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14億人市場で医療データ=製薬大手、中国で提携続々

2021年01月29日

 中国の膨大な医療データを活用しようと、世界の製薬大手が現地企業との提携を進めている。日本勢では塩野義製薬が中国平安保険集団(広東省深圳市)と合弁会社を設立し上海に研究拠点を開設。エーザイはインターネット通販大手の京東集団(JDドット・コム、北京市)と協力し認知症のオンライン診療を進める。発展途上の医療サービスを向上させ、市場を掘り起こしたい考えだ。チャイナ・ウオッチが共同通信電として伝えた。

「世界の中で非常に強いデータベース。極めて魅力的なパートナーだ」。塩野義の手代木功社長は昨年10月、提携についての記者会見で平安保険をこう持ち上げた。平安保険の陳心穎(ジェシカ・タン)共同最高経営責任者(CEO)も「塩野義の研究開発には感動した。中国市場全体にも欠けている領域だ」と相思相愛を強調した。

 平安保険は生命保険などで最新技術を使った金融事業に強みを持ち、オンライン診療も手掛ける。塩野義は提携で得られたビッグデータを人工知能(AI)で解析し、中国国内での新薬開発に結び付ける狙いだ。平安保険は塩野義以外にも、慢性疾患のビッグデータの活用でフランス製薬大手サノフィと提携した実績がある。

 人口約14億人の中国の医薬品市場は2018年、日本の約1・5倍に当たる約14兆円規模に達した。高齢化が急速に進む一方で、病院での待ち時間は長く、医療費の負担が大きいとの指摘も。市場開拓の余地は大きく、製薬大手は顧客基盤を持つ現地企業との提携を突破口に、足場を築きたい考えだ。

 エーザイも昨年10月、ネット通販で中国有数の販売網を持つJDドット・コムの傘下企業との合弁会社設立を公表。認知症患者に対するオンライン診療や介護士の紹介などの健康サービスを21年から順次始める方針だ。広報担当者は「得られた情報を新薬開発につなげていきたい」と期待感を示した。

 ドイツ製薬大手のメルクもネット通販のアリババグループ傘下の阿里健康信息技術とAI活用などの分野での協力に乗り出すなど、中国企業との関係構築を狙う動きが相次いでいる。

ハイテク対立、長期化必至=米次期長官、対中強硬路線

2021年01月28日

 バイデン米大統領が商務長官に指名した東部ロードアイランド州のレモンド知事は26日、ハイテク分野における対中強硬路線を明確にした。中国製機器を通じた情報流出を警戒し、トランプ前政権が講じた中国IT企業への禁輸措置などの継続を示唆した。対立の長期化は必至な情勢だ。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 レモンド氏は上院商業科学運輸委員会の指名承認公聴会で、第5世代(5G)移動通信システムに関し「中国などが米通信網に(情報を抜き取る)バックドアを設けることは許されない」と指摘した。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)を名指しし、厳しく対処していく方針を強調した。

 また中国による少数民族弾圧を念頭に「ひどい人権侵害は非難されるべきだ」と主張した。前政権が人権問題で中国監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などに科した制裁も続ける公算が大きい。

 中国外務省の報道官は27日の記者会見でレモンド氏の発言に対し、「米国は(トランプ前政権の)誤りを正し、公平で差別のないビジネス環境を提供すべきだ。中国は引き続き中国企業の権利を守るために必要な措置を取る」と述べた。

 トランプ前政権は、禁輸措置の対象を示す「エンティティーリスト」にファーウェイなど中国企業を相次いで加えた。中国製品の排除を加速させる米国に対し、中国はハイテク製品の輸出を制限する輸出管理法を施行した。

 バイデン政権が強硬姿勢を維持する構えを示したことで、技術覇権争いも絡んで米中対立がさらに激しさを増す可能性もある。

第135回中国研究会「米中新冷戦の中での日本企業の生き残り戦略」(2020年10月6日開催)リポート「新たな対応迫られる日本企業 米中対立の現状と見通し杉田定大氏詳述
第134回中国研究会「米中貿易摩擦、そして新型コロナウィルスパンデミックの衝撃下にある中国経済」(2020年9月29日開催)リポート「ITの力で中国の都市はさらなる変化を 周牧之氏が新型コロナ後の中国経済予測
第133回中国研究会「米中「最先端技術競争」の構造を読み解く」(2020年8月28日開催)リポート「日本は米中両国つなぎとめる役割を 倉澤治雄氏が中国の科学技術力詳述

中国、帰省自粛ならお年玉=デジタル元や商品券配布

2021年01月27日

 中国の一部で新型コロナウイルス感染症が再流行し、当局は2月11日から始まる春節(旧正月)の大型連休で帰省を控えるよう呼び掛けている。多くの中国人にとって年に1度の大事なイベントなだけに、共産党と政府は、デジタル人民元や商品券といった「お年玉」で引き留める策に出た。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国有数の経済都市、広東省深圳市は今月20日、帰省しない一部の人向けに「紅包(お年玉)」としてデジタル元を配ると発表した。1人当たり200元(約3200円)で、スマートフォンのアプリを通じて指定された店の支払いに使える。

 深圳市は昨年来、デジタル元の実証実験を進めており、一石二鳥の効果を狙う。

 日用雑貨の世界的な卸売市場である浙江省義烏市は、市にとどまる人に500元の商品券を配布する。さらに市バスや駐車場、観光スポットを無料開放し、飲食店に補助金を出すなど至れり尽くせりだ。

 中国は昨年の春節連休では移動制限が徹底せず、感染症の拡大を助長した苦い経験がある。各地方政府に紅包の支給や福利厚生の充実を呼び掛ける一方、帰省する人にはPCR検査の陰性証明の携帯も求める「ムチ」の方針も打ち出した。

 交通運輸省によると、今年の連休期間中の旅客数は延べ17億人が見込まれる。新型コロナ前の2019年と比べ4割減、20年比では1割の増加になるという。

6カ国語でコロナ情報発信=名古屋市、留学生が協力

2021年01月26日

 名古屋市は25日、外国人向けに新型コロナウイルスに関する情報を英語や中国語など6カ国語に翻訳し、市のウェブサイトやフェイスブックに投稿する取り組みを始めた。名古屋大(同市)と連携し、名大の留学生ら約20人が翻訳する。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 患者の人数などの感染動向や相談窓口の情報を定期的に発信する。市の担当者は「行政では気づきにくい学生目線の情報も発信していきたい」と話している。

 翻訳するのはほかに、モンゴル語やベトナム語、インドネシア語、韓国語。感染拡大の影響で留学生が市民らと交流する機会が減少しているといい、活躍の場を提供する狙いもある。

日中韓の院生がアニメ制作=コロナ下でネット活用

2021年01月25日

 日本と中国、韓国の美術系大学の大学院生が共同制作した短編アニメが完成し、お披露目をかねたシンポジウムが22日、オンラインで開かれた。新型コロナウイルスの影響で対面での作業は行わず、インターネット上のやりとりだけで作り上げた。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 アニメは6分余りの映像と音楽で、コロナ禍を生きる人々を励ます内容。マスク姿の少女が荒廃した都市を抜け出す物語など5部構成となっている。東京芸術大と中国、韓国の大学の院生約30人が5グループに分かれ、昨年8月17~29日にオンラインミーティングを繰り返すなどして作業を進めた。

 東京芸大の岡本美津子副学長はシンポジウムで情報通信技術(ICT)の発達で映像分野の国際交流は今後一層容易になるとの考えを示し「継続が大切」と述べた。

 アニメのタイトルは「五行交響曲」で、日中韓学生アニメーション共同制作「Co-work」のウェブサイトから視聴できる。

東京藝術大学「キャンパス・アジア国際シンポジウム Co-work 融合と競争 −日中韓学生アニメーション共同制作−

北京中心部で全員検査=コロナ、首都防衛徹底

2021年01月22日

 北京市中心部の西城区は22日、新型コロナウイルスの流入リスクが高まっており、同区の住民と労働者の安全を守るため、23日までにPCR検査を全員に実施すると発表した。西城区には習近平国家主席ら共産党指導部が執務する「中南海」も含まれ、首都防衛を徹底する狙い。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 西城区の2019年時点の人口は約113万人。3月5日に始まる全国人民代表大会(全人代=国会)を行う人民大会堂も西城区にある。昨年は延期した経緯があり、予定通りの開催に向け万全を期す構えだ。

 当局は地域の通知に従い、秩序立って検査を受けるよう呼び掛けた。

国際枠組みに中国製薬3社=ワクチン供給へ参加申請

2021年01月21日

 中国外務省の華春瑩報道局長は20日の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン開発で各国が共同出資・購入する仕組み「COVAX(コバックス)」に、中国の製薬大手3社がワクチン供給のため参加を申請したと明らかにした。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 3社は科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)と、中国医薬集団(シノファーム)、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)。

 華氏は「中国政府はこれらの企業を積極的に支持し、ワクチンの世界の公平分配に向け努力する」と述べた。

中国、排出量取引運用開始=電力業界、全国レベルで

2021年01月20日

 温室効果ガスの排出量が世界最大の中国は今月、電力業界を対象に全国レベルの排出量取引制度の運用をスタートさせた。取引を通じて排出量の削減を促す狙い。別業種にも拡大する計画で、本格化すれば世界最大の炭素市場が誕生する。中国に進出する日系企業にも影響が及びそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国は制度の法的根拠となる管理規則も2月1日に施行する。排出量取引を電力のほか、石油化学、化学、建材、鉄鋼、非鉄金属、製紙、航空の計8業種に広げる。習近平指導部は巨大市場の強みを生かし、将来的に欧州やアジアとの市場の統合運用を主導したい考えだ。

 排出量取引制度は国や企業ごとに温室効果ガスの排出が可能な枠を割り当て、過不足分を売買しながら削減を進める仕組み。中国が今月1日に始めた制度では、年間の二酸化炭素(CO2)排出量が2万6千トン以上の電力会社2225社が対象。中国メディアによると、総排出量は約40億トンで、日本の年間排出量の3倍以上に相当する規模だ。各企業は排出を抑える努力が求められる。

 生態環境省の李高・気候変動対応局長は「優秀な企業に報い、対応が遅れた企業は罰しながら、質の高い経済成長を促す」と強調する。

 中国は2013年以降、北京や天津、上海、深圳などで制度を試験的に導入。日系企業70社以上の工場や店舗も対象になり、省エネ対策などの対応に追われた。

 日本政府関係者は「日本は排出量取引など『カーボンプライシング(炭素価格付け)』への経済界の抵抗が根強く、対応が遅れている。国際競争から取り残されかねない」と危機感を示した。

中国の初期対応に出遅れ=コロナ独立委が中間報告 WHOの権限不足指摘 各国間の政治対立も

2021年01月19日

 新型コロナウイルス感染症への対応を検証する世界保健機関(WHO)の独立委員会は18日、中間報告を公表し「中国の保健当局は昨年1月の段階で、より強力な公衆衛生上の措置を取れたはずだ」として、中国当局の感染拡大初期の対応に出遅れがあったと指摘した。チャイナ・ウオッチが、ジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 中間報告は、WHOの権限不足のほか、米中を念頭に各国間の政治的対立の影響にも言及した。

 WHOについては、新たな感染症が発生した際の調査や支援、現地への要員派遣を自由にすることができず「期待されている任務を果たすには権限が不足している」と指摘している。WHOが緊急委員会を昨年1月22日まで開催せず、最高レベルの警報である緊急事態宣言も同月30日まで先送りしたことには疑問を呈した。

 また各国間の政治的対立が「一部加盟国がWHOに不信を表明する中で顕著に表れた」と指摘している。名指しは避けつつもWHO脱退を表明したトランプ米政権と中国との対立が、新型コロナに立ち向かう上で影を落としたと示唆した。

 中間報告は中国当局の対応の遅れについて、具体的には言及していない。中国政府は2019年12月31日にWHOに最初の報告を行い、昨年1月23日には新型コロナが最初に確認された湖北省武漢市を「封鎖」する措置を取っていた。

 WHOの緊急事態宣言発出後、各国が即座に大胆な感染防止策を取らず「警告はあまりにも多くの国で無視された」と言及した。テドロスWHO事務局長が3月11日、国際保健規則上はない「パンデミック(世界的大流行)」との言葉を用いたことを「事態の深刻さに注意を向ける役割は果たした」としつつ各国に警戒を呼び掛ける仕組みを再構築する必要性を訴えた。

 中間報告は開催中のWHO執行理事会に今月19日に提出され、5月のWHO総会に最終報告が提出される予定。独立委は昨年5月のWHO総会決議に基づき設置され、ニュージーランドのクラーク元首相と、ノーベル平和賞受賞者のリベリアのサーリーフ前大統領の女性2人が共同委員長を務めている。

AIIB、16日で開業5年=コロナ対策、気候変動強化

2021年01月18日

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は15日までに、新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な経済危機と、気候変動に対処するための融資を強化する方針を明らかにした。2016年の開業から16日で5年となり、金立群総裁の2期目が動きだす。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 13日に発表した戦略では、新型コロナにより「各国で基本的な医療施設が不足していることが明らかになった」と強調。社会インフラへの公共投資には限界があると指摘し、民間資本の参入を促すとした。

 一方で、コロナからの経済復興でも炭素依存は減らすべきだとし、気候変動関連の融資の割合を25年までに全体の50%に高めるとした。

 金氏は「包括的で持続可能な社会の発展に貢献することがわれわれの目標だ」とコメントした。同氏は元中国財務次官。

 AIIBの加盟国・地域は当初の57から103に拡大した。日本と米国は中国の権益拡大につながりかねないとの警戒感から加盟していない。これまで220億ドル(約2兆2890億円)の融資を行っているが、当初目標の毎年100億~150億ドルは下回っている。

 中国の習近平国家主席は昨年のAIIB年次総会で、新型コロナの経験を踏まえ「AIIBが多国間主義による協力の新たなモデルになるべきだ」と述べている。

WHO調査団に「期待」=武漢市入りで加藤氏

2021年01月15日

 加藤勝信官房長官は14日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症が世界で最初に確認された中国湖北省武漢市に入った世界保健機関(WHO)の国際調査団に関し「所期の目的を達成し、科学的知見が得られることを強く期待したい」と述べた。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 調査団には日本の前田健・国立感染症研究所獣医科学部長が参加している。

中国、ワクチン外交推進=インドネシアで接種開始

2021年01月14日

 インドネシアで13日、中国の製薬大手、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった。チャイナ・ウオッチが、ジャカルタ発共同通信電として伝えた。

 東南アジア歴訪中の中国の王毅国務委員兼外相は同日、ジャカルタでルトノ外相と会談し、コロナ対策の協力強化で一致した。ワクチンを利用して外交関係を強化する中国の姿勢がより鮮明になった。

 共同記者発表で王氏は、インドネシア国営製薬会社が現地生産のため実施しているシノバック製ワクチンの臨床試験への協力を進め、「インドネシアが地域でのワクチン生産のハブになることを支援する」と述べた。

 ジョコ大統領はこの日、国民に安全だと示すため、大統領宮殿で最初に接種した。「ワクチンは感染の連鎖を断って健康を守り、経済回復の加速を助ける」と述べた。

 インドネシアは感染者、死者とも東南アジア最多。政府は英国や米国製ワクチンなども使用し、来年3月までに人口の7割に近い約1億8,150万人への接種を目指す。必要なワクチンは予備も含め計約4億2,600万回分。18~59歳の医療従事者約145万人の接種を最優先する方針だ。

 シノバック製ワクチンを巡っては、医薬品食品監督庁が11日に緊急使用許可を出した。これを受け、イスラム教聖職者組織「インドネシア・ウラマ評議会(MUI)」が、イスラム教徒が戒律に従って摂取が許される「ハラル」だとするファトワ(宗教見解)を出し、世界最多のイスラム教徒を抱える同国での接種環境が整った。

カード型デジタル元で試験=上海、高齢者を想定

2021年01月13日

 中国・上海市で12日までに、カードにチャージした「デジタル人民元」を使用する実証試験が初めて行われた。これまでスマートフォンでの試験をしてきたが、操作に難がある高齢者らの利用を想定した。中国人民銀行(中央銀行)は正式発行に向け利便性向上を模索している。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 上海市長寧区によると、実証試験は5日、区内の病院の職員食堂で実施された。決済額や残高がデジタル表示される機能が付いたカードを医師らに配布。レジに設置された端末にかざし、支払いができるかどうかを試した。使った医師は「支払いが便利で残額も分かり安心だ」と話した。

 インターネットメディア「澎湃新聞」によると、カードは高齢者やスマホを持たない人向けに設計された。今後、デジタル表示の部分や文字の大きさを改善するという。

 北京市地方金融監督管理局によると、北京市では昨年12月下旬、デジタル人民元が入ったスキーの手袋型端末を使い、地下鉄の改札を通る実験を行った。2022年の北京冬季五輪での運用に向けた試験で、バッジや腕時計型の端末も披露された。

 デジタル人民元の実証試験は、昨年10月以降、広東省深〓(土ヘンに川)市や江蘇省蘇州市で実施。抽選に当たった市民がスマホの専用アプリに配布された200元(約3200円)ずつを使った。

中国、この冬初の都市封鎖=人口1千万、コロナ対策

2021年01月12日

 中国河北省の省都、石家荘市当局は8日、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、全市民に7日間、自宅にとどまるよう通知を出した。同市の人口は約1千万人で、中国としてはこの冬初めての大規模な都市封鎖となる。チャイナ・ウオッチが、新華社電を引用した北京発共同通信電として伝えた。

 石家荘市ではこのところ感染者が増加しており、今月2~8日正午(日本時間同午後1時)までに発症者118人と無症状感染者177人が確認された。全市民を対象とした緊急PCR検査を開始しており、検査が終了次第、自宅にとどまるよう通知した。

 当局は車が市外へ出ることを禁じ、高速鉄道などが発着する石家荘駅も閉鎖した。市内のバスと地下鉄は9日午前、運行を停止した。

 中国政府は河北省が首都・北京に隣接しているため事態を重視している。石家荘市を視察した孫春蘭副首相は「断固とした措置で迅速に感染拡大を断ち、首都の安全を守るべきだ」と指示した。

 石家荘市では農村部を中心に感染者が増加している。結婚披露宴などで広がったとの見方がある。中国は昨年夏以降、感染拡大をほぼ抑え込んできたものの、冬になり北部を中心に局地的に感染者の増加が報告されている。

 9日に記者会見した国家衛生健康委員会の幹部は2月の春節(旧正月)の大型連休に合わせた帰省や旅行を念頭に、移動をできる限り減らすよう 呼び掛けた。

中国20年末の外貨準備増加=2カ月連続

2021年01月08日

 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した2020年12月末の外貨準備高は3兆2165億ドル(約333兆円)だった。前月と比べ381億ドル増えた。増加は2カ月連続。米ドル以外の通貨の値上がりや、主要国の資産価格の上昇などが影響したとしている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 国家外貨管理局は、今後も新型コロナウイルスがもたらすリスクは軽視できず「国際金融市場には依然として不確定要素が多い」との認識を示した。一方で、中国の外国為替市場はバランスの取れた運用が見込め、外貨準備の規模は基本的に安定すると強調した。

国内感染拡大で許可せず=中国、WHO調査に

2021年01月07日

 中国外務省の華春瑩報道局長は6日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源解明に向けた世界保健機関(WHO)による中国での調査について、国内各地で感染症の発生が相次いでいるため最終許可を出していないことを明らかにした。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 華氏は、受け入れに向けた協議をWHOと継続しているとも訴えた。「最近、中国本土で感染症が断片的に発生し、局部的な集団感染も重なり、各地は戦時状態に入っている」と述べ、国内の感染対策を優先していると強調した。

 調査団の入国が実現していないとしてWHOのテドロス事務局長が失望を表明したことについては「気持ちは理解できる」としつつ、中国はWHOと「友好で緊密な協力を維持している」と主張した。調査団受け入れの日程など具体的なスケジュールについて意思疎通を続けているとした。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は5日の記者会見で、新型コロナウイルスの起源解明に向けた国際調査団に対し、中国当局が最終許可を依然出しておらず、入国が実現していないとして「大変失望している」と表明した。

中国―欧州の鉄道輸送、20年は1.24万本

2021年01月06日

 中国の国鉄運営を担う中国国家鉄路集団(中国鉄路)は4日、中国と欧州を往来する国際貨物列車「中欧班列」の2020年の運行本数が1万2,400本だったと発表した。前年比で50%増え、通年で初めて1万本を超えた。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 貨物輸送量は56%増の113万5,000TEU(20フィートコンテナ換算)だった。

 中国西部地域から広西チワン族自治区の北部湾港を通って海外へと通じる陸海複合一貫輸送の「西部陸海新ルート」は73%増の3,600本を運行し、貨物輸送量は80%増の19万TEUだった。

 このほか、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」沿線国で進めている鉄道建設の進捗も報告した。ラオスの首都ビエンチャンと中国国境を結ぶ「中老鉄路(ラオス・中国鉄道)」のビエンチャン―ルアンプラバン間の線路敷設が完了し、パキスタン北東部の主要都市ラホールの都市鉄道「ラホール・メトロ」オレンジ線が開通したことなどを挙げた。(NNA)

調査報告書『一帯一路の現況分析と戦略展望

EU中国、投資協定合意=経済関係一層強化 バイデン次期米政権警戒

2021年01月05日

 欧州連合(EU)と中国は30日、企業が相手側に進出する際のルールを定める投資協定の締結で大枠合意した。チャイナ・ウオッチが、ブリュッセル発共同通信電として伝えた。

 EUのフォンデアライエン欧州委員長と独仏首脳らは、中国の習近平国家主席とのオンライン首脳会談で合意を確認した。協定が発効すれば、世界屈指の経済圏である両者の関係は一層強化される。EU側は合意を「EU中国関係の重要な節目」と強調した。

 交渉開始から7年近くを要した。人権問題への懸念からフランスなどが妥結に慎重姿勢を示したが、EUは事実上、経済を優先する構え。欧中接近は、同盟国と結束し、人権や貿易を巡って中国に強い立場で臨む考えを28日に示したバイデン次期米政権の警戒を招きそうだ。

 EUは合意発表後の声明で、中国はEU側に「前例のない水準の市場アクセスを約束した」とし、参入障壁が大幅に下がったとの認識を示した。

 EUはこれまで中国市場がEUに比べ開かれておらず、不公平だと訴えてきた。一方、習氏は会談で二大市場が協力を深めるべきだと呼び掛けた。

 EU当局者らによると、協定によって製造業や金融、建設業などでEU企業の中国市場への参入を阻む障壁の撤廃が進み、地元企業と対等な立場で競争しやすくなる。

 協定には中国企業への政府補助金や、中国に進出する欧州企業に対する強制技術移転などの問題の改善も盛り込まれ、ドイツは早期締結を求めてきた。EU側は来年後半にも発効させたい考え。

 交渉で最後まで対立したのは、強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)条約の批准を事実上中国に求める条項。最終的に「自らの意思で(条約批准へ)継続的努力をしなければならない」との文言で合意し、EU外交筋 は「勝利」と訴えた。

 同様の条項は、強制労働を巡るILO条約をやはり批准していない日本とEUが結んだ経済連携協定(EPA)にもあるが、EPA発効から2年近い今も未批准だ。対中協定の同条項は空文化する可能性もある。