国中車は時速600キロリニアの研究開発プロジェクトを開始し、このプロジェクトへの参加を表明した組織は、中国中車の関連企業が14社、その他の企業が30社、大学が16校、科学研究機関が5カ所となった。このプロジェクトチームは総勢1529名で構成され、そこには21の国家重点実験室、21の国家工学研究センター、16の国家工学研究所が含まれている」と説明したという。
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中国、ローンプライムレートを1年3カ月連続で据え置き
2021年07月20日
中国人民銀行(中央銀行)は20日、金融機関の貸出金利の目安となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の1年物を3・85%に、また5年物も4・65%に据え置くとした。据え置きは1年3カ月連続。中国経済は好調が続いており、引き下げは見送った。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
LPRは事実上の政策金利で、引き下げれば新型コロナウイルス流行の影響で資金繰りが悪化した中小企業への融資を促す効果がある。
人民銀は15日、金融機関から預金の一定割合を預かる預金準備率を引き下げる形で追加の金融緩和策を実施している。
これに関連して、国務院新聞弁公室ウェブサイトによると、中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)の統計情報・リスクモニタリング部の責任者である劉忠瑞氏は7月14日の同弁公室の発表会で、不動産融資の伸び率が10・3%に低下し、引き続き全ての融資の伸び率を下回る一方、CBIRCの統計によると6月末時点で銀行部門融資が前年同期比11・9%増となっていることを明らかにした。
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中国全土で排出量取引開始=60年CO2ゼロへ削減加速
2021年07月19日
二酸化炭素(CO2)排出量が世界最大の中国は16日、全国レベルでの排出量取引を開始した。政府が企業ごとに排出可能な量の枠を割り当て、超過した企業は上海環境エネルギー取引所を通じて他社から排出枠を購入する。習近平指導部が目標とする2060年までの排出量実質ゼロ達成に向け、取り組みを加速する。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。
取引はオンラインで行われ、16日の初値は1トン当たり48元(約816円)であった。
中国炭素フォーラムとICFインターナショナルコンサルティングが共同発表した「2020年中国炭素価格調査」では、2025年の排出権交易システム内の炭素割り当ての予想価格は上昇を続け、1トン当たり71元まで上昇し、市場規模は2840億元に達すると見られるという。
当初はCO2排出量の多い発電業者2千社超が対象で、生態環境省はこれらの企業の年間排出量を計40億トンと試算。中国が世界最大の炭素市場になるとしている。石油化学や建材といった業界に対象を拡大する見通し。
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上海浦東新区、ハイレベルの改革開放へ=中国共産党・国務院が共同で方針発表
2021年07月16日
新華社の報道によると、中国共産党中央委員会と国務院は15日、「浦東新区のハイレベル改革開放による社会主義現代化建設の牽引エリア建設に関する意見」(以下、「意見」)を発表し、同区の改革開放をさらに推進させる姿勢を明確にした。
「意見」では、同区を国際金融センターと位置づけ、金融都市としての機能強化を目指し、一方で世界レベルのイノベーション産業の集積にも注力するという。
また「意見」では、張江総合国家科学センターの建設および集積回路、ライフサイエンス、人工知能などの分野に焦点を当てた国家研究所の建設を加速するとしている。
この他、国家工学研究センター、国家技術イノベーションセンター、国家臨床医学研究センターなどの一連の国家科学技術イノベーション拠点の設置・建設、大規模かつオープンな演算能力やスマートカー研究開発・応用のためのイノベーション・プラットフォームの構築を推進することにも言及している。
またチャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるとことによると、人材も世界から呼び込むため、出入国や居留で便宜を図るとしているという。
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シノバック3回接種も=香港、衛生署が議論へ
2021年07月15日
香港政府衛生署衛生防護センター(CHP)の科学委員会は、中国製薬大手の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製の新型コロナウイルスワクチンを接種した人について、3回目接種の必要性を19日以降に議論する見通しだ。高齢者や医療従事者など感染リスクが高い人を対象に検討する。シノバック製ワクチンは、域内の医療機関などから抗体レベルの低さが指摘されている。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。
14日付明報が伝えた。ワクチンで防げる疾病に関する科学委員会の劉宇隆委員長は13日、医学関係のオンライン講座に出席し、シノバック製の接種者で感染リスクが高い人を対象に3回目の接種を検討する余地があると述べた。3回目はシノバック製か、ドイツのバイオ企業ビオンテックと中国製薬大手の上海復星医薬(集団)が共同開発した「復必泰(コミナティ)」のいずれかを選択できるようにすると説明した。
一方、コミナティの接種を受けた人は、特殊な事情のある人でない限り3回目の接種は必要はないと明言した。劉氏によると、シノバック製2回の免疫レベルは、コミナティの1回相当だという。
政府のコロナ対策における専門家顧問団の一人、香港中文大学の許樹昌(デビッド・ホイ)教授(呼吸器学科)は、現時点で全市民への追加接種が必要かどうかの判断は時期尚早と指摘。メーカーがビジネス上の理由で推奨している可能性があるとし、ワクチンによる免疫レベルの評価には時間が必要だとくぎを刺した。
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日用品の輸入増加を促進へ=中国、商務省
2021年07月14日
中国商務省対外貿易局の李興乾局長は12日の会見で、日用品の輸入増加を促進する方針を示した。以前から推進する輸出入品の構成比率に関する改革の一環という。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。
李氏は輸出と輸入双方の構成比を改善する必要があるとの考えを改めて表明。輸入に関しては、「一般市民の生活に密接に関係する日用品の輸入増加を促す」と述べた。輸出は、ハイテク製品、高付加価値製品、ブランド品の取引量増加を支援する方針。
ただ貿易関連企業は現在、海運市場の需給逼迫や為替の変動拡大、原材料価格の上昇といった問題に直面しているとも指摘。今後は国際協力の深化などを通じて対策を講じる考えを示した。
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EU、国際インフラ計画=「一帯一路」に対抗
2021年07月13日
欧州連合(EU)外相理事会が12日、ブリュッセルで開かれ、欧州と世界各国・地域との結び付きを強めるための国際的なインフラ計画を立ち上げることで合意した。中国には直接言及していないが、同国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗するためとみられている。今後、EU欧州委員会などで具体的な計画内容が討議される見通し。チャイナ・ウオッチがブリュッセル発共同通信電として伝えた。
EUは最近、人権問題などを理由に対中強硬姿勢を目立たせている。一帯一路に対しては、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)も発展途上国への数千億ドル(約数十兆円)規模のインフラ投資を進める新構想で合意している。
ロイター通信によると、ドイツのマース外相は記者団に「中国が経済、財政的手段を用いて世界各地で政治的な影響力を強めようとしている。われわれは代替となる選択肢を示さなければならない」と述べた上で、米国とも緊密に連携する必要性を強調した。
外相理事会は、EUが既に日本やインドと結んでいる運輸やエネルギー分野などでの連携強化のためのパートナーシップを東南アジア諸国連合(ASEAN)とも結ぶよう求めた。
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薬用作物栽培拡大、北海道=8割輸入、機械化で生産増
2021年07月12日
漢方薬の原料である薬用作物の栽培が北海道で広がっている。国内需要の約8割は中国産に頼っており、安定確保を目指す医薬品メーカーが農家に働き掛けているためだ。野菜の収穫機を転用するなどして機械化も進み一大産地に。市場がないため、メーカーが直接買い取ることで農家の収入安定にもつながっている。チャイナ・ウオッチが伝えた。
ことし2月、夕張市にある漢方薬大手ツムラの子会社「夕張ツムラ」の低温倉庫には、冷え性などに効くとされるセンキュウが袋詰めされた状態で大量に積まれていた。道内各地の農家などが育てた薬用作物は同社工場で乾燥や品質検査などを経て漢方薬の原料「生薬」としてツムラに出荷される。
薬用作物には市場がなく、ツムラなど医薬品メーカーが農協を通じて契約した農家から注文した量を固定価格で購入している。価格が乱高下せず、農家にとっては収入が見通しやすいメリットもある。冷涼な気候に向く品目が多く、道によると道内の2018年の栽培面積は05年の約2・1倍の約294ヘクタールになった。
面積拡大の背景にはメーカー側の危機感がある。高齢化や健康志向の高まりで医療現場などでの漢方薬の需要は伸びているが、農林水産省によると、各社が大きく依存する中国産は同国内での需要増や資源保護を目的とした輸出制限で、近年価格が高騰。メーカーは道内各地で説明会を開き、新たに栽培を請け負う農家を増やそうとしている。
夕張ツムラと契約する帯広市の熊崎淳さん(61)はジャガイモやビーツ、小麦を育てる傍ら、1992年から本格的にセンキュウの栽培を始めた。注文量を超えて作っても販路がないため、全耕作地約46ヘクタールのうち薬草作物の栽培面積は現在約7ヘクタールにとどまるが、面積あたりの収益はビーツの約2倍で、センキュウが全収益の3割以上を占めるという。
専用機械は普及しておらず、最初の数年間は作付けや収穫を手作業で行っていたが、ジャガイモ植え付け機とビーツ収穫機を改造して作業を効率化。契約農家では生産性アップのため、同様に機械化が進められているという。
夕張ツムラの菊地原取締役(55)は「生産者の協力のおかげでここまで来られた。既存の農業に支障なく組み込める方法を考え、生産者が取り組みやすい環境づくりを進めたい」と話している。
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30都市で自動運転サービス=中国百度、2~3年以内
2021年07月09日
中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ)の李彦宏会長は8日、2~3年以内に無人走行可能な自動運転車を使ったライドシェア(相乗り)サービスを中国国内30都市に普及させるとの見通しを示した。上海で始まった世界人工知能(AI)大会の開幕式で述べた。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。
百度は中国の自動車大手、北京汽車集団傘下の電気自動車(EV)メーカーと開発した「アポロ・ムーン」を6月に発表。一定条件下で無人運転が可能となる本格的な自動運転「レベル4」に対応しており、こうした車両の使用が想定される。
李氏は、現在中国で普及しているネット上の配車サービスより低運賃を目指すと強調した。
百度は2017年、自動運転開発の企業連合「アポロ計画」を開始し、同計画にはトヨタ自動車やホンダなど自動車大手も参加している。今年5月には、北京市の一部地区で無人運転車「ロボタクシー」の営業を始めた。
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中国、格差縮小の新戦略=35年、浙江で先進国並みへ
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中国の習近平指導部は経済が発展し格差も少ない「共同富裕」社会を実現するため、先行的に東部浙江省で2035年に先進国並みの社会を実現し、全国に広げる戦略を策定した。約40年続く改革・開放政策では一部の人が先に豊かになることを認める「先富論」を掲げたため、格差問題は棚上げされてきた。浙江省をモデルケースとし、格差縮小の取り組みを全土で加速させる考え。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
共産党などが6月10日に公表した通知によると、浙江省の1人当たり域内総生産(GDP)と個人所得を35年までに先進国の水準に引き上げる。省の人口は現在約6500万人で、フランスやイタリアと同規模の先進国並み社会が出現することになる。
通知は故鄧小平氏が主導した改革・開放政策が経済発展をもたらしたと評価する一方、「発展の不均衡の問題が依然として際立っている」と指摘。習氏が党総書記に就任した12年以降は貧困対策が進み「共同富裕を推進する基盤が固まった」と強調した。
企業の研究開発力の強化でハイテク産業を発展させつつ、農村部に資金を回し、都市部との所得格差を縮小させ、医療、教育環境の整備も目指す。環境保護の強化などによって生活の質の向上を進める。また社会主義の価値観に基づく愛国主義教育を強める。
改革・開放は1980年代に広東省深圳などに経済特区を設置して本格化したが、今回の浙江省での改革は「深圳を超える全面的なものになる」(党関係者)という。
浙江省は工業が盛んで、電子商取引(EC)大手アリババグループなど民間企業の活動も活発。一方で所得水準の低い農村地域も多い。習氏は02~07年に同省トップの党委員会書記を務めた。
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瑞麗市の一部、中リスク地域に=コロナで中国雲南省
2021年07月07日
雲南省瑞麗市は6日正午から、同市姐告国門社区(社区は地域コミュニティー)を新型コロナウイルスのリスク分類の「中リスク」地域に引き上げた。同市では4日、75日ぶりとなる国内感染者が確認されている。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。
雲南省衛生健康委員会は6日、同省の新型コロナウイルスの国内感染者が5日に新たに3人確認されたと発表した。3人とも瑞麗市で報告され、同市の国内感染者は4~5日に計6人となった。
5日に確認された3人は38~47歳の男女で、いずれもミャンマー籍。国内感染の無症状感染者(感染者の統計には含めず)も3歳と7歳のミャンマー籍男児の2人が確認された。いずれも市内の一斉PCR検査で陽性と判明した。
瑞麗市は感染源や感染者の行動履歴を追跡している。6日午前8時時点で、感染者との濃厚接触者など関係者761人を特定し、集中隔離による医学観察を実施している。
瑞麗市は5~6日に市内の一部エリアでPCR検査を実施。6日午前8時時点で23万8,794人の検査を終えた。
ミャンマーと国境を接する瑞麗市では今春、国内感染が拡大し、3月31日~4月20日に計85人が感染した。
ホンダ6月中国販売17%減=半導体不足長引く
2021年07月06日
ホンダが5日発表した中国市場での6月の新車販売台数は前年同月比17・0%減の11万8168台だった。世界的な半導体不足が長引き、供給に影響。2カ月連続の前年割れで、下げ幅は前月から拡大した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
車種別では、スポーツタイプ多目的車(SUV)「CR-V」などが健闘したが、全体で及ばなかった。ハイブリッド車(HV)は商品群が増えていることもあり、前年実績を上回った。
ホンダは新型コロナウイルスの打撃で、2020年2月から6月まで5カ月連続のマイナスを記録。その後は10カ月連続でプラスを維持してきたが、今年5月に半導体不足が顕在化した。ホンダは年後半にかけて不足は解消する見通しを示している。
21年1~6月の累計では前年同期比28・5%増と大幅なプラス基調を保っている。
トヨタ自動車、日産自動車、マツダも近く6月業績を発表する。
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中国、科学人材の獲得加速=推薦でも報奨金170万円
2021年07月05日
中国が電子部品や先端素材などハイテク産業分野での人材獲得を加速させていることが2日分かった。沿岸部の浙江省は、手厚い待遇に加え、人材の推薦にも最高10万元(約170万円)の報奨金を支払うと通知。米中対立を背景に科学技術の「国産化」を急いでおり、日本も巻き込んで世界的な人材獲得競争になりそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
浙江省の政府系機関が今年2月に出した通知は、同省と広東省深圳市、海南省の企業が世界的な人材を求めているとし、重点領域としてデジタル経済や生命科学、素材、電子機器、自動車などを挙げた。
条件は国籍、性別を問わず、博士号を持ち、40歳以下は世界ランキングで20位以内の大学出身者を優先。待遇面では、高給と住宅、豊富な科学研究費(科研費)、子どもの就学や医療保険などを「地方政府が保証する」としている。
こうした人材を推薦した人には、1万元の報奨金を支払うと規定。さらに雇用につながった場合は最高10万元を支給する。
別の通知では、世界中の退職した72歳以下の教授に対し、年収120万元と最高1千万元の科研費を提示して中国の大学で働く人を募っている。
日中経済に詳しい関係者は、浙江省の企業は特に自動車部品関連などの人材を求めており「日本が得意な分野だ」と指摘する。類似の取り組みは北京市など他地域でも進んでいるもようだ。
中国は、米国による半導体などの輸出規制に対抗するため、技術と産業の「自力更生」を促進。2035年までの中長期発展目標で「デジタル中国」の確立を目指している。工業情報省は電子部品産業を強化する計画を打ち出し、中央と地方政府が協力して半導体などの基礎開発能力を高めるとしている。
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日産、英国にEV電池工場=中国系と計画、年10万台分
2021年07月02日
日産自動車は1日、中国資本の電池メーカーと共同で、英国中部に電気自動車(EV)向けの車載用電池を生産する工場を新設する計画を発表した。隣接する日産のサンダーランド工場で新型スポーツタイプ多目的車(SUV)のEVを手掛ける方針を表明しており、年間最大10万台分の電池を供給する。チャイナ・ウオッチが伝えた。
投資額は計10億ポンド(約1530億円)で、日産はこのうち4億ポンド余りを担う。電池メーカーのエンビジョンAESCグループ(神奈川県座間市)が工場を建設、運営する。部品会社を含め、6200人分の雇用が生まれるという。
日産のサンダーランド工場で造る新型EVは英国向けのほか、欧州市場に輸出する。脱炭素の流れが加速しており、普及を見込むEV向けの電池の確保を急ぐ。
EVは価格の高さが販売面のネックとなっており、電池はEV価格の多くを占めるとされる。自動車各社にとっては、コスト低減と販売計画に見合う量の電池の確保がEV開発の鍵を握る。
トヨタ自動車は、パナソニックと共同出資した会社が日本や中国で電池を製造。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は2030年までに電池工場を欧州に6カ所建設する。米ゼネラル・モーターズ(GM)も米国内での電池工場の新設計画を示している。
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建物内の電動自転車の充電制限=中国、火災多発で
2021年07月01日
中国応急管理省はこのほど、民間の高層建築物を対象とした新しい消防規定を公布し、建物の一部公共スペースを使った電動自転車の駐輪・充電を禁止した。電動自転車の電池が発火する事故が多発していることを受けた措置。8月1日から施行する。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。
「高層民用建築消防安全管理規定」によると、ロビー、避難経路、階段、非常口での電動自転車の駐輪・充電を禁じる。違反者には最高1万元(約17万円)の罰金を科す。
応急管理署は新規定を通じて、建物とは独立した場所に電動自転車の駐輪・充電スペースを設置することを促すとした。
中国の電動自転車の保有台数は3億台を超える。ただ普及に伴い、電池の発火事故も増えており、上海市では今年1~5月に267件の火災事故が起きていた。
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