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中国6月の景況感50・9=続落、半導体不足響く

2021年06月30日

 中国国家統計局と中国物流購買連合会は30日、景況感を示す製造業購買担当者指数(PMI)が6月は50・9だったと発表した。前月から0・1ポイントの微減で、3カ月連続の下落となった。好不況を判断する節目の50は16カ月連続で上回った。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

半導体不足や電力供給が逼迫したことから生産が落ち込んだという。新型コロナウイルスの再流行を背景に輸出向け新規受注も弱含んだ。

第2世代チップを下期量産=百度傘下の昆侖

2021年06月29日

 イターネット検索の中国最大手、百度(北京市、バイドゥ)傘下で人工知能(AI)チップを手掛ける昆侖芯(北京)科技が、今年下半期(7~12月)に第2世代AIチップの量産を始める見通しだ。性能は第1世代の4倍以上になるという。チャイナ・ウオッチが澎湃新聞などの報道を引用したNNA配信として伝えた。

 昆侖のAIチップは百度が自主開発したクラウド向け汎用チップで、コンピュータービジョン、自然言語処理、大規模な音声認識など広範囲に応用できるという。第1世代のAIチップは昨年初めに量産を始め、これまでに2万枚以上を生産。第2世代は既に最終設計段階(テープアウト)を完了した。

 昆侖芯(北京)科技は2011年設立の星雲融創(北京)科技が前身で、今月社名を変更して新会社として再出発した。資本金は約1,661万元(約2億8,000万円)で、百度が76%を出資する。

中国テスラ28万台リコール=運転支援システムに不具合

2021年06月28日

 中国当局は26日、米電気自動車(EV)大手テスラから約28万5千台のリコールの届け出があり、同日から実施すると発表した。安全な速度を保つ運転支援システムに不具合があり、急な加速で事故を引き起こす恐れがあるという。無料のソフト更新で対応するとしている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 国家市場監督管理総局によると、リコール対象の内訳は、2019年1月から同11月までに輸入した「モデル3」約3万5千台と、19年12月から今年6月までに中国で生産したモデル3と「モデルY」の計約25万台。

 テスラは中国で好調を維持してきたが、今年に入って消費者がブレーキの不具合を抗議し、当局が品質確保を要請するなど厳しい視線が向けられており、今回のリコールも加わって販売に影響する可能性もある。

 テスラは声明を出し、消費者に謝罪した上で「国家の要求にしっかり従い、安全性を高めていく」と表明した。

習近平氏が重要演説へ=党百年記念の7月1日

2021年06月25日

 中国国防省の報道官は24日、習近平国家主席が7月1日、共産党創建100年を祝賀する大会で重要演説すると発表した。記念日の前後も含めて各種行事が開かれる見通しで、中国にとって今年最大の政治イベントとなる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 報道官は、重要演説を受けて全軍が学習活動を展開し「習近平強軍思想」への信念を深めると述べた。

 党100年関連の芸術イベントでは、習氏を建国の指導者、毛沢東と並ぶ別格の存在として演出する方針。北京市内には創建100年を祝う花壇が設置され、天安門広場付近での大規模イベントや祝賀飛行のリハーサルも始まっている。

昨年に59種類の審査終了=中国のコロナ新薬

2021年06月24日

 中国国家薬品監督管理局はこのほど発表した2020年の新薬の審査報告書で、同年に新型コロナウイルス感染症に対する効果が見込まれる59種類の新薬(ワクチンや中国医学の医薬品を含む)の技術審査を終えたと明らかにした。うち1種類は既に市場への供給を許可しており、53種類は臨床試験の実施を承認した。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 市場への供給を許可したのは、新型コロナウイルスの不活化ワクチン1種類。臨床試験を承認した53種類のうち、肺炎治療薬などを含む5種類は既に第3相(フェーズ3)臨床試験に入っている。

 同局はこれらの医薬品について、公共の安全が脅かされた際の特別規定に沿って迅速な審査を実施。従来よりも審査スピードを上げている。

中国、低速EVに技術基準=工情省が規格改定

2021年06月23日

 中国工業情報省(工情省)はこのほど、電気自動車(EV)の乗用車に求められる技術条件の国家標準(規格)の改定に向けた素案をまとめた。EVに対する一部技術条件を改定するほか、最高時速70キロメートル以下の小型低速EVについても技術基準などを定める。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 素案では、小型低速EVを「座席数が4席以下で、最高時速70キロのEV」と定義。ボディーサイズや車両重量などの技術要求に加え、前面衝突基準の試験速度を時速40キロと定めた。

 中国では小型低速EVの生産に参入する企業が増えている。工情省によると、小型低速EVの生産企業は全国に100社前後あり、生産能力は200万台を超えるという。

 ただ、小型低速EVは品質にばらつきがあり、多くの交通事故を引き起こしていると指摘。市場調査の結果、一部の製品はブレーキや車体の強度といった国家規格の基本要件を満たしていなかったという。

中国、仮想通貨禁止を徹底=アリペイも指導

2021年06月22日

 中国人民銀行(中央銀行)は21日、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の関連業務を禁じるよう金融機関を呼び出して指導したと発表した。対象には、中国電子商取引(EC)最大手アリババグループの電子決済サービス「アリペイ」も含まれた。アリペイのプラットフォーム(サービス基盤)を利用した取引も警戒しているもようだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国では仮想通貨業務は既に禁止されているが、改めて引き締めた形。関連する口座開設や決済といったサービスの提供は「正常な金融秩序を乱し、マネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪につながるリスクを生じる」と強調した。

 他に呼び出されたのは、中国建設銀行や農業銀行といった主要行。うち複数の銀行が「いかなる個人や組織も、本行を利用して仮想通貨の取引をしてはならない」との公告を出した。

<半導体不足>分析:国産化難航、外資を活用=台湾に追い付けず

2021年06月21日

 半導体の国産化を進める中国の戦略が難航している。台湾企業などの技術革新に追い付けないためだ。習近平指導部は経済安全保障の観点から国を挙げて技術力の向上を急いでいるが、当面は外資も活用する方針だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

▽排除論

「台湾企業が本土の半導体産業を圧迫する」。半導体の世界的大手、台湾積体電路製造(TSMC)が中国江蘇省南京の工場を拡張する計画だと4月に報じられると、中国のインターネット上では批判が相次いだ。

 TSMCは半導体の集積回路(IC)を受託生産し、供給先には米アップルなども含まれる。日米も工場誘致を目指す超有力企業だ。

 半導体技術の高さは、ICの回路線幅の狭さで語られる。TSMCは5ナノメートル(ナノは10億分の1)の製品の量産を実現。中国企業が可能なのは14ナノメートル程度までだ。産業保護を重視する人々はTSMCの排除を唱える。

▽依存

 だが台湾や日米韓の技術なしに中国の半導体産業は成り立たないのが現状だ。「当社製品は全てTSMCの工場で作っています」。4月に開かれた上海国際モーターショーの会場で、北京の新興電子部品会社「地平線」の担当者が明かした。

 展示の目玉は自動車の制御を担うICだ。設計図は自社で描くが、生産は品質が安定するTSMC任せ。同様の中国企業は多いとみられる。

 一方、湖北省武漢には中国の半導体大手、紫光集団の工場がある。国産化推進の国家プロジェクトだが、業界関係者は「重要な製造装置は日本を含む外国製だ」。製造装置の国産化は、半導体そのものよりも難しい。

▽即効薬なし

 中国指導部は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が米国の制裁で半導体調達を制限されたことを重視。ハイテク発展の国家戦略「中国製造2025」に基づき補助金を出すなどして育成を図ってきた。習氏は「科学技術の自立自強」を繰り返し訴える。

 だが武漢では昨年、日本円で約2兆円相当を投じる計画だった半導体工場が資金難で建設停止。他の地方でも計画の頓挫が報じられ、共産党関係者は「経験のない実業家や地方政府が無謀な投資に走った」と話す。

 中国製造2025では、重要製品の自給率を2025年に70%に引き上げる目標を掲げた。だが米調査会社ICインサイツによると20年の半導体自給率は15・9%。25年になっても20%に届かない見通しだ。

 中国国営通信、新華社系新聞は5月、半導体の国産化に「即効薬はない」と認めた。TSMC排除論者に冷静になるよう呼び掛け「中国は国際的な産業連携と融合するべきだ」と訴えた。

データ安全法、車や通信に=中国、罰金最高1・7億円

2021年06月18日

 中国は国家安全の観点からデータの取り扱いを規制する「データ安全法」を成立させた。17日までに公開された全文によると、中国国内で生じる全てのデータが対象で、主な分野として工業や交通、通信などを挙げた。世界的に開発競争が激化する電気自動車(EV)や次世代通信を巡り、当局が管理を強化する構えだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 罰則規定では、国外への違法なデータ持ち出しなどに対し、最高で1千万元(約1億7千万円)の罰金が科され、営業停止や許可取り消しもあり得るとしている。同法は9月1日に施行予定。

 中国で車載カメラによる情報収集が問題視された米電気自動車(EV)大手テスラは、同法成立を受け「安全法を順守し、消費者の権利を守る」との声明を出した。域外適用の規定により、中国以外の組織や個人の法的責任も追及されるため、外国企業に緊張が広がりそうだ。

 データ利用や技術に関する投資、貿易を巡り、中国に差別的な禁止措置を取ってはならないと規定。米政府による中国企業への圧力が念頭にあるとみられる。違法行為に対し、個人や組織が当局に通報できるとも規定している。

 安全法の矛先は、国内IT大手にも向けられている。習近平指導部は昨年から、中国電子商取引(EC)最大手アリババグループを筆頭に圧力を強化。こうした大手が膨大なデータを扱い、市民生活に影響力を持っていることに危機感を強めているとみられる。

中国、燃料棒の破損確認=原発で放射性濃度上昇

2021年06月17日

 中国広東省の台山原発から放射性希ガスが大気中に放出されたと報じられた問題で、中国生態環境省は16日、台山原発1号機の燃料棒の破損により冷却材中の放射性物質の濃度が上昇したと発表した。技術的な基準は満たしているとしている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 米CNNテレビは、中国当局が原発の運転停止を避けるため放射線量に関する安全基準の上限を引き上げたと報じたが、生態環境省は「事実ではない」と否定した。

長征ロケット残骸が大気圏再突入=大部分燃え尽きる

2021年06月16日

 中国の無人宇宙貨物船「天舟2号」を先月29日、海南省の文昌衛星発射場から打ち上げた運搬ロケット長征7号遥3の残骸が15日午後4時49分〈北京時間、日本時間5時49分〉、大気圏に再突入した。中国有人宇宙局(CMSA)が明らかにした。チャイナ・ウオッチが、新華社英語版の報道を引用した中国通信=共同通信電として伝えた。

 それによると、残骸の大部分は再突入時に燃え尽き、残りは南緯16・5度、西経129・4度を中心とする海域に落下した。

長征ロケット、衛星4基の同時打ち上げに成功

2021年06月15日

 太原11日発新華社電によると、中国は北京時間同日午前11時3分(日本時間午後0時3分)、山西省の太原衛星発射センターから運搬ロケット「長征2号D」を使って商用衛星「北京3号」を予定の軌道に投入することに成功した。今回のミッションでは「海絲2号」、「仰望1号」、「宇宙実験1号天健」など小型衛星3基も同時に打ち上げられた。チャイナ・ウオッチが中国通信=共同通信電として伝えた。

「北京3号」は、二十一世紀空間技術応用股份有限公司が投資する商用リモートセンシング衛星プロジェクト。航天東方紅衛星有限公司が開発を担当。主に資源調査、生態環境モニタリング、都市の精細化管理、防災・減災分野における衛星データのニーズに応えるもので、中国の高解像度リモートセンシング衛星データ供給能力を向上させるために使用される。

「海絲2号」はアモイ大学の近海や浅海の生態環境観測研究用に、「仰望1号」は深圳起源太空技術有限公司の小惑星資源探査研究用に、「天健」は航天工程大学の教育訓練に軌道上のサポートを提供する。

 長征シリーズ運搬ロケットの飛行は373回目。

中国、AIで和歌創作=西安の日本文学研究者

2021年06月14日

 日本古典文学の研究をしている中国西安交通大学(陝西省西安市)の金中教授(45)がこのほど和歌を創作する人工知能(AI)プログラムをコンピューター技術者らと共同開発した。日本の歌人も「新古今和歌集など八代集にあってもおかしくない出来栄え」と高く評価している。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 金氏らはAIによる和歌翻訳を目指す過程で、創作プログラム「wakaVT」を開発。コンピューターに万葉集をはじめ20万首近くの和歌を覚えさせ、ディープラーニング(深層学習)を用いてAIの創作力を磨いた。中国は国家戦略としてAIを重視している。

「明けてゆく峰の木の葉の梢より遥かに続くさ牡鹿の声」

「み吉野の山ほととぎす長き夜の山の都の春を待つかな」

 いくつかのキーワードを入力するとAIが蓄積したデータから適切な言葉を選び、こうした和歌を自動で作る。

 作品を鑑賞した歌人・作家の小佐野弾さん(台北在住)は「和歌として文法や語彙も比較的自然だ」と指摘。「日本の短歌AIよりも良い出来だ。古典和歌は現代短歌に比べ読み方や言葉の意味が類型化しているからAIには作りやすいのかもしれない」と分析した。

 金氏は1995年に東京外語大に留学、和歌や漢詩の研究で計11年、日本に滞在した。現在は西安交通大で日本文学を教えている。「AIには人間に思いつかない発想があるし、人間ならではの文学性がどこにあるのかという根源的な問題を考えるきっかけになる」と話し、新プログラムの活用に期待している。

中国、データ安全法可決=管理厳しく、域外適用も

2021年06月11日

 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は10日の会議で、国家安全の観点からデータの取り扱いを規制する「データ安全法案」を可決した。企業のデータ収集や加工に対する管理が厳しくなり、域外適用もあるため日本企業に影響が及ぶ可能性がある。9月1日に施行する。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国では米電気自動車(EV)大手テスラの車載カメラによる情報収集が問題視されるなど、米中対立を背景に米企業への警戒が高まっており、けん制する狙いがありそうだ。同時に中国IT大手への統制強化も一層進むとみられる。

 法案は、新たな審査制度を設け「国家安全に影響を与えるデータの取り扱いは安全審査を行う」としている。

 中国以外の組織や個人でも、国家の安全や利益を損なう場合は法的責任を追及する。

NEVの21年販売240万台に=中国、業界予測

2021年06月10日

 中国自動車業界団体の全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)は8日、2021年の「新エネルギー車(NEV)」の卸売販売台数が240万台になるとの予測を示した。従来の予測値を20万台引き上げた。国内外の旺盛な需要を理由に挙げた。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 CPCAは今年のNEVの卸売販売台数について、2月時点で200万台、4月時点で220万とそれぞれ予測していた。中国自動車工業協会によると、NEVの小売販売台数は20年が約137万台。小売りと卸売りの違いはあるものの、前年から大幅に増えることは確実な流れにある。

 CPCAは予測値の引き上げについて、国内の需要拡大と輸出の好調を考慮したと説明。従来のガソリン車メーカーが投入するNEVの好調な売れ行きも全体を押し上げると見通した。

 CPCAによると、21年1~5月のNEVの卸売販売台数は前年同期比3.5倍の85万7,000台。下半期(7~12月)は業界の繁忙期入りとともに販売台数が右肩上がりで推移するとみている。

GDP成長率8.2%と予測=中国の清華大学

2021年06月09日

 清華大学中国経済思想・実践研究院はこのほど、中国の2021年の実質国内総生産(GDP)成長率を前年比8.2%と予測した。世界経済の回復などの好要素が重なれば、成長率は8.5%を超える可能性があるとみている。ただ、悪要素が重なった場合は7%前後に鈍化する恐れがあるとした。チャイナ・ウオッチが澎湃新聞の報道を引用したNNA配信として伝えた。

 同研究院は、21年の固定資産投資が8.5~9.5%と大幅に伸びると予測。とりわけ、不動産投資が活況を呈すると見通した。

 民間消費は、第3四半期(7~9月)と第4四半期(10~12月)にU字型の回復を遂げるとの見方。ただ、収入の増加ペースの鈍化が消費を一定程度下押しすると付け加えた。

 消費者物価指数(CPI)の上昇幅は1.5%にとどまり、インフレの懸念はないと強調。工業出荷価格指数(PPI)は、コモディティーの値上がりを背景に5%前後上昇すると予測した。

 同研究院の李稲葵院長は「長期的に見て、中国経済の潜在的成長力は大きい」との考え。一方、地方政府の債務増加には懸念を示し、「中央政府は今後2~3年で地方政府の債務整理を進めるべき」と述べた。中国政府が国債とともに地方政府の債務を一括管理し、地方政府の債券発行に関する管理を強化すべきと提言した。

中国5月の輸出28%増=外需回復、米輸入も伸びる

2021年06月08日

 中国税関総署が7日発表した貿易統計によると、5月の輸出額は前年同月比27・9%増の2639億ドル(約29兆円)となった。新型コロナウイルス流行で落ち込んでいた外需の回復が続き、米欧や東南アジア向けがけん引した。輸入は51・1%増の2183億ドルで、課題である米国からの輸入も大きく伸びた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 輸出入を合わせた総額は37・4%増の4823億ドルだった。

 輸出品目はマスクのほか、コンピューターやスマートフォン、自動車などが目立っている。地域別では、1~5月の累計で対米輸出が49・8%増、欧州連合(EU)向けが38・0%増。東南アジア全体では39・3%増だった。対日輸出は17・3%増だった。

 米国からの輸入は5月単月で40%以上の伸びとなった。中国は、米中貿易協議の「第1段階」合意で約束した米産品の大量購入を進め、経済分野での米国との摩擦緩和を図っているとみられる。

 全体の輸入品目は、鉄鉱石や大豆、集積回路(IC)などが伸びている。中国国内の需要回復を反映しているが、一方で、国際的な原材料価格の高騰も輸入額を押し上げている。

越、中国ワクチン承認=接種進まず調達先多様化か

2021年06月07日

 ベトナム保健省は3日付で、中国医薬集団(シノファーム)の新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した。英アストラゼネカ製とロシア製「スプートニクV」に続く承認で、中国製は初めて。ベトナム国営メディアが4日報じた。チャイナ・ウオッチがハノイ発共同通信電として伝えた。

 ベトナムはコロナ対策の「優等生」とみなされているがワクチン調達は進まず、アストラゼネカ製を中心に接種率は1%。南シナ海問題での対立を抱え、ベトナムの対中感情は厳しいが、調達先の多様化に向け使用を認めたとみられる。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国中、ベトナム以外はすでに中国からワクチンの提供を受けている。

《ワクチン接種20億回》中国けん引、1日2千万回=世界の11%、途上国切迫

2021年06月04日

 世界全体の新型コロナウイルスワクチン接種回数20億回のうち、3割余りを占める中国は1日当たり2千万回以上の桁違いのペースで投与が進む。1回でも接種を受けた人は地球人口の約11%にとどまり、発展途上国にも行き渡らせる対策が急務。ワクチンへの警戒感から米国で伸び悩み、中国製の効果に疑念がくすぶる中、集団免疫獲得への道は依然険しい。チャイナ・ウオッチが共同通信電として伝えた。

▽免疫の長城

 オフィス街に止められたバスの車内で、防護服を着た医療従事者が次々と市民にワクチンを打っていった。中国の北京や上海などの主要都市ではバスを派遣して即席の接種会場を設け、近くで働く人や高齢者への投与を加速させている。

感染抑制に成功したことで国産ワクチンがありながらも接種の動きは鈍く、保健当局によると、3月下旬の接種回数は累計約8200万回だった。4月以降、当局が促進策を取り、7億回超にまで押し上げた。

 保健当局の幹部は5月末の記者会見で「今後も接種を推進し、免疫の長城を築かなければいけない」と強調した。

▽対照的

 英オックスフォード大の研究者らがまとめたデータベースによると、アフリカ全体の接種回数は計約3400万回と遅れが際立つ。世界保健機関(WHO)は2種類の中国製ワクチンの緊急使用を承認し、アフリカなどの途上国への供給が拡大する見込みだ。だが中国製を活用した国々で感染の再拡大が止まらない。

 中東バーレーンは5月下旬に世界で最高水準の4割以上の接種完了率を達成したにもかかわらず、同時期に1日当たりの感染者数が過去最悪を記録した。米国のファイザー製やモデルナ製で、感染をほぼ収束させたイスラエルとは対照的だ。

 インド洋の島国セーシェルではイスラエルを上回る6割以上が接種を完了したが、5月上旬に感染が拡大傾向に転じた。保健省によると、感染者の37%は2回の接種を終えていて、使用した6割弱が中国製だった。

 WHOのワクチン担当者は会見で「問題がワクチンにあるのか、接種時期などにあるのか判断できない」と語り、調査する方針を示した。

▽懐疑派

 米国では中国に次いで多い約3億回が投与され、接種完了率は4割を超えた。しかし4月上旬をピークに接種ペースは鈍化し、ワクチンに懐疑的な人も少なくない。専門家の間では、感染力の強い変異株の影響で集団免疫の達成は困難との見方が出ている。

 米政権の医療顧問トップ、ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は4月の会見で「どれだけの人が免疫を持てば集団免疫を獲得できるかは分からない。その考えからは離れ、可能な限り多くの人に接種を受けてほしい」と訴えた。

ファーウェイ独自OS発表=スマホ事業立て直しへ

2021年06月03日

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は2日夜、独自開発した基本ソフト(OS)「鴻蒙」(英語名ハーモニー)のスマートフォン版を発表した。米グーグルのOS「アンドロイド」から脱却し、米国の制裁を受けて苦境にあるスマホ事業の立て直しを図る。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 スマホとタブレットを含む100以上の同社機種に2日から順次、鴻蒙が搭載される。2月に発売した折り畳み式スマホ「MateX2」も対象となる。鴻蒙は多様な機器を通信でつなぐ「モノのインターネット(IoT)」を想定。協力企業とともに、搭載した家電などの商品を広めて利便性を高め、シェア拡大を目指す。

 ソフトウエア部門の責任者である王成録氏はオンラインの発表会で、鴻蒙を搭載したスマホでは画面上でアイコンをドラッグするだけで家電と簡単に接続でき、操作も容易になると強調した。

 鴻蒙を巡っては、2016年に開発を開始。19年5月の米国の輸出禁止措置に伴い、ファーウェイ製スマホでグーグルのアンドロイド更新版が使えなくなる可能性が浮上。開発を急ぎ、同8月に鴻蒙を正式発表したが、これまでスマホには対応していなかった。

中国でH10N3型感染確認=鳥インフル、世界初か

2021年06月02日

 中国国家衛生健康委員会は1日、江蘇省鎮江市の男性(41)から鳥インフルエンザ(H10N3型)が検出されたと発表した。同委員会によると、H10N3型の人への感染が確認されたのは世界初。「偶発的な感染で、大規模な流行が起こるリスクは極めて低い」としている。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 専門家は「人から人への感染が起こっていないので、現時点で恐れる必要はない」と指摘した。

 男性は4月23日に発熱。症状が悪化し、同28日に医療機関で治療を受けた。現在も入院中だが状態は安定している。同委員会は感染の状況などを明らかにしていない。

 中国疾病予防コントロールセンターが男性のサンプルを調べたところ、H10N3型の陽性反応が出た。同委員会は江蘇省に感染拡大を予防するよう指示している。

中国、第3子容認へ=人口減見据え規制緩和少子高齢化、効果未知数

2021年06月01日

 中国共産党政治局会議は31日、1組の夫婦が3人まで子どもを持つことを認める方針を決めた。原則2人までだった規制を緩和する。国営通信、新華社が伝えた。中国で少子高齢化が進む中、数年以内に人口が減少に転じる可能性が指摘され、習近平指導部は対策強化が必要だと判断した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 緩和の時期は明示していない。長年の「一人っ子政策」を2016年に廃止して第2子を容認したのに続く踏み込んだ措置となるが、効果は未知数だ。

 会議は「質の高い経済発展を実現し、国家の安全と社会の安定を守る」ために高齢化対策が必要だと指摘した。各家庭の教育費の負担を減らす政策を実施し、産休制度の整備も進める。高額な結納の風習を改める必要性にも言及した。

 中国は憲法で計画出産の推進を規定し、国策として人口をコントロールしてきた。今後、第3子容認に向け関連法の改正などを進めるとみられる。

 生活費や教育費の高騰により、第2子も持ちたがらない家庭は少なくない。経済成長に伴い価値観も多様化した。一方、中国は60歳以上が総人口の2割に迫っている。会議は、定年延長を徐々に実施するとも強調した。

 国家統計局によると、台湾や香港、マカオを除く20年の中国の人口は約14億1178万人。出生数は1200万人で、1人の女性が産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1・3と低水準だった。人口抑制策そのものを廃止するべきだとの指摘も国内で出ていた。

 会員制交流サイト(SNS)では「1人ですら産みたくないのに」「先に経済的負担を解決して」「女性の雇用が不安定化する」と不満の声も。一人っ子政策期の強制的な堕胎や不妊手術を批判する人もいた。