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中国、副反応3万件報告=コロナワクチン2億回超で

2021年05月31日

 中国疾病予防コントロールセンターは28日、昨年12月15日から今年4月30日、新型コロナウイルスワクチンを中国本土で2億6500万回使用し、副反応が約3万1千件報告されたと公表した。使用したのは不活化やウイルスベクターなど複数の種類。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 一過性で比較的軽い副反応は約2万6千件で、高熱が約2700件だった。強い副反応は約5千件で、このうち重い症例は188件だった。強い副反応の中ではアレルギー性湿疹が最も多い約4千件で、急性の重いアレルギー反応は75件だった。

 保健当局によると、中国のワクチン接種は27日時点で約5億8千万回。

中国、大阪万博参加へ=計34カ国と4国際機関に

2021年05月28日

 井上信治万博相は28日の閣議後記者会見で、2025年大阪・関西万博に新たに中国、ルクセンブルク、イラン、ガーナ、ギニアの5カ国と、国際機関のアフリカ連合委員会が参加表明したと明らかにした。表明は計34カ国、4国際機関となった。

 このうち参加者が自らパビリオンを建設するタイプでの参加は中国とルクセンブルクの2カ国。井上氏は、新型コロナウイルス感染拡大前は多くの観光客が来日した中国の参加について「25年には(コロナが収まり)多くの中国の方も来場されることを期待したい」と述べた。台湾の参加は調整していない。

 政府は150カ国と25の国際機関の参加を目標に掲げている。

デジタル経済の推進強調=中国でビッグデータ博開幕

2021年05月27日

 中国貴州省貴陽市で26日、政府主催の中国国際ビッグデータ産業博覧会が開幕した。劉鶴副首相は開幕式のビデオ演説で、3月の全国人民代表大会(全人代)で発表した2021~25年の中期経済目標「第14次5カ年計画」に基づき「デジタル経済への転換を推進していく」と強調した。チャイナ・ウオッチが貴陽発共同通信電として伝えた。

 劉氏は「デジタル経済は中国の質の高い発展をリードする新たなエンジンになりつつある」と指摘。公共の場などでビッグデータの応用の機会を広げる考えを示した。一方で「ビッグデータの独占に断固反対する」とも述べ、サービスを通じて膨大なデータを蓄積する国内のIT企業をけん制した。

 博覧会は15年から始まった。中国メディアによると、国内外のIT企業など200社以上が出展。ビッグデータの最新の活用事例を紹介するほか、政府関係者や企業経営者が参加する討論会も多数開かれる。28日まで。

 中国の習近平指導部は第14次5カ年計画で、ビッグデータなどのデジタル産業の発展を加速する方針を掲げている。

2回目接種、一部地域で拡大か=中国、ワクチンで

2021年05月26日

 中国の一部地域で、新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種拡大に向けた動きが進んでいるようだ。第一財経日報(電子版)によると、江西省や貴州省貴陽市などでは6月中旬から1回目の接種を一時中断し、2回目の人に優先接種すると通知したという。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 江西日報によると、江西省衛生健康委員会は「6月10日から30日まで、1回目のワクチン接種を一時中止し、2回目の接種を全力で進めていく」と通達。9日までに1回目の接種を受けるよう呼び掛けたという。

 貴陽市も同様の通知を出し、9日までの接種を促している。ただ同市当局は「6月10日から30日まで1回目の接種を一時中断するが、7月1日から再開する」としている。

遼寧省や広東省深圳市南山区、福田区でも同様の通知が出されているようだ。

 中国の専門家は集団免疫を得るためにワクチンの接種者を増やし続ける必要があるとして、国民に積極的な接種を促している。国家衛生健康委員会の担当者は「2回目の接種までに間隔を空ける必要があるため、6月10~30日の期間中に医療従事者など重点接種対象者向けの接種を完了し、2回目の接種を集中的に実施する」と説明。ただ海外へ出国する人など向けの接種は継続し、7月以降は1回目、2回目ともに接種を再開するとしている。

中国「投機が原料高助長」=企業を指導、買いだめ禁止

2021年05月25日

 中国政府は24日、国際的な原材料価格の高騰を巡り、大手企業や業界団体を指導したと発表した。「多くの分野で過度の投機行為があり、価格上昇を助長した」として、買いだめや価格操作を禁じた。原材料の生産・物流の停滞に加え、一部企業の不正行為も問題の背景にあると政府が認めた形だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 国家発展改革委員会など5部門が23日に会議を開き、鉄鉱石や鋼材、銅、アルミニウムなどの「市場影響力が強い企業」と、中国鉄鋼工業協会や非鉄金属の業界団体を呼び出した。「結託して市場価格を操作することや、値上がり情報の捏造、買いだめによる価格つり上げは許されない」と強調した。

 中国経済は新型コロナウイルスの影響から回復しているが、原材料高が企業経営を圧迫。インフレ懸念も出ており、当局は危機感を強めている。4月の工業品卸売物価指数(PPI)は前年同月比で6・8%上昇し、2017年10月以来3年半ぶりの高水準となった。

 中国国家統計局は原材料高の原因について、南米などでの生産減や国際的な海運の停滞を指摘していた。

中国、火星地表探査に成功=米に次ぎ2カ国目「宇宙強国」確立に成果

2021年05月24日

 中国が火星に着陸させた無人探査機「天問1号」から22日、探査車「祝融」が離脱して地表を走行し、探査を開始した。火星の地表探査に成功したのは米国に次ぎ2カ国目。高い技術力を見せつけ、習近平指導部が目指す「宇宙強国」の確立に向けて新たな成果となった。チャイナ・ウオッチが中国国営の中央テレビなどの報道を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 火星に15日に着陸していた天問1号の着陸機から、スロープ部を伝って祝融が地表に降りた。太陽光パネルを備えた「青いチョウ」のような形の探査車で、複数の観測機器を搭載しており、大気や土壌などを調べる。火星で約3カ月活動できるという。

 天問1号は昨年7月に打ち上げられた。火星への軟着陸に成功したのは旧ソ連と米国に続き3カ国目だが、旧ソ連は地表探査には失敗していた。

 祝融は地表探査開始に先立ち、着陸地周辺の画像を撮影し地球へ送信、走行に向け準備をしていた。画像には、岩石が散らばる火星表面の様子が写っていた。

 中国は宇宙開発を加速しており、4月には独自の宇宙ステーションの中核となる居住区部分の地球周回軌道への打ち上げに成功した。無人探査機による月面探査にも複数回成功している。

スマホで問診、通院減らす=中国、オンライン化進む

2021年05月21日

 中国で新型コロナウイルス流行をきっかけに、オンライン診療の需要が高まっている。IT大手が、体調不良時や、慢性疾患のある人がスマートフォンで医師に相談できる「家庭医療」サービスを展開。通院の手間が省け、都市部の病院の混雑を緩和し、へき地医療を補うと期待されている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

「今朝からおなかが痛いです」。スマホで症状を書き込むと、すぐに医師から返信が届いた。「吐き気はありますか」

 インターネット通販大手、京東集団(JDドット・コム)が2020年8月から運営する「京東家医」のアプリを使ったやりとりだ。家庭医(かかりつけ医)のような立場の医師が普段から顧客の健康相談に応じる仕組み。必要であれば専門医の問診も受けられる。ビデオ通話も可能だ。

 価格は一家4人で利用する基本メニューが年間799元(約1万3千円)。薬も京東の通販サイトで購入できる。同サービス責任者の魯楠氏は「中国は医療資源が不足している上、高齢化でますます厳しくなる。オンラインで負担を軽減できる」と強調する。

 中国では都市部の公立病院はどこも混んでおり、整理券を取って診察を待つのが日常風景だ。交通が不便な地方は通院そのものが難しい。

 共産党機関紙、人民日報はコロナで非接触式医療の重要性が高まったと指摘。ネット診療を提供する病院は千を超える。ネットによる医療市場は、21年に2831億元規模となり、前年比44%拡大するとの試算もある。

 魯氏は、診療の経験をビッグデータとして積み上げ、人工知能(AI)技術なども活用し「より顧客個人に即した医療と健康サービスを提供できるよう水準を高めたい」と意気込む。

BYD、新エネ車百万台に=中国初、国外展開も加速

2021年05月20日

 中国の大手電気自動車(EV)メーカー「比亜迪(BYD)」(広東省深圳市)は19日、EVなど「新エネルギー車」の生産が計100万台に達したと発表した。中国のブランドで初としている。今後、国外市場への展開を加速する方針も示した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 100万台はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の合計で、商用車は含まない。深圳の工場で生産された100万台目はセダンタイプのEV「漢」という。年内にEV1500台をノルウェーに輸出する計画も表明。「海外展開の重要な一歩だ」としている。

 BYDはトヨタ自動車と共同でEVの中国専用モデルの開発も進めている。

中朝貿易、前月から倍増=北朝鮮、経済難で物資調達

2021年05月19日

 中国税関総署は18日、4月の北朝鮮との貿易総額は前月比2・14倍の3059万9千ドル(約33億3千万円)だったと発表した。北朝鮮は昨年1月から新型コロナウイルス対策で国境を封鎖しているが、今年3月に貿易を一部再開した。経済難が深まり、中国から必需品を調達しているとみられる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 ただ、北朝鮮は人の往来遮断は継続。輸送も船に限っているとみられる。4月の貿易総額は国境封鎖前の2019年4月比では12・6%にすぎず、貿易の正常化にはほど遠い状況だ。

 発表によると、中国から北朝鮮への輸出は前月比2・21倍の2875万1千ドルで、約6600万ドルだった昨年7月に次ぐ水準。内訳は明らかになっていない。今年3月は今の時期の農業に不可欠な化学肥料や殺虫剤、除草剤が8割を占めた。4月の北朝鮮からの輸入は41%増の184万8千ドルだった。

 中朝は中国・丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ貨物列車の運行再開を調整しているが、実施は遅れている。北朝鮮関係者によると、北朝鮮側で輸入物資の消毒施設などの準備に時間を要していることが原因の一つという。

中国4月の工業生産9%増=コロナ流行から回復継続

2021年05月18日

 中国国家統計局が17日発表した4月の工業生産は、前年同月比9・8%増だった。新型コロナウイルス流行による打撃からの回復の動きが継続。コロナ前の2019年4月と比べると14・1%増となった。工業用ロボットや集積回路(IC)の好調さが目立った。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 消費動向を示す小売売上高も17・7%増だった。家具や宝飾類、新車の販売がけん引。前年はコロナ対策の影響で苦戦していた反動もあり、飲食関連も大幅増となった。19年比では8・8%増となり、米中貿易摩擦のあおりで景気が減速していた当時より消費が伸びた。

 工場やオフィスビルへの1~4月の固定資産投資は、前年同期比19・9%増。うち民間投資が21・0%増と全体を上回った。1~4月の不動産開発投資は21・6%増だった。

 4月の失業率は5・1%と前年同月から0・9ポイント改善した。直近の3月と比べても0・2ポイント下がった。

 統計局の報道官は、中国経済の回復ぶりをアピールする一方、国際的な原材料高により「企業経営への圧力は増している」と警戒感も示した。その上で、一般商品の急激な値上げにはつながらないとも強調した。

 中国は新型コロナをほぼ封じ込めていることから経済活動が活発化している。ただ最近は一部地域で感染者の増加が見られ、今後の懸念材料となりそうだ。

中国、高い技術力を証明=火星探査巡り各国競争

2021年05月17日

「宇宙強国」を掲げる中国の無人探査機「天問1号」が火星の軟着陸に成功し、技術力の高さを証明した。米国の探査車は既に火星の科学探査を進めており、中国はこれに対抗する構えだ。米中に限らず、各国は競い合うように火星探査に乗り出しており、日本も2024年の探査機の打ち上げを計画している。

 地球に環境が似る火星には、人類の進出も期待される。2年2カ月置きに地球に接近する機会を捉え、各国は20年に続々と火星探査機を打ち上げた。今年2月には、アラブ首長国連邦(UAE)の探査機が周回軌道上で観測を開始。米探査車パーシビアランスは着陸後、生命の痕跡を目指して調査を進めている。

 米国に続いて探査機を火星に着陸させた中国は、米ソに次いで20年12月に月の土壌を持ち帰ることにも成功するなど、宇宙探査で急速に存在感を高めている。

 日本が狙うのは、はやぶさ2などで実績のある試料の採取と持ち帰り。24年に火星の衛星に探査機を送り込んで土壌などを採取し、パーシビアランスよりも早い29年に地球に帰還して、世界初の火星圏からの試料採取を果たす計画だ。政府の宇宙科学・探査小委員会の松井孝典座長は「世界に先駆けて持ち帰る必要があり、遅らせるわけにはいかない」と強調する。

中国、失業率統計に新項目=農民工の雇用安定強調か

2021年05月14日

 中国当局が都市部の失業率について、今年から「農民工」と呼ばれる農村からの出稼ぎ労働者などその都市以外の出身者に限定した項目の公表を始めたことが13日分かった。新型コロナウイルス流行の影響で農民工を中心に失業率が20%に悪化したとの指摘もある中、1~3月は5%台で安定。雇用安定をアピールする狙いがありそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 一方、コロナで出稼ぎの人数自体が減っており、中国全体の雇用実態の把握にはなお不透明感が残る。

 中国国家統計局によると、毎月の失業率の統計に、調査が行われた都市の戸籍を持つ人と、そうでない他地域の戸籍保持者の2項目が加わった。従来は全体と年齢別の数値だけだった。農民工は流動性が高く、把握が困難とされている。統計局は取材に対し、他地域出身者の調査に農民工が含まれると説明した。

 今年1月は全体の失業率が5・4%に対し、他地域の戸籍保持者は5・1%。直近の3月も全体は5・3%、他地域が5・4%だった。ただ他地域戸籍に占める農民工の割合は不明。統計局は4月の記者会見で、21年1~3月期の農村から出稼ぎに出た人数は19年と比べ246万人減ったと明らかにし、「農民工の就業数はコロナ前の水準には回復していない」と述べた。

 中国では企業が高い技術を持つ即戦力の人材を求め、出稼ぎ者や若者との間で雇用のミスマッチが生じているもようだ。若者の失業率も3月に13・6%と突出。中国経済の課題の一つだ。

野心的な宇宙開発に新たな歩み=中国が長期滞在宇宙ステーション

2021年05月13日

 英BBC放送中国語サイトはこのほど、中国が宇宙飛行士の長期滞在をめざす宇宙ステーションのコアモジュール打ち上げに成功したことについて、中国の野心に満ちた宇宙開発計画が新たな一歩を歩みだした、とする論評を掲載した。チャイナ・ウオッチが伝えた。主な内容は次の通り。

「天和」と名付けられた中国の宇宙ステーション「天宮」のコアモジュールが4月29日打ち上げに成功し、北京の野心に満ちた宇宙開発計画が新たな一歩を歩みだした。

「天和」は文昌発射場から長征5号B運搬ロケットに乗せられて打ち上げられ、中国の新しい宇宙ステーションのコア部分となり、3人の宇宙飛行士が生活できる居住区を有している。

「天宮」宇宙ステーションは中国が自主建造する常駐大型宇宙ステーションで、公式メディアは「国家レベルの宇宙ラボ・宇宙母港」と呼び、2022年には運行を開始したいとしている。

 北京の計画によると、「天空」号を来年から運用する前に、少なくとも10個の同様のモジュールを打ち上げ、総重量が60トンに達する宇宙ステーションが地球から高度340キロから450キロの軌道上を運行することになる。

 現在、人類が宇宙で唯一運行している宇宙ステーションは「国際宇宙ステーション」だが、中国はその運行に参画していない。

 中国の宇宙探査は米国やソ連に比べると遅く、2003年に最初の有人宇宙ミッションを行い、世界で3番目に人類を宇宙に送り込むのに成功した国となった。

宇宙探査計画における強国の競争は、過去の米ソ「宇宙冷戦」と類似しており、科学技術への野心と大国の相互不信が混じり合った産物だ。宇宙探査に潜在している軍事用途もまた大国にさらに多くの資金を宇宙計画に投じさせる要因となっている。

▽「天宮」と「天和」

 中国の宇宙ステーションプロジェクトは10年前に開始、現在に至るまで中国は既に2つのスペースラボを宇宙軌道に送り込んでいる。

 2011年に打ち上げた「天宮1号」と2016年に打ち上げた「天宮2号」はいずれも実験的な性格の宇宙ステーションであり、宇宙飛行士を中短期的に滞在させることができるだけだった。

 しかし、「天和」は将来の長期にわたる宇宙ステーションのコアモジュールだ。

 中国メディアによると、「天和」コアモジュールは中国の宇宙ステーションの最初のモジュールで、来年「問天」実験モジュールと「夢天」実験モジュールの2つが打ち上げられるほか、さらに4回の貨物運搬船と4回の有人宇宙船が打ち上げられる見込みだ。宇宙ステーションは2022年に軌道上での建造が完成する計画で、実験能力を備え、応用・発展段階に入るという。

 現在の「国際宇宙ステーション」は、ロシア、米国、カナダ、欧州そして日本の協力による産物であり、中国はその運航に参画することを許されていない。

「国際宇宙ステーション」は2024年に引退する予定で、「天宮」は近い将来、軌道上で唯一の宇宙ステーションとなる可能性がある。

▽中国の「宇宙の夢」

 中国の目標は2030年頃に宇宙強国となることであり、月面着陸計画、火星探査と宇宙ステーションの建設は、すべてその全体計画の一部だ。

 北京の宇宙・科学誌術面での野心は近年、ますます世界の目にさらされるようになっており、中国は宇宙・科学技術の発展に大量の資金を投入、2019年には無人探査器を月の背面に初めて送り込んだ国となった。

 ロシアは最近、2035年には現在の「国際宇宙ステーション」計画から撤退すると宣言している。それより前、ロシアは米国が主導する「アルテミス」探査計画を非難、中国との協力に転じている。

「天宮1号」はこれより前、中国が2022年までの建設を計画した有人宇宙ステーションの一部だったが、2016年に地上との連絡を失った。

中国とロシアは先に、今後手を携えて月面に宇宙ステーションを建設する、と発表している。

 中国の宇宙探査計画は、中国の習近平国家主席が打ち出した「中国の夢」の一部で、中国の公式メディアは中国の「宇宙の夢」を民族復興の重要な一歩としている。

 新華社は習近平の言葉を引用、中国の宇宙ステーション・ラボは「科学技術強国、宇宙強国を建設する重要な指導的プロジェクトだ」と指摘している。

▽中国の宇宙ステーション建設の歩み

 ・2011年 「天宮1号」スペースラボを打ち上げ、宇宙でのドッキングと軌道実験を行い、同年「神舟8号」が打ち上げられ、「天宮1号」とドッキング

 ・2012年 「神舟9号」宇宙船が3人の宇宙飛行士を乗せて「天宮1号」とドッキング、スペースラボに2週間にわたって滞在

 ・2013年 「神舟10号」が2男1女の宇宙飛行士を載せて「天宮1号」に向かい、3人は15日間にわたって滞在

 ・2016年 「天宮1号」の運行を停止、「天宮2号」を打ち上げ

 ・2017年 中国初の貨物運搬船「天舟1号」を打ち上げ、「天宮2号」とドッキング

 ・2018年 「天宮1号」が地球に帰還

 ・2019年 「天宮2号」が一連の実験を終えて地球に帰還

 ・2021年4月 中国の宇宙ステーション「天和」のコアモジュールを打ち上げ

 ・同年中に貨物運搬船「天舟2号」と有人宇宙船「神舟11号」の打ち上げを計画

 ・2022年 宇宙ステーションモジュール「問天」と「夢天」の打ち上げを計画

中国人口、減少地域も=出生率1・3、予測下回る

2021年05月12日

 中国国家統計局は11日、2020年に実施した国勢調査の結果、東北部など一部地域で10年前の調査と比べて人口が減少したと発表した。総人口の伸びは鈍化。1人の女性が産む子供の推定人数「合計特殊出生率」は1・3と低水準で、予測を下回った。労働人口減少への対策や社会保障の充実といった課題が習近平指導部にのしかかっている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 総人口の年平均増加率は、前回の国勢調査の0・57%から0・53%となった。東北部や内モンゴル自治区などは前回から人口が減少した。労働の担い手となる15~59歳は10年前の約9億4千万人から約8億9千万人に減った。

 統計局の寧吉哲局長は記者会見で、低出生率や高齢化加速を踏まえ、60代の社会での活躍や、出産や育児支援が重要だとの認識を示した。

 20年の出生数は1200万人で、19年比で18%減少した。国務院(政府)が16年に策定した「国家人口発展計画」は20年の合計特殊出生率を1・8と設定。中国メディア、財新ネットは予測に達しておらず、「将来も低下を続けるだろう」と伝えた。

 過去の国勢調査は数字の水増し疑惑が取り沙汰されたこともある。中国国家統計局の発表では、20年の人口は約14億1178万人だったが、人口問題の専門家、易富賢氏は11日、中国の統計は実態を反映しておらず、20年の実際の総人口は12億8千万人以下との独自の推計を公表した。

ビオンテック製ワクチンを生産へ=中国の上海復星医薬

2021年05月11日

 製薬大手の上海復星医薬(集団)(上海市)は9日、ドイツのバイオ医薬品メーカー、ビオンテックが手掛ける新型コロナウイルスワクチン「メッセンジャー(m)RNAワクチン」を中国で生産すると発表した。年産量は10億本となる見通し。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 復星医薬(集団)の子会社の復星医薬産業とビオンテックは8日、上海市に新型コロナウイルスワクチンを生産する合弁会社を設立することで契約を交わした。登録資本金は最大2億米ドル(約217億6,600万円)で、復星医薬産業とビオンテックが折半出資する予定。復星医薬産業は現金のほか、工場資産などを現物出資。ビオンテックはワクチン技術を現物出資する。

 復星医薬産業は合弁会社の当面の運営資金として、最大1億5,000万ユーロ(約198億4,700万円)の資金を提供する。

 2社は来月中旬に合弁会社の設立に関する最終協議を締結する見通し。

 復星医薬(集団)は昨年3月、ビオンテックからmRNAワクチンの中国本土(大中華地区含む)での供給に関するライセンスを得たと発表。中国本土で臨床試験を進めており、試験は11月末に第2相(フェーズ2)に入っている。

中国で国際消費品博覧会=日本勢出展、商談も

2021年05月10日

 中国が消費市場の拡大を目指して新たに立ち上げた「中国国際消費品博覧会」が7日、海南省(海南島)海口市で初めて開かれた。国内外から約2600のファッションや化粧品などのブランドが出展し、商談も行う。日本勢は資生堂やオムロンなど89のブランドが新商品をアピールした。10日まで。チャイナ・ウオッチが海口発共同通信電として伝えた。

 習近平指導部は新型コロナウイルス流行による外需の落ち込みを受け、内需のてこ入れと国際経済を連携させる「双循環」戦略を進めており、展示会はその一環。海南島を新たな「自由貿易港」に育成する計画の布石ともなる。化粧品などには免税措置が取られた。

 習国家主席は前日の式典に祝辞を寄せ、「海南の改革開放を通じて多国間、地域間の協力を深めたい」と強調した。

 資生堂は、今年から中国市場に投入するスキンケアの高級ブランド「ザ・ギンザ」などを展示。中国での健康志向の高まりを背景に、オムロンのブースでは血圧計などを試す人が目立った。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、化粧品や陶器といった日本商品の展示館を設置。買い付けに来た地元の貿易商の男性(60)は「日本の健康関連の食品は人気がある」と話した。

 ジェトロの担当者は「日本商品に対する購買意欲は高い。日系企業が進出する余地は、まだまだある」と意気込んだ。

最大消費地へコメ輸出本腰=対中国、現地企業と提携

2021年05月07日

 国内消費の減少が続くコメ市場で新たな需要を開拓しようと、JAグループや卸売業者が中国へのコメ輸出に本腰を入れ始めた。長粒種も含む中国のコメの年間消費量は1億4千万トンと世界最大で、日本の約20倍に当たる。日本食ブームも背景に、業界は現地企業との提携やニーズの高い贈答用に注力するなどして高価格帯での食い込みを加速させている。

 JAグループで輸出事業を手掛けるJA全農インターナショナル(東京)は4月、中国最大級の穀物商社、中糧集団(コフコ)にコメを供給すると発表した。コフコが立ち上げた輸入米の新ブランド向けに新潟県産コシヒカリが採用され、6月から小売店などで販売する。

 初回は48トンと小規模で今後の数量は未定だが、JA全農インターナショナルの担当者は、中国で名の知れたコフコのブランドに加わり「日本産米を手に取ってもらう機会になる」と意気込む。

 コメ卸大手の木徳神糧(東京)は2016年に中国への輸出を始め、主に春節などの贈答用で販売を伸ばしている。担当者は「活発な消費欲があり伸びしろは大きい」と強調。今後はアリババグループの「天猫(Tモール)」など通販サイトへの出店も検討中だ。

 日本国内でのコメ消費は減少が続いており、中国市場への期待は大きい。20年は新型コロナウイルスの影響で19年から横ばいだったが、政府はパックご飯なども含め25年に対中輸出額を19年の5倍近くの19億円へと拡大する目標を掲げている。

 しかし、米中対立が深刻化する中で日中関係も冷え込めば、輸出拡大の足かせとなることが懸念される。木徳神糧は「コメの取引ですぐに影響が出ることはない」とみる一方、不買運動などに発展した場合は「輸出のスピードは落ちるのではないか」と話している。

中国製ワクチンの審査開始=EU医薬品庁で初

2021年05月06日

 欧州連合(EU)の医薬品規制当局、欧州医薬品庁(EMA、本部アムステルダム)は4日、中国の製薬大手、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の新型コロナウイルスワクチンの迅速な承認に向け、審査を始めたと明らかにした。チャイナ・ウオッチがブリュッセル発共同通信電として伝えた。

 EMAが中国の新型コロナワクチンを審査するのは初めて。同社はワクチンの販売承認申請を行っていないが、EMAは審査を先行させ、申請された場合、承認までの時間を短縮したい考え。

 同ワクチンは、EUへの英アストラゼネカのワクチン供給が遅れる中、親中的な姿勢を示すハンガリー政府がEUの共同調達の枠外で購入している。

 フォンデアライエン欧州委員長はEU成人人口の70%が7月末までに接種を終えることを目標に掲げている。